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クチューラの迫力が凄い! VR対応による魅力と課題を一挙紹介。 Nintendo Switch「スーパーマリオオデッセイ」、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」VR対応版体験レポート
2019年4月29日 10:26
- 4月26日アップデート実施
Nintendo Switch用アクションゲーム「スーパーマリオ オデッセイ」と、同じくアクションRPG「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の2タイトルが、4月26日に実施されたアップデートによって、新たに「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」に同梱された「VRゴーグルToy-Con」(※以下、「VRゴーグル」と略)に対応となった。
では、両タイトルがVRゴーグル対応になったことで、具体的にどこが面白くなったのか? 逆に、何か問題などは起きていないだろうか? そしてVRという技術の導入によって、新たな遊びが広がる可能性を示してくれたのだろうか? 以下、筆者がプレーしたうえで気付いた点をピックアップしてお伝えしよう。
より立体的な空間での音符集めが楽しめる「スーパーマリオ オデッセイ」
「スーパーマリオ オデッセイ」では、最初のメニュー画面で「VRであそぶ」を選択すると、帽子の国、料理の国、海の国を舞台に、ステージに隠された音符やコインを集め、9人の演奏者を探し出すことを目的とするVR専用モードが遊べるようになった。
プレイする際は、Joy-Conをいったん本体から外し、VRゴーグルに本体をセットした後にJoy-Conを再装着することになる。VRゴーグルには、頭部に固定するためのバンド類が付いていないため、両手でVRゴーグルおよび本体を常に持った状態でプレーする必要がある。
各種ジャンプ、キャッピー(帽子)を投げるなど、マリオの基本操作は本編と同じで、各ステージ(国)に3個ずつ配置された音符を探し出し、本編と同様に音符集めにチャレンジする。音符を取ると、さらに小さな音符がたくさん出現し、一定時間内に小さな音符を全部回収すれば成功となり、楽器が出現する。楽器を手に入れたら演奏者に手渡し、全3人分の楽器を渡せば、そのステージはクリアした形になる。
音符集めの際は、首を振ったり体の向きを変えながら音符の出現位置を探し出し、そこに向かってマリオをいかに正確に操作して導くかというところに、VR対応版ならではの楽しさがある。どの音符集めも、出現位置さえしっかり把握できれば操作自体はそれほど難しくないので、本作のエンディングまで到達できる腕を持ったプレーヤーであれば、一切苦労することなくクリアできるだろう。また、本モードでは万が一、谷底に落ちてもマリオのストックが減ったり、途中でゲームオーバーになることは一切ないので、何回失敗しても大丈夫だ。
ゲームとは別に、オープニングとエンディングのVR対応版も新たに見られるようになっている。さらに9個の楽器をすべて集めて演奏者に渡すと、ニュードンク・シティーでポリーン市長が熱唱するVRスペシャルライブも見られるようになる。マリオやクッパ、ポリーン市長が、まるで自身の目の前にいるかのような迫力を楽しめるので、こちらもぜひ一度は見ることをおすすめしたい。
と、ここで注意点をひとつ。VRモードで3つの国すべてをプレーするためには、本編でそれぞれの国がプレイ可能になっているセーブデータが必須となる。試しに、2番目の滝の国までしか行けないセーブデータを使用してプレイしてみたところ、最初の帽子の国しか選択できず、VR版のエンディング動画も見られないようになっていた。
自身の体の向きを変えつつ、画面のあちこちに出現した音符を探したり、音符の出現位置を立体的に測りつつ、そこに向かってマリオを動かすというアクション自体は楽しかった。とはいえ、今回の配信は音符集めだけで、おなじみのクリボーやノコノコなどの敵キャラとのバトルは一切なく、本作の大きな魅力である、キャッピーを使って他のキャラクターをキャプチャーして遊ぶ要素もまったくなかったので、ボリューム的には正直寂しい。欲を言えば、例えば滝の国に出現す巨大なティラノサウルスを操ってマップ上を暴れまったり、あるいはバルーンファインド(風船隠し)などのお遊びにも対応してほしかったところだ。
