先行体験

【Civ7】「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII」序盤プレビュー。シリーズにとって「新たな時代」の到来を感じさせる作品に

煩わしさをなくし、中毒性が倍増

【シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII】

2月11日 発売予定

価格:
通常版 8,800円(Switch版のみ7,700円)
デラックス エディション 12,650円(Switch版のみ11,500円)
創始者エディション 16,500円(Switch版のみ15,400円)

 いよいよ発売が2月11日に迫ったPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用ターン制ストラテジーゲーム「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII(以下、Civ7)」。2024年12月5日に開催されたPCゲームショー「Most Wanted 2024」にて、世界が期待するゲーム第1位に選ばれたタイトルだけあって、ストラテジーファンならば待ち遠しいタイトルになっている。一方で本作は、既に出ている情報から分かる通り、過去作からの大きな変更が多いタイトルでもあり、シリーズファンは期待と不安を同時に抱えているはずだ。

 特に、時代が「古代」「探検の時代」「近代」に分かれ、文明が時代ごとに変化する「時代システム」や、都市運営が街区と郊外に分かれ、労働者も廃止される新たな都市開発システム等は「Civ」シリーズの根幹のシステムから大きく逸脱するものになるため、こうした要素の手触りは気になる所だ。

 今回は、2Kからゲームコードを提供してもらい、本作の序盤にあたる古代から探検の時代をプレイする機会を頂いた。変更点を抑えつつ、本作が「Civ」シリーズとしてどのような魅力を持っているのかをお伝えする。

【『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』ゲームプレイ公開トレーラー】

美麗なグラフィックでよりジオラマ感の強いプレイが可能。イベントで変化を楽しめそう

 本作ではこれまでの作品と同様に、最初にそれぞれ固有の能力を持った指導者と文明を選ぶことになる。今回はかつてローマ皇帝だった「アウグストゥス」を指導者として選択した。一方で、これまでと異なるのが文明の選択。以前は指導者と文明がセットになっていたが、本作では自由に最初の文明を選ぶことが可能となっている。史実とは関係のない指導者と文明の組み合わせも可能だが、その文明と相性のいい文明や、史実で支配したり訪れたことのある文明をガイドしてくれる機能が存在し、プレーヤーの判断をサポートしてくれる。今回のプレイでは前作のローマが初心者にオススメの文明だったこともあり、愚直に「ローマ」を選択してプレイを開始した。

本作では文明×指導者で多くの組み合わせを用いてゲームに挑める。今回は初心者向けを期待してアウグストゥス×ローマでプレイ。アウグストゥスは後述する町から様々な恩恵を得られる指導者。ローマはお馴染みのレギオンに加え、自領土に文化ボーナスをもたらしてくれる

 ゲームの最序盤の流れは、開拓者で都市を建設し、斥候を生産して周囲の土地を探索するといった風に、これまでのシリーズとほとんど変化はないが、グラフィックの進化には驚かされる。序盤から広がる自然物はもちろん、ゲームを進めることで目にすることのできる建設した都市の街並みや、発見した自然遺産はよりジオラマ感の強いものとなっており、眺めているだけでも楽しめる。

自然遺産を発見。本作では美麗なグラフィックで、よりジオラマ感の強いゲームを楽しめる

 また、序盤の探索から新要素として、かつての「原住民の集落」に相当する「発見」イベントが発生。こちらは選択式のイベントになっており、プレーヤーの選択で様々な報酬を得ることができる。なお、イベントは探索だけでなく、文明の発展や、自然災害の発生、都市国家との関係などをトリガーにして発生する。こちらは選択による報酬だけでなく、後のイベントに繋がるストーリーが展開されるものもあり、プレイの度にイベントによる変化を楽しむことができそうだ。

探索を通じ、発見イベントが発生する場所を見つけることもできる
イベントは様々な行動がトリガーとなり発生する。プレーヤーの選択によって様々な利益をもたらしてくれる

 また、探索を進めていくと村を発見できることもある。村はどの陣営にも属さない勢力となっており、敵対的な村として出現した場合はこれまでのシリーズの蛮族と似たような形でこちらの文明を攻撃してくる厄介な存在となるが、「影響力」を用いて関係を築くことで友好的な都市国家として発展させることも可能となっている。影響力は他の文明との国交にも使用するパラメーターで、建造物などから入手することが可能だ。

