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国内最大級のeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2020 Series」、いよいよ12月開幕!
公式シリーズは個人戦とチーム戦の2カテゴリー制を導入
2020年10月12日 16:40
- 12月 開幕
10月12日、NGMがオートバックスセブンをメインスポンサーに、プレイステーション 4用ドライビングシミュレータ「グランツーリスモ SPORT」を利用して12月に開幕する国内最大級のeモータースポーツ大会、「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2020 Series」について発表記者会見が開催された。
JeGT GRAND PRIXとしては、昨年9月に神戸で初の大会となる「ZERO ROUND @KOBE」、第2回大会として今年1月に幕張メッセで開催された東京オートサロンの一角で「ROUND EXTRA @AUTOSALON」、さらに5月と8月にオンライン形式のエキシビションを開催して来た経緯がある。
発表会ではNGMの代表取締役でJeGTの運営代表を務める北浦 諭氏が登壇。まずはシリーズの概要を解説した。
北浦氏は、この半年で世界的な外出自粛が余儀なくされるなか、家庭内で楽しめるコンテンツとしてeスポーツの浸透度が増してきていることを指摘。eスポーツの企画運営に特化した企業として2019年に設立されたNGMは、数あるジャンルのなかでも当初からeモータースポーツに着目していたという。
北浦氏はその理由のひとつに「リアルの競技動作と極めて親和性が高い」ことを挙げた。つまり、eモータースポーツでは、レーシングゲームの実車のレースで好成績を上げたり、逆にプロレーサーがレーシングゲームで全国トップ3に入るといったことが実際に起こっているというのだ。
「eモータースポーツで小さい頃から腕を磨き続けてきた青年が、リアルスポーツの世界で活躍するというシンデレラストーリーがこの世界ではすでに現実になっています」(北浦氏)。
続けて、eスポーツファンの中核は10代後半から30代前半、平均年齢は25歳前後と言われるが、「まさにクルマへの興味が失われつつあるのも同じ年齢層」であると指摘した。JeGTシリーズが「リアルとバーチャルが融合したハイレベルなeモータースポーツ大会」を標榜する意味はここにある。eモータースポーツの振興を通じてモータースポーツへの興味をかき立て、若者たちのクルマ離れに歯止めをかけられるのではないかという期待を抱いているわけだ。
メインスポンサーはオートバックスセブン。リアルとバーチャルの融合による「化学反応」に期待
そうした理念に賛同し、今年4月にメインスポンサー契約を締結したのが国内外に約630もの拠点を構え、カー用品店として最大規模を誇るオートバックスセブンだ。同社の代表取締役 社長執行役員である小林喜夫巳氏が続けてマイクを執った。
オートバックスセブンは国内のモータースポーツにおいて最高峰と言われるスーパーGTのメインスポンサーを務めているほか、元F1レーサーの鈴木亜久里氏とともに1997年に設立した「ARTA(AUTOBACS RACING TEAM AGURI:オートバックスレーシングチーム・アグリ)」の運営でも知られている。
走行するサーキットやクルマ、そして免許を必要とするリアルなモータースポーツに長年携わってきた小林氏にしてみれば、時間、場所、年齢に捕らわれることのないeモータースポーツは「(参加への)ハードルが越えやすくなった」と見えている。
その一方で、先に北浦氏が語ったように、リアルとの親和性が高いことに着目。リアル競技のプロ選手が、最高峰のゲーマーと同じ土俵で戦うといったことが、eモータースポーツなら容易に起こりうる。こうしたリアルとバーチャルの融合によって「化学反応」が起こることに期待しているそうだ。
ARTAの目的は、健全なモータースポーツの発展と、世界に通用するプロドライバーの発掘、育成だ。今ではレーシングカートからスーパーGT、そしてフォーミュラカーと、さまざまなカテゴリーにおいて参戦やドライバーのサポートを行なっている。
長年これに携わってきた小林氏にすれば、eモータースポーツはレーシングカートよりもさらに手軽なプロドライバーの登竜門として、大きな可能性を秘めていることが素直に理解できるのだろう。NGMが掲げるJeGTの開催理念を共有するにあたって理想的なパートナーと言える。
