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「FFXIV」パッチ5.2「追憶の凶星」、2020年2月中旬実装予定
「エデン:共鳴編」にはラムウが登場? 新討滅戦「ルビーウェポン」。「FF7」の裏ボス登場か?
2019年12月14日 18:50
- 【パッチ5.2「追憶の凶星」】
- 2020年2月実装予定
スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Windows/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」の特別放送「第6回14時間生放送」の中で「第56回FFXIVプロデューサーレターLIVE(PLL)」を放送した。今回のPLLは「パッチ5.2コンテンツ特集Part1」と題して、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏とコミュニティチームの室内俊夫氏がパッチ5.2で実装されるコンテンツを紹介した。
PLL後半には、サウンドディレクターの祖堅正慶氏がゲストとして登場し、「漆黒のヴィランズ」のサウンドや、「FFXIV」の音楽イベントについてファンから寄せられた様々な質問に答えた。また、お知らせコーナーでは、次回のファンフェスティバル開催が早くも発表された。
パッチタイトルは「追憶の凶星」。「FFXIV」で“凶星”と言えば、第七零災のきっかけとなった惑星ダラガブが思い浮かぶ。英語タイトル「Echoes of Fallen Star」の中に使われているechoesという単語は、英語版で超える力を意味しており、クライマックスに向かって物語が核心に近づいていくことを暗示しているように思える。実装は2020年2月中旬の予定だ。
12月24日にパッチ5.18を追加で実装
まず、年内にパッチ5.18として、5.1関連の追加アップデートが行なわれる。このパッチでは、「希望の園エデン」と「零式」の週制限が撤廃され、「漆黒」アライアンスレイドクリアでもらえる「機械の古銭」を、トークン武器を強化する「黒影の強化薬」と交換できるようになる。また「ザ・フィースト」のシーズン14が開幕する。
他に「オンサル・ハカイル」で忍者が強すぎるので調整が入る。キルゲームが強すぎることに対しても調整が入る。引き殺しゲームになって勢力による参加者の不均衡が大きくなっているため、勢力に寄らないランダムマッチも検討するということだ。
また、「YoRHa: Dark Apocalypse(ヨルハ:ダークアポカリプス)」でもらえる2B装備で装備が透けるようになったことに合わせて、お尻サイズが小さくなったと話題になっていたが、これは以前の状態がバグで正しい仕様に戻ったと吉田氏が説明した。ただし、正しい状態がユーザーの望む状態とは必ずしもイコールではないので、仕様から見直してどの装備の時にどうすればいいのかを確認するため、一旦シェイプ変形のフラグをすべて外して、一部装備で座った時にポリゴンが飛び出すことがあるかもしれないが、その状態から調整し直すということだ。
パッチ5.2実装項目「メインスクエスト」
いよいよ「漆黒のヴィランズ」の完結に向かって急加速していく。今回は、5.1のメインストーリーにもちらりと登場したアルバートらしき人物が映ったスクリーンショットが発表された。無精ひげがなく、どこかうつろな目をした彼がどういった人物なのかが明らかになるだろうか。
新たなインスタンスダンジョン「黒風海底 カニドラス・アナムネーシス」
今回のインスタンスダンジョン(ID)もフェイスに対応している。これまで、奇数パッチでは2つ、偶数パッチでは1つのIDが実装されていたが、インスタンスダンジョンの数が多すぎるという意見や、使い捨てになっているという意見もあり、今後、インスタンスダンジョンは各パッチ1つずつの追加となり、新たなコンテンツの開発にコストを振り分けることになる。
新IDは名前と発表されたアートから見て、アーモロートの廃墟の一部であることは間違いない。開発では「アシエン官邸」と呼ばれているそうだ。
新たな蛮族クエスト
新たな蛮族クエストとして、キタリ族のクエストが実装される。こちらは、初の試みであるギャザラー向けのクエスト。ナマズオ蛮族クエストの時にギャザラーとクラフターの量対応にしたところ、かなりたいへんだそうで、今回はギャザラー専用として登場する。キタリ族は第一世界でのキキルン族の名称のようだ。
