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暴風雨の中6,000人以上が盛り上がった「FFXIV FANTASY FESTIVAL 2019 上海」完全レポート
2019年8月11日 09:36
スクウェア・エニックスは、8月10日に「ファイナルファンタジーXIV(FFXIV)」の大規模オフラインイベント「FINAL FANTASY FESTIVAL 2019 上海(以下、FANFEST 2019)」を上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Center)で開催した。
おり悪くカテゴリー5の巨大台風に成長した台風9号が南から迫っており、前日の夜から吹き始めた暴風雨は当日朝になってさらに勢いを増した。そんな暴風雨の中、開場の1時間前にはすでに多くにファンが地下鉄や車から続々と会場へと入っていく姿が見られた。台風によるキャンセルもあったということだが、それでも6,000人を超えるファンが会場を埋め尽くした。
このレポートでは、台風の中熱く盛り上がった上海ファンフェスの様子をお届けしたい。
台風9号が襲来するも、動じないファンたちが結集
「FANFEST 2019」の会場は、中国最大のゲームショーChinaJoyでも使われている巨大なホールの1つ。エントランスと隣のホールを入場者用に使用していたので、2ホール以上を貸し切っての大規模な開催だ。1日だけの開催のため、開場は9時と早い。しかし、近づく台風の影響で横殴りの雨が吹き付けており、本当に人が来ているんだろうかと少々不安な気持ちで会場を訪れた。だがそれは杞憂で、傘を横に持って風を防ぎながら、続々とファンが集まりつつあった。
当初はどんなにひどい台風でも3~4時間も待っていれば通り過ぎてしまうだろうから、午後には晴れるのではないかと甘く考えていた。ところが台風9号は中国南部に上陸してからはほとんど停滞しているような低スピードでしか進まず、上海では朝から晩まで途切れることなく暴風雨が吹き荒れることとなった。
筆者は昼に一度会場の目の前にあるホテルに荷物を置きに戻ったのだが、わずか数百メートルの道のりを歩いただけで、膝から下が水浸しになるほどの雨だった。もちろん強風で傘はほとんど役に立たない。世界中いろいろな場所でファンフェスに参加してきたが、これほどの悪コンディションは初めてだ。イベントが無事開催できたのはまさに奇跡というべきか、無事開催を願うファンの願いが天に通じたというしかない。
「FANFEST 2019」は有料イベントで、入場料は498元(約7,500円)。参加者は20代が多かったが、彼らにとってこの金額は決して安いものではない。それでも、台風の中コスプレやファングッズを携えて集合した彼らの「FFXIV」愛には脱帽せざるを得ない。
中国版の「FFXIV」は中国の盛大遊戯あらため盛趣遊戯が運営をしており、グローバル版「新生エオルゼア」の約1年後にサービスがスタートした。現在はパッチ4.56まで追加されており、「漆黒のヴィランズ」を待っている状態だ。すでに速報でお届けした通り、このファンフェス冒頭の基調講演ではプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏より、中国版「漆黒のヴィランズ」が10月15日に発売することが発表された。
しかし、会場内を見て回っていると、新衣装のヤ・シュトラやウリエンジェ、サンクレッドを始め、水晶公やエメトセルクら多くの「漆黒」キャラクターのコスプレを見かけたり、手作りの「漆黒」キャラクター紙袋や、缶バッヂ、メッセージボードにはあろうことかネタバレイラストが描きこまれていたりと、かなりの人がすでに「漆黒のヴィランズ」をプレイしていることが見て取れた。参加者にそのことについて尋ねてみると、グローバル版に接続して日本語でプレイしているという人が多いらしいという話もあった。実際、通訳を介する間もなく吉田しらの問いかけに観衆が応えるシーンも多々あり、ある程度日本語を理解している人が多いのは間違いなさそうだった。
