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神木隆之介さん、「直樹の部屋」でゲームと芝居を熱く語る
演じるキャラへの入り込み方を真摯に語りつつ、時々ヒカセンになる
2021年5月16日 09:23
- 2021年5月15日 開催
スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Windows/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV(以下FFXIV)」のデジタルファンフェスを開催した。このレポートでは、俳優の神木隆之介さんをゲストにしたトークコンテンツ「直樹の部屋」を紹介したい。
神木さんが「FFXIV」を始めてプレイしたのは2年前。芸能界とは関係ない幼馴染の友達が「FFXIV」を遊んでおり、誘われて始めたのがきっかけなのだそうだ。「マリオカート」、「モンスターハンター」から「POS2」までいろいろなゲームで遊んでいるという、実はかなりのゲーマーな神木さん。「FFXIV」にもしっかりとハマり、当時は自宅にPCがなかったため、友達の家まで言って夕方から次の日の朝までプレイしては朝帰りという生活をしてたそうだ。「親友と一緒に冒険して、協力して――。朝までやっていると疲れるけれど、すごくいい朝帰りでした(笑)」と、一晩中遊んでいるだけなのに、何かを成し遂げたように爽やかな笑顔で語り、吉田氏と室内氏を笑わせた。
そんな神木さんは、とある番組でゲームについて語った際に「エデン装備」とい単語を口にしていた。はっきりと「FFXIV」とは言及しなかったが、それが「希望の園エデン」で取得できる装備を意味することは、ヒカセン(光の戦士)なら誰もが知っている。
吉田氏は東京ゲームショウで、神木さんの親友から彼が「FFXIV」で遊んでいるという情報を耳にした。そこで、ちょうど同じ時期に開催されることが決まっていた「FFXIV」のオーケストラコンサートに神木さんを招待。控室を用意して、コンサートのグッズをプレゼントしようと思っていたら、すでに待機列に並んで買っていたというのだから、かなりのヒカセン(光の戦士)ぶりだ。
その後、吉田氏から食事に誘い、先に店に入っていてくださいと伝えていたにも関わらず、店の前で待ってた。「オーバーオールにピンクのパーカーで、可愛くてしょうがない!」と吉田氏。数々の有名クリエイターと仕事をしてきた神木さんの魅力に、吉Pもすっかり取りつかれたようだった。
メインジョブは近接攻撃が得意なモンク
そんな神木さんのメインジョブはモンク。当初は魔法を使うことへの憧れから、黒魔道士で始めたそうだが、立ち止まって詠唱しなければならない黒魔道士は、敵の攻撃を避けるために詠唱を中断して回避する必要があり、火力を出そうとするとなかなか難易度が高い。自分が戦力になれていないことが悔しくて、動きながら戦えるジョブはないかと考えていたところ、モンクなら動きながら攻撃できる親友から進められた。
「モンクは方向指定があって難しいですね。いまだにぜんぜん慣れてはないんです」という神木さん、プレイの際に心がけているのは「ヒーラーさんに迷惑をかけたくないので、どこで範囲攻撃がくるのか、どちらからくるのかを把握したうえで行動することを心がけています。予習は本当に大事です。技名を覚えておいて、次はこれだから少し離れておこうということを意識しながらやっています」とのこと。誠実さがプレイにも反映しているようだ。
実は、ゲーム内で吉田氏とパーティプレイをしたこともあるのだそうだ。「漆黒のヴィランズ」が発売してまだそれほど経ってない頃に、吉田氏がタンクで、神木さんが黒魔道士として参加。吉田氏から「やられる前にやればいいんだよ」と身もふたもないアドバイスで励まされつつ、スキル回しについて語り合ったのだそうだ。
しばらくはドラマの撮影などで忙しく、プレイから遠ざかっていたというが、今回のゲスト出演の前にしっかり最新のパッチ5.5メインストーリーは終わらせてきており、「とりあえずルーレットを回せるようにメインを進めています」と濃厚なファンが集まるファンフェスでもエアプとは言わせない。
零式2層で心が折れるも、あきらめたわけではない
