ニュース
SteelSeries、ハイエンドヘッドセット「Arctis Nova Pro」とキーボード「Apex Pro Mini」をお披露目
プロチーム「REJECT」と「FOR7」の選手も絶賛のフラッグシップ
2022年7月28日 15:37
- 【Arctis Nova Pro】
- 発売日:8月5日
- 参考価格:38,470円
- 【Arctis Nova Pro Wireless】
- 発売日:9月2日
- 参考価格:56,070円
- 【Apex Pro Mini】
- 発売日:8月5日
- 参考価格:32,420円
- 【Apex Pro Mini Wireless】
- 発売日:9月2日
- 参考価格:43,090円
7月26日、スティールシリーズジャパンは、ゲーミングヘッドセットとゲーミングキーボードの新製品発表会を開催した。発表会では、新製品のプレゼンテーションやプロゲーマーによるデモプレイなどが行われたので、その様子をレポートする。
SteelSeriesは、ワールドワイドで人気のあるゲーミングデバイスメーカーであり、ヘッドセット、マウス、キーボード、コントローラー、マウスパッドなど数多くの製品をリリースしている。同社の製品を愛用するプロゲーマーも多い。
APACでも多くのプロチームがSteelSeries製品を採用
本イベントでは、SteelSeriesのCEO エティシャン・ラバーニ氏、SteelSeries VPのディクソン・リー氏が登壇。ゲーミングデバイス3大ブランドの1つに数えられるSteelSeriesのポリシーやこれまでの革命的な歴史について語った。
同社は長らくハードウェア開発に注力してきたが、近年ソフトウェア開発にも本腰を入れる。2021年にリリースした統合ソフトウェア「SteelSeries GG」は、世界初のゲーム向けパラメトリックイコライザー「Sonar」を中心に数々の機能を備え、好評を得ているという。
アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した「Arctis Nova Pro Wireless」
スティールシリーズジャパン カントリーマネージャー 石井靖人氏が登壇し、新製品の特徴について解説した。
まずはゲーミングヘッドセット「Arctis Nova Pro」と、その無線モデル「Arctis Nova Pro Wireless」だ。2016年から同社が展開しているゲーミングヘッドセット「Arctis」シリーズの最新モデルとして8月・9月に発売を予定している。両モデルでは接続方式が異なるほか、アクティブノイズキャンセリング機能は無線モデル専用の機能となる。
「Arctis Nova Pro」の2モデルはフラッグシップに位置付けられる高性能ヘッドセットだ。新設計ドライバーの採用と統合ソフトウェア「SteelSeries GG」内蔵のパラメトリックイコライザー「Sonar」を組み合わせることで、従来のヘッドセットとは一線を画した音質を実現。マイクの音質についても細かく設定できる。
PCやプレイステーション、Nintendo Switchなど、使いたいデバイスを2つ同時に接続できる「Multi-Sytem Connect」を採用しており、ケーブルを抜き差しせずに、ワンタッチで切り換えられる。ワイヤレスモデルにはBase Station、有線モデルにはGameDACが付属。「Sonar」が利用できない家庭用ゲーム機などでも、10バンドのグラフィックイコライザーが利用できる。GameDACも第2世代に進化しており、音の再現性が78%向上している。
ワイヤレスモデルでは、ゲーム用にチューニングを施したアクティブノイズキャンセリング機能を搭載し、PCのファンの音やキー入力の音などを優先的に除去することができる。従来から双方向性マイクを採用し、マイクに入るノイズをキャンセリングする機能があるが、今回はマイクのノイズキャンセリング機能もさらに進化している。また、マイクを使わないときにイヤーカップ部分に完全に収納できるようになった。
ワイヤレスモデルはバッテリーが2つ同梱されており、ベースステーションの充電ポートでバッテリーを充電できるため、ヘッドセットのバッテリーがなくなったら交換することで充電切れを気にせず使える。無線技術として「Quantum 2.0 Wireless」を搭載し、2.4GHz帯の超低遅延ワイヤレスとBluetoothの同時接続が可能なため、ゲームをしながらスマートフォンでDiscordやSkype、Lineなどを使った音声通話を行なえる。