参加者はやや男性が多いが、女性ファンもかなり目に付いた。男女ともに公式ショップから事前に購入した赤い法被を着ている人が多くいた。この法被は、現在開催中の「紅蓮祭」で報酬としてもらえる法被と酷似しており、ねじり鉢巻きをしている人もいた。また、東京ファンフェスで購入したらしいグッズやTシャツを身に着けている人も多く、特に「FFXIV」には関係のない日本語Tシャツを着ている人も目に付いた。また、現在中国の少女たちの間で大流行中という、日本の学校の制服風ファッションの女の子も交じっていた。さらに今回のファンフェスでコラボが発表されたロリータブランド「ALICE and the PIRATES」の服や、それに類するロリータファッションに身を包んだ女の子たちも少なくない数がいた。なぜ「FFXIV」とロリータブランドなのかと発表を見た時にはいぶかしんでいたが、会場を回っているうちに納得できた。
ほとんど「FFXIV」のテーマパークと化した会場
「FANFEST 2019」では、他のファンフェス開場ではおなじみの蛮神チャレンジなどゲーム内コンテンツを使ったアクティビティがなく、代わりに「FFXIV」のテーマパークともいうべき多数のブースが観客を出迎えた。
会場に入って真っ先に目に入るのが、リムサ・ロミンサのエーテライトだ。ほぼ原寸大に近いサイズのエーテライトは、ちゃんと回転しており、手をかざせば街を訪れたばかりの冒険者気分を味わえる。エーテライト周辺には、「FFXIV」でも屈指の賑わいポイントであるリムサの白亜の広場が再現されている。ここは休憩や待ち合わせなど、ゲーム内と同じ各所への出発地点として使われていた。
その隣には、キャンプ・ドラゴンヘッドにあるオルシュファンの指令室が再現された記念撮影コーナーがある。部屋の中央には毛皮に乗った作戦机、奥にはオルシュファンの執務机、本人こそいないが机の上の小物や壁にかかったフォルタン家の盾など小道具まで正確に再現してある。唯一、オルシュファンの肖像画がかかっていること以外は、ゲーム内とそっくりに作ってある。参加者は机に座ってマグカップを手にくつろいだり、「イイ!」のポーズをしたりと思い思いのポーズで写真を撮影していた。
指令室の横には、これまた原寸大に近い巨大なゴールドソーサーのメインカウンターが作られていた。カウンターの周囲には、ちゃんと噴水まで再現してある。さらにカウンター内にはバニー姿の女性スタッフや、タキシード姿の男性スタッフがいて、ミニ・くじテンダーや景品の交換など、ゲーム内と同じように働いていた。
ゴールドソーサーエリアにはほかに、モンスター・トスや、ゲーム内に入ってのドマ式麻雀、モーグリキャッチャーやゲーム内からはなくなってしまった「特訓!ダンスマスター」風ゲーム、ゆらゆら揺れる板の上に乗って、角度でボールを転がす飛空艇ゲームなど多数のミニゲームを遊ぶことができた。ナマズオの蛮族クエストでおなじみの射的も、吹き矢をお手玉に変えて遊ぶことができた。
ゴールドソーサーのさらに奥、ステージから最も遠い壁際にはクガネの黄金通が作られていた。通りにはマーケットボードや太鼓橋もあり、橋は記念撮影ポイントになっていた。また、ナマズオ蛮族デイリーの報酬としてもらえる「オオナマズ神輿」も原寸大か原寸よりも大きめに再現されていた。こちらは神輿の横に据え付けられた階段を使って、ゲーム内と同じポーズで騎乗している感じの写真が撮れる。
ほかにも、「ビッグ・ファットキャット」に乗って、ギラバニアの空を飛んでいるような動画が撮れるコーナーや、男女のオメガと一緒に記念撮影ができるコーナーなどとにかく多くの記念撮影ポイントが作られたいた。さらに、会場のあちこちには色々なポーズをとったアルファがいるのも、世界を旅するアルファを見つけた時の喜びをそのまま会場で味わうことができた。
ステージイベントのトドメはやっぱりTHE PRIMALS
