先行体験
【Civ7】「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII」序盤プレビュー。シリーズにとって「新たな時代」の到来を感じさせる作品に
煩わしさをなくし、中毒性が倍増
2025年1月16日 23:00
- 【シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII】
- 2月11日 発売予定
- 価格:
- 通常版 8,800円(Switch版のみ7,700円)
- デラックス エディション 12,650円(Switch版のみ11,500円)
- 創始者エディション 16,500円(Switch版のみ15,400円)
いよいよ発売が2月11日に迫ったPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用ターン制ストラテジーゲーム「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII(以下、Civ7)」。2024年12月5日に開催されたPCゲームショー「Most Wanted 2024」にて、世界が期待するゲーム第1位に選ばれたタイトルだけあって、ストラテジーファンならば待ち遠しいタイトルになっている。一方で本作は、既に出ている情報から分かる通り、過去作からの大きな変更が多いタイトルでもあり、シリーズファンは期待と不安を同時に抱えているはずだ。
特に、時代が「古代」「探検の時代」「近代」に分かれ、文明が時代ごとに変化する「時代システム」や、都市運営が街区と郊外に分かれ、労働者も廃止される新たな都市開発システム等は「Civ」シリーズの根幹のシステムから大きく逸脱するものになるため、こうした要素の手触りは気になる所だ。
今回は、2Kからゲームコードを提供してもらい、本作の序盤にあたる古代から探検の時代をプレイする機会を頂いた。変更点を抑えつつ、本作が「Civ」シリーズとしてどのような魅力を持っているのかをお伝えする。
美麗なグラフィックでよりジオラマ感の強いプレイが可能。イベントで変化を楽しめそう
本作ではこれまでの作品と同様に、最初にそれぞれ固有の能力を持った指導者と文明を選ぶことになる。今回はかつてローマ皇帝だった「アウグストゥス」を指導者として選択した。一方で、これまでと異なるのが文明の選択。以前は指導者と文明がセットになっていたが、本作では自由に最初の文明を選ぶことが可能となっている。史実とは関係のない指導者と文明の組み合わせも可能だが、その文明と相性のいい文明や、史実で支配したり訪れたことのある文明をガイドしてくれる機能が存在し、プレーヤーの判断をサポートしてくれる。今回のプレイでは前作のローマが初心者にオススメの文明だったこともあり、愚直に「ローマ」を選択してプレイを開始した。
ゲームの最序盤の流れは、開拓者で都市を建設し、斥候を生産して周囲の土地を探索するといった風に、これまでのシリーズとほとんど変化はないが、グラフィックの進化には驚かされる。序盤から広がる自然物はもちろん、ゲームを進めることで目にすることのできる建設した都市の街並みや、発見した自然遺産はよりジオラマ感の強いものとなっており、眺めているだけでも楽しめる。
また、序盤の探索から新要素として、かつての「原住民の集落」に相当する「発見」イベントが発生。こちらは選択式のイベントになっており、プレーヤーの選択で様々な報酬を得ることができる。なお、イベントは探索だけでなく、文明の発展や、自然災害の発生、都市国家との関係などをトリガーにして発生する。こちらは選択による報酬だけでなく、後のイベントに繋がるストーリーが展開されるものもあり、プレイの度にイベントによる変化を楽しむことができそうだ。
また、探索を進めていくと村を発見できることもある。村はどの陣営にも属さない勢力となっており、敵対的な村として出現した場合はこれまでのシリーズの蛮族と似たような形でこちらの文明を攻撃してくる厄介な存在となるが、「影響力」を用いて関係を築くことで友好的な都市国家として発展させることも可能となっている。影響力は他の文明との国交にも使用するパラメーターで、建造物などから入手することが可能だ。
新たな都市計画は戦略的ながら理解しやすく
探索を進めつつ、自文明の都市を発展させていくことになるのだが、本作では食料によって人口が増えるとタイルの改善か専門家の配置を選択することができる。タイルの改善では、選択したタイルに応じて農場や鉱山といった、これまで労働者で建設していた施設が作られ、文明の境界にあった場合は都市の領土が広がっていく。
