先行体験

須田節炸裂! 「シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラリマスタード」先行プレイレポート

ゴア表現満載の須田ゲーが60FPS/4K対応で今蘇る!

【Shadows of the Damned: Hella Remastered】

10月31日 発売予定

価格:4,180円

 10月31日はハロウィン。西洋の宗教行事とは異なり、日本は老若男女が浮かれ、子どもはお菓子をねだり、若者は酒を飲み、大人はコスプレに興じる日だ(諸説あり)。

 だが、今年のハロウィンはそれだけではない。「シャドウ・オブ・ザ・ダムド」のリマスター版にあたる「Shadows of the Damned: Hella Remastered(シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラリマスタード)」がNetEase Gamesよりプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC向けに発売されるのだ。

 「シャドウ・オブ・ザ・ダムド」は2011年に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。これは「ノーモア★ヒーローズ」など型破りなアクションゲームを手がけた須田剛一氏、そして「バイオハザード」や「サイコブレイク」シリーズなどを手がけた三上真司氏、そして異才のクリエーター林田球氏という豪華クリエイターがタッグを組んで生み出された狂気と美学が融合した作品だ。

 共通するのは悪魔が登場すること。そう、まさにハロウィンの日に相応しい作品なのだ。

 クールなデーモンハンター「ガルシア」が、地獄の王「フレミング」にさらわれた恋人を追って冥界へ向かうと、元悪魔の相棒「ジョンソン」が語る。今回はその序盤部分をプレイできたのでインプレッションをお届けしていく。

 なお、今回発売されるリマスター版の変更点としてはグラフィックスが進化し60fps/4Kに対応するほか、「強くてニューゲーム」およびキャラクターのコスチュームの追加が主な内容となり、ストーリーなどはそのままとなっている。

【『シャドウ・オブ・ザ・ダムド: ヘラ リマスタード』 発売日発表トレーラー】

キャラクター同士のかけあいが魅力。ブラックジョーク満載の世界観

 筆者が本作をプレイして心をぶち抜かれたのが本作の世界観だ。特筆すべきは作品全体を貫く独特な雰囲気である。ダークで陰鬱な雰囲気がずっと続くわけでもなく、登場するキャラクターのブラックジョークや皮肉めいた台詞には思わずニヤリとしてしまう。それらが絶妙なバランスで組み合わさり、本作ならではの独自の世界観を作り出しているのだ。

 この独自の世界観を生み出している要素はいくつかある。個性が立ちすぎるくらいに濃いキャラクターたち、そして、彼らの織りなす会話、これらの要素が絶妙に調和し、コミカルさとダークさが同居する独特の雰囲気を生み出しているのだ。

個性が強いキャラクターと、彼らが織りなす会話

 物語の中心となるのは、主人公であるデーモンハンター「ガルシア」だ。上半身にはびっしりと刻まれたタトゥー、レザーのライダースジャケットに身を包んだその姿は、まさにパンクロッカーのよう。そして、悪魔たちに対して躊躇なく銃を向け、引き金を引くその姿は、凄腕のデーモンハンターとしての威厳を漂わせている。

 そんなガルシアが冥界へと足を踏み入れることになったきっかけは、最愛の彼女「ポーラ」が「悪魔王フレミング」によって攫われたことである。ポーラ、そしてフレミングを追って冥界へと飛び込むのだ。

 そして、ガルシアの冥界での旅に付き添うのは、相棒の「髑髏のジョンソン」だ。ジョンソンは更生した元悪魔で、時として悪魔を打ち倒す銃に、時には暗闇を照らすトーチ、そして移動手段となるバイクへと姿を変えてガルシアをサポートする。

主人公の「ガルシア」
相棒の「ジョンソン」
攫われた「ポーラ」
悪魔王の「フレミング」

 これらキャラクター同士の掛け合いが大きな魅力だ。特に冥界独自の仕掛けについて説明するときに「え!? 知らないの!?」とジョンソンが当然のような物言いをするシーンがある。そういった物言いに対しガルシアは「ドアを開けるために逆立ちして世界一周をするってのが当たり前! とか言わねぇよな?」と皮肉を返す。

