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今年の世界一は中国!「ガンプラビルダーズワールドカップ2019世界大会決勝戦」
奥山氏がG40を語り、動くCGムービーも初公開
2019年12月9日 16:48
BANDAI SPIRITSは12月8日、ガンプラ作りの世界一を決めるコンテスト「ガンプラビルダーズワールドカップ2019」(GBWC2019)世界大会の決勝戦表彰式を、THE GUNDAM BASE TOKYOにて開催した。
世界の16のエリアから選ばれたファイナリスト28名による作品の頂点がここに決定。また当日は、「機動戦士ガンダム」40周年記念モデル「ガンダムG40」のデザイナーである、工業デザイナーKEN OKUYAMAこと奥山清行氏をゲストに招いてのトークショーも行なわれた。
イベント前半のトークショーでは、奥山氏がガンダムG40が生まれた経緯やデザインのポイントなどを明かした。そもそものきっかけは、奥山氏が2年ほど前にBADAI SPIRITSの静岡のホビーセンターに見学に来たことで、そこで何か一緒に企画をやりたいという話が持ち上がり、昨年ガンダムとガンプラの40周年に向けた企画として、ガンダムのデザインを依頼したという。奥山氏はファーストガンダムの世代であり、いつかこの世界でデザインしてみたかったという気持ちを持っていて、声がかかったときは「ついに来たか」と思ったそうだ。
いざ依頼が来てみると、限られたスケジュールの中でどんなものを作るか悩んでいて、同じ工業デザイナーで大学の大先輩であるシド・ミード氏がデザインしたターンエーガンダムを意識することも考えたが、今回はあえてその方向には行かず、「機動戦士ガンダム」が放映されてガンプラが出てきたときのインパクトを今の世代に発信するという方向性で考え、オリジナルの映像作品に登場するファーストガンダムをモチーフとした機体をデザインすることに決定した。
デザイン時にはファーストガンダムならではの特色を生かすために、“18mの本物のガンダムが実際に存在するとしたらどうなるか”ということを常に考え、作品内で生じていた矛盾点をKEN OKUYAMA DESIGNのチーム一丸となって一つ一つ解決していったという。
デザイン時には、ガンプラとして発売するときのスケールをどうするかもBANDAI SPIRITSと協議し、合体機構なども考慮されたが、コアファイターのデザインがほぼ最後の段階で行なわれたことにより、スケジュール的にそれはオミットし、ガンプラとして最もスタンダードなHGシリーズで発売することが決定。互いに密にやりとりをしながら、外観の再現と動きを両立させた「HG 1/144 ガンダムG40 Industrial Design Ver.」が完成した。
トークの後半では、このガンダムG40が登場する映像作品についても触れられた。ステージには「機動戦士ガンダム40周年記念 ガンダム×KEN OKUYAMA DESIGN×LDH JAPAN“G40プロジェクト”」のアンバサダーに就任したEXILEのMAKIDAIさんが登場。この映像作品のテーマソングアーティストに、LDH JAPAN所属のTHE RAMPAGEとFANTASTICSが決定したことを明らかにし、そのPVも発表となった。
PVでは、「機動戦士ガンダム」でアムロとシャアによるガンダム対シャア専用ザクIIが対峙するシーンで、奥山氏がデザインを手がけたガンダムG40とザクが登場し、戦いを繰り広げている。オリジナルのシーンを忠実に再現したCGアニメーションで、登場する機体はプラモデルのデータをそのまま使用しているという。連邦編とジオン編でそれぞれのモビルスーツにフォーカスされ、前者にはFANTASTICSの「TO THE SKY」、後者にはTHE RAMPAGEの「SHOW YOU THE WAY」がそれぞれBGMに採用。この完成映像は2020年の早い時期に、ガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」で公開予定とのことだ。
ガンプラビルダーズワールドカップ、ジュニアコースはシンガポール、オープンコースは中国が優勝
ここからは本題となる「ガンプラビルダーズワールドカップ2019」の決勝戦の結果が発表となった。本大会は14 歳以下の「ジュニアコース」と15歳以上の「オープンコース」が設けられ、BANDAI SPIRITSホビー事業部の川口克巳氏と安永亮彦氏、及び模型雑誌編集長2名の審査員が「工作」、「塗装」、「アイデア」の3カテゴリを100点満点(累計1200点満点)で評価し、その合計得点の上位3名が入賞者に決定。さらに今回は3部門の特別賞が設けられた。
ジュニアコースのチャンピオンに決定したのは、シンガポールのムン ヤン ティン シャーメーンさんの「M.Y.T.S. Doll Sarah(Rider Mode)」。ジュニアコースの中でも抜きん出た完成度で、コンテスト作品にありがちな派手に盛ることなく、コンセプトを絞り込むことで、見せたいものを丁寧に見せたことが高評価に繋がったと、審査員は評している。今年のジュニアコースは全体的にレベルが高く、協議にも激論を交わしたことを川口氏は明かしている。
そしてオープンコースのチャンピオンは、中国本土のショウ チュウシュンさんの「Dream」に決定。得点としては2位と70点差という結果となったが、審査員全員一致の1位に選んだ作品で、工作や塗装、そしてジオラマベースの作りなども含め、全てにおいてレベルが高く、粗が見つからない完成度で、何より作品が描く明るさや楽しさが、造形はもちろん色彩などからも伝わってくると審査員は評し、チャンピオンにふさわしい作品だったと賞賛した。
オープンコースの作品のレベルの高さは言わずもがなだが、ビルダーが見せたいものをどう見せるか、アイデアを懲らして作った作品が揃ったと川口氏。この結果を踏まえ、ガンプラ40周年と10回目の記念大会となる来年には、より完成度を高めた作品が集まることを期待させ、今年の大会は終了となった。
なお今回エントリーされた作品は全てGBWC2019の公式サイトにて見ることができる。また入賞作品は12月9日~2020年1月28日までTHE GUNDAM BASE TOKYOに展示されることとなっている。