新たなクロニクルクエスト「ウェルリト戦役」
「紅蓮のリベレーター」の「四聖獣」シリーズに変わる、新たなクロニクルクエスト「ウェルリト戦役」がスタートする。影の狩人ことガイウスの姿と、「ルビーウェポン」が映ったスクリーンショットが公開された。クエストと共に、新バトルコンテンツ「ルピーウェポン破壊作戦」と「極ルビーウェポン破壊作戦」も実装される。
新たなレイドダンジョン
新たな8人用レイド「希望の園エデン:共鳴編」と高難易度の「希望の園エデン零式:共鳴編」が実装される。今回はラムウを思わせる、稲妻轟く平原のアートが公開された。
前回、光の戦士の記憶力がかなりあやふやなことが判明したが、今回はあの苦労した球拾いがパワーアップして帰ってくるかもしれない。「シナリオも一気に展開していきますので楽しみにしてください」と吉田氏。
新たな装備強化コンテンツ
前回は「禁断の地エウレカ」の中でエウレカウェポンを強化したが、今回はコンテンツを進めなくても装備強化だけで遊べるようなものが用意されている。
内容は、ロスガル族の故郷「シタデル・ボズヤ」を巡る物語となる。タイトル名はパート2のPLLで発表される予定だ。「ロアを色々見ていただいておくと面白いのではないか」と吉田氏。「エウレカ」と同様に、パッチ5.2以降も継続的にアップデートされるコンテンツとなる。
「イシュガルド復興」関連アップデート
「イシュガルド復興」は、数パッチかけて継続的にアップデートしていくコンテンツ。クラフターやギャザラーの高レベルプレーヤーのみならず、全プレーヤーを対象として開発している。パッチ5.1は導入部分なので、誰でも遊べるよう広い間口で開放された。パッチ5.2以降はエンドコンテンツ的な高難易度コンテンツも登場していく。
「ディアデム諸島」改修
「ディアデム諸島」がギャザラー専用のコンテンツとして新生される。ギャザラーのレベル10以上であれば、蒼天街から突入できる。これまで突入に必要だった青燐水バレルは必要なくなる。
ディアテム諸島では、イシュガルド復興で利用可能なアイテムを獲得することができる。それに合わせて、ギャザラーでも復興券がもらえるようになる。
浮島を巡りながら採集する。一周したら納品してというサイクルになるが、途中ルート分岐もあるようだ。かつて生息していた凶悪なモンスターはヒカセンによって駆逐されたので、襲ってくる敵がいない安全地帯になっている。各レベル帯でのレベリングにも使えるので、採集するアイテムは収集品ではなく、通常の採集品になっている。
採掘師や園芸師で採集を続けると専用のゲージが溜まり、コンテンツアクション「エーテルオーガー」が使用可能になる。これはロケットランチャーのようなもので、ノンアクティブのモンスターに使うことで採集アイテムを大量に獲得できる。「旧FFXIV」の時にギャザラーが石を投げるとモンスターをスタンさせることができたという仕様をほうふつとさせる遊びだ。「今後も採集するだけではなく、ちょっとした遊びを今後も足していきたい」と吉田氏。
高難易度レシピが登場
パッチ5.2でイシュガルド復興の納品アイテムが更新あれ、報酬の多い「高難易度レシピ」が追加される。
高難易度レシピでは、製作中に「高品質」や「低品質」とは違う新たな状態が発生する。これを詰将棋のように、状態に応じた対応を取っていく。新式装備のレシピにこの要素を入れる予定はなく、あくまでも高レベル帯の遊びとして実装される。
クラフター&ギャザラー大改修
クラフターとギャザラーは5.1と5.2の2パッチで大きな改修が行なわれている。今パッチでも、引き続きアクションの調整が行なわれる。さらにアクションを実行したらどうなるかが分かるアクションの効率予測が追加される。スキルシミュレーターのようなもので、現状の装備とスキルで製作した場合どのような動きになるのかを検証することができる。
「これを使って高難易度用のコンテンツに挑んで欲しい」と吉田氏。パッチ5.2で実装されるわけではないが、素材を集めなくてもレシピ製作の練習ができるシステムも検討されている。「製作手帳」からどこででも練習できるようなものを今後のパッチで予定しているということだ。他に、スタックアイテムを続けて分解できるようになり、カンパニークラフトでは人数制限が撤廃される。