食料や生産力を得られる施設を建設し、それを用いてゴールドや科学力といったリソースを得られる建造物を建設していくという流れは従来通りだが、農場などが設置されたタイルは「郊外」タイルと呼ばれ、郊外に施設を建設すると「市街」タイルに変化する。市街タイルには2つの建物スロットが存在し、同じ時代の建造物2つを建設すると「街区」となり、社会政策や隣接ボーナスで様々なバフを受けることが可能となる。現在の時代や、必要な生産物などを考慮しつつ、どの郊外タイルを市街タイルに変化させ、市街タイルを並べて隣接ボーナスを得るかが都市開発のキモとなりそうだ。
なお、郊外・市街タイルについては少しわかり辛く感じるが、プレイをしてみると直感的に理解でききるものとなっている。シリーズ経験者ならば、「Civ6」の区域システムを整理し、理解しやすい形に落とし込んだものとして受け入れることができるはずだ。
都市の建設物から得られた科学力や文化力といった資源は、技術(科学)と社会制度(文化)それぞれのツリーを進めていくことに使用される。本作ではツリーは時代毎のものに変更された他、社会制度ツリーには選択した文明固有のものが存在し、より文明のカラーがでるものとなっている。固有の社会制度ツリーを解禁することで、固有建造物やユニットを得ることが可能で、固有ツリーと時代のツリーどちらを進めるかで悩むことになりそうだ。
また、本作では開拓者によって新たに入植する居住区は町として建設される。都市と町の違いとして挙げられるのは、都市では生産力を使用した施設の建設が可能だが、町の場合はゴールドを使用した購入のみが可能となる。また、施設に専門家を設置しボーナスを得られるのも都市のみとなっている。代わりに町は「専業化」をすることができ、ひとつの生産に特化しつつ、周囲の都市に食料を送ることが可能だ。
町の生産力は自動的にゴールドに変換されるので、文明の経済収支は町の生産力に支えられることとなる。ゴールドを用いれば町から都市にアップグレードすることも可能だが、文明の経済状況や、その町の人口や発展性などを考慮したうえで行なう必要があるだろう。
また、本作には居住区の上限や幸福度といった「Civ5」から復活した要素も存在。居住区の上限を超えると幸福度にペナルティがかかり、幸福度がマイナスになると都市の生産力が落ちてしまう。「Civ6」ではお馴染みだった「都市スパム(都市を大量に建てる行為)」を制限するシステムで、より都市を出す場所と量に頭を使う必要が生じている。
町は「Civ5」の傀儡都市の占領した土地などの縛りや、デバフ等のデメリットを無くし、よりプレーヤーが恩恵を得られるものにアップグレードしたもののように感じた。人口による成長システムや、都市開発と合わせて、これまで操作量が多く管理が煩わしかったシステムを、戦略性はそのままに、理解・把握しやすく管理の負担も少ないものとしていることが感じられ好印象だ。
文明の発展の指針となる「レガシーパス」
自文明を発展させる際、その方向性は様々だが、本作の勝利に大きくかかわるという「レガシーパス」を参考にすることで、自文明の方向性を定めやすくなっている。レガシーパスは経済、軍事、科学、文化の4つの分野に分かれ、それぞれが時代毎に達成すべき目標を定めている。例えば、古代では、多くの資源を集めることや、多くの居住区を確保することが目標として提示される。目標は3段階に分かれており、1段階ごとに次の時代へのボーナスを得ることができる。最終目標を達成すれば、次の時代にスタートダッシュをきれる大きな利益を受けることが可能だ。
全てのレガシーパスを達成することは相当難しいと感じたので、今回のプレイでは軍事のレガシーの達成を目標に定めプレイを進めた。ローマにはシリーズお馴染みの固有ユニット(UU)「レギオン」が存在し、軍事レガシーと相性がいいと感じたためだ。このように、自文明の特性が得意とするレガシーを進めていくのが、指導者の特性を最も活かした効率的なプレイとなるだろう。
戦争は司令官でノンストレスに。一方でデメリットが頭を悩ませる
軍事レガシーの達成のためには、ユニットを生産し、他国を占領する必要があるのだが、本作の戦争は中々に楽しい。そのキモとなっているのが「司令官」の存在だ。司令官は軍事ユニットを支援する存在で、ユニットを軍団として統合し、1つのまとまりとして移動することが可能となっている。また、遠く離れた位置にいるユニットでも、増援として司令官のもとへと瞬時に移動することもでき、これにより、大量のユニットを保有していても少ない操作で敵都市まで移動をすることができるので、遠征時のストレスが大幅に削減された。
