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兵士1人1人に個性が見えるまさに夢のようなRTS「アンセスターズレガシー」
史実の戦いを再現しようという開発者達の執念
2019年9月13日 08:58
DMMのステージででデモプレイが行なわれたPS4向けRTS「アンセスターズレガシー」は、“質実剛健”という言葉を形にしたような硬派なRTSである。今回発売日が12月19日に決定した。価格は4,800円(税別)。
「アンセスターズレガシー」は中世ヨーロッパを舞台としたRTS。4つの勢力の攻防を描いた史実を元に、様々な資料でしっかりした考証を行なった作品である。もちろんオンライン対戦も大きな楽しさだが、史実を学べるキャンペーンが大きな魅力だという。
今回見ることができたのはRTSとしての出来の細かさだ。今回のデモプレイで行なわれたことは、兵舎の建設とそれによる進軍、敵勢力への進行と拠点の奪取、それだけだ。しかしそこに開発者の強いこだわりがあるのだ。
「アンセスターズレガシー」はカメラを近づけ、兵士1人1人まで見ることができる。RTSは多くの兵士を一塊の軍として使い、大軍を組織させて戦うゲームであるが、本作の兵士達は頭部や髪型も数パターンあり、所属している軍、そして兵科で姿が違うだけでなく、1つの兵科でも複数の装備がある。このため兵士1人1人にフォーカスすると、“個人”が見えてくるのだ。
だからこそ彼らの戦う姿はリアルだ。槍を突き刺し、引き抜く。押し倒したり、及び腰で突き刺したりその挙動は様々で、攻撃される兵士達も生々しい。兵士達のぶつかりようには600パターンものモーションキャプチャーが活用されているという。ユニット同士のぶつかり合いが凄惨な戦いの現場となっているのだ。
敵の施設を襲う様もリアルだ。火のついたたいまつを投げ入れると施設に火がつき、崩れ、消し炭となる。わらを満載した馬車に火がつけば隣の建物に引火しやすくなる。ゲームではこういった利用できるものをうまく活用すると有利に進めるという。一方で完全に破壊した建物はプレーヤー側の支配下になるのだが、そのときには魔法のように建物が復元され、プレーヤーの施設に変わるのが面白い。
もう1つ本作の面白いところが兵舎である。追加で兵士が必要なため、兵舎にコマンドを入れる。そうするとたちどころに兵士が生産……されないのだ。まず兵舎から出てきたのは布の服を着て槍だけ持った人達。彼らは兵舎の前でせっせと訓練し、そして兵舎に戻り、ちゃんとした「槍兵」に成長して出てくるのだ。兵士はアップデートで姿を変えるがその強化も画一的ではなくいくつかのパターンがある。この「リアルな感じ」こそが本作の大きな魅力なのである。
今回見ることができたのはあくまで基礎要素である。RTSプレーヤーはいかに操作性が良く、自分の思った攻め方を効率よくできるかそういう所が注目ポイントかも知れない。しかし、開発者は「基本をしっかり作りたかった」と言っているように筆者には思えた。
筆者はぶっちゃけてしまうとRTSは苦手だ。戦場を大局的に考えられず、様々な操作を有機的に組み合わせるのがうまくいかない。しかし兵士達がチマチマ戦っているところや、兵士を整え、軍を組織し、進軍し、敵陣を蹂躙するその楽しさは理解しているつもりだ。
「アンセスターズレガシー」はそういった軍を作り率いる楽しさを、たっぷり味わえる作品だと感じた。難しそうだし、マップはかなり歯ごたえがありそうだ。開発者のこだわりから見ても、戦場はかなり過酷そうである。……それでもとても魅力的に見えるのだ。価格も抑えめなところも好感が持てる。手にしてみてはいかがだろうか?