漁師システムアップデート
漁師は「FFXIV」の中でも趣味クラスとして独立しているので、独自のアップデートが行なわれる。現在修得レベルが状況に合っていない漁師アクションについては、習得レベルが引き下げられる。具体的には「ペーシェンス」、「プレシジョンフッキング」、「ストロングフッキング」のレベルが引き下げられる。また、アタリ演出が分かりにくいという声を受けて、アタリの強弱が分かりやすいよう調整される。
さらに多過ぎる餌を整理するために「万能ルアー」が追加される。これで、下位の魚が今よりも釣りやすくなる。
「スカイスチールツール」を実装
「スカイスチールツール」は、数パッチかけて主道具を強化していくクラフター&ギャザラー用のコンテンツ。ゾディアックウェポンほど大変ではなく、コツコツやっていけば育っていくようなものだそうだ。蒼天街でクエストを受注して、指定アイテムを製作、採集することで強化していく。「強化には新しいアイテムが必要になるので、既存のアイテムを溜め込んでもあまり意味がないかも」と吉田氏。
「オーシャンフィッシング」
「オーシャンフィッシング」は、漁師専用の舟釣りコンテンツ。特定の時間に出港する船に乗って、海上の釣りスポットで船釣りができるというもの。釣果に応じて経験値やスクリップがもらえる。さらに、特定の条件を満たすことで、全員に爆釣タイムが到来して、釣れまくる。レベリングにも使えるコンテンツなので、参加するためのレベリングする必要はなく、コンテンツ内でレベリングして欲しいということだ。
このコンテンツは、世界にゆっくり時間が流れているというところを表現するためにコンテンツファインダーからの参加ではなく、特定の時間に全員で港から出港するようになっている。今後、釣りに出かけることができるエリアは徐々に増えていく予定だ。
その他のアップデート
前々から要望の多かった傘がついに実装される。現在プログラマーが「ギリギリだ!」と悲鳴を上げながらなんとかしようとしているそうで、期待したい。
ほかに、新たなアラガントームストーンの追加、つよくてニューゲームへの新チャプター追加、フリーカンパニーのレベル上限アップ、ジャンピングアスレチックの新コースが追加される。また、コンパニオンアプリにフェローシップが対応する。
後半は、祖堅正慶氏をゲストにトークセッション
――「漆黒のヴィランズ」のサントラがとても気に入っています。収録曲の中で祖堅さんが好きな曲を教えてください。
祖堅氏: 最後の方で終わったくらいでかかる「Tomorrow and Tomorrow」。アマンナさんという歌い手さんが表現力の豊かな方で、その歌がすごくて。ロサンゼルスで収録してこんな感じでできましたとアマンナさんに送ったときに、メールのCCに関係者が入っていたんですが。その中の通訳のスタッフがこっそりオンラインストレージをダウンロードして自席で聞いたら、あまりにも感動して泣いてしまったと。そんなにいい曲だったっけと聞いてみました。
吉田氏: アマンダさんは、偶然なんだよね。アメリカで「紅蓮」のオーケストラコンサートをしたときにソリストとして来てくれた方。向こうの楽団が用意してくれた方だったんですが、華もあるし、歌えるし、素晴らしい方だなと。あの時点から祖堅があの人はすごいと言っていて、「漆黒」を作っていく過程で是非あの人にやっていただきたいと。スーザン・キャロウェイさんも、たまたま歌っているのを植松さんが聴いていて、あの人に歌ってもらえないのときいてみたということなので。
――曲のインスピレーションが沸くのはどんな時ですか?
祖堅氏: 急にバーンと来ます。バンと。トイレで個室にいる時に、出てきた! とか。忘れないようにピアノで弾いておくか、誰もいない部屋でスマホに鼻歌で録音して、それを後で耳コピしたり。電車に乗っている時にバンときたら、辱めを覚悟で諦めて人目をはばからずふんふん歌うしかない。俺の周りにちょっとした小ステージができるんですよ。
吉田氏: どなただかはレコーダーを常に持っていて、そのフレーズだけでもいいからとりあえず吹き込んでおくとか。
祖堅氏: そのワンフレーズだけでも録音しておくと、その前後を思い出すことができるから、ワンフレーズでも録音しておくことに意味があるんですよ。トイレに鼻歌が聞こえたら間違えなく俺です。
――音楽の師匠と呼べる人はいますか?