ステージでは、早朝の基調講演に続いて、吉田氏とアイテム班リーダーの林洋介氏がアイテムの発注から製作までの工程を、最新のエデン装備を例に解説した。初公開の史料や、今後中国で実装が予定されている装備のイラストも公開された。
ファンフェスではおなじみのコスプレ大会には47人が参加していたが、どれも非常にクオリティが高かった。ヨツユやシリナ、ヒエイら「紅蓮」のキャラクターだけではなく、エメトセルクや占星術師のウリエンジェなど「漆黒」のコスプレも早々と登場して会場を沸かせていた。
特にすごかったのが蛮神のコスプレイヤーたち。美しい羽根をリアルに再現したティターニア、髪の毛やパーツまで細かく作りこんでいたシヴァ、ソフィア、朱雀らが次々に登場。最後に登場したラクシュミは、巨大な台座こみのコスプレで、ラクシュミの戦闘中の姿を完全再現していた。
入賞したのは、なり切ったパフォーマンスが評価されたエメトセルク。布による立体感の表現が素晴らしいと祖堅氏が絶賛した「漆黒」のヤ・シュトラ。作りこみが評価されたソフィア。そして、圧倒的な存在感で会場を魅了したラクシュミが吉田氏によって大賞に選ばれた。
その後はザ・フィースト中国チャンピオンシップ、そしてTHE PRIMALSのライブが行なわれた。前回の中国ファンフェスではピアノコンサートだったそうなので、THE PRIMALSのライブはこれが初となる。それだけにファンの方も気合が入っており、開始の2時間前にはすでに大勢の人が場所取りのために並び、両手に持ったペンライトの振り方を練習している人もいた。
ライブには再び白虎の着流し姿で吉田氏が登場。今回は女性ボーカルのゲストがいなかったので、男性ボーカルによる「Oblivion 忘却の彼方~蛮神シヴァ討滅戦~」が披露された。他にもすでに定番となった「魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~」や「ローカス」、「RISE」や「次元の狭間オメガ:アルファ編3層」のBGM「eScape」などが演奏された。
「RISE」の時間停止では開場中のペンライトが一糸乱れずぴたりととまり、スポットライトの色に合わせてペンライトも瞬時に統一されるなど、リハーサルでもあったのかと思うような一体感でライブは最高潮に盛り上がった。
平坦な道ではなかった中国サービスの5年間
イベントの最後には盛趣遊戯の運営から、サービス5年目の感謝が述べられた。今でこそ、6,000人ものファンが嵐の中を詰めかけるほどの成功を収めた中国版「FFXIV」だが、サービス開始当初はかなり苦戦した時期もあった。しかし、開発と運営が辛抱強くサービスを続けた結果が5年目につながった。
用意された記念ケーキにナイフを入れた吉田氏は、次回はできれば2日間でやりたいと感想を述べていた。そして集まった中国のファンに対しては、平坦ではない道のりを支えてくれた中国の光の戦士たちに拍手を贈りたいと、ステージから会場に向かってスタッフが拍手を贈った。祖堅氏は、次回が2日間になったらピアノコンサートとライブの2本立てで、「5.0」のオープニングムービーのBGMを演りたいと言って、会場を喜ばせていた。
朝9時に開場してから、21時の閉幕まで実に12時間という長丁場のイベントは大盛況のうちに終了した。まだまだ暴風雨は続いていたが、隣の商業施設は元気に営業しており、ちょっと遅めの夕食を取りに行くと、どこのレストランも興奮冷めやらぬファンの集団で盛り上がっていた。
なかなか日本に伝わってこない、中国版「FFXIV」とそこで遊ぶ人たちの姿を目の当たりにしたいと思い、今回の取材に赴いたが、そこにいたのは世界中で見かけるのと少しも変わらない、ゲームに対して熱い思いと愛情を持ったファンの姿だった。両手いっぱいにグッズを買い込んで、家に帰ったらきっとすぐさまログインして、ファンフェスの感想を話しつつ何かのコンテンツに遊びにいくのだろう。
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