 ジョンソンの発言はコミカルな雰囲気を、ガルシアの皮肉めいた返事はクールな雰囲気を演出している。こういった絶妙なバランス感がこの世界をより魅力的にしている。そしてこの掛け合いの魅力は、ガルシア役の浅野忠信さん、ジョンソン役の我修院達也さんという好評を博した声優陣の続投によって引き立てられている。

ガルシアとジョンソンの掛け合いがまた魅力的なのだ
2人で絵本を読み進めるシーンもある。物語に対する反応が面白い

悪魔だから部位欠損も流血も大丈夫!? ボス悪魔の禍々しさも見て欲しい

 本作の世界観を特徴付ける悪魔たちの描写についても紹介したい。出現する悪魔達はグロテスクな存在だ。雑魚の悪魔はいかにも下っ端悪魔という感じで、動きも単純かつ、それほど体も大きくない。

 だが、林田球氏が手がけたボスキャラクターのデザインは異質かつ禍々しさを感じさせる。このダークな世界観に調和しながらも、芸術的なデザインで強烈な個性を放つ。その禍々しいデザインは、本作の世界観をより一層魅力的なものとしている。

ボスのデザインはグロいだけでなく独特な個性を強く感じる

 そして、遠慮のないゴア表現にも注目して欲しい。「これは悪魔だから問題ない」と言わんばかりに遠慮のない表現が展開される。近距離でショットガンを打ち込めば悪魔はバラバラになるし、腕に弾が当たると腕がちぎれ飛ぶような部位欠損表現もある。さらに、ヘッドショットをすれば頭部が吹き飛ぶし、血の色を変更するような配慮は一切ナシ。首から真っ赤な鮮血を吹き上げる悪魔を見たときは、思わず「これってありなんだ……」と独り言を言ってしまった。

思わず「ありなんだ……」と筆者が呟いてしまった流血シーン

 また、セクシーな表現も遠慮がなく、ランジェリー姿のポーラが登場するシーンが多数入るし、ギリギリな下ネタを連想させる描写なども少なくない。様々な事情に配慮した表現をする昨今のトレンドに逆行するように、配慮を一切行わないその姿勢には、笑ってしまうほどの清々しさを感じた。

“配慮”という2文字を微塵も感じさせない表現には笑ってしまった

「光と闇」を絡めたゲームシステムが本作の奥深さを出す

 ゲームシステム面も見ていこう。本作はTPSを主軸としたアクションゲームだ。ゲーム全体がいくつかのACT(章)に分かれており、雑魚悪魔を倒しながら、冥界を探索していく。そうしてACTを進めて行くと、節目節目にボスが登場し、ボスを倒せばゲームが先に進んでいく。冥界を探索している途中やACTが切り替わるタイミングなどにムービーが挿入され、それらを見ていくことで全体的なストーリーを把握できるといった流れだ。

ゲーム中にキャラクター同士の掛け合いがあったり、ムービーが挟まれてストーリーが進んでいく。決してストレスになるような頻度ではない

 この点だけを見るとシングルプレーヤーモードでストーリーを満喫しながら撃ち合いが楽しめるゲームのように感じられるかもしれない。だが、本作では「光と闇」という2つの要素をコントロールしながら進み、悪魔と戦うユニークな仕組みが組み込まれている。これが本作ならではのゲームプレイを生み出しているのだ。

 まず、本作の舞台となる冥界は明かりに照らされているエリアと、暗闇に包まれているエリアがある。暗闇に包まれているエリアには長時間とどまることができないし、暗闇で包まれている悪魔はそのまま銃で撃ってもダメージを与えられない。

 そのため、暗闇に包まれているエリアではなんらかの形で周りを明るくしなければならない。多くの場合は近くにあるヤギの頭を「ライトショット」で撃つことで発光し、周囲が照らされる。(なぜヤギの頭が発光するかはわからない。ジョンソンに聞くと「そんなことも知らないの?!」と言われてしまうだろう)。

