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「ファイナルファンタジーXI: アドゥリンの魔境」先行体験レポート

全ジョブ唯一の“属性吸収”能力を持つ魔導剣士、“羅盤”で戦場を支配する風水士を体験!

2月実施

 株式会社スクウェア・エニックスは、現在開発を進めているプレイステーション 2/Xbox 360/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジーXI: アドゥリンの魔境」のメディア向けの先行体験会を2月に開催した。

 今回の体験会では、拡張ディスクの目玉要素である2種類の新ジョブを体験することができた。その一方で「アドゥリンの魔境」で導入される新エリアや新コンテンツは一切触れることができず、なかなか割り切った体験会だった。過去の拡張ディスクでは、新ジョブの獲得が大きなモチベーションになっていたため、1番最初に見せてしまおうということだろうか。

 体験会の流れは、「FFXI」/「FFXIV」コミュニティーチームの望月一善氏に連れられ、デュナミス-ブブリムと、アビセア-アルテパを舞台に新ジョブを体験するというもの。体験会には、「FFXI」プロデューサーの松井聡彦氏と、バトルプランナーの谷口勝氏も同席し、新ジョブに関する質問に答えてくれた。また両氏には、体験会後にインタビューにも応じて頂いたので、その模様も後ほどたっぷりお届けしたい。

 本稿では、魔導剣士と風水士という「アドゥリンの魔境」で実装される2種類の新ジョブのファーストインプレッションをお届けしたい。レポートに入る前に、ひとつ言い訳をさせていただくと、今回は1ジョブにつき15分程度触っただけなので、「新ジョブを見極めた!」というにはほど遠い感じで、「なるほど、こう戦うのか」というのがかろうじて掴めた程度に過ぎない。各ジョブの詳細なスペックや性能については公式発表やのちの記事をお待ち頂くとして、本稿では触った感触を中心にお届けしていきたい。

今回は新ジョブの試遊会ということで、試遊会場には、バトルプランナー出身のプロデューサー松井聡彦氏と、新ジョブの設計を担当したプランナー谷口勝氏が同席。谷口氏にはかなりスパルタ式で新ジョブの遊び方を教えて頂いた

【西アドゥリン】
体験会では「アドゥリンの魔境」での新たな拠点となる西アドゥリンも少しだけ見ることができた。まだ開発中ということで、NPCもほとんど配置されておらず、中央の広場にウェイポイントが設置されているのが確認できたぐらい。隣には東アドゥリンに繋がっているという。ただ、BGMは実装済みで、大道芸人のショウで賑わっていそうな明るくウキウキする曲調だった

ルーンを駆使して戦いをコントロールする、ナイト以来となる盾ジョブ「魔導剣士」

魔導剣士は両手剣を持って敵に対峙する“受け流す盾”
エンチャントルーンを使ってルーンをためるのが基本アクションとなる
ルーンには属性効果が付与されるため、オートアタックには常に何らかの属性ダメージが載ることになる
両手剣最強の多段WS「レゾルーション」を連発してターゲットを取る。忍者以上に爽快感のある盾ジョブだ

 「魔導剣士」は、ナイト以来となるメーカー公式のタンク(盾役)ということで、ナイト、忍者をプレイしてきた筆者としてはワクワクしながらゲームパッドを握った。

 魔導剣士のレベルは99、サポートジョブは戦士。スキルは両手剣と受け流しがA+を筆頭に、片手剣、片手斧、両手斧、回避などがBクラス。スキルはすべてMAXまで強化された“青字”だった。スペック的には忍者と侍の中間ぐらいという感じだろうか。片手武器はいくつか使えるものの盾は使えないため、両手剣で受け流すというのが基本的な戦い方になる。サポートジョブを忍者にして、片手武器二刀流もありかもしれない。いずれにしても、基本設計は「受け流す盾」となるため、まったくの初心者や受け流しが低いキャラクターでプレイするのは茨の道になりそうだ。

 MPを持っているが、使える魔法は神聖魔法と強化魔法のみと割り切った設定になっており、シェル5、プロテス4、リジェネ4、リフレシュ、フラッシュ、ストンスキン、ブリンクなどが使用でき、強化魔法についてはナイトより得意という位置づけ。ただし、肝心の回復魔法が使えないため、基本的に味方の支援を必要とするジョブだ。

 とりあえず、挑発とウォークライでターゲットを取りながら、両手剣待望の多段WS“レゾルーション”を連打するという、往年の両手剣ナイト風の戦い方をしていたところ、谷口氏に「魔導剣士は、“ルーン”を使って戦うんです」とたしなめられた。

 魔導剣士の魔導剣士たるゆえんは、専用アビリティ「エンチャントルーン」にある。エンチャントルーンは、「FFXI」お馴染みの8属性、8種類が存在し、10秒に1度、からくり士のマニューバのように、アビリティを使って“ルーン”を増やしていく。ルーンは3つまでためることができ、属性の組み合わせは自由。ルーンの数が多いほど、後述するルーンを消費して繰り出す専用アビリティ「ワード」、「エフューズ」の効果が上がる仕組みになっている。

