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「FFXIV」のオーケストラコンサート「Eorzean Symphony」が3年ぶりに開催

エルピスの花が咲き乱れた会場からイベントの様子をレポート

【FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-】

12月17日、18日開催

会場:東京ガーデンシアター

  「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」内で使用されている楽曲をフルオーケストラで演奏するコンサート、「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」が、12月17日、18日に東京ガーデンシアターで開催された。

 2019年に第2回公演が開催された後、新型コロナウイルス感染症のために長らく開催できずにいたが、今回約3年ぶりに開催にこぎつけた。演奏は、前回、前々回と同様東京フィルハーモニー交響楽団。指揮者の栗田博文氏も3度目となる登板だ。コンサートのために、「Tomorrow and Tomorrow」(漆黒のヴィランズ)でボーカルを務めたAmanda Achenさん(以下、アマンダさん)と、「Shadowbringers」(漆黒のヴィランズ)を歌っているJason Charles Millerさん(以下、ジェイソンさん)もアメリカから来日して舞台に参加した。

 東京ガーデンシアターは定員8,000人の巨大なホールだが、全4回の公演はすべて抽選のプラチナチケットとなった。当日は、鞄に自分のプレイしているロールのバッヂをつけている人や、「The Primals」のグッズを持った人、以前に開催された伊勢丹とのコラボで販売されたアクセサリーや、ヴァレンティオンタイツを身に着けている人など、みな「FFXIV」好きを全身でアピールして、有明ガーデンに集まった。会場横にある有明ガーデンの5階レストランフロアでは、館内BGMとして「FFXIV」の曲が流れており、コンサートが始まる前から気持ちを盛り上げてくれる。

【東京ガーデンシアター】

 会場を入ったところには、記念撮影用のスポットの横に、関係者やファンから贈られた花が並んでいた。このコンサートの立役者ともいえるサウンドディレクターの祖堅正慶氏へ、女性ファン「正慶の女一同」から贈られた花はもはやこのイベントの風物詩だが、今回はそれ以外にも、「創造物管理局員一同」から贈られた仮面付きの花、「自称エメトセルクの女一同」や「クリスタリウムの民一同」、「アゼムのクリスタルを持つ者達一同」など、ゲーム内の小ネタがデザインに反映された力作の花が多く並んでフォトスポットになっていた。

【贈られた花】

 多くの人が、チケットに付属したものや会場外の物販コーナーで購入した「フラワーライト<エルピスの花>」を持参していた。今回、配送時のトラブルで葉っぱ部分が折れてしまう事件が多発したため、会場内には交換コーナーが設けられていた。このエルピスの花型ライトは、事前に今回のコンサートに持参して欲しいとメッセージがあり、ステージの特別な演出に使用された。

 筆者は幸運にも、土曜日の夜公演を見る機会を得た。このレポートでは、初日夜公演の様子をレポートしたい。なお、このコンサートは「暁月のフィナーレ」をクリアしていることが前提になっており、多くのネタバレを含んでいるので、まだプレイ中の方は気を付けて欲しい。

「FF」35周年の夜に、アンコールを含めた21曲を演奏

 ちょうど「FF」35周年と重なったこともあり、開演前の注意事項を告げるアナウンスは、祖堅氏が語尾に「クポ」を付けつつ行なった。たまに「これどう読むんだっけ? てゆび?」と素に戻ると会場からクスクス笑いが漏れていた。

 コンサートは約3時間。休憩をはさんだ2部構成になっており、第1部が「新生/蒼天/紅蓮編」、第2部が「漆黒/暁月編」とこれまでの冒険を追っていく流れで、全21曲が演奏された。セットリストは以下の通り。

【第一部 新生/蒼天/紅蓮編】
天より降りし力
希望の都
静穏の森
究極幻想
Dragonsong
Heavensward
英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
鬨の声
塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~
空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~