祖堅氏: おふくろかな。鍵盤を最初に教わったのはおふくろなので。親父は練習しているところを全然見せてくれない人で、キラキラしているところでバーンとやっている人だったから、泥臭い所を感じなかったですね。
吉田氏: プライベートで飲みにいってお父さんの話を聞くと、お父さんは祖堅に音楽やって欲しくなかったのかなと思いますね。よく聞くのは、それでご飯を食べていけるのはほんの一握りだから、自分の息子にそれを味わせたくなかったのかもねと。
祖堅氏: いちおうラッパのレッスンうけたんですよ。ぼこぼこにされて、ひどいことを言われるし、ひどいことされるし。いろんなものが飛んでくるし。もう辞めてやる。おうやめろやめろって。
吉田氏: だから大学で全然関係ない化学に。
祖堅氏: ペットボトルの染料作ってました。
吉田氏: それでも結局音楽を作っているんだから。
祖堅氏: わかんないもんですね。音を作る楽しみなりなんなりはおふくろなのかなと思いますね。
――最近お気に入りのアーティストを教えてください。
祖堅氏: 最近はジェームス・モリソンというジャズのラッパ吹きがいるんですが、彼のYoutubeをめっちゃ見ています。ラッパでめちゃくちゃ高い音を出せるおっさんなんですが、めちゃくちゃうまいんです。どうやって吹いてるんだろとよく見ています。後はTWEEDEES と言う、全然「FFXIV」とジャンルの違うバンドですが、それを聞いています。
吉田氏: なんのきっかけで聞くの?
祖堅氏: 店に入ったときに聞いて、アプリで検索とか。あとはPLL的なことを言えば、演歌歌手吉田直樹ですかね。なんか去年謎の演歌歌手がデビューして。15,000人の前で熱唱したらしいですよ。演歌でワールドツアーして。
――アーモロート内で流れる曲が切ない感じでとても好きです。作曲時のエピソードを教えてください。
祖堅氏: テンペストはクライマックスに行くわけなので、当然楽曲的にもクライマックスに向かって総代に盛り上げていくのだろうと、そういう話をしていたら、石川夏子が違うんだと。静かに静かに終結していきたいと。最初は何をいってるのかわからなくて、ちょっとツラ貸せやといって結構話をして、こういうシナリオや人物の背景画あるから静かに終わらせたい。静かに、切なく。なるほどそういうことかということで、じゃあピアノ一発でいくかと。それを作ってから手前の浅いところあもうちょっと盛り上がったバージョンを作り、逆にいくほど静かになっていく。
吉田氏: 海に沈みこんでいくようなイメージなんだよね。その経緯を知らない私。チェックをしてて、その手前のコルシアのBGMがどうしても展開にはならなくて。発注経緯は知らなくて、上がってきたものだけを聞いているから、どうしても会わなくて、もうコルシアと静かな感じのやつ入れ替えろといったら、すごく抵抗する人たちがいて、そうじゃないんだと。
でもここにたどり着くまでのここがあっていないんだから、じゃあ新しいの作ると聞いたら、そんな暇はないと。結局進軍している感じにするので、敢えてフィールドBGMを流さずに、特定のイベントをやっている間はイベントBGMを流す。すべての物語が終わったらフィールド曲に変わると。これだったらコルシアの上は突き進んでいくイメージだから、これで押し切れるだろうと。
祖堅氏: 3人でこれで行こうと決めたら、今度はプログラマーが「無理だよ~」と。「今いうなよ!」と。
吉田氏: クエストとクエストの途切れって本当にないの? とか。全チェックしなおしじゃんと。
祖堅氏: そういうのを全突破して。
吉田氏: 吉田がそう言ってるからいけいけ!と。結局みんながすごく協力してくれて、あの流れに曲と体験が全部つながった。
祖堅氏: けっこう実装締め切りぎりぎりまでいじって。
吉田氏: あと2週間もないというタイミングで、このままじゃ、せっかくここまで積み上げたものが一気に気抜けしてしまうからだめだといって。結構大変でした。
――「絶アレキサンダー」のBGMがボスのタイムラインと連動していることに感動しました。ギミックフェースに「RISE」が流れ、サビと同時にボスが帰ってくるなど、あの流れは狙ってやったものなのですか?