また、VRゴーグルを顔に当てつつ、Switch本体持った状態でしばらくプレーしているとどうしても腕が疲れてくるので、いわゆる「3D酔い」が起きないない人でも、ある程度プレーしたら休養を取ったほうがいいだろう。なお、VR対応モードはVRゴーグルを使わなくても遊べるが、これでは新鮮味も何もないので、やはりVRゴーグルを使用したうえでプレーすることをおすすめしたい。
景色は実に壮観だが、適度な休憩を入れつつのプレイは必至「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
「スーパーマリオ オデッセイ」はVR対応の新モードを追加したのに対し、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はゲーム全編がVR対応になった。VRゴーグルを使用してプレイする場合は、システムメニューのオプション設定で「VRゴーグルを使用する」を選択するとVR対応画面にが切り替わり、プレー中はやはり、休憩を促すメッセージが時折表示されるようになっている。
VRゴール対応にすると、山や塔のてっぺんに登ったり、パラセールを広げながら眼下を見下ろすと、今までよりもフィールドがより広く感じられ、景色も美しく見えるので実に壮観だ。また、「スーパーマリオ オデッセイ」と同様に、ハテノ古代研究所にいるプルアのような小さいキャラクターでも、近づくと通常プレー時よりもサイズがより大きく感じられ、眼前に立っているかのような迫力を堪能できる。
筆者が特に気に入ったのは、複数の敵と同時に戦った際のスリル感だ。特に、ボコブリンなどが住む敵のアジトなどにあえて真っ向勝負を挑み、多くの敵に囲まれて背後から攻撃されたときのスリル感は、VRゴーグル対応によってさらに増して面白くなった印象だ。
問題点としては、神獣内に出現するボスやライネル、ガーディアンなど、HPが高い強敵との長期戦となる場面では、どうしても本体を支える腕や目が疲れやすくなること。特に目(あるいは頭)については、弓を構えた際に画面の拡大縮小を繰り返したり、あるいは瞬間移動で視野から外れた敵を探すべく、アナログスティックで視点を急激に変える操作がどうしても頻発するため、かなり疲れやすくなる印象だ。日頃、「3D酔い」をしやすいという自覚がない筆者であっても、一戦を終えたらしばらくの間は休憩時間が必要になるほど厳しかったというのが正直なところだ。
リトの村などにある、らせん階段をしばらくの間ダッシュで移動したり、起伏の多い所で馬やマスターバイク零式、あるいは盾サーフィン状態で盾に乗っている最中も、視点が激しく動くので短時間で目が回りやすいのも難点と言える。また、試練の祠でも、柱やフェンス、各種ギミックがより大きく見えるようになり、いかにもトリックの仕掛けられた迷宮内に閉じ込められてしまったかのような迫力が堪能できるが、やはりリフトで移動したり、急激に飛び上がるシーンなどが続くと、どうしてもVR酔いしやすくなってしまう。
筆者は本作が大のお気に入りで、その理由のひとつが散歩、ハイキング気分で広大なハイラルの世界をのんびり歩き回っているだけでも楽しいと思えるところなのだが、VRゴーグルを使用するとすぐに疲れてしまうので、現段階ではそんな本作が本来持っている面白さと、VRの長所がうまく融合しきれていないという印象は否めなかった。
「3D酔い」対策は課題だが、既存タイトルでもさらに遊びの幅が広がる可能性あり
カメラワークがどうしても激しく変わる、または変えざるを得ないシーンが登場すると、時間を掛けてじっくり遊ぼうというわけにはいかなくなるというのが、現時点での筆者の見解だ。とはいえ、安価かつ筆者のような手先が不器用な人間でも簡単に組み立てられる「VR Kit」で、手軽にVRによる立体映像が楽しめることを示してくれたこと、および両タイトルとも無料でアップデートを実施した点は高く評価したい。
実現は困難かもしれないが、今後もVR関連サービスのアップデートを予定しているのであれば、「3D酔い」しにくいカメラワークや機能の追加などを切にお願いしたい。もし短時間でも疲れやすい難点を克服できたならば、たとえ旬が過ぎたゲームであってもさらなる付加価値が生み出せるようになり、ひいては新たなプレーヤー、市場の拡大につながる可能性も秘めているのではないだろうか?
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