 このようにして周囲を明るくした上で戦う必要があるが、闇で包まれた悪魔はそれだけでは倒せない。なんらかの形で闇を振り払う必要がある。トーチでぶん殴るか、ライトショットを撃ち抜くなど光で攻撃しなければならない。

 戦闘以外にも、闇の中に入ると見えるオブジェクトを撃つことで先に進めるギミックなどもあり、この光と闇という要素が、世界観だけ、戦闘だけに使われているわけではない点も本作のよくできているポイントだと思った。

明かりをつけなければ闇に飲まれてしまう。また、闇に包まれている悪魔はそのままではダメージを与えられない

戦闘はスピーディーで爽快痛快。雑魚悪魔を粉砕しよう

 そして、戦闘の多くを占める銃撃戦は非常にテンポが良く爽快なものとなっている。敵の耐久力が高すぎず、かつ弾薬も十分に配置されているため、ストレスなく銃撃戦を楽しめた。武器にはハンドガン的な「ボナー」、ショットガンのような「モノカッショナー」が用意されており、ゲームが進むとマシンガン風の「ティザー」が解放される。

ゲームを進めて行くと「ティザー」という武器が解放される

 個人的には雑魚悪魔ならほぼ1発で倒せる「モノカッショナー」がお気に入りだ。一方で装弾数が1発のみとなっており、撃つ度にリロードが入ってしまう。高い威力とのトレードオフというわけだ。逆に、「ボナー」であれば装弾数もある程度あるので、数発のミスショット程度ならカバーできるし、連射速度もあるので当てやすさはある。その分威力は控えめというわけだ。

 それぞれの武器に特徴があるので状況に応じて使い分けるのが良いというのはもちろんなのだが、本作には武器のアップグレード要素もあり、ゲームを進めていく途中で手に入る「アカダマ」というアイテムを使えば各要素を強化できる。

 例えば装弾数を増やしたり、リロード速度を上げたり、もしくはガルシアの体力の最大値を上げることもできる。好みのバトルスタイルにあわせて強化していくのが良いだろう。

武器や体力のアップグレードが可能だ

 また、回復要素にも本作らしい特徴が見られる。回復アイテムには日本酒など、どう見てもアルコール飲料にしか見えない「エナジースープ」というアイテムを使う。ガルシアが酒のような飲み物を一気に飲み干す姿は、パンクロッカーがライブ中にお酒を飲み干しているような姿に見えて痛快だ。

自動販売機に乱暴に手を突っ込んで回復アイテムを購入する。一気飲みする様子はパンクロッカーのパフォーマンスのようだ

60FPSは超快適。強くてニューゲームや、新コスチュームも楽しいぞ

 そして、今回のリマスター版では60fps/4K表示に対応しており(※Nintendo Switch版は30fps、4K表示はPS5/Xbox Series X/Steam版のみ対応)、よりリッチなグラフィックス、よりスムーズな操作感でゲームを楽しめる。

 筆者は今回Steam版でプレイしたのだが、60FPSに対応しているため滑らかで快適に感じた。全体的にスピード感があるゲームになっているため、60FPSに対応することの快適さはプレイ経験を大きく向上させている。

 また、リマスターにあわせてガルシアのコスチュームを4種類から選べるようになっていたり、武器やアップグレードを引き継いで新たにゲームをプレイできる「強くてニューゲーム」なども搭載されている。これらの要素により、原作を満喫しきったプレーヤーも、本作を再び楽しめるだろう。

4K/60FPSの表現力はさすがだ
コスチュームが4種類から選択できるようになっている

 プレイして感じたのは閉塞的な現状をショットガンで吹き飛ばすようなカタルシスを感じさせる作品ということだ。特に昨今のゲーム業界は様々な事情で、過度な暴力表現を抑えているタイトルも少なくない。

 そんな2024年に、過去作のリマスターとは言え“ゴア表現上等”というメッセージが伝わる作品をプレイできたのは爽快だった。

 ロックでパンクなデーモンハンターであるガルシアを操り、冥界に蠢く悪魔を銃で粉砕していくことを通じて、この閉塞的な社会を吹き飛ばしてみるのはいかがだろうか。

【Shadows of the Damned: Hella Remastered - Release Date Announcement Trailer】