祖堅氏: 今回曲のデータは、バトルコンテンツが出来上がる前に完成していたんです。だから仮のものを載せてバトル班に調整してくださいと渡した。今回の場合は、バトル班がある程度譲歩して調整してきました。お互い、そうくるんであれば、ここを上手いこと摘まんだらハマるというのはこっちでもやるし、バトル班も履行のタイミングがここだったらばっちり合うからかっこいいと。開発の中でも日々コンテンツのバージョンは変わっていくので、お互いにプレイしながら、何も言わずに歩み寄っていくんですよ。今回はバトル班が結構やってくれた。
吉田氏: まだ放送に出たことがないんですが、彼は素人という状態からコンテンツ制作で叩き上げてきて、コンテンツを作るのは当たり前で、今はどうやって演出や驚きを作ったうえでコンテンツに落とし込むかを、高次元で追及しています。祖堅さんだったらこれくらいやるだろうというのを最初から発注しておく。
祖堅氏: 時間停止の曲はデータ的に3つくらい入ってます。切り替えられるデータ、単発だけのデータ、頭だけのデータとすごい細切れ発注があって、最初はどういうことかわからなかったので、何をしたいのかを見たら、何るほどそういうことかと。考えてるなと。それでこっちも併せて。
吉田氏: 祖堅にお任せだと、プランナーとしては2流だなと。自分でこうしたら盛り上がるんですというアイデアをぶつけたうえで、祖堅ならこうしてくれるだろうと。
吉田氏: エンゲージフェーズなんてただの時間切れだけど、絶だからこそ、絶対に時間切れをするのが絶対にながれるだろうと。そこであと少しだという時に絶望を味わって欲しい。そのときにすごいものを見たということのために、「絶アレキ」ではあの演出を入れた。
もともと「アレキサンダー」は、ループする時間をヒカセンに託して突破してもらう、自分は眠りにつくという話なので、それができないのであれば、すべてを時間の中に閉じ込めるということをやりたくて、それをデザイナーにも熱く語って、あの鎖の演出になったんです。
一瞬かどうかとか、全員がやるかどうかではないんです。ゲームデザイナーとして。
――Rage Against the Machineファンの祖堅さんにお願いです。ゴリゴリのハードロックやヘビーメタルをもっと追加して欲しい。「FFXIV」でまだ試したことがないけれど、やりたい曲調はありますか?
祖堅氏: 結構、イベントで直接話すヒカセンにも言われるんですが、僕はこの曲はどう? というのをあまりやらないんです。なぜかというと、僕もゲーマーなので、ゲームコンテンツのプライオリティが一番高いんです。だから、それに合うものはなにかなと考えた時に、それに一番合うものを持ってきているので。確かに俺のエゴを出してもいいなら、Rageみたいな曲をいっぱい入れたいけど、そういうことじゃないんです。
吉田氏: 「FFXIV」がチョコボキャリッジで、オープンワールドの世界をガリガリ引き回すみたいなゲームだったら、ガンガンいける。
祖堅氏: ガイコツ戦士が出てきて、血みどろでガンガン行くみたいなゲームだったら、もうガンガン行きますと。
吉田氏: 祖堅はゲーム体験がすべてなので、シナリオが何を表現したいのか、それをコンテンツとしてどうゲーム体験の中に落とし込みたいのかをちゃんと聞いて、だったらこれだろう人なので。
――ゲームサウンドづくりにおいては、気持ちいいだけではなく、残念な気持ちにさせる曲を作る必要もあると思います。そんな時に工夫していることは何ですか?
祖堅氏: 効果音は残念とか嬉しいとかすごく記号的なんです。実際のリアルな生活で嬉しい時や哀しい時には効果音は鳴らないが、ゲームだから表現しなければいけない。それもゲーム体験に紐づくものだと思いますが、遊んでいるプレーヤーさんの感情や体験を音である程度コントロールできるのであれば、そうしたほうがいいはずで。どんな音がいいのかは常に考えながら作っています。こんな真面目な話をして大丈夫?