また、ユニットのレベルアップが廃止され、代わりに司令官の「昇進」へと置き換わっている。昇進では、これまでのシリーズの「大将軍」のように周囲のユニットにバフをもたらしたり、より移動をスムーズにしたりといった恩恵をえることが可能だ。
また、都市の占領では、都市中心部だけでなく、防壁の建てられた区域も占領する必要があり、守りを固めた都市相手には攻囲ユニットが欠かせなくなっている。
今回のプレイでは、大量のレギオンと攻囲ユニットで、一気に他文明を蹂躙し、占領。UUラッシュの強さが健在であることを確認できた。しかし、占領地が増えれば当然居住区の上限をオーバーすることになり幸福度が大きなマイナスに。結果、占領した都市の多くを完全に破壊することとなってしまった。
また、戦争ペナルティには、「戦争への支持」という要素もあり、これがマイナスの場合は戦闘力や幸福度でマイナス補正を受けることとなる。初期ラッシュで拡大すればそれだけで勝利が決まることの多かった前作と比べ、戦争のデメリットが大きくなっているので、無暗に戦争を続けるのではなく、レガシーパスの達成や発展のための要所を抑えたら終戦するプレイが必要だと感じだ。
なお、本作では戦闘以外でも他国との関わり方に大きな変更が加えられている。例えば、貿易は商人ユニットを相手都市に派遣して資源を得るものになっており、取引は影響力を用いて、双方にメリットをもたらす「条約」にまとめられている。このように外交もシンプルでわかりやすいものに変更されたので、より少ない操作で外交からのメリットを得ることが可能だ。
時代の移り代わり
レガシーパスを達成していくと時代が進行していき、時代の後半には発展している文明ほど大きなペナルティが生じる「危機」が発生する。危機では、危機の社会制度を選択し、そのデメリットを受けることになってしまうので、これにどう対処するかが次の時代へスムーズに移行するためのカギとなる。
古代が終了すると、探検の時代が始まるのだが、時代の開始前に次の時代の文明を選択することとなる。選択できる文明は、指導者に関係のある文明や、前の時代で特定の条件を満たしたものとなっている。こちらは、時代終了時の文明の状況等を加味して選択するといいだろう。なお、今回のプレイでは、指導者に関わりのある文明としてスペインを選択した。
探検の時代の開始時には、古代で達成したレガシーパスに応じて、レガシーボーナスを獲得することができる。また、司令官や、世界遺産、居住区等は引き継がれるが、その一方で、保有可能数を超過したユニットは削除され、首都を除く都市が町となり、全ての建造物のボーナスが抹消。都市国家や村も無くなってしまう。また、前の時代の建造物は効果が薄くなり、新時代の建造物への改築が必要となるなど、文字通りの「新たな時代のスタート」を切ることとなる。
探検の時代では、新たに外洋に出ることが可能となり、新大陸の探索を中心としたレガシーパスが提示される。筆者は大量のレギオンを新時代の到来で失ったが、それでも古代に獲得した居住区や、レガシーを用いて探検の時代を有利に進めることができた。とはいえ、これまでのシリーズ作品に比べると、序盤で築いた有利によるスノーボールは緩和されており、しっかりと戦略的な判断を積み重ねていかなければレガシーの達成は難しくなっていると感じた。
今回は古代から探検の時代までのプレイとなったが、序盤から新たな要素が盛りだくさんで、新鮮なプレイを楽しむことができた。特に感じたのはこれまで管理が煩わしかった部分の整理と、スノーボールの抑制の2点。「Civ6」は最高難易度であっても序盤でほとんど勝利が決まってしまうような場面が多く、後半になると操作が多くなることもあって、途中でプレイを止めてしまうことが多かったが、本作では継続して緊張感のあるプレイが可能だと感じた。今回は最後の時代となる「近代」までプレイすることはできなかったが、時代が変わることを考えれば、勝利が決まる瞬間まで、楽しんでプレイすることができそうだ。
また、文明が変化することにより、序盤特化の文明が後半無能力の「バニラ」文明になってしまうことや、後半に特性が集中した文明が不利になることがなくなり、どの指導者・文明を選んでも、常に特性を活かしたプレイができると感じた。
大規模な変更があったものの、「Civ」シリーズらしい、戦略性や「あと1ターンだけ……」となる中毒性は確かに存在するので、本作を楽しみにしている人は、安心して期待に胸を膨らませて欲しい。
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