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「ドロー」なし!「先行/後攻」なし!運より実力重視のカードゲーム「アルテイルNEO」プレイレポート
2018年10月15日 12:00
コアエッジが手掛けるスマートファン向けカードゲーム「アルテイル NEO(以下、アルネオ)」。本作はPC向けカードゲームとして2004年から長きにわたって運営されている「アルテイル」から多くのシステムを引き継いだ、スマートフォン版の後継作といえるタイトルだ。「勝ち方は自分で決める」というキャッチコピーを掲げ、戦略性と自由度の高さを売りにしている。
現在事前登録を受け付け中で、事前登録者数は既に80,000人超。本作に対する期待の高さが伺えるが、実際にルールをみてまず驚くのは「先攻/後攻」や「ドロー」といったカードゲームでは当然に思える概念が存在しない点だ。これによって運の要素が一気になくなり、プレーヤーの実力そのものが勝敗に大きく影響するようになっており、戦術や相手との駆け引きが勝負の鍵となる。このほど先行プレイの機会を得たので、その魅力をプレイで得た感触を交えてお伝えしていこう。
実力がもろに出る「ドローがない」カードゲーム
本作ではプレーヤーが構築した25枚のデッキからコストさえ払えば好きなタイミングでカードを使用することができ、ドローを行なう必要がない。これにより、現在の状況や今後のプランに合わせた選択肢が常に存在するため、プレイイングの幅が非常に広くなっている。
カードを使用するためには、SPと属性値が必要。SPはカードをプレイしたり、後述の属性値を上昇させたり、カードのスキルを使用するのに用いる。他のカードゲームで言う「マナ」のようなものだ。毎ターン回復するが、常に全快まで回復するというわけではないので計画的に使用する必要がある。
また、カードには4色の属性のうちいずれかが設定さていると同時に、プレイするのに必要な属性値が決まっている。属性値は他のカードゲームで言うところの「土地」などと呼ばれるシステムに似ている。前述のとおり属性値はSPを消費して上げることが可能だ。
カードをプレイするだけでも多くの要素が関わっており、一見複雑に見えるが実際にプレイしてみると直感的に理解することができる。一方で、SPを様々な行動で使うことが自由度の高さにつながっているのと同時に、SPの管理が重要になっていることを意味している。
ライフですら「自分で決める」
本作の勝利条件は「相手のライフをゼロにする」というオーソドックスなものだが、ここにもこのゲームならではの要素が存在。それが「シールド」だ。25枚のデッキとは別に、プレーヤーを守る5枚のシールドを設定できる。このシールドにはライフが設定されており、プレーヤーのライフは初期値の1とシールドのライフを合計したものとなる。つまり、ライフの少ないシールドで構築すると総ライフは減り、多いものを選択すれば増えるというわけだ。
もちろん、ただライフの多いシールドを選択すればいいというわけではない。シールドには破壊されたときに発動する効果「シールドスキル」があり、耐久値が低いシールドほどシールドスキルは強く設定されている。
シールドスキルは逆境を覆す力を持っているだけではない。どのようなシールド構成にするかは構築を奥深いものにしているし、プレイの際には相手のシールドスキルを考慮しながら攻撃する必要が生じ、プレイング面でもリスクを管理した行動が求められる。このゲームの自由度と戦略性をより一層深めている要素だ。
同時進行型のシステムと「射程」で生まれる高度な戦略性
本作には先攻後攻の概念も存在せず、各プレーヤーが同時にカードをプレイしていくルールを採用している。両プレーヤーはどのカードを使うかを決定した後で同時にカードをプレイ、素早さが高いカードから順に行動していく。カードを出さない「パス」を選択することもでき、同時進行型のシステムを取ることで「先行/後攻」というカードゲームでは常に存在していた運要素すら取り払っている点も斬新だ。
プレイされたユニットカードは3×3マスのフィールドに召喚され、上述のとおり素早さが高い中に行動していくことになる。ユニットが取れる行動はいくつかあるが、最も重要なのは攻撃とスキルだ。スキルには何種類かあり、ユニットを公開したときに発動するものや、行動開始前に自動で発動するもの、任意で行動権を使用して発動するものなどがある。スキルの発動にもSPを使用するので強力なスキルでも連発していればいいというわけではなく、使いどころを考える必要がでてくる。
また、ユニットの攻撃には「射程」と配置が大きく関わってくる。基本的にユニットは射程範囲内にいる相手ユニットをランダムで攻撃する。射程が長いほど多くの敵を攻撃対象にできるが、一方で攻撃対象がランダムのため、射程が長いほど不確定要素が増してしまう。ピンポイントで攻撃したいならば射程が短いユニットのほうが効果的とも言える。
また、本作ではユニットがいない列は射程の計算ではカウントしない。射程1のユニットでも、目の前にユニットが1体もいなければ、2マス先のユニットにも攻撃できる。敵のユニットだけでなく、自軍の列に存在するユニットも射程の計算時にカウントされるため注意が必要だ。ユニットは行動権を使用して移動することもできるが、余分なターンを消費しないためにも召喚する場所が重要になる。
射程のルールは複雑なので、チュートリアルはもちろん、ソロプレイでも確認をしておきたい。ユニットをどこに配置するかで戦果が大きく変わってくるので、ここでも熱い駆け引きが生まれそうだ。
また、本作では倒されたユニットと同名のカードを捨て、SPを消費することで復活できる。1ターンに1枚しかカードを使用できないので、復活による盤面の維持は非常に重要だ。やみくもにカードを使ってSPを消費してしまうと、何かあったときに復活ができずそのまま流れを持っていかれてしまうリスクがある。お互いに相手のSP状況をみながら、常にリスクに見合った行動をとることになるだろう。
充実のソロモードと、「みんなでつくる」評価システム
本作にはランクマッチやフリーマッチの他にストーリーモードや詰将棋のような「ツメテイル」が存在する。ストーリーでは重厚な物語が展開されるとのことだ。本作は取れる戦略や自由度が非常に高い代わりにルールが少々複雑なので、これらソロプレイのモードでルールやプレイングを把握してから対人戦に挑むといいだろう。
また、本作の魅力のひとつとして「みんなで創る」をコンセプトとして挙げている点があげられる。カードの評価やレビューをプレーヤーが行なうシステムをゲーム内に実装したり、キャラクターの声優を一般による公募で行なったりと、今までのスマートフォン向けゲームでも中々見ることのできない取り組みを行なっている。特にプレーヤーによるカードの評価システムでは、カードに対するプレーヤー同士の意見交換が行なえる。これによって新たな戦術やプレイスタイルがどんどん生まれるのではないだろうか。
総評として、本作はSPの管理の重要性や、デッキ構築の奥深さ、射程周りのプレイング……とにかくいろいろなことを考える必要のあるゲームだ。しかし実際のプレイ感はカードゲームというよりむしろ、やや軽めのボードゲームをプレイしている感覚に近かった。
とにかく、複雑だからこそ味わえる戦略的な意思決定の楽しさを、スマートフォンのカードゲームで味わえるのは、歯ごたえのあるゲームが好きな筆者にとって非常に好印象だった。もちろんデッキ構築の奥深さなど、カードゲームならではの楽しさも詰まっているので、今までのデジタルカードゲームより奥深い対戦をしたいという人はぜひプレイしてみて欲しい。
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