――環境音に関して。原初世界と第一世界で異なる部分はありますか? こだわりポイントがあったら教えてください。
祖堅氏: 非常にあります。しかもサウンドチームが悩んだところでもあります。「FFXIV」は、コンフィグに音量のスライダーボタンがあって、BGMをミュートすることもできます。BGMをオフにしてもその世界にいるという音、環境音や動作音はすべて鳴っているんです。その環境音に今回第一世界を作るにあたって悩み事があって、例えばグリダニアの環境音は木々のざわめきや小鳥のさえずりや滝の音など想像がつきますよね。今回第一世界で表現しなければならなかったのは、光のハレーションです。そしてこれはとても禍々しい状態なわけです。
でもなんの先入観もない状態で想像する光の環境音って、ファーとかキラキラとか綺麗な音なんです。でも今回は、取り戻すのは光ではなく闇だからそれじゃだめ。一体全体どうしたらいいんだろうと、環境音を専門でやっているスタッフが頭を悩ませたんです。
光のハレーションが起きている状態は、ある程度圧があって、抑圧された状況を音で表現したほうがいいんじゃないかということで、ファーはファーだけど、安定しない、高周波も使うし低周波も使う、印象的には高い音だけど低い音もたくさん入っているという音が光のハレーションの時にずっと鳴っているようにしたんです。でも、ここがまた難しくて、プレーヤーの皆さんはフィールドを行ったり来たりするわけで、本当にやってしまうとゲームプレイが辛くなってしまう。そこまで至らず、でもどこか不安な気持ちになる。それが今までとは全く違うデザインで、すごく時間がかかったんです。これは僕ではなく後輩がやったんですが、あいつはファインプレーだったと思いますね。すごくよかった。
吉田氏: それは光天候の時にしか鳴っていない?
祖堅氏: 闇が戻ってきたら、夜の環境音になるし、昼間が戻ってくるともう光のハレーションは消えているので、普通の昼間の音になります。
吉田氏: そんなあなたに強くてニューゲームというものが存在します。今やってみるとそれが分かる。
祖堅氏: 二度と聞けないBGMはいっぱいある。哀愁漂うユールモアとかね。
吉田氏: ぜひ試してみてください。
――ピアノコレクションのアルバムが好きでよく聞いています。ピアノアレンジのオーケストリオン譜をもっと増やして欲しいです。
祖堅氏: データはすぐ用意できますが、入手するためのクエストをどうするか。
吉田氏: 難しいのは、今はリソースがあるからいいけど、辛いのが、今なんでも渡してしまうと、後でそれに類するものをまた用意しなければならなくて首が締まってしまうので。
祖堅氏: それと、魔大陸が欲しいと海外のプレーヤーからすごくオファーされていて、でも今、魔大陸関係ないじゃんと。
吉田氏: 5.2で載るって。
祖堅氏: よかったー。
――アーモロートで流れる曲でピアノ譜を出版する予定はありませんか?
祖堅氏: これもよく言われるんですが、もうちょっと声が大きくないと。
吉田氏: あれってある程度の紙質を保証しないといけないし、当然だけど譜面がちゃんと読みやすいように、高精細な印刷ができないといけないし。
祖堅氏: 難易度の問題もある。弾けるものにしないといけないので。ゲームに実装されているものは、ゲームコンテンツに合わせて作っていると弾けないところもあるので、まあまあコストがかかるんですよ。それを回収するだけとなると、結構数を出さないといけないので。
吉田氏: 要望があれば出してあげたいけれど、赤字にしてしまうわけにはいかないので。
祖堅氏: 赤字にしてしまうと本編のサービスが。
吉田氏: 今回はいいけど、次回から誰も乗ってきてくれなくなるので。
祖堅氏: 合わせて、オケスコアもよく聞くんですが、オケスコアはピアノの譜面を作るよりも100倍くらいお金がかかるんですよ。ヘタするとウン百万。そんなポロンと出せるものじゃないんです。色んな部署といろんな権利をクリアしないといけないので、なかなか難しい。
吉田氏: 事業を続けるためには1円でも黒字を出して次のシリーズもできるようにとなると、一定数以上作らなくてはいけないので。だから声をたくさんいただけるのが一番いい。
祖堅氏: 出して欲しい人は仲間を集めて要望を出していただければ。
――パッチ5.1で戦闘ボイスが追加されました。追加されたことはたいへん嬉しいんですが、長年慣れ親しんだキャラゆえに違和感を覚えるボイスもあります。フィードバックを元に調整する予定はありますか?
