2017年5月31日 07:00
エンタメ系の仕事をしていると、困ることがある。取材したものを、欲しくなってしまうのだ。特に筆者はゲームやホビーのクリエイターにインタビューを行ない、その魅力と、作り手の想いを聞いている。これは、ヤバイ。お金がいくらあっても足りなくなってしまう。
そんな“欲しい”と強く思ってしまった商品の1つが、“「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」設計デザイン担当坂埜竜氏インタビュー”で取り上げた「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」だ。坂埜氏の関節設計へのこだわり、試作品のシャープな造形と金属部品による重み……話を聞きながら筆者は、「いいですねえ」を何度繰り返しただろう。
特に膝関節のなめらかなラインは本当に魅力的だった。そしてその興奮のまま……商品の予約をしてしまったのである。そして待ちに待った発売日が来て、商品が手元に届いたのだ。「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」は、インタビューで坂埜氏が語ったとおり素晴らしいクオリティと、プレイバリューを持った商品だ。手に入れ、遊ぶほどにその魅力は膨らんでいく。本稿では商品のギミック、魅力に迫っていきたい
金属が生む質感、しっかりした関節がもたらす、動かすことの楽しさ
「ダブルオーライザー」とは、アニメ「機動戦士ガンダム00」のMS(モビルスーツ)であり、太陽炉(GNドライヴ)を2基搭載する「ダブルオーガンダム」が、支援機「オーライザー」と合体し、GNドライヴを安定させることで真の力を発揮することができた。その力は「ガンダム」の範疇を超え、“別次元の存在”となったことから、合体した姿は「ダブルオーライザー」と呼ばれるのだ。
そして「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」は、バンダイコレクターズ事業部の「METAL ROBOT魂」シリーズ最新作である。アニメロボットをリアルなアクションフィギュアとした「ROBOT魂」に合金を使用したブランドであり、大きなヒットとなった「メタルビルド」シリーズのフィードバックも受けている。筆者は本商品がはじめての「METAL ROBOT魂」である。
インタビューで驚かされたのが、その“合金使用率”だ。単純に割合だけを比べたら、「メタルビルド」より多いかもしれない。特に下半身は股関節、腿の内部、膝部分、脛から足首と、内部フレームのほとんどが金属のようだ。クロームの鈍い光を放つところや、結構力を掛けて動かす関節の抵抗感……高級商品を触ってるんだなあという気持ちが盛り上がる。
そして何より膝の動きだ。腿部分のフレームが膝に引っ張られて可動し、さらに膝下部分も丸い“GNコンデンサ”を軸に折り曲がる。ショベルカーなどの大型機械の機構を見ているかのような、いかにも“機械”といった感じの“演出”が楽しいのだ。足を動かす感じは、人間とは違うロボットの雰囲気、金属製の、強力な力を秘めたロボットの足だ、という感じが良いのである。
「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」では、肘や脇腹部分、2つの“GNドライヴ”を支えるアーム部分にも金属パーツが使用されている。ダブルオーライザーはそのデザイン上、オーライザーのサイドバインダーや、大きな武器を細い腕やアームで支えなくてはならない。これら金属のパーツが、大きなものをしっかり支えてくれる。……坂埜氏によれば、「実は樹脂性でも充分な強度が出せる」とのことだが、金属である“ケレン味”が良いのだ。ひょっとしたらプラシーボ効果かもしれないが、金属パーツは、大きな安心感も与えてくれるのである。
もう1つ、本商品を手がけた坂埜氏のこだわりが詰まっているのが、“首の可動”だ。「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」はドラム風の首関節パーツを使用しており、この関節構造で大きく上を向くことができる。またグッと顎を引いたり、より幅広い表情付けが可能となっている。
ダブルオーライザーは高速で空間を飛翔し、相手に肉薄する。スピードを印象づける活躍が多かった。本商品ではGNドライブがクリック機構となっており、大きなサイドバインダーがへたれルことなく固定され、さらに金属のアームで保持されるため無理な角度でもしっかりと固定でき、飛翔するイメージの飾り付けができる。このギミックはダブルオーライザーのポーズにスピード感を加えてくれる。そして首の可動が、さらに“勢い”を加えてくれるのだ。
「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」は全長13cm。だいたい1/144のガンプラと同じくらいの大きさである。値段を考えると割高に感じられるかもしれない。しかし、「メタルビルド」シリーズに比べると机の上などに置きやすく、仕事の合間などに手にとってポーズを変えてまた置くといった、「ROBOT魂」と同じような遊び方ができるところがセールスポイントと言えるだろう。そして本商品は、本当にポーズ付けが楽しいのだ。
2刀流に大型剣、多彩な武器を様々なシチュエーションで構えさせてみる
そして「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」は充実した内容で高いプレイバリューを誇っている。メインウェポンでもある「GNソードII」は、2刀流で扱える実体剣で、ソードモードとライフルモードに変形できる。ダブルオーガンダム、ダブルオーライザーを象徴する武器とも言える武器で、振りかぶったり、なぎ払ったり、銃として構えたり、劇中の様々な場面を再現するのに欠かせない。
劇中同様腰にマウントしたり、ジョイントを使うことで連結させた「GNツインランス」にすることもできる。さらにビームエフェクトを取り付けることで、ビームサーベルモードにもできる。2つを正面に構えれば、ちょっと長さは足りないが、GNドライヴをトランザムさせて使用し、強力な印象を残した「ライザーソード」をイメージしたポーズも楽しい。
腰の後ろにはビームサーベルがあり、こちらも2刀流で構えるのが楽しい。ビームエフェクトのパーツは細く、GNソードIIと大きく違うイメージがある。他にもGNブレイドを装着し武器としても使える「GNシールド」がある。シールドは設定通り2つを連携させることもできるし、ダブルオーガンダム、ダブルオーライザーどちらも側面に取り付けることができる。
そして「GNソードIII」だ。最終決戦時に追加された装備で、前主人公機である「ガンダムエクシア」のメインウェポン「GNソード」を思わせる大型の剣で、刀身を折りたたんでビームライフルにできるほか、ライザーソードの状態を再現できるエフェクトパーツも同梱されている。“新素材”を使っていることを示す、クリアパーツが美しい。手にし怒り保持される感じも、ソードモードにできる点も楽しい。
アニメ「ガンダム00」は今年で10周年を迎える。「ダブルオーライザー」はこれまで様々な立体化が行なわれており、装備の大きさのバランスや、必要なアイテム、デザインや素材の使い方などは様々なノウハウの蓄積がある。「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」は求められる様々な要素を盛り込み、ユーザーが満足できる内容・クオリティを実現できていると感じた。
そして先日開催された「TAMASHII NATIONS 10th WORLD TOUR "OSAKA"」では本商品に加え、バリエーションである「ダブルオーセブンソード」も展示されていた。こちらの商品化なども気になるところだ。今後も「ガンダム00」は様々な商品が販売されるが、「METAL ROBOT魂」の次回作も気になるところである。
「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」はユーザーに高い満足度を与えてくれるアイテムだ。繰り返すが手軽にいじれる大きさが良い。武器は多彩だし、合体、分離状態で楽しめ、さらに動かしごたえのある関節、動きを強調できるサイドバインダーや、GNドライヴがポーズの工夫の楽しさをさらに膨らませてくれる。手にとればとても楽しい商品だ。
(C)創通・サンライズ