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【特別企画】スクリーンからバットマンが飛び出てきた!?

ホットトイズのムービーマスターピースはどれだけスゴイのか!?

「『ダークナイト ライジング』 1/6スケールフィギュア バットマン」

2012年10月発売

 

価格:28,000円

 

 月1ペースでお届けしているホビー特別企画。今回取り上げたいのはホットトイズ・ジャパンの「【ムービー・マスターピース DX】『ダークナイト ライジング』 1/6スケールフィギュア バットマン」である。

 ホットトイズは2000年に誕生した香港のフィギュアメーカーで、各国の軍隊に所属する兵士のフィギュアや、「スター・ウォーズ」のアクションフィギュアなどを発売するメーカーとしてスタートした。現在では特に映画のキャラクターをそのままアクションフィギュアにしたような「ムービー・マスターピース」の評価が高く、日本を含む世界中でファンを獲得している。

 当然筆者もよく知っていて、いつかホットトイズの「ムービー・マスターピース」が欲しいと思っていた。しかしクオリティが高いだけに価格も高く、あこがれつつも踏み込めなかった。今回、どうしてもホットトイズのアクションフィギュアを紹介したいと思い、初めて購入したのだ。今年は久々の「バットマン」シリーズ最新作となる「バットマン:アーカム・ビギンズ」が12月に発売されることもあり、筆者の中でバットマン熱が高まっているのだ。

 いざ手に取ってみると、その完成度、ふんだんに盛り込まれたギミック、開発者のこだわりを感じ、背筋がぞくぞくするような喜びを覚えた。映画のスーツを再現し映画の楽しさを何倍にもさせてくれる。そして「ヒーローにあこがれる気持ち」を再確認させてくれるアイテムである。フィギュアの魅力に加え、これだけのフィギュアが生まれたことへの喜びを語っていきたいと思う。

緻密に作られたスーツの質感が生み出す、“本物感”。バットマンフィギュアの決定版

スーツの質感に圧倒される。映画の撮影用のスーツを間近に見ているような感じだ
マスクをかぶるときの目の周りの塗装や、独特の表情を生むマスク、硬質なアーマーと、それをつなぐ軟質部分、メッシュの下地などチェックするほど楽しい
マントを外して背部のアーマーを見る。首の付け根部分なども実際に人が着ているかのようだ

 今回取り上げる「【ムービー・マスターピース DX】『ダークナイト ライジング』 1/6スケールフィギュア バットマン(以下、「ムービー・マスターピース バットマン」)」はクリストファー・ノーラン監督の映画「ダークナイト ライジング」に登場するバットマンをモチーフとしている。「ダークナイト ライジング」はクリスチャン・ベールが主役を務め、ノーラン監督が手がけた「ダークナイト トリロジー」の第3作目であり、完結編となっている。

 フィギュアそのものの魅力を語る前に、映画「ダークナイト トリロジー」のバットマンのスーツの特徴を語っておきたい。バットマンはスーパーマンやスパイダーマンと違い、“特殊能力”を持たないヒーローである。バットマンの正体は大富豪のブルース・ウェイン。彼はウェイン財団を受け継ぐ莫大な財産を持っており、鍛え上げた肉体と各国を巡って習得した武術、その有り余る富を注ぎ込んだ特殊装備でゴッサムシティにはびこる悪に立ち向かう。

 バットマンのスーツはコウモリをモチーフにしており、マントを拡げると巨大なコウモリそのままに見える。バットマンは夜、闇に紛れて活動し、犯罪者達にをたたきのめしていく。スーツのデザインは見る者に恐怖心を与える“威嚇”の要素が強い。デザインだけでなく実用性も高く、スーツの材質は堅牢さとしなやかさを持つ特殊な材質でできている。スーツは筋肉の形を強調した鎧のように見えるが、バットマンの激しいアクションを全く妨げない。

 スーツは暗視装置や通信装置など様々なメカが仕込まれていて、マントは拡げることで滑空が可能だ。そしてワイヤーを打ち出しバットマンの体を高いところまで運ぶ「グラップネル・ガン」。多目的ブーメラン「バットラング」。他にも煙幕弾や閃光弾など様々な道具を持っている。これらは腰の「ユーティリティベルト」に収納されており、バットマンは用途に応じて使いこなしていく。