祖堅氏: これは結構フォーラムでいろいろと書かれていて、僕も気にしてみていました。まず1つだけ説明すると、違う声が入ってると結構書いてありますが、それは違います。同じキャラを演じた人の声が全部入っています。
5.1で増えたのはなぜかというと、実はこれらの声は「新生エオルゼア」の時代から皆さんのデータの中にいたんです。これが実は使う予定がったんですが、それが5.1のタイミングでテクニカルな問題でご破算になってしまった。
せっかくデータが載っているので、一回解放してみようということになった。僕のミコッテはこんなこと言わないという声は結構でるであろうなと思っていたんですが、一回様子を見てみようと。
以前にガンブレードのSEの変更がありました。あの時、サービス開始直後から変更して欲しいというかなりの声をもらったので、変えてみたんですが、変えると変えて欲しくなかったという声が出てくる。今も元に戻してほしいという声は多いんですが、逆にこれが結構気に入っているよという声がどれくらいいるのかを言っていただければ。
吉田氏: 気に入っている人は声をださないんですよね。だから変えると、なんだよ気に入ってたのにもとに戻してくれとなる。100%の答えはないです。今回のバトルボイスは新生の時に全部録ったけれど使っていなかっただけです。同じ声優さんが全く同じ声優さんが全く同じ時期に同じディレクションで録っているけれど、自分の中にもうイメージができているので、そのイメージとは違う声が出るから違和感を感じるんだと思います。だからもう少しこのままにして皆さんが慣れるかどうかを確認したい。慣れてくださるならこのままにしたいし、どうしても慣れないなら元の状態に戻しましょうと。だからもう少し様子を見させてください。
祖堅氏: サウンドスタッフも悩んでいて、まだ答えは出ていない。
――「THE PRIMALS」が見たくてうずうずしています。そろそろライブはどうですか? 海外プレーヤーのための欧米ツアーもどうですか?
祖堅氏: どうですか?
吉田氏: 仕事次第じゃない? これは当然、祖堅もプレーヤーの声が多いからやらせて欲しいだし、音楽に係る部門の人も当然金になるからやりたい。アルバムも出すし、売り上げがたつし。だけど我々本業って、さっきの譜面の話と同じで、祖堅は我々「FFXIV」チームの中では音を作ってくれる大ボスなので、この人が不在になるとパニックになるわけです。「祖堅パッチ5.2の楽曲いつ発注したと思っているんですか? あと4曲ですよ」しかしレコーディングのマスターにいっていないとか。一方祖堅は、ツイッターでふざけんなこのスケジュールって書いてるわけで、プレーヤーさんからは「吉田もっと祖堅に休みをやれよ」と。俺一人で「ぐぬぬ」となってるわけですよ(笑)。いない祖堅にヘイトがいかないように、できるタイミングでやらせてあげたい。「THE PRIMALS」のメンバーもやりたいのはわかっている。でもここで俺が甘いと色々なものが破たんするので、タイミングを見てます。
祖堅氏: 来年かな?
吉田氏: あと、すごいこだわるの。サラリーマンと言うけど、周りはプロでしょ? コージが1人カラオケにいって練習するように、こいつも夜中ずっと練習してんの。なんだったら朝までノッて練習してて、「どうなってんだよ会議に来ないよ。電話もでません」と。 そうなったらアカンと。ちゃんと、ここだったらできるというタイミングに、例えば音楽業界の人がこのハコを用意できるのでというタイミングをまっているところです。
祖堅氏: それもあって、新しい若い血が育ってきているので。あいつらに頑張ってもらっています。
――漆黒のオケコンはいつやりますか? すでにオケコンロスで困っています。
祖堅氏: 一旦、これ(オケコンDVD)買って!