 エンチャントルーンは、マニューバのようにオーバーロードしたりしないので、キッチリ10秒に1度使ってルーンをため続ける形になる。と考えると、実はかなり忙しいジョブで、サポートジョブには、物理防御の底上げが期待できるナイトや、空蝉が魅力的な忍者を選びたくなるところだが、10秒に1度エンチャントルーン、30秒に1度ワードorエフューズ、その他アビリティ&強化魔法&WS、と考えると、魔法詠唱が必須のサポートジョブは相性があまり良くなさそうだ。

 付与したルーンは、属性に応じて、それ自体が効果を持っている。たとえば「エンチャントルーン:ルックス」なら、闇属性に対する耐性がアップし、オートアタックに光属性の追加ダメージを与えるといった具合。このため、常に敵の属性を意識しながら戦うとより効果的だ。

 ためたルーンを消費して繰り出す技が、魔導剣士専用アビリティの「ワード」と「エフューズ」だ。ワードは、ルーンの力を防御の力に変換するアビリティで、属性ダメージを軽減したり、状態異常のレジスト率を向上させたりできる。エフューズは、ワードと反対に攻撃の力に変換するアビリティで、属性攻撃の属性ダメージを増加させたり、ダイレクトに属性ダメージを与えたりする。

 数バトル体験した限りでは、与ダメージという形で反映されるエフューズのほうが使い勝手が良さそうな感じだったが、松井氏によれば、モンスターの属性を把握して効果的にワードを使うことで、敵の攻撃を一方的にシャットアウトできるという。かなり奥の深そうなジョブだ。

 即時発動型のアビリティは、5分に1度使える「ソードプレイ」。効果は「使用後、徐々に回避率、命中率がアップする」というもの、その代わりクリティカルダメージを受けると効果がリセットされる。専用魔法には特殊攻撃の回避率がアップするという「フォイル」。フラッシュと併用して使うことで、かなりの効果が期待できそうだ。いずれもリキャストの度に使うタイプの技で、トータルでの設計的には、受け流す盾というよりは、避けて受け流す盾という感じだ。

 徐々に魔導剣士のバトルに慣れてきて、デュナミス-ブブリムの“楽”や“ちょうど”の鳥や亀では物足りないということで、次にアビセア-アルテパのオルトロスに挑んでみた。「オルトロスは火属性が強いので水属性のルーンがオススメですよ」と谷口さんがネタばらしをしてくれた。

 そこで望月氏のキャラ“Mocchi”がトリガーを置いてオルトロスをポップさせるのを待つ間、侍の黙想のように、ひたすらエンチャントルーンを発動してルーンをため込んでバトルに備えていたのだが、いざ戦闘が始まってみたら、ターゲットを維持するのと、レゾルーションを撃つのに忙しくて、ルーンをためるのをついつい忘れがちになってしまった。盾役を担いながら、属性をコントロールし、さらに一定のダメージソースになるというのはかなり忙しい。ただ、慣れてくれば、爆発的におもしろいジョブだとも思った。

 敵はアビセアのNMオルトロスということで、なかなか避けず、受け流さず、ガリガリHPが削られてピンチという状態だったので、何かないかとアビリティコマンドを覗いてみたら、「リエモン」というアビリティを発見。この効果はなんと、属性ダメージを丸ごと吸収するというもの。実際使ってみたところ、高位ファイガのダメージを丸ごと吸収し、HPを満タンにすることができた。2時間に1度使えるSPアビリティ「E. スフォルツォ」は、30秒間属性ダメージを無効化するという、ナイトのインビンシブルの属性版。魔法戦や、属性攻撃の多い敵には、圧倒的なカウンター性能を持つジョブだ。

 ちなみに「リエモン」はレベル90で覚えるアビリティで、サポートジョブでは使えないため、魔導剣士オンリーワンの能力と言うことになる。ただし、サポートジョブでもルーンは2つまでためられ、それなりのワードやエフューズも使えるということで、谷口氏によればサポ魔導剣士の選択肢は「あり」だという。ひとまず前衛ジョブを使っている人は取得してレベルを上げたいところだ。

 魔導剣士は、トリッキーで忙しく、覚えることも多い難易度の高いジョブだが、極めれば最高に楽しいジョブという印象を持った。またメーカー公認の盾ということで、タンク一筋で、最近は盾の仕事が減ってモチベーションを失いがちの冒険者にとっても楽しいジョブになるだろう。

【魔導剣士】

実はペットジョブ!? それとも後衛版暗黒騎士!? 羅盤コントロールが楽しい支援特化ジョブ「風水士」

風水鈴を持つ手をくねらせる独特のモーションで風水魔法を唱える風水士
インデ系の風水魔法を使っているところ。自分を中心に球状のフィールドが展開される
羅盤を呼び出してジオ系の風水魔法を使っているところ
インデ系、ジオ系の両方を使ったところ
MPを持つため、精霊魔法を軸としたキャスターとしての活躍も可能

