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Xbox One、ChinaJoyの出展規模を大幅に縮小
ついに中国版の販売を断念か。Project Scarlettによる巻き返しに期待
2019年8月3日 22:34
- 【ChinaJoy 2019】
- 8月2日~5日開催
毎年、Sony Interactive Entertainment Shanghai(SIESH)と隣り合わせで、中国コンソールゲーム市場を盛り上げていたXboxだが、今年は隣り合わせではなくなり、なおかつ出展規模も小さくなり、まるでXbox Oneを扱う並行輸入業者のような規模まで縮小していた。
中国政府の監督下にあるChinaJoyは、ホールの位置によって明確に序列が付けられている。会場となるShanghai New International Expo Centreは、三角形の構造をしており、各辺がN、E、Wの頭文字が付けられたホール群で構成されている。このうちNホールとEホールがBtoCエリアだが、入口から近いN1からN5までが“最恵国待遇”エリアであり、ゆとりのある均等なブースサイズに、クレーンカメラも設置できるたっぷりの客席エリアが設けられるなど、あからさまに優遇される。日本のメーカーでこの“最恵国待遇”を受けているのは、SIESH、バンダイナムコゲームス、DeNAの3社だけだ。
そしてN5の隣にあるE7からは露骨に扱いが変わる。ブースサイズもまちまちで、客席エリアもなくなり、雑多なエリアとなる。今年、SIESHは長年の取り組みが認められたためかE7からN5に“昇格”していたが、XboxはE7からE6に“降格”していた。
Xboxはブースサイズもさらに小さくなり、ステージもなくなっていた。メインタイトルは2018年リリースタイトルの「Forza Horizon 4」で、油断すると去年と変わらないのではないかと錯覚してしまうほどだ。
例年はE3で発表された最新コンテンツを、センサーシップを通さずにちゃっかり出展してしまうという大胆さがXboxブースの魅力だったが、Project xCloudやProject Scarlettのデモもなく、「Xbox Elite Wireless Controller Series 2」が参考出展されていたのが唯一のE3ネタという寂しい状況だった。
Project xCloudやProject Scarlettで巻き返しを図るつもりがあるなら、むしろ今が頑張り時であるはずだが、むしろ中国で真面目に展開する意思をまったく感じられなかった。この状態が続けば、Xboxは中国から完全撤退もありうると思う。
というのは、中国で真面目に展開する意思があるのであれば、SIESHの「ファイナルファンタジーVII REMAKE」のように、E3で出展した最新タイトルを簡体中文化し、かつセンサーシップを通した形で出展すべきだし、現地のデベロッパーとパートナーシップを交わしてオリジナルタイトルを生み出す努力をすべきだろう。
ところがXboxはそのいずれもしている気配がなく、ほぼすべて発売済みのアジア版を出展するに留めている。つまり、中国向けの中国版すら出展していないのだ。
ここで補足しておくと、中国版とは、中国政府のセンサーシップを通し、中国市場で正規に流通している中文簡体字版のことを指す。これに対してアジア版は、主に台湾、香港、韓国、東南アジア向けに出荷されているグローバル版と同じ内容の多言語対応バージョンで、中国語は繁体字のみならず、簡体字も入っている。PS4やXbox Oneはリージョンフリーであるため、中国でもアジア版がそのまま動くわけだ。
こうしたことから中国では実質的にアジア版も含めたソフトウェアラインナップでビジネス展開しているため、当然のことながら日本と違ってXbox Game Passも中国で利用できる。そういう意味では日本以上にラインナップは充実している。
しかし中国政府は当然のことながら、外国企業が中国国内でゲームコンソールを販売する以上、ハードだけではなく、ソフトも正規ルートで販売することを求めている。SIESHはそこに多大なリソースと時間を投入して、中国からグローバルへの展開を目指したChina Hero Projectを立ち上げ、発売に向けて努力を重ねている。
これに対してXboxは、もともと中国オリジナルタイトルの創出には消極的だったが、中国版タイトルのリリースまで消極的になりつつあるように感じた。公式サイトの情報を拾う限りでは、今年リリースした中国版は、1月29日に世界同時発売した「Kingdom Hearts III」が最後のようだ。
実際、Xboxブースの即売コーナーでも、ソフトの販売は一切なく、Xbox Oneとコントローラーのみの販売に留まっていた。中国でXbox Oneを扱っているE-Home Entertainmentが、中国版の展開を実質的に諦めて、本体のみの販売を行ない、「ゲームソフトはアジア版の並行輸入でどうぞ」という身もふたもない破れかぶれのスタンスで臨むのであれば、最悪中国でのライセンスの停止もあり得ると思う。
中国でのXbox Oneの状況は、率直に言って酷い状況だが、E3 2019でのXboxの盛り上がりを知る人間としては、せっかく付けた火を絶やすことなく、ぜひ次の世代での復活を期待したいところだ。