【第二部 漆黒/暁月編】
Shadowbringers
To the Edge
砕けぬ想い ~ハーデス討滅戦~
Tomorrow and Tomorrow
迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~
Your Answer ~ハイデリン討滅戦~
Close in the Distance
Flow
ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~

【アンコール】
そして世界へ
終焉の戦い

「新生」編では思いのこもった2曲で冒険を開始する

 コンサートの幕開けを飾った「天より降りし力」は、「新生エオルゼア」発売前の2012年9月に、初めての実機プレイトレーラーとして公開された「FINAL FANTASY XIV “Limit Break!”トレーラー」のBGMとして使用された曲。実はクリスタルのテーマを下敷きに作られているという裏話のある、まさに冒険のスタートにふさわしい記念の曲といえる。その後も様々なバトルシーンで使われており、「FFXIV」を代表する一曲でもある。

 2曲目は、ウルダハの昼に流れるBGMで、PLLのオープニングやステージイベントの出囃子としてもおなじみの「希望の都」。過去のオーケストラコンサートでは、スタートを飾ったこともある。こちらは「新生エオルゼア」として「FFXIV」を再開発する際、冒険の幕開けにふさわしい曲として作られた曲・金管楽器の華々しいファンファーレで始まる雄大さを感じさせる曲が、若かりし光の戦士が新参者の冒険者としてウルダハにたどり着いたシーンをバックに演奏された。

 2曲目が終了したところで、プロデューサー兼ディレクター兼司会進行の吉田直樹氏が祖堅氏とともに登場した。吉田氏のMCでコンサートが初めての人が手を挙げていたが、半分近い人が手を挙げていたように見えた。リピーターが少ないのは、それだけ新規の人が多く入っており、なおかつチケット取得が激戦だったということだろう。その後、今度は会場の人たちのメインロールを聞き、「タンクは一番最初に拍手を初めて最後まで手をたたいてください」、「DPSは火力を出すのが仕事。腕がもげるくらいに拍手してください」、「ヒーラーは感極まって泣き崩れた人を回復してあげてください」とそれぞれに役割を振りつつ場を和ませた。

「究極幻想」は、アルテマウエポンを思わせる赤い照明の中で演奏された

アマンダさんが歌い上げる特別編成の「Dragonsong」

 「蒼天のイシュガルド」編では、植松伸夫氏による美しい旋律のテーマソング「Dragonsong」と、シネマティックトレーラーに使われたドラマティックで勇壮な曲「Heavensward」が連続で演奏された。「Dragonsong」は演奏前に、「いつもとは違うDragonsongです」と祖堅氏が紹介。当初はカルテットのはずが、途中からヴァイオリンが多重に流れ、弦楽器のしっとりした響きに合わせてアマンダさんが朗々と歌い上げた。「Heavensward」は、ソプラノソロから始まり、オーケストラとテノールの歌声が激闘を予感させた。

オーケストラを背に、アマンダさんが美しい歌声を響かせた

 「蒼天のイシュガルド」最後の曲「英傑」は、レイド並みに難しい極蛮神として光の戦士たちを苦しめたナイツ・オブ・ラウンド戦の後半にかかるバトルBGM。楽曲の背後に流れる映像も、その戦いをなぞる構成になっており、2人のタンクが反対側で受ける「ホーリーブレードダンス」や中央待機からの散会、終盤に次々に繰り出される「ナイツ・オブ・ラウンド」の攻撃など、当時リアルタイムに苦戦した人たちが忘れられない光景が流れていた。

人気の「鬨の声」は定番。アルファとオメガの物語を音楽に乗せた「紅蓮編」

 「紅蓮編」は数少ないインスタンスダンジョンBGMからエントリーした「鬨の声」、吉田氏が思い入れが強い曲だと紹介した「塩と苦難の歌」、8人レイド「次元の狭間オメガ:アルファ編」のバトル後半曲「空より現れし者」 の3曲。「鬨の声」は「紅蓮」のテーマ曲をアレンジした戦闘曲で、キリリとした緊張感と声楽による盛り上がりが交互にやってくる名曲。オーケストラ版ではかなりアレンジされており、逞しさを感じる管楽器の音が非常に印象的だった。