村は友好的・中立・敵対的で出現。友好的な場合は近くの文明と友好関係を結ぶが、それ以外の場合は関係を築く必要がある
村だけではなく、他の文明との出会いも。今回はナポレオンと出会うことができた
始まりはいつも小さな都市。これを巨大な文明に発展させていくのが本シリーズの醍醐味だ

新たな都市計画は戦略的ながら理解しやすく

 探索を進めつつ、自文明の都市を発展させていくことになるのだが、本作では食料によって人口が増えるとタイルの改善か専門家の配置を選択することができる。タイルの改善では、選択したタイルに応じて農場や鉱山といった、これまで労働者で建設していた施設が作られ、文明の境界にあった場合は都市の領土が広がっていく。

得られた食料を通じて人口が増加。それに応じてタイルに市民を配置し、施設を建設。領土まで拡張される

 食料や生産力を得られる施設を建設し、それを用いてゴールドや科学力といったリソースを得られる建造物を建設していくという流れは従来通りだが、農場などが設置されたタイルは「郊外」タイルと呼ばれ、郊外に施設を建設すると「市街」タイルに変化する。市街タイルには2つの建物スロットが存在し、同じ時代の建造物2つを建設すると「街区」となり、社会政策や隣接ボーナスで様々なバフを受けることが可能となる。現在の時代や、必要な生産物などを考慮しつつ、どの郊外タイルを市街タイルに変化させ、市街タイルを並べて隣接ボーナスを得るかが都市開発のキモとなりそうだ。

 なお、郊外・市街タイルについては少しわかり辛く感じるが、プレイをしてみると直感的に理解でききるものとなっている。シリーズ経験者ならば、「Civ6」の区域システムを整理し、理解しやすい形に落とし込んだものとして受け入れることができるはずだ。

施設を建設することで生まれる市街タイル。施設のスロットは2つあり、建設したものに応じた生産物に加え、隣接ボーナスなども得られる
お馴染みの世界遺産も建設可能。今回はローマらしくコロッセオを建設した

 都市の建設物から得られた科学力や文化力といった資源は、技術(科学)と社会制度(文化)それぞれのツリーを進めていくことに使用される。本作ではツリーは時代毎のものに変更された他、社会制度ツリーには選択した文明固有のものが存在し、より文明のカラーがでるものとなっている。固有の社会制度ツリーを解禁することで、固有建造物やユニットを得ることが可能で、固有ツリーと時代のツリーどちらを進めるかで悩むことになりそうだ。

技術ツリーを進めていくことで新たな建造物やユニットが生産可能となる
社会制度ツリーは時代と文明固有のものがそれぞれ存在する
社会政策は文明の運営を助けてくれる。常に状況にあった政策を選択するのがキモだ
今回から登場した指導者の「属性ツリー」は特定の条件を満たすことで、その分野の属性を指導者が獲得していく成長要素。こちらも文明運営をサポートしてくれる

 また、本作では開拓者によって新たに入植する居住区は町として建設される。都市と町の違いとして挙げられるのは、都市では生産力を使用した施設の建設が可能だが、町の場合はゴールドを使用した購入のみが可能となる。また、施設に専門家を設置しボーナスを得られるのも都市のみとなっている。代わりに町は「専業化」をすることができ、ひとつの生産に特化しつつ、周囲の都市に食料を送ることが可能だ。

 町の生産力は自動的にゴールドに変換されるので、文明の経済収支は町の生産力に支えられることとなる。ゴールドを用いれば町から都市にアップグレードすることも可能だが、文明の経済状況や、その町の人口や発展性などを考慮したうえで行なう必要があるだろう。

町は専業化で効率化することが可能
都市は専門家を配置することで、幸福度や食料を犠牲に生産をブーストできる

 また、本作には居住区の上限や幸福度といった「Civ5」から復活した要素も存在。居住区の上限を超えると幸福度にペナルティがかかり、幸福度がマイナスになると都市の生産力が落ちてしまう。「Civ6」ではお馴染みだった「都市スパム(都市を大量に建てる行為)」を制限するシステムで、より都市を出す場所と量に頭を使う必要が生じている。