 バットマンのスーツはコミックやアニメ、映画などでデザインや機能が大きく異なる。「ダークナイト トリロジー」ではウェイン産業が「前衛部隊用のサバイバルスーツ」として開発していたが、コストがかかりすぎるためにお蔵入りになったスーツを改造して使っているという設定だ。2作目の「ダークナイト」で素材を変え、硬化ケブラー製の防具にチタン繊維で柔軟性を持たせたものになった。

 この2作目のバットスーツでは従来のデザインと大きく異なる点がある。これまでは肩と頭が一体化したデザインが“伝統”だったが、新スーツは頭部部分が独立している。これにより首の自由度が大きく広がった。3作目の「ダークナイト ライジング」のスーツも首の可動を優先したデザインを引き継いでいる。

 映画製作スタッフはスーツのデザインに関して、「威嚇と機能性を感じさせるものにする」、「ただ者ではないと思わせる」ということを心がけたという。また、工業製品ではなく「手作り感」もデザインに盛り込んでいる。実際、映画内でウェイン自らがスーツに黒の塗装を施しているシーンもある。

 1作目の「バットマン ビギンズ」ではスーツを作っていることがバレないようにアジア各国に部品を発注し、組み立てを秘密基地「バットケイブ」で行なうといった描写もあった。「ダークナイト トリロジー」のスーツは、現実の技術の延長にある技術で生み出された、現代でも作れそうな雰囲気を持ったものとなっている。

 それではいよいよ本題の「ムービー・マスターピース バットマン」に触れていきたい。「ムービー・マスターピース バットマン」は「ダークナイト トリロジー」で進化していった最新バージョンのスーツをまとったバットマンを再現している。ホットトイズのフィギュアそのものも、「バットマン ビギンズ」版、「ダークナイト」版を経てのものであり、これまでのノウハウをつぎ込んだ“決定版”とも言えるアクションフィギュアとなっている。

 このフィギュアのスケールは1/6、高さ約32cm。かなり大きなアクションフィギュアである。可動骨格をスーツに包んでいて、外からは間接は見えない。スーツは硬質なアーマー部分がプラスチック、柔らかい部分が軟質プラスチックで作られており、下地はメッシュの布製となっている。造形は非常に細かく、すさまじい情報量だ。実際の撮影に使われたスーツもこうなんだろうと確信させる“リアルさ”がこのフィギュアにはある。

 立たせてみるだけで、映画のバットマンが実際に目の前に表れたような存在感がある。映画の小道具を見ている気持ちと、映画の中のバットマンが立っていてそれを前にしているような気持ちの2つが自分の中でわき上がってくるのだ。この存在感はフィギュアの持つ“高級感”も大きく影響をしている。

 様々な素材によって劇中のバットマンをここまでリアルに再現した商品は現時点でこれが最高だ。「すごいものを手に入れてしまった」という高揚感が、フィギュアを前にしてわき上がってくる。手に持って、動かしていると思わず笑みが浮かんでしまう。立たせて、いろんな角度から見ているとどんどん自分の笑みが大きくなっているのがわかる。この気持ちは、お気に入りのアイテムを手に入れた全ての人が感じるものだろう。「ムービー・マスターピース バットマン」はその“手に入れたうれしさ”を強く感じさせるアイテムなのだ。

【ムービー・マスターピース バットマン】
スーツのアップ。こういった服を着るタイプのフィギュアの場合、スーツの“厚さ”はスケールダウンがしにくく、作りが荒くなる場合が多いが、このフィギュアのスーツは精密で破綻がない。その細かさと素材の処理に感心させられる
マントは外と内側で質感が異なる。この長いマントがバットマンらしさだ
フィギュアのケースにはバットマンのマークが描かれている。ベルトを装着していないバットマンのスーツは黒1色だ。筆者はこのことをフィギュアを入手してはじめて知った。映画ではバットマンのスーツの全身を細かく見るというシーンはない。フィギュアのおかげでとても細かいところまで確認できるのが楽しい。

(勝田哲也)