吉田氏: 僕ら2回やったじゃない。1回目は怖い者知らないから、4公演いくんじゃねというノリでやっていたら、フルオーケストラで5000人の箱4回ってバカじゃないと。
祖堅氏: 2万人呼ぶといったら、何言ってるんですか? と。
吉田氏: 辛いのは、当日、我々2人が燕尾服を着てタバコを吸っていたら、楽団関係者から「普通やりませんよね。埋まるわけないですよね」と。
祖堅氏: だから今日は絶対席が開いていると思って出たら、ぎちぎちで「ええーつ!」と(笑)。
吉田氏: まあ、それでさらに気合が入ってくださったし、黒字だったのでいいんですが、あの規模をやるのがどれだけ大変かって話で。
祖堅氏: むちゃくちゃたいへんですね。例に出すのは悪いけど、プライマルズの倍くらい準備が大変。
吉田氏: 「THE PRIMALS」は人数が少ないから、音を作るのも4、5人で詰めていけるけど、オーケストラになると指揮者、譜面にしてくれる人、映像チェックなど祖堅がすごく動く必要がある。こだわりもあるし。
祖堅氏: ライトとかね。
吉田氏: 俺は台本無しでステージあげられてしゃべれというだけだから、俺のコストは大したことないが、祖堅がとにかく半端じゃないので。僕らとしても喜んでくださるのでやりたい。できればいい音で。でもいい音でとなると、今度は箱が小さくなってしまう。大きな箱だとマイクを入れてPAでということになってしまう。小さい箱だと生音に近くなるけど、入らなくなる。
祖堅氏: それで争奪戦になってしまうしね。
吉田氏: それで何公演もやればいいじゃんと言うことになるでしょ? でも何公演もできない。体力も時間もないし。終始は大丈夫だけど、パッチが。また節目節目でちゃんとやれたらいいなと。
祖堅氏: そんなにコロコロ音楽興業はできないんです。やろうとはしてるんですよ。でも我々はゲームを作るのが本業なので、それを置き去りにしてはできないんです。
吉田氏: 僕らが手を放していいならできるかもしれないけど、ただその場合うちらのクオリティになるかというとわからない。
祖堅氏: プレーヤーさんがゲームに思い入れがあるからこそ、ちゃんとしたクオリティで出したいと、音楽興業ではいつも思っているので、適当なのは絶対に許さないので。
――強くてニューゲームでストーリーを振り返っているとボイスが欲しいな~と思うことがあります。過去のメインストーリーにボイスを追加することができますか?
祖堅氏: 技術的にはできますけど。
吉田氏: カットシーンは全部作り直しで、お金は全録りすればそこまでだけど。
祖堅氏:テクニカル的にはできるんですが、日本だけの話ではなくなるので。というので、これも要望がめちゃめちゃ多いならやらざるを得ないので。
吉田氏: そうなると最新パッチもフルボイスで、とならない?
祖堅氏: 最新パッチをフルボイスは無理です。期間的に無理。もっとシナリオを早くあげなくちゃいけなくなるから。
吉田氏: いまですら限界ぎりぎりなので、やめますとなってしまう。過去の「新生」だけだけフルボイスになりました、その1年後に「蒼天」がフルボイスになりましたということもなくはないけど、それでお客さんが劇的に増えるかというとそうじゃないので、その費用とコストをなにで回収するか。
カットシーンを全部作り直しと言うことになると、カットシーン担当者がやらなくていいところまでやりだす。変えなくてもいい所まで。昔のこの演出微妙だなと。
祖堅氏: 直したいと。
吉田氏: 俺が知らないところで直しちゃって、プレーヤーから言われるんですよ。前の演出がよかった。サンクレッドの宙返りの角度が違うとか。辛い辛い辛い(笑)。
祖堅氏:運営がこれだけ長くなるといろんな要望がありますからね。
吉田氏: 自分がヒカセンとして、フルボイスだといいなと言うのはすごくよく分かります。
――14時間生放送で出場される麻雀大会での意気込みを教えてください。
祖堅氏: 勝負に勝つよりも面白さを選ぶぞ!
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