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PS VR「Deracine(デラシネ)」発売記念イベントで、開発陣がゲームの魅力の秘密に迫った!

【Deracine】

11月8日 発売

価格:
3,000円(税別、パッケージ通常版)
4,000円(税別、Collector's Edition)
3,240円(税込、DL版)

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、PlayStation VR用アドベンチャー「Deracine」の発売記念イベントをヨドバシカメラマルチメディア Akiba似て開催した。当日は、SIE JAPANスタジオプロデューサーの山際眞晃氏、フロム・ソフトウェアの広報を担当する小倉康敬氏、北尾康大氏が「Deracine」の魅力を語るトークセッションなどを披露した。

【「Deracine」ロンチトレーラー】

 会場にはゲーム世界を表現した特設ブースが設置されていたが、この日のイベントにはこの日のために制作されたすずきらな氏による特製の黒板アートが飾られた。黒板アートで描かれていたのは、これまでの「Deracine」ではあまり描かれてこなかった、少年少女達が発売を喜んでいる姿だという。どこか暖かな雰囲気のあるアート作品に仕上がった。北尾氏は「タッチが『Deracine』っぽい」と語り、小倉氏は「ここまでやっていただいてありがたい」とコメントした。

この日公開された、すずきらな氏による特製の黒板アート
SIE JAPANスタジオプロデューサーの山際眞晃氏
フロム・ソフトウェアの小倉康敬氏
同じくフロム・ソフトウェアの北尾康大氏
MCを担当した荒木美鈴さん。フロム・ソフトウェアのタイトルが大好きで「1日28時間プレイしている(本人談)」

 トークセッションでは、ゲームの制作の発端までさかのぼった。「Bloodborne」のダウンロードコンテンツの制作打ち上げの頃の会合で、宮崎英高ディレクターからVRを使ったアドベンチャーゲームの制作のアイディアが披露されたのだという。その頃から様々な変遷を経て現在のようなスタイルとなったが、一貫して貫かれたコンセプトは「実在感と非実在感」だったという。そこにいるような感覚と同時にその場にはいないという相反する表現をどのように混在させるのかが焦点だったようだ。

 プレーヤーは、妖精としてゲーム内のキャラクターからは見えていない。逆にプレーヤーは目の前の存在しているキャラクターに触れることはできない。ゲーム内では時間が止まっているが、プレーヤーが様々なことに関与する瞬間に少しだけ状況に変化が訪れることがあり、その瞬間に登場キャラクターとの間に何か不思議な通じ合うような感覚を感じ取ることがある。ストーリーを追うだけでなく、VRを使っていることで生れるこれまでに無い感覚を表現している作品だ。

SIE JAPANスタジオとフロム・ソフトウェアによる初めてのVRのアドベンチャーゲーム
止まった時の世界を探索する
プレーヤーの中でヒントを紡ぎ上げ、ストーリーが繋がっていった瞬間の歓びを大切にしている

「Deracine」ではVRの特性を最大限に発揮するように様々な工夫をしているという。たとえば“のぞき込む”や、“回り込む”、“しゃがむ”などVRによる視点の移動によって様々な探索を楽しんで欲しいという。例えば通常の視点からは何もわからなくてもキャラクターの前に回り込むと手紙を持っていてその内容を読むことができるようになったり、しゃがむことで隠されていたものが見えるようになりアイテムとして取得できたり、探索が楽しいゲームとなっている。

 こういった探索の果てに得られる細かく設定されたアイテムやヒントの断片を集めることでストーリーを推測し、小説の行間を読むようにして、プレーヤー自身が妄想の果てにストーリーを紡ぎ出していく。フロム・ソフトウェアらしいタイトルとなっている。

 ゲーム内に登場するアイテムなどのテキストはすべて宮崎氏が手がけている。宮崎氏のゲーム内テキストの“作風”には多くのファンがついているが、山際氏や小倉氏によれば「いつもよりクセは強め」ということで、その膨大な台詞量も含め「テキストの部分を楽しんで欲しい」という。

会場で実際にプレイしながらゲームの気力を解説。さまざまなオブジェクトがあるが、それぞれに意味があるという
廊下にキャラクターがいる。後ろからの視点だが……
キャラクターに近づき、VRの特性を利用し、前に回り込んでのぞき込むと手紙を持っていたり、表情を見ることもできる

 また、今作ではキャラクターの存在感を大切にしているという。VR作品であるため、これまで以上にキャラクターの近づくことができることもあり、キャラクターが“そこにいる”という存在感にこだわったという。また、可愛いだけでなく不自然な部分がないことも重要。このため、海外で子役に演技してもらい、モーションキャプチャーやフェイスキャプチャーなどを行なっただけでなく、その後も足らないキャプチャーデータなどを日本で収録したりもしたという。それだけ“実在感”の表現にはこだわりをみせている。

 また、「(プレーヤーの)心が動くかどうか」といった物語部分や、「探索しているのが楽しいかどうか」を、トライアンドエラーでかなりの制作時間を費やしてゲームを磨き上げていったのだという。前述のように、プレーヤーの関与により運命が変わった瞬間に少しだけ時間が動くといった演出などを例に挙げ、北尾氏は「凄いところにこだわっているな」と感じていたという。

 北尾氏は来場者に「『Deracine』は人を選ぶゲーム。それでも興味を持ってこれだけの人が集まってきてくれたのは嬉しいです。この世界に没入できる、記憶に残るゲームになってもらえれば」と語る。小倉氏も「伝わりにくいタイトルですが、VR(のHMD)を被ったときの空気感を感じて欲しい」と続けた。そして山際氏も「やってもらわないと伝わらないと思う」と語る一方で、「宮崎氏にとっても私にとっても、アドベンチャーもVRも初めて。ゲームの制作者にとってゲーム作りに終わりはなく、『Deracine』も色々とやりたいことがある。でもそういった点も含めて大好きなゲームとなっています」と語り、イベントを締めくくった。

ヨドバシカメラ マルチメディア横浜ほか各店にて体験会が開催。体験者にはゲーム中のアイテムをモチーフにしたノートやポストカードがプレゼントされる。このノートがとにかく凝っていて所々にイラストが描かれており、雰囲気抜群の仕上がりとなっている
トークセッションの後には来場者への特典の手渡し会が行なわれた。ファンとじっくり会話を楽しんでいた。北尾氏によれば「フロム・ソフトウェアのファンの方が多いと思ってましたが、そういった方だけでなくシステムなどを調べてゲームの魅力を感じ取って来てくださった方も多く、嬉しかったです」とのこと
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