バトルでのこだわりは、「迷惑をかけないということと、ヘイトリストでの順位が低くても落ち込まないということ」。「FFXIV」では戦闘中にパーティリストに敵からどのくらいのヘイトが向けられているかがわかるようになっている。8人コンテンツの場合、DPS4人のヘイト順位で自分がいま的にどのくらいのダメージを与えることができているかを、ある程度類推することができる。
火力をもっと改善したいと語る神木さんに、吉田さんは「一緒に木人を殴りに行きましょう」と提案。吉田氏は開発者ながら、コミュニティ番組で高難易度コンテンツをクリアするほどの腕前なので、ゲーム内にある練習用の木人で一緒に練習しましょうということだ。神木さんは、番組を視聴していた先輩モンクに対して「こうすればいいよというものがあったら教えて欲しいです。モンクの先輩に指南書を作って欲しいです」と懇願していた。
現在は、自宅にPC環境を整えてコントローラーで操作しているのだそうだ。ブラインドタッチができないというのが理由だそうだ。MMORPGはPCゲームとして発展してきた歴史があるため、海外では7割程度がマウス&キーボードでのプレイだが、それでもPCゲームの中ではコントローラーで遊んでいる人が一番多いゲームかもしれないと吉田氏。
「希望の園エデン:アルファ編」の時、ノーマルは毎週クリアしていたという神木さんだが、零式はレベルが違うと躊躇していた。「FFXIV」の高難度コンテンツでは、通常、プレーヤーが攻略用の段取りをまとめたマクロを作って、開始前に自分の立ち位置などを決める。零式初心者だった神木さんは、当初はマクロが流れた時に、自分で自分の位置を申告することもしらず、どこにいけばいいんだろうと迷いながら床ペロ(戦闘不能状態で床に寝転がること)を繰り返していた。
なんとか「零式1層」はクリアしたが、2層で心が折れてしまった。タイミングがずれるディレイスペルの攻撃や、敵の攻撃を避けるのが難しかったのだそうだ。ただ、それであきらめるのではなく、強くなるためにコツコツとためられる交換トークンを集めて、装備強化にいそしんだというのだから、ガッツがある。零式にチャレンジする意欲もなくなったわけではないという。開発パネルをみて、開発のこだわりやいままで見る暇がなかった演出やモーションへのこだわりを知って、「改めてゆっくりとやってみたいと思いました」と語っていた。「FFXIVは反復練習のゲームなので、ドラマの撮影が落ち着いたら練習しますか?」という吉田氏の誘いに「やりたいですね」と即答した。
もし自分が「FFXIV」のプロデューサーだったら?
「もし自分がFFXIVのプロデューサーだったら」という質問には、バトルをランダムにしてみたいと回答した。「FFXIV」のボスは、多少のランダム性はあるが基本的に攻撃の順番が決まっている。それをどれが来るかわからないようにしたらどうなるんだろうとという話だ。
これには吉田氏も少し応えに窮し、その後割といつものプロデューサーレターライブのノリで解答していた。実はこれは、過去にもよくプレーヤーサイドから出ている要望でもある。実際にはもしランダムにしてしまうと、すべての攻撃パターンを覚える必要があり、攻略難度が高くなる。さらに、攻撃が完全ランダムだった場合、たまたまよけやすい攻撃ばかりきた人はクリアでき、難しい攻撃ばかりだとクリアできないといったように、難易度が安定しない。それでも、要望に応える形で、「モンスターハンター」コラボのリオレウスのように、まったくヘイトの概念がないランダム攻撃のボスもいる。
吉田氏から神木さんへ聞きたいこと
吉田氏からは、「演技をする上で一番需要だと思っていることは何か?」という質問が出た。神木さんは「目をすごく意識しています。考えている時に、どこを見ているかとか。動揺すると目が泳ぐとか、何かを考えている時、思い出す時には上を向いていたりとか。そういう無意識の行動を、どう演技に落としてリアリティを出せるか」を重要視しているのだそうだ。
さらに台本に気持ちを乗せるために、「セリフは覚えてしゃべるものなので、当然覚えたものを話しているわけですが、その役柄の人物はそこで生きているので、本当の気持ちを乗せていかないと伝わらないと思っています」と神木さん。
そういうキャラクター作りは、いつ考えるのかという吉田氏からの質問には、「台本を戴いて、自分の役の第一位印象をインプットした後は、その人物は日常ではこんな風に考えているんだろうなということを、実際の日常生活の中で癖をつけていく」という。もちろん、相手の演技もあるので、そこは現場で相手の演技に合わせて臨機応変にやる。ただ、日常から癖をつけておくことで、素に戻りづらくなるのだそうだ。「だからその方がいいのかなと思って、そういう風にやっています」。
