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「鉄拳」日本最強プロの座に輝いたのはタケ。選手!
「鉄拳プロチャンピオンシップ 日本代表決定戦 2019」レポート
2019年9月15日 09:35
「鉄拳7」のプレーヤーにJeSUのプロライセンスが初めて発行されたのは2018年2月、もう1年以上前のことだ。当初は4人しかいなかった鉄拳プロも、今では11人にまで増えた。しかしその傍ら、鉄拳eスポーツシーンの現状として、日本人プレーヤーの存在感は薄れてきている。パキスタン人がEVOチャンプになったり、韓国の強豪を圧倒するペルー人が現れたりと、鉄拳のプレーヤー層は急速に国際化している。
そんなイメージを払しょくし、再び存在感を示すべく、TGS 2019に鉄拳プロ全11名が揃った。本大会は「鉄拳プロチャンピオンシップ 日本代表決定戦」と題されており、優勝者はJeSUから「鉄拳日本代表」として認定され、12月に韓国・ソウルで開催される「第11回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」へ派遣される。
日本の鉄拳シーンを背負う者たちが、それぞれのプライドを懸けて挑んだ本大会。拮抗した試合の数々を勝ち抜き、見事優勝を果たしたのはタケ。選手だった。果たして彼は日本を代表して韓国へ旅立つほどの選手なのか、彼ならば「日本の鉄拳シーンはまだまだトップレベルだ」と世界に思い知らせることができるのだろうか。白熱した決勝戦の様子と共に、確認してほしい。
一日がかりの予選・本選を勝ち抜き、決勝戦で相まみえたベテラン2人
本大会はまず11人のプロの中から6名に絞り込む予選から執り行われた。予選はトーナメント方式ではなくスイスドロー方式が採用され、4時間ほどかけた総当たり戦が実施された。トーナメントでは時の運によって勝敗が決まることも多いが、スイスドローではそうはいかない。どうやらこの大会は、本気でプロ最強を決めるつもりのようだ。
過酷な予選を勝ち抜き、決勝のステージに上がったのはチクリン選手、ダブル選手、タケ。選手、加齢選手、ノビ選手、ノロマ選手の6名だ。そしてここからは、他の国際大会と同じトーナメント方式となる。実力のみならず、大会での勝負強さを持っていなければ国際大会には通用しない、ということだろうか。
若手で勢いのあるダブル選手とノロマ選手、努力の鬼とされるチクリン選手にダークホースの加齢選手、決勝トーナメントは誰が勝ってもおかしくない接戦続きになったが、そんないばらの道を潜り抜けて決勝戦に漕ぎつけたのはチームYAMASAの選手同士、タケ。選手とノビ選手だ。
「鉄拳6」の時代から国際大会で成績を残し続けてきた両名は旧知の仲だ。チームメイトとして、そして長く日本の鉄拳シーンを牽引してきたプレーヤー同士として、この決勝の舞台で戦うのには思うところがあるだろう。タケ。選手は防御と反撃の精度で知られるプレーヤー、ノビ選手は「攻めの鉄拳」を武器とするプレーヤーと、プレイスタイルは対照的な2人だ。日本鉄拳界最強の盾VS最強の矛の対戦と言ってもいいだろう。
この2人には、プロライセンスにまつわる1つの因縁がある。それは、2018年の闘会議で行われた「鉄拳7 Final ~Royal Championship~」でのこと。上位4名にプロライセンスを発行するという名目の下行われた大会であったが、この大会の決勝カードもこの両名だった。その時はノビ選手が勝利し、タケ。選手は屈辱を味わうこととなった。
鉄拳プロとしての国内大型大会で、再び戦うこととなった両名。タケ。選手としては、1年前の雪辱を晴らすべく、なんとしてもノビ選手に勝利したい。しかも今回タケ。選手はウィナーズで決勝戦を迎えている。ノビ選手より1セット分アドバンテージがある、心に余裕が持てる状況だ。両名が選択したキャラクターはタケ。選手は一美、ノビ選手はドラグノフだ。
本大会の大きなファクターとして、9月11日に配信されたばかりのシーズン3アップデートがある。このアップデートでは、全キャラクターに新技を含む調整が施されており、キャラクターのパワーバランスと組み合わせはシーズン2と比べて大幅に変わっている。
両名のキャラクターに焦点を当てて言えば、シーズン2で猛威を振るった一美は、弱体化が目立つ調整が施されているのに対し、ノビ選手のドラグノフは、シーズン2に比べて様々な点で強化されている。決勝戦は、ドラグノフの新たな強みを押し付けていくノビ選手VS持ち前の防御力で相手の攻めを捌くタケ。選手という構図になった。
強化された下段技シャープナーの存在によって、ノビ選手の代名詞ともいえる中段技のロシアンフックアサルトが光る。さらにノビ選手は壁際で積極的にダブルヒルトを狙い、シーズン3から強化されたウォールバウンドを駆使したコンボを決めていた。
対するタケ。選手は、ステージ選択権がある時は必ず無限ステージを選択していた。ノビ選手の高圧的な攻めを凌ぐため、壁の無いステージを選択したかったのだろう。しかしそんな作戦をよそに、無限ステージでもノビ選手が勝利し、ゲームカウント3-1で決勝戦はリセットとなった。これで1セット分のアドバンテージもなくなり、リベンジを果たしたいタケ。選手としては後がない状況となった。
リセット後、一進一退の試合が続く中、徐々にタケ。選手の防御が冴えてくる。投げへ対するファジーガードでの対処や、技の空振りに対する反撃など、負け試合の中からも、ノビ選手の攻めに穴を見つけていたようだ。
その後試合は2-2までもつれた。同じチームYAMASAの二人、やはり実力は互角ということか。ここでステージ選択権を与えられたタケ。選手。ここまでなら無限ステージを選んでいたとこだが、ここへ来て壁ありステージのヘリパッドを選択。攻めのノビ選手に対して攻めで打ち勝とうとする、勝負の選択肢だ。
この選択が功を奏したのか、最終ゲームはタケ。選手のペースに。弱体化されたはずの一美で堂々たる立ち回りを披露しノビ選手を圧倒、最後には壁際の攻防でノビ選手を撃破した。
「日本代表に恥じないプレイをしたい」
試合後、表彰式が執り行われ、優勝したタケ。選手は賞金150万円、準優勝のノビ選手は賞金60万円を手にした。さらにタケ。選手はJeSUから日本代表選手として選手されることが正式に決定した。
カメラに向かってタケ。選手は「この決勝の舞台でチームメイトのノビと戦えたのは本当に光栄でした。やってやろう、という気持ちよりは楽しもうという気持ちの方が強かったです。」と語った。1年前の雪辱を晴らせてよかったとすると共に、「もうノビさんとはやりたくないです、疲れるので。」と冗談交じりに語った。
最後のステージ選択に関して聞かれると、無限ステージを選択してもいい場面だったが、最終戦ということもあり、自分が一番好きなヘリパッドステージに全てを懸けたのだという。シーズン3の一美に関しては、弱体化した面はあるが、タケ。選手特有の防御重視の立ち回りは、依然一美の得意とするところなので、まだまだ一美は戦えるキャラクターとのこと。
取材陣から今後への意気込みを聞かれるとタケ。選手は、「今日戦ったプレーヤー、そして日本代表という肩書に恥じないプレイができるよう頑張ります」と力強く述べた。