 町は「Civ5」の傀儡都市の占領した土地などの縛りや、デバフ等のデメリットを無くし、よりプレーヤーが恩恵を得られるものにアップグレードしたもののように感じた。人口による成長システムや、都市開発と合わせて、これまで操作量が多く管理が煩わしかったシステムを、戦略性はそのままに、理解・把握しやすく管理の負担も少ないものとしていることが感じられ好印象だ。

文明の発展の指針となる「レガシーパス」

 自文明を発展させる際、その方向性は様々だが、本作の勝利に大きくかかわるという「レガシーパス」を参考にすることで、自文明の方向性を定めやすくなっている。レガシーパスは経済、軍事、科学、文化の4つの分野に分かれ、それぞれが時代毎に達成すべき目標を定めている。例えば、古代では、多くの資源を集めることや、多くの居住区を確保することが目標として提示される。目標は3段階に分かれており、1段階ごとに次の時代へのボーナスを得ることができる。最終目標を達成すれば、次の時代にスタートダッシュをきれる大きな利益を受けることが可能だ。

レガシーパスはプレイの指針となる目標を提示してくれる。これを達成していけば後の時代に有利となる
初心者向けに各分野へのアドバイスをくれる「助言者」機能も存在する

 全てのレガシーパスを達成することは相当難しいと感じたので、今回のプレイでは軍事のレガシーの達成を目標に定めプレイを進めた。ローマにはシリーズお馴染みの固有ユニット(UU)「レギオン」が存在し、軍事レガシーと相性がいいと感じたためだ。このように、自文明の特性が得意とするレガシーを進めていくのが、指導者の特性を最も活かした効率的なプレイとなるだろう。

軍事のレガシーを達成するためにレギオンの量産を始めるが、敵対的な村が大量のユニットで襲い掛かってきた。これをなんとか撃退し、他国への宣戦に繋げていく

戦争は司令官でノンストレスに。一方でデメリットが頭を悩ませる

 軍事レガシーの達成のためには、ユニットを生産し、他国を占領する必要があるのだが、本作の戦争は中々に楽しい。そのキモとなっているのが「司令官」の存在だ。司令官は軍事ユニットを支援する存在で、ユニットを軍団として統合し、1つのまとまりとして移動することが可能となっている。また、遠く離れた位置にいるユニットでも、増援として司令官のもとへと瞬時に移動することもでき、これにより、大量のユニットを保有していても少ない操作で敵都市まで移動をすることができるので、遠征時のストレスが大幅に削減された。

 また、ユニットのレベルアップが廃止され、代わりに司令官の「昇進」へと置き換わっている。昇進では、これまでのシリーズの「大将軍」のように周囲のユニットにバフをもたらしたり、より移動をスムーズにしたりといった恩恵をえることが可能だ。

 また、都市の占領では、都市中心部だけでなく、防壁の建てられた区域も占領する必要があり、守りを固めた都市相手には攻囲ユニットが欠かせなくなっている。

司令官はユニットをまとめて移動させられるだけでなく、固有の成長ツリーを持っており、戦争を有利に進めるためには欠かせない存在だ
今回の戦闘アニメーションはターン中継続し、戦っている様子を観察しやすくなっている

 今回のプレイでは、大量のレギオンと攻囲ユニットで、一気に他文明を蹂躙し、占領。UUラッシュの強さが健在であることを確認できた。しかし、占領地が増えれば当然居住区の上限をオーバーすることになり幸福度が大きなマイナスに。結果、占領した都市の多くを完全に破壊することとなってしまった。

 また、戦争ペナルティには、「戦争への支持」という要素もあり、これがマイナスの場合は戦闘力や幸福度でマイナス補正を受けることとなる。初期ラッシュで拡大すればそれだけで勝利が決まることの多かった前作と比べ、戦争のデメリットが大きくなっているので、無暗に戦争を続けるのではなく、レガシーパスの達成や発展のための要所を抑えたら終戦するプレイが必要だと感じだ。