「日常生活の中でも役になり切るの?」と驚く吉田氏に、「ふとした時にも考えますね」と神木さん。「例えば、バスに乗っている時にも、今の役だとどんな表情で乗っているのかな、と考えます。役を引きずっているとは思われたくないですが」。「SPEC」のニノマエ役を演じていたころ、親や高校時代のクラスメイトに「どこかわからないけど怖い」と言われたことがあるそうだが、それも「無意識に役作りをしているからかも」と語っていた。
プロデューサー兼ディレクターとして、「FFXIV」のストーリー作りにも関わっている吉田氏は、ストーリーを作る時には、まずはキャラクターを掘り下げるのだそうだ。シーンだけを作っても、キャラクターは動いてはくれない。だからこそ、神木さんが何を大事にして演技しているのか気になるという。
「ストーリーをかき乱すためのキャラクターが、それだけのために出てきたわけじゃないということはすごく素敵だと思います」とうなづきつつ「キャラクターにはみんな育ってきた環境や年月があり、ドラマはあくまでも彼らの一部分を切り取って見てもらっているだけなんですよね。すべてが上手くいくわけではないけれど、たまたまその時間軸に出会った人たちのストーリーはすごく素敵です」と感想を語っていた。
「FFXIV」のストーリー担当のスタッフも「キャラクターが勝手にしゃべりださない理由は人生がないから。勝手に話すところまで追い込まないと、なかなか動いてくれないし、絵にもならない」と語っている層だ。ただ、どうしても時間的な制約のために、それが表現しきれないこともある。ただMMORPGなので、その時には無理でも、描くことができるまで描き続けていくことができる。「そういうキャラもいます」と吉田氏。
神木さんから吉田氏に聞いてみたいこと
神木さんからは「どういう風にストーリーを想いついているのかを聞いてみたいです」と吉田氏に質問を返した。吉田氏は「これが正解ではないですが」と前置きしたうえで、「自分は、ミステリがすきなので、こうだったのかという驚きを提供していきたい。結末を見た時に、驚いたとなるにはどうすべきかをまず考えて、それから間を埋めていく」と言う。
「話を作りたいという気持ちはあるの?」という吉田氏の質問に「作品を作ってみたいとか、監督をしてみたいという想いはあります」と神木さん。「でもまだ構築の仕方が難しかったり、このシーンのためのキャラクターが出てきたりして、その対処法を知らないので、もっと勉強してからですね」と前向きに未来への希望を語っていた。
そんな姿にズギュンと打たれたのか、吉田氏は「監督をやってみたいとただ言うだけではなくて、それが簡単なことではないことや、自分の性格、すべてが理想通り進むわけじゃないからどうしてもにぎやかしのキャラクターを出す必要があるとか、普段からそういうことを考えていないと出ないセリフだと思う! アニメのお仕事もされてますが、監督が神木くんを使いたくなるのがわかっちゃうな。すぐに好きになっちゃう。本人がもっている努力が、おじさんキラー」と」と絶賛。「本当に一緒に仕事をしたいと思わせてくれる」と繰り返していたが、そんな吉田氏にいきなり「どうしてモンクの疾風迅雷なくなったんですか?」といきなり、ヒカセンに戻った質問で、吉田氏を多いに慌てさせる一幕もあった。
吉田氏は「神木くんがよければ、このステージだけではなく、ぜひ一緒に仕事をして欲しい」と「FFXIV」のアンバサーへの就任を要請。神木さんも「僕なんかでいいんですか? まだモンクの最大火力も出せずに、零式で心折れて奇譚を集めているような人間ですが、いいんですか?」と何度も聞き返し、最後は快諾。就任式が執り行われ、「プレイヤースキルを上げ、皆さんに迷惑にならないように努め、ヒカセンと名乗れるようにがんばっていきたいです。出会ったことはないけれど、ゲームの中で仲良くしてくれたり、手伝ってくれる人がいて、おこがましいですが、もう1つの生きる世界なんだなと。そんな作品にで会えて嬉しいです。頑張ります」と笑顔でと抱負を語った。
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