アクチュエーションポイントを自由に変更できる世界最速キーボードがさらに進化
もう一つの新製品が、ゲーミングキーボード「Apex Pro Mini」シリーズだ。こちらも有線モデル「Apex Pro Mini」(8月5日発売)と無線モデル「Apex Pro Mini Wireless」(9月5日発売)を展開する。
「Apex Pro Mini」は、その名の通り同社が発売中のゲーミングキーボード「Apex Pro」を小型化した60%キーボードだ。2019年発売の「Apex Pro」で実現したアクチュエーションポイントの変更機能が進化。独自スイッチ「OmniPoint 2.0」では、アクチュエーションポイントの設定範囲が0.2~3.8mmとより広くなり、0.1mm単位で調整できるようになったほか(従来は10段階での設定)、キー単位での調整も可能になった。
「Apex Pro Mini」では新機能としてキーを押し込む深さに応じて異なる機能を割り当てる「2-IN-1アクションキー」を備える。キー操作1つで、浅く押せば歩き、深く押せば走るといった操作も可能になる。各種設定は統合ソフトウェア「SteelSeries GG」から行なえる。
「Apex Pro Mini」の最大のウリは、SteelSeries独自の「OmniPoint 2.0」スイッチの採用である。「OmniPoint 2.0」は、「Apex Pro」で採用されていた「OmniPoint」の改良版である。「OmniPoint」は、メカニカルスイッチではあるが、電気的な接点を使わず、代わりに磁気ホール素子と磁石を利用していることが特徴だ。プレゼンでは光学式と呼んでいたが、非接触であるという特徴は光学式と同じだが、仕組みは異なる。強いて呼ぶなら磁気式であろう。磁気ホール素子は磁界の強さをアナログ量として検出が可能で、その値があらかじめ定めたしきい値を上回れば、スイッチが押されたと判断する仕組みだ。このしきい値を変えることで、アクチュエーションポイント(スイッチが押されたと判断される地点の押下量)を変えることができるのだ。
アクチュエーションポイント変更機能は、2019年に登場した「Apex Pro」が世界で初めて実現したものであり、キーの反応にこだわるプレーヤーから高い支持を得た。「Apex Pro」ではアクチュエーションポイントを0.4~3.6mmの範囲で10段階に変更できたが、新製品の「Apex Pro Mini」では、アクチュエーションポイントの設定範囲が0.2~3.8mmに広がり、10段階ではなく0.1mm単位で変更できるように進化している。アクチュエーションポイントを変えても、キーストローク自体が変わるわけではないが、素早い反応を望むならアクチュエーションポイントを短く、ミスタッチを減らすにはアクチュエーションポイントを長く設定するのが基本だ。
プロチームREJECTとFOR7の選手がゲストとして登場
第2部では、プロチームのREJECTとFOR7の選手による、今回発表されたSteelSeriesの新製品を使ったデモプレイが行われた。
プレイの解説はREJECTのYamatoN氏が担当し、実況はOooDa氏が担当した。YamatoN氏も、昔からSteelSeriesのゲーミングデバイスを愛用してきたそうだ。REJECTからは、takej選手とReita選手が登場。また、FOR7からはFu選手とUnEeVeN選手が登場。
REJECTのtakej選手とReita選手は、「VALORANT」のデスマッチを2回プレイ。Reita選手は1回目は3位だったが(偶然、ZETA Division Academyのyatsuka選手が参加しており、1位を獲得)、2回目は見事1位を獲得した。takej選手は「Arctis Nova Pro」について、「ヘッドセットも締め付けがなくて、音質もとてもよくて聞き取りやすかったです」、Reita選手は「Apex Pro Mini」について、「さすが『Apex Pro』だなっていう感じで、めちゃめちゃ反応がよくて使いやすかったです。コンパクトなので、プレーヤーの好みにあわせて自由に配置できるのもいいですね」とコメントした。