フランスに宣戦するも、支持を得ることができなかったためペナルティが課せられることに
戦力=質×数の二乗。ということでレギオンラッシュで都市を制圧。しかし、居住区の最大数オーバーと戦争疲弊で幸福度に余裕がなくなった

 なお、本作では戦闘以外でも他国との関わり方に大きな変更が加えられている。例えば、貿易は商人ユニットを相手都市に派遣して資源を得るものになっており、取引は影響力を用いて、双方にメリットをもたらす「条約」にまとめられている。このように外交もシンプルでわかりやすいものに変更されたので、より少ない操作で外交からのメリットを得ることが可能だ。

他国との関わり方は戦争だけではない。今回は影響力を用いて条約を結ぶことで双方に様々なメリットがもたらされる

時代の移り代わり

 レガシーパスを達成していくと時代が進行していき、時代の後半には発展している文明ほど大きなペナルティが生じる「危機」が発生する。危機では、危機の社会制度を選択し、そのデメリットを受けることになってしまうので、これにどう対処するかが次の時代へスムーズに移行するためのカギとなる。

時代の終わりが近づくと「危機」がやってくる。これをどう凌ぐかが次の時代への移行のために重要となる

 古代が終了すると、探検の時代が始まるのだが、時代の開始前に次の時代の文明を選択することとなる。選択できる文明は、指導者に関係のある文明や、前の時代で特定の条件を満たしたものとなっている。こちらは、時代終了時の文明の状況等を加味して選択するといいだろう。なお、今回のプレイでは、指導者に関わりのある文明としてスペインを選択した。

時代が変わり、文明も変わる。今回はスペインを選択し、探検の時代へと挑む

 探検の時代の開始時には、古代で達成したレガシーパスに応じて、レガシーボーナスを獲得することができる。また、司令官や、世界遺産、居住区等は引き継がれるが、その一方で、保有可能数を超過したユニットは削除され、首都を除く都市が町となり、全ての建造物のボーナスが抹消。都市国家や村も無くなってしまう。また、前の時代の建造物は効果が薄くなり、新時代の建造物への改築が必要となるなど、文字通りの「新たな時代のスタート」を切ることとなる。

探検の時代が開始。古代のレガシーから様々なボーナスを受け取れる

 探検の時代では、新たに外洋に出ることが可能となり、新大陸の探索を中心としたレガシーパスが提示される。筆者は大量のレギオンを新時代の到来で失ったが、それでも古代に獲得した居住区や、レガシーを用いて探検の時代を有利に進めることができた。とはいえ、これまでのシリーズ作品に比べると、序盤で築いた有利によるスノーボールは緩和されており、しっかりと戦略的な判断を積み重ねていかなければレガシーの達成は難しくなっていると感じた。

探検の時代では外洋への探索を中心としたレガシーが重要となる他、宗教関連の施設やレガシー等も登場する

 今回は古代から探検の時代までのプレイとなったが、序盤から新たな要素が盛りだくさんで、新鮮なプレイを楽しむことができた。特に感じたのはこれまで管理が煩わしかった部分の整理と、スノーボールの抑制の2点。「Civ6」は最高難易度であっても序盤でほとんど勝利が決まってしまうような場面が多く、後半になると操作が多くなることもあって、途中でプレイを止めてしまうことが多かったが、本作では継続して緊張感のあるプレイが可能だと感じた。今回は最後の時代となる「近代」までプレイすることはできなかったが、時代が変わることを考えれば、勝利が決まる瞬間まで、楽しんでプレイすることができそうだ。

探検の時代で選択したスペインの能力では、固有街区を建設することで、偉人「コンキスタドール」を生産できるというもの。本作では偉人システムは無くなり、文明ごとの固有の小規模な偉人が得られるものに変更された

 また、文明が変化することにより、序盤特化の文明が後半無能力の「バニラ」文明になってしまうことや、後半に特性が集中した文明が不利になることがなくなり、どの指導者・文明を選んでも、常に特性を活かしたプレイができると感じた。

 大規模な変更があったものの、「Civ」シリーズらしい、戦略性や「あと1ターンだけ……」となる中毒性は確かに存在するので、本作を楽しみにしている人は、安心して期待に胸を膨らませて欲しい。