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ポルシェ ジャパン、2019年に「グランツーリスモSPORT」でeスポーツに参入!

11月30日 発表

 ポルシェ ジャパンは11月30日、2019年のモータースポーツ活動に関する発表を行なった。発表会ではこれまで18年間開催されてきた「PORSCHE CARRERA CUP JAPAN」を2019年も拡大して行なうと共に、プレイステーション 4用リアル ドライビングシミュレーター「グランツーリスモSPORT」を使用したeスポーツの大会「Porsche E-Racing Japan」を開催すると発表した。

 発表会には、ポルシェ ジャパンの七五三木敏幸代表取締役社長と、ポリフォニー・デジタルの山内一典プレジデントが出席。七五三木氏は冒頭「ポルシェにとってモータースポーツ活動とは?」との問いに、ズバリ「DNA」と答え、重要な位置を占めていると答えた。そういった上で実際に現実世界で行なわれる大会はもちろんのこと、シミュレーター精度を高めてきているゲーム(レースシミュレーター)で開催されるeスポーツの大会についても、2019年は同様に力を入れていくと話した。

ポルシェ ジャパンの七五三木敏幸代表取締役社長
ポリフォニー・デジタルの山内一典プレジデント
七五三木氏と山内氏とでフォトセッション
ポルシェにとってモータースポーツは「DNA」

 発表会では、「Porsche E-Racing Japan」ついては「2019年に開催予定」という1点のみで、詳細は発表されなかったが、七五三木氏は「eスポーツの領域でも、モータースポーツの楽しさをアピールしていきたい」と意気込みを語った。

 イベントの後半では、山内氏も交えてeスポーツについてのトークセッションが行なわれた。七五三木氏はeスポーツ大会を行なうにあたり、「(現実の)モータースポーツとeスポーツで変わりはない。非常に盛り上がりを見せているeスポーツでも(ポルシェのモータースポーツの)DNAは活かせると思う」と参入の意味を説明。

 山内氏によれば「6年ほど前からFIA(国際自動車連盟)と『未来のモータースポーツのあり方を考えたい』と話をしていた」と切り出し、「グランツーリスモSPORT」の発売によりやっとそのスタート地点に立ち、モータースポーツをゲームの世界でもより現実的に展開することが可能になった。しかし、そうやって開催まで長い時間をかけた山内氏であっても、先日開催された世界大会「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018」でどのようなレースが展開されるのかは想像できなかったという。しかし実際に行なわれたレースは、現実のレースと全く同じだったと語り、「それは大きな驚きだった」と山内氏は振り返った。

 山内氏によれば「グランツーリスモSPORT」のユーザー約600万人のうち約350万人がネットワークでのレースを楽しんでおり、「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018」ではその各地域でのトップが集まり熱戦を繰り広げた。選手のレベルは非常に高く、速いのは当たり前。タイヤの摩耗や、給油のタイミングと給油量など細かくシミュレートされており、例えば給油を1秒(3リッター)余分に行なうことで、ポジションがどれくらいの位置になるのかといった点まで選手は計算しており、レースマネジメントもしっかり行なわれていたのだという。山内氏は「本物のレースがギュッと凝縮して展開されていた」と感想を述べた。

 七五三木氏は「グランツーリスモSPORT」について「極限までシミュレートされている」と感心していたが、山内氏は現実世界のドライビングと「グランツーリスモSPORT」内でのドライビングについて、「共通のテクニックが学べる」と現実との違いは無いことを強調する。

 現実のレースとゲーム内でのレースに違いがあるとすれば、レースへの参入障壁の低さだと山内氏。「PS4とコントローラーがあれば参入できる」と語り、誰もが手軽にドライビングを楽しめると語る。これには七五三木氏も「多くの人にレーシング体験をして欲しいので、レーシングの世界に入る敷居が低いのはありがたい」とコメントした。

 前述の通り具体的には発表されていないが、より多くの人に参加して欲しい意向から、大会の参加にあたっては大きな制限は設けずに開催される予定だという。

ポルシェ ジャパンによって「Porsche E-Racing Japan」が開催されることが明らかになった!

 山内氏は常日頃から「モータースポーツの裾野を広げたい」と語っており、今回のポルシェ ジャパンとの取り組みについても「関心を持ってもらえるし、より多くの人に楽しんでもらえる」として協力を惜しまないとコメントしている。「10年前は大会を開催して優秀な選手をプロドライバーに輩出する『GTアカデミー』などの活動を行なっていたが、今の時代はそうではなく、より裾野を広めることが重要(山内氏)」と、よりモータースポーツの現状に危機感を持っているようだ。

 ちなみに話題は「Formula E」にも及んだが、山内氏は「『グランツーリスモSPORT』でも(Formula Eのクルマを)収録してドライビング体験できるように話をしています」と語り、今後「グランツーリスモSPORT」において、電気自動車に関してもより取り組んでいく方針だと語った。

 最後に「グランツーリスモSPORT」プレーヤーにとっても「ポルシェは人気が高い」と言うことで、「プレーヤーにとっても今回の『Porsche E-Racing Japan』はビッグニュースだと思う」と山内氏。

 囲み取材のラストに記者陣から「七五三木氏は『Porsche E-Racing Japan』に出場されるのですか?」という質問が飛び出した。答えあぐねていた七五三木氏に代わり、山内氏が「シニアクラスを作ろうと思っていますので、それならどうですか?」と語りかけると、七五三木氏も「それならまだ現実的ですね」と前向きなコメントを残した。

がっちりと握手を交わす七五三木氏と山内氏。山内氏も「最大限協力するとコメント」
発表会で語られた4本の柱の内の1つが「Porsche E-Racing Japan」。ポルシェの本気度がうかがい知れる
もちろん、「PORSCHE CARRERA CUP JAPAN」についての話題も発表された。GT4車両を使用した新シリーズのスタートが発表された