続いて、FOR7のFu選手とUnEnVeN選手がチームを組んで、「PUBG MOBILE」の5人デスマッチを2回プレイした。こちらは2回とも危なげなく2人が入ったチームが勝利した。「PUBG MOBILE」でも、敵の位置などを素早く知るためにヘッドセットが重要だが、今回利用した「Arctis Nova Pro」について、UnEnVen選手は「とてもいい体験でした。プレーヤーにとって音声が一番大切なので、今回のヘッドセットは、敵の音もよく聞こえました」、Fu選手は「僕は今までSteelSeriesのヘッドセットを使ってプレイしてたんですが、音の立体感が細かく伝わってきて、後ろから撃たれてもすぐ振り向けるというのが第一印象です。あと付け心地も嫌な感じがなくて、気に入ってます」とコメントした。
両製品とも使い勝手と性能には満足
会場には今回発表された新製品が展示されており、自由に触れるようになっていた。筆者も、短時間だが実際に製品を触ることができたので、ファーストインプレッションを紹介する。
アクチュエーションポイントの変更を試すことはできなかったが、設定ツールの「SteelSeries GG」を使うことで、1つ1つのキーに独立してアクチュエーションポイントを設定できるため、ゲームに使わないキーのアクチュエーションポイントを長めに設定することで、素早い反応とミスタッチの防止を両立できる。
実際にタイピングしてみたが、キータッチも心地よく、打鍵音もあまりうるさくないため、幅広いニーズに対応できるであろう。また、テンキーレスよりさらにコンパクトな60%サイズについての評価だが、ゲーム用途ならやはりマウス操作スペースを広くとれるので便利だ。また、ハの字型や逆ハの字型など、キーボードを斜めに置いて使うことを好むプレーヤーも多いが、横幅が短い「Apex Pro Mini」なら、奥行きがあまりないデスクでも、自由な向きで置くことができる。ワイヤレスモデルを触ってみたが、反応の遅れなどは一切感じられなかった。コンパクトなので持ち歩きもしやすい。ゲーム以外の用途で使う場合はBluetooth経由で接続すれば、バッテリーの消費が減り、長時間利用できる。
REJECTのReita選手も「Apex Pro Mini」を高く評価していたが、筆者もゲーミングキーボードとして非常に優れた製品だと感じた。唯一の弱点はやはり価格であろう。筆者は試していないが、アクチュエーションポイント0.2mmというのはほとんどタッチキーみたいな反応になると思われるが、他の方式のメカニカルスイッチでは実現が難しい領域だ。キーをわずかに押し込むだけで反応して欲しい人には、特におすすめしたい。
続いて、ヘッドセットについて。「Arctis Nova Pro Wireless」と「Arctis Nova Pro」だが、有線モデルにはノイズキャンセリング機能はついていないことに注意したい。参考価格の差が2万円近くあるのも、そのためであろう。
Arctis Nova Pro Wirelessの装着感だが、確かに締め付け感はあまりなく、それでいてしっかりとフィットしている感覚があった。イヤーパッドの材質は合皮だが、柔らかく心地よい。ノイズキャンセリング機能だが、確かに周りの音が大きく軽減されるが、完全に聞こえなくなるというほどではない。ノイズキャンセリング機能の効きは、INZONE H9のほうが上だと感じた。ただ、ゲーム向けにチューニングしたという解説の通り、キーのタイピング時の打鍵音やファンノイズなどは強く軽減されているようだ。人の声などは多少聞こえるのだが、それでも没入感が増すことは間違いない。
また、マイクをイヤーカップ部分に収納できるようになったことも、本製品の特徴だ。ボイスチャットを使わないゲームや、ゲーム以外の用途(映画や音楽鑑賞など)ではマイクが邪魔になるので、嬉しい改良点だ。音質については、しっかりした音楽ソースなどを聴いたわけではないのであくまで印象だが、やはりフラッグシップらしい、周波数特性の広さとダイナミックレンジの高さを感じた。
PCとPS5といった、2台のデバイスを同時に接続し、ワンタッチで切り換えられる「Multi-Sytem Connect」も便利だ。ワイヤレスモデルでは、独自方式とBluetoothを同時に接続できるので、PCでゲームをしながら、スマートフォンにBluetoothで接続し、そちらのDiscordで音声通話を行なうといった使い方ができることも、高く評価できる。ヤコブ・ワグナー氏によるデザインも魅力的であり、ゲーミング以外の用途でも違和感なく利用できる。「Arctis Nova Pro」シリーズも、同社のフラッグシップモデルの名に恥じない、新世代のゲーミングヘッドセットといえるだろう。