公式シリーズは個人戦とチーム戦の2カテゴリー制に
さて、肝心のシリーズだが、「INDIVIDUAL MATCH(個人戦)」と「TEAM BATTLE(チーム戦)」の2つのカテゴリーで構成されている。
まずは個人戦。これに出場できるのは、「JeGTドライバーズセレクション(JDS)」に合格した「JeGT認定ドライバー」か、プロレーサーのみ。認定ドライバーは9月末の時点で19名が登録されていて、現在はそのうち15名が個人戦出場にエントリーしているそうだ。
一方、チーム戦にはレーシングチームか自動車関連企業を母体とするチームが出場することができ、現在はARTAやHKS e-MotorSport、NISSAN TRUST RACINGなど10チームがエントリーをしている。
ユニークなのは、JeGTドラフト会議なるものの開催が予定されていること。これはチーム戦のエントラント(出場チーム)とJeGT認定ドライバーを結びつけ、各エントラントが持つ実力の均衡を図るというものだ。
チーム戦のエントラントは、母体企業の社員やレーシングチームに所属するドライバーを最低1人は選手に加えなければならない。そのうえで、ドラフト会議を経て契約したJeGT認定ドライバーとチームを編成し、2名から3名のドライバーで1回のレースを戦うことになる。
1レースに出場できるのは最大3名だが、チームには5名を登録することが可能だ。レギュレーションでは1シーズン中に2名を入れ替えることができるため、延べ人数で言えば7名で1シーズンを戦える。
個人戦、チーム戦ともに、12月から来年2月までに4回の予選ラウンドを行ない、個人戦は上位8名、チーム戦は上位8チームが来年3月開催のラウンドファイナルに進出となる。予選まではオンラインだが、ラウンドファイナルはオフラインで実施。会場は大阪府吹田市にあるららぽーとEXPOCITYにオープンしたeスポーツ体験施設REDEEとなるそうだ。
各予選ラウンドでは、~歳以上、あるいは~歳以下、女性限定など、出場者に制限を設けつつも認定ドライバーでなくとも参加できる下位クラス「JeGT CHALLENGERS」を展開。また、ラウンドファイナルの会場では個人戦とチーム戦の決勝のほか、エキシビションレース、さらにモータースポーツやeスポーツを楽しむための各種イベントを同時開催する予定であるとのこと。
なお、2020年度の賞金総額は、500万円。個人戦優勝者には100万円、チーム戦優勝チームには150万円が与えられ、それ以外の賞金配分は10月13日にリニューアル予定のJeGT公式HPで発表される予定だそうだ。
新型コロナ収束後もオンライン開催は残す方針
北浦氏によれば、各予選ラウンドはオンラインでの開催ではあったが、本来はオフラインでの開催を想定していたという。ところが、新型コロナウイルスの影響でオンラインの開催になった。
「これを我々は決してネガティブにとらえているわけではなく、オンラインに移行したことで全国のさまざまな方々が大きな負担なく参加できるという大きなメリットが生まれたと考えている」(北浦氏)。
来年度以降、コロナ禍が収束し、大規模なイベントが不自由なく開催できるようになったとしても、オンラインでの開催は残し、全国津々浦々のeモータースポーツ選手、リアルのドライバーが気軽に参戦できる大会を目指したいという。
「グランツーリスモSPORT」を使ったeモータースポーツの大会としては、FIA(国際自動車連盟)がSIEとともに世界的規模で開催している「2020 FIA グランツーリスモ選手権」がすでにある。
それに対し、本当の意味ではまだはじまってもいない「JeGT GRAND PRIX」は国内限定であり、規模としてはかなり小さいものとなる。しかし、その分、より選手として参入しやすいものになるのではないだろうか。
しかも、リアルなモータースポーツへ多大な貢献を続けているオートバックスセブンをメインスポンサーに迎えていることもあり、今後はまさに「リアルとバーチャルが融合したハイレベルなeモータースポーツ大会」として発展していく可能性を秘めている。
もしかすると、今後、このJeGT GRAND PRIXを通じてARTAに見いだされ、F1でチャンピオンを獲得できるようなドライバーが日本から登場する未来が来るかもしれない。そんなことをつい夢想してしまう発表会だった。
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