 「紅蓮のリベレーター」の最終盤に訪れるギラバニア湖畔地帯の昼BGM「塩と苦難の道」は、それまで属国として耐えてきたアラミゴを開放する最後の戦いに臨む、その瞬間を音として表現したような抑えた中に激しさを内包するような重厚さを持つ。タイトルの「塩と苦難の道」とは、この地域に暮らす人たちの生活に係るものでもあり、その苦難の物語は、その後のパッチでサブクエストとして体験することができる。

アルファとともに、あの激闘を振り返った

 「空より現れし者」は、「次元の狭間オメガ零式:アルファ編4層」のラスボス曲。男女に分かれても光の戦士に勝てなかったオメガが、ついにバグって襲ってくるという、最後の決戦曲だ。流れる映像は、チョコボのアルファの旅路と、戦闘を交互に映すことで、オメガとの戦闘だけでなくストーリー的にも評価の高い「次元の狭間オメガ」を追体験するような構成。オメガとの戦いではちゃんとABCのマーカーもセットされており、何度もやり直した「エンバグ」や、激ムズギミック「ハロー・ワールド」の苦難を思い出させた。

ジェイソンさんの渋い歌声をついに生で聴けた「漆黒編」

 休憩後は「漆黒のヴィランズ」の2曲「Shadowbringers」と「To the Edge」をジェイソンさんが歌った。「Shadowbringers」は、ファンフェスで発表されたシネマティックトレーラーのBGM。「FFXIV」では初めてのロック調の主題歌。事前の情報公開が少なかった「漆黒のヴィランズ」はフルトレーラーでもまだまだ謎めいた部分が多く、低く声を抑えた謳い方もそんなミステリアスな雰囲気にマッチしていた。「To the Edge」は、「ウォーリア・オブ・ライト」戦のBGM。「Shadowbringers」とは対照的に情緒を込めて歌い上げる曲。「漆黒のヴィランズ」の最後の戦いにふさわしい、寂寥感や哀愁を感じる曲だ。

念願の来日を果たしたジェイソンさん

 ジェイソンさんは、「暁月のフィナーレ」のデジタルファンフェスでは現地からの映像でライブに参加しており、来日するのは今回が初めて。満席のファンを前に「皆さんからの愛をすごく感じます。FFXIVのコミュニティは世界でベストだと思っています」と挨拶した。ジェイソンさんは「The Primals」のライブ時にも入国規制で来日できず、その時には吉田氏に「貨物船なら荷物に紛れて3カ月くらいで日本に着くと思うので、何とかならないか」と問い合わせていたという。「ならないよ!」と答えましたと吉田氏。ファン側も、ついに生で「Shadowbringers」の低音ボイスを聞くことができたことは感無量だ。

ジェイソンさんの渋い歌声が、「漆黒」の2大名曲で炸裂した

 「砕けぬ想い」は、「ハーデス討滅戦」の戦闘後半BGM。「漆黒のヴィランズ」の最終戦であり、幻想の終末世界で雌雄を決するにふさわしい盛り上がりのある曲。「Tomorrow and Tomorrow」は、「漆黒のヴィランズ」発売から約半年後に公開された、物語を振り返る5分超のミュージックビデオのために作られた曲。アマンダさんの澄んだ歌声と、ピアノのノスタルジックな曲とともに、「漆黒のヴィランズ」を綴った多くのキャラクターの生きざまを短いカットシーンでつなぎながら、物語を追想する。

