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400年にわたる貴族の興亡を描くシミュレーション「Crusader Kings III」

7年ぶりのシリーズ最新作を「PDXCON」で発表

【Crusader Kings III】

2020年発売予定

 スウェーデンのゲームメーカー Paradox Interactiveのプライベートイベント「PDXCON」の会場で発表されたゲームが「Crusader Kings III」である。11世紀から始まるヨーロッパからエルサレム、あるいはイスラム教国側へ軍隊を派遣する「十字軍」がテーマとなっている。本作は2020年に発売予定。日本での発売は未定。

 「Crusader Kings III」では、プレーヤーは多数いる貴族の1人となり、400年近くの歴史を紡いでいく。血脈を次世代へとつなぎ、有力な家と婚姻関係を結び、支配地域を拡大していく。今作は特に広大な世界で、ヨーロッパのみならず、アフリカ、さらにはモンゴルなどでもプレイ可能になるという。会場では最新作ならではの要素が説明された。

【Crusader Kings 3 - Announcement Trailer - An Heir is Born】
「PDXCON」前日に、メディア向け発表会が行なわれた

モンゴルやチベットまでカバー! 400年間の血脈を描くシミュレーション

 「Crusader Kings III」は前作「II」から7年ぶりの新作ではあるが、実は「II」は7年間様々な追加パックが発売され、キリスト教圏だけではなくイスラム側でプレイできたりユダヤ教、仏教、ヒンドゥー教など様々な勢力も盛り込まれ、実に11もの拡張パックが発売された。「Crusader Kings III」はこういった要素を受け継ぎつつ、初心者にもプレイしやすいように各要素やインターフェースなどを刷新、チュートリアルなども盛り込まれるという。

 面白かったのが世界の表示。リアルな地形マップからより広い地域を表示するとシームレス各勢力に色分けされた世界地図へと変わっていく。当時のヨーロッパ人が見ていた“世界”、アフリカ、インド、モンゴルまでが表示される本当に広大な世界が今作の舞台となっているのが確認できた。今回はこの広大な地域や各要素を広げるのではなく、より深掘りしていく作品となるという。

時代を巡る貴族の1門を描くシミュレーション
地図は範囲を拡大することで手書き風に変化

 重視しているのが、キャラクター描写と、自由度、時代によるダイナミックな流れだという。プレーヤーは貴族一門の代表者をプレイしていくことになるが、その寿命は短い。それでもその短い寿命の中で様々なスキルを取得し、成長していく。グラフィックス的にもわかりやすく、年齢でキャラクターの顔は変化していく。また親と同じ鼻の形を持つなど遺伝的特徴も受け継がれるとのことだ。また高い知能(IQ)といった特性も次世代に引き継がれる場合もあるとのこと。

 キャラクターは「diplomacy(外交)」、「martial(武道)」、「stewardship(資産)」、「intrigue(陰謀)」、「Lerning(学習)」といった資質を持ち、それぞれに細かいスキルツリーが用意され、これを伸ばしていくことで強い長として影響力を持っていく。各項目の経験値を得ていくことでスキルツリーから様々なスキルを取得していくのだ。

 スキルはその長・個人の力を伸ばすだけではなく、一門全体に影響するものもあるという。影響力の大きいスキルは強い一方で、その長が死んだときの損失も大きくなるので注意が必要とのことだ。ゲームの要素としては「ブリーディングゲーム」の要素もあるとのことで、まるで競走馬の血統を育てていくような感覚もある。

スキルツリー。限られた寿命でどこまで獲得できるか?

 本作で大きな要素となるのが「Dynasty(王朝)」だ。これは一度選ぶと変更はできない。「Dynasty」の中で上の地位を目指すというのがゲームの大きな目的となる。Dynastyでは戦争を起こしたり、一門から破門したり、反対に名誉を失った一門を再び再興させたりできる。Dynastyで重要なのが一門の知名度。これを上げていくことで一門の地位を向上させていく。財力や陰謀などの駆け引きを行い、婚姻関係なども利用して地位を上げていくのだ。

 また、「Dynasty Legacies」というグラフィカルなパラメーターもあり、これらは条件をクリアしていくと絵の一部が開放され、絵がそろうと大きなボーナスが生まれるシステムだという。

 そして「信仰」である。価値観や、規律、信用するものや嫌うものなどの価値観を設定し、それを広げていく。プレイの仕方によっては新しい「宗派」を作ることすら可能だという。この宗派に関しては今作で力の入った部分とのこと。

 非常に複雑な要素が絡む「Crusader Kings III」であるが、ゲーム内の情報はわかりやすくしているとのこと。マウスのポインターを各項目に近づけると項目の説明がサブウィンドウで表示される。またゲーム内に検索機能があり「名誉」を検索すると、概要からこれに関するゲーム要素、たとえば、名誉はどうやれば上がるかなど、様々な要素がしっかりわかるようになっている。これは「II」から大きく進化し、プレイをしやすくさせるための重要な要素で、開発者が自信を持っている部分とのことだ。

様々なイベントが用意されている
どこまで勢力を伸ばせるかもチャレンジだ

 非常に興味深く、独特な味を持ったゲームと感じた。スケールの大きさから世界統一などはちょっとできなそうだが、歴史を紡いでいく中で、ある貴族の家系がどのように栄え、または衰えていったか、一門の代表者となっていく当主達のそれぞれの生き方を見ていき、世界の歴史の中で自分たちの家系がどのような影響を及ぼせるか、大きなロマンを感じた。

 前作はサイバーフロントが2012年に日本語版を発売しているが今入手するのは難しい。「Crusader Kings III」は非常に複雑でデータ量もものすごいが、日本語化されないと各要素を理解するのにかなりの英語力が求められる。ローカライズして欲しいタイトルである。