 「風水士」は、羅盤を出し入れして、自然の力を引き出す支援特化型のジョブ。羅盤をコントロールするという要素がいかにもペットジョブ的であり、獣使い、からくり士使いの筆者としてはまたしてもワクワクしながらゲームパッドを握った。

 デモ機の風水士のレベルは99、サポートジョブは白魔道士。スキルは風水魔法がCで、精霊魔法がB、武器は片手棍、両手棍がBランクと、すっきりシンプルなスキル構成のジョブだ。HPは黒魔道士以下、召喚士以上、MPは黒魔道士以上、召喚士以下と、スペック的には完全に後衛で、専用武器の風水鈴は吟遊詩人の楽器のような扱いとなる。

 サポートジョブは、豊富なMPを持つ後衛能力をブーストするために、白、黒、赤、召喚、学者あたりが有望だろうか。メインのダメージソースは精霊魔法になるということで、精霊を撃つなら黒。詩人のように前陣後陣を駆け回って支援に特化するなら、多少範囲攻撃に巻き込まれることも想定して白か赤ということになるだろうか。

 体験会では、とりあえず後衛ということで、敵から離れてインデ系の風水魔法インデリジェネを使ったところ、自分を中心に一定範囲しかリジェネ効果が発動せず、まったく意味がなかった。インデ系の使い方がわかったところでインデリジェネからインデリフレシュに切り替えて、MPをぐんぐん回復させながらIV系まで使える精霊魔法を連打しようとしたところ、谷口氏に「風水士は、ジオコルアを使ってナンボです」とたしなめられた。

 風水士のユニークな点は、「羅盤」と呼ばれる風水魔法の触媒をフィールド上に呼び出し、そこに敵味方を引き込むことで、敵や味方にレジスト不可の特殊な効果をもたらすことができるところだ。効果には味方に対しては攻撃力アップ、魔法命中率アップなどがあり、敵に対しては毒の効果や回避率ダウン、魔法防御力ダウンなどがあり、これら「羅盤」を介して使う風水魔法をジオ系と呼ぶ。ジオ系は、同時に1つしか使えず、上書きもできない。切り替えるには1度羅盤を戻して、呼び出し直す必要がある。この辺は、召喚獣のような仕様だ。

 ジオ系に対して、自分を中心に効果を発揮するのが先ほど使用したインデ系で、こちらも同時に1つしか使用できないが、こちらは上書きが可能。こちらも味方を支援し、敵を弱体化させる風水魔法が多い。

 ジオ系がメインで、インデ系がサブというわけでもなく、両方を組み合わせることで相乗効果を発揮する仕様になっており、たとえば、ジオ系のジオフューリーを使って味方の攻撃力を上げ、インデ系のインデフレイルで敵の防御力を下げることで効果を最大化するといった感じだ。

 「羅盤」がおもしろいのは羅盤自身がHPを持っており、呼び出し直後から徐々にHPが減っていく仕様になっているところだ。これが実質的にジオ系風水魔法の効果時間になっており、風水士にとっては「羅盤」をしっかり守って、効果を維持するのが重要な戦術になってくる。

 もっとも、「羅盤」はペットジョブのペットのように、直接攻撃を仕掛けられることはないということだが、範囲攻撃や範囲魔法でダメージを受けてしまう。風水士のアビリティには、自らのHPを犠牲にして羅盤のHPを回復させたり、羅盤のHPを最初から半分にする代わりに効果を1.5倍にするものなどがあり、自らのHPを削りながら羅盤を守り、結果として味方を支援する様は、暗黒騎士的な雰囲気もある。

 ちなみに、羅盤は引っ込める代わりに、羅盤そのものを自爆させて敵にHP依存ダメージを与えることも可能。アビリティで自分のHPを分け与えてから自爆させるというテクニックが当たり前になりそうで、この点でも暗黒騎士的だ。

 風水魔法は、風水魔法のフィールドに入れてさえしまえば、レジストされずにほぼ確実に効果を発揮することができるところが最大の特徴となる。羅盤は移動できないため、基本的には羅盤のある位置に敵を引き込んで戦う形になるが、10秒に1度呼び出せるため、移動しながら狩ることも十分可能。

 風水魔法の効果はスキル依存で、リジェネ、リフレシュに関しては、スキルを磨けば白や赤に匹敵する回復量になるという。風水魔法は、既存魔法とは別枠になるため、MPがあまり気味のパーティーでは別のことをやるという動き方をしてほしいということだ。

 ちなみに精霊魔法は“自分”を中心とした範囲魔法“ラ系”を使うことができる。スペック的に後衛で、HPを削って羅盤を守りながら戦うジョブということで、ラ系の精霊魔法を有効に使える機会はあまり多くはなさそうだが、こちらも魔導剣士に負けず劣らずテクニカルなジョブで、詩人やコルセアなど支援ジョブユーザーに対する開発側からの挑戦状となりそうだ。

【風水士】
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(中村聖司)