 歌唱後、アマンダさんも「このコミュニティに迎えられて感謝している」と会場のファンにメッセージを寄せた。もともとはロサンゼルスでのリハーサルで歌っていたが、祖堅氏がその歌声に一目ぼれし、すぐに連絡を取った。アマンダさんは祖堅氏から名刺をもらった時、いいパフォーマンスができたことにとても感激したのだそうだ。アマンダさんも日本は初めてで、コンサートが終わったら色々見てみたいと語っていた。

祖堅氏のオタマトーンがラヴィリンソスで炸裂した「暁月編」

 「暁月のフィナーレ」からはセットリストには4曲が掲載されているが、実はおまけがあった。「暁月のフィナーレ」冒頭にかかったのは「ラヴィリンソス」の昼にかかる「迷宮」。そう曲名を発表した吉田氏が見当たらない祖堅氏を探しつつ上手に消えると、下手から大きなファットキャットクッションの段ボールを抱えた祖堅氏が登場。観客が見守る中、祖堅氏とスタッフと、なぜか指揮者の栗田氏まで一緒に段ボールを床にガムテープで固定。

オタマトーンを手に段ボールを蹴りながら鈴を鳴らす

 祖堅氏は足に鈴、手にはオタマトーンをセットして、段ボールをドラム代わりにオーケストラとともに「迷宮」を演奏した。途中、鈴が取れてしまうハプニングもありつつ、最後まで演奏。逃げるようにはけてしまった祖堅氏の後ろで、またしてもスタッフと栗田氏で段ボールを片付けた。

祖堅氏の癒しキャラがオタマトーンとともに会場に笑いを届けた

 そんなほのぼの演出の後は、うって変わった雰囲気で「ハイデリン討滅戦」の戦闘BGM「Your Answer」が演奏された。「FFXIV」の原点とも言える曲「Answers」のアレンジで、早いテンポと響き渡るドラムがハイデリンの決意を感じさせてくれた。次の曲は「Close in the Distance」。ここで、来場者が持っているエルピスの花が使われた。まずは吉田氏が登場して、ギミックを説明。会場の前から順に花のライトをつけていくことで、「暁月のフィナーレ」をプレイした人なら、だれもがハッと息をのんだであろうシーンを会場に再現させようという。本番では、ムービーで花が咲く直前に演奏が止まり、栗田氏の合図に合わせて光が広がっていき、幻想的なエルピスの花畑が現れた。

栗田氏の合図で、会場にエルピスの花が咲き乱れた

 「ギミックを失敗しても爆発したりしないので気楽にやってください」と笑いを取りつつ、説明を終わると、ジェイソンさんが登場し、ひかりの戦士のこれまでの戦いを振り返るPVとともに、光の戦士を思う仲間たちの思いを歌った。歌の終盤、栗田氏の合図とともに会場に白い光が会場を包んだ。その後はアマンダさんにタッチし、「暁月のフィナーレ」のメインテーマである「Flow」でコンサートは最高潮を迎えた。光の戦士がゼノスとの戦いの後気を失い、再び目を開けるまでに見た夢と思えるような構成の映像では、「暁月のフィナーレ」メインストーリーで追ってきた戦いが描かれた。

ヴェーネスの想いがこもった「Flow」

 最後の曲を前に現れた吉田氏は、「僕が担当するようになって丸12年で、いよいよ新生からは来年で10周年を迎えます。あの時にはこんなにも遠くまで来られるとは思ってなかった。ここまで来ることができたのは皆さんのおかげです」と会場に感謝を述べた。祖堅氏も「いいゲームだから、このコンサートも開催することができた。これからも楽しいゲームといいコミュニティをつなげて、またこんなコンサートをやりたいです」と語った。

 最後の曲は「ゾディアーク討滅戦」の戦闘BGM「ENDCALLER」。ゲーム中盤で登場する曲ではあるが、曲に合わせて、多くのプレーヤーが苦労した「寒夜のこと」クエストや、ファダニエル、ヘルメス、そして終焉を謳うものなど、ここまではあまり登場してこなかったヴィランズたちにスポットを当てる映像とともに演奏された。

「終焉の戦い」はアンコールで登場。エンディングは当然「そして世界へ」

 アンコールでは2曲が演奏された。1曲目は「FF」シリーズのエンディングに多く使用されている「そして世界へ」。この曲は、メインストーリーだけではく、アライアンスレイドやイシュガルド復興、友好部族クエスト、ウェルリト戦記、南方ボズヤ戦線などメインクエスト以外のコンテンツのシーンやキャラクターをつないだ映像でつづられた。「FFXIV」の広大な世界、そこに暮らす多くのキャラクターたちは、短い曲の中ですべてを描き切ることはできない。コンサートが終わった後も続く冒険、そしてこれから待ち受ける新たな冒険への扉を開けるような曲として、アンコールを飾った。

「終焉の戦い」では、これまでのボス戦を映像でも振り返りつつ、最後の戦いに臨んだ

 そして最後の曲は「暁月のフィナーレ」のラスボス曲「終焉の戦い」の前半に流れる戦闘BGM。この曲は神龍戦から始まり、アルテマウエポン、ナイツ・オブ・ラウンド、ハーデスと歴代のボスBGMをつないでいくアレンジ曲になっていた。世界の果てでの最後の戦いを終えて、戦いから帰還してほっとした表情で肩を貸し合う暁のメンバーたちのイラストで、コンサートは幕を閉じた。

激闘から戻ってきて、再び仲間たちと笑い合うことができた

 会場を出ると雨が降っていた。新型コロナ感染症対策はもちろん、日曜には一部で大雪になり、新幹線トラブルで定刻に会場にたどり着けない人が出るなど、リアルイベントは常にトラブルと背中合わせであり、心配ごとは尽きない。それでもファンの要望に応えて、オーケストラコンサートを成功させた主催者に賞賛を送りたい。

 コンサートの後、吉田氏と祖堅氏から感想を得ることができたので、ここで紹介したい。

――コンサート、全4公演を終えての感想をお願いします。

祖堅氏:  Q. コンサート、全4公演終えての感想をお願いします。
『新生エオルゼア』発売からの約9年間、意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れていたかもしれないな、という実感がわきました。こういう興行はいいですね。ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど、日本ではまだ「ゲームなんかやって……」というような風潮があると思います。でも、僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて、自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。

 今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし、そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。あと、自分で言っちゃいけないかもしれませんが、自分たちが作った「ファイナルファンタジーXIV」はいいゲームなんじゃないか、という気がしました。(笑)

  もちろん、いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが、改めてこうしてお客さんと対面できて、同じ空間を共有して、音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで、光の戦士たちが心を動かして、感動して、泣いている姿を見て、「FFXIVのサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。

吉田氏:  まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらったのですが、時間には限りがあるので MC の時間を延ばせないと厳密に言われていました。一方で、オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので、そこを「いつもの FFXIV、いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて、思い思い楽しめばいいんだよ」というところに繋げられるようにしたい。僕は司会業が本業ではないし、そこが難しいところで…… 終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

――久々の有観客でのオーケストラコンサートでしたが、いかがでしたか?

吉田氏:  各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して、来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして、変な話、お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを、「新生エオルゼア」から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし、これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。

ーー観客のリアクションは、どこからか見ていたのですか?

祖堅氏:  公演が始まったら、最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱、指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが、その後にはダッシュで PA ブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は 4 階層あったので、演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして、どこをどう調整したいかを逐次、PA さんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。そのお客さんの顔が、早くも 2 曲目から…… 1 曲目はお客さんを見る余裕もないですが、2 曲目から感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると、心を動かせたのかな、という気持ちになりました。

 仕事として頑張るのは当たり前ですが、「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に、今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったので、これをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲームになるんじゃないかなと思いつつ、精進するしかないですね(笑) これからも、いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!