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【特別企画】イギリス人BJ Foxが「Forza Horizon 4」を通してプチ帰国! イギリスの四季と“思い出の中のイギリス”、そして自分のレースゲーム愛を再発見したよ
2018年10月9日 11:59
日本で俳優・コメディアンとして活動しているBJ Foxです。
GAME Watchで連載コラム「コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ」をやっているから知っている人もいると思うけど、僕はイギリス人。基本的に1年に1回だけにイギリスに戻ることにしているが、今年は「Forza Horizon」シリーズの新作のおかげで、もう1回の帰国の機会を与えてくれたんだ。しかも、バーチャルで! 連載コラムでは、いつもお気に入りのゲームやプレイし逃したゲームを紹介しているけど、「Forza Horizon 4」は、母国のイギリスを舞台してくれたので、久々のレースゲームに挑戦してみたい。
イギリスにも四季がある! ってことを多くの日本人が信じてくれない……
イギリス好きの日本人は「当然じゃないか」、「そこまで説明しなくていいだろう」と思ってくれるかもしれないが、日本に住んでいる外国人がよく不思議に思うことの1つは、意外と高い頻度で「日本には四季がある」と日本人に真顔で言われることだ。それはまるで四季が存在するのが日本だけの特徴であるかのように。さりげなく自慢しているかのような口調で。
だから僕は「イギリスにも四季があるよ!」って返すと、向こうはハッとして、幼い時期から騙されてきたことに気づいたかのようにばつの悪い表情をする。僕は少し気の毒になって「日本には春、夏、秋、冬の他に梅雨もあり、日本は五季があると言えるのではないか?」、という新セオリーを提案すると、「四季でいいの!」と相手に少しキレられたこともある。とにかく日本人にとって「四季」は大事な存在のようだ。
確かに紅葉も桜も「季語」まである日本の文化は他の国よりも季節に敏感であるだろうが、「でもイギリスにも四季があるの?!?」というセリフはあんまりだ。そのおかしい状態を改善する武器がやっとできた! その武器の名は、「Forza Horizon 4」! それでは僕の母国イギリスを舞台とし、そしてイギリスの4つの移り変わる季節がフィーチャーされる「Forza Horizon 4」のプレイリポートをお届けするぞ。
実は、「Forza Horizon 4」をプレイする前には、少しナーバスだった。「Forza」シリーズを最後にプレイしたのはXbox 360の「Forza Motorsport 2」だったし、レーシングゲーム全体から離れてしまったからだ。それ以降、僕がゲーム内で車に乗る場合、その車を店から強盗したり、人から奪ったり、ズルい方法で手に入れて警察に追いかけられている状態ばかりになってしまっていた。
僕の勝手な意見だけど、レーシングゲームを大きく分けると、シミュレーションとアーケードという2種があるだろう。ブレーキを巧みに使いこなすやつと、ブレーキは適当でぶつかってもなんとかなるやつ。僕は完全に“ブレーキ適当派”となっているが、記憶では、「Forza」シリーズは「グランツーリスモ」と同様に“ブレーキしっかり派”のレースゲームの代表格だった。でも、ちゃんと調べてみると、シミュレーション寄りの「Forza Motorsport」と違い、「Forza Horizon」シリーズはアーケード寄りのオープンワールドだったことがわかって一安心した。「Forza Motorsport」がストイックな長男だとすれば、「Forza Horizon」の方はやや自由気ままな次男だから、この僕でも大丈夫かなと思い直した。
ということで、「Forza Horizon」シリーズの初心者、レーシングゲーム久々の人間、しかも自国に高いプライドのあるイギリス人として「Forza Horizon 4」に挑戦してみた。
最初に述べたいのは、このゲームの導入部分の素晴らしさだ。まったくの前知識無しにMcLaren Sennaに乗りこんで、イギリスの四季を巡るうちにシリーズの初心者である不安は、すぐ間になくなり、あっという間に世界最大のモータースポーツフェスティバルに引き込まれてしまった。
その後、ちゃんとしたチュートリアルがスタートして、丸々一年をゲームの世界で過ごし、移り変わる四季を順番に体験する。様々なレースタイプやプレイモードが紹介されて徐々に世界が開いてくる。ロードレーシング、ストリート、ダートレーシング、クロスカントリー、スタント、数え切れないほどの種類がある。
ストリートは、ご想像の通り割と真面目であり、クロスカントリーでは、コースのチェックポイントを通りながらも石垣をぶっ壊したり、羊の群れを散り散りにしたりしながらレースが行なわれる。それから割と早い段階で、アクション映画のスタントドライバーの仕事を頼まれ、戦闘機と必死に対決するレースまである。この序盤の部分だけで、兄貴の「Forza Motorsport」の違いと共通点と、「Forza Horizon」世界独自の遊び心がよく伝わってくる。レースゲームファンだけではなくすべてのゲームファンが楽しめる。
各ジャンルには、プチ「ストーリー展開」もあり、例え、ダートレーシングのレースをクリアすれば、その界隈で有名となり、それを主催する人物から、次のダートレースの選択がアンロックされて行く。全体の経験値(この世界だと、「影響ポイント」)を貯めながら、新しいジャンルのレースなどをアンロックされて行く感じだ。一見してマップも広くレースの数も多数でありオープンワールドゲームにたまにあるような、次にどうしようかとの戸惑いもなく、こうして分野化された方が次のステージへの道が丁寧でわかりやすくなると思った。
6~7時間ぐらいだろうか、最初の数時間はこのオフラインのイギリスでプレイする 。ある程度の経験値を貯めたら、次の季節へ行き渡り。そのシーズンでは、ある条件を達成して季節のショーケースイベントへ参加できるようになる。という繰り返しでゲーム内の1年間を過ごす。
正直僕はその1年だけで十分楽しめた。初心者である不安を全て取り除かれて、「Forza Horizon 4」の遊び方がこうだね、このゲームがこういうものだね、と決めつけた瞬間に、最初の1年間を卒業して、本当のゲームが始まった。あんなに満喫してた世界がただのチュートリアルだけで、ゲームの本格のスタートがこれからだなぁ、と正直に驚いた。
最初の1年間と、その後のレギュラーシーズンとの一番大きな違いは、オフラインとオンライン。その最初の1年間をクリアしたら、オフラインのイギリスは共有型オープンワールド、つまり「GTAオンライン」と同じく、他のプレーヤーとリアルタイムにシェアするオープンワールドに切り替わる。調べて見たら、シームレスに他のオンラインユーザーと接続されるのはシリーズの初であり、大きなアピールポイントだ。
この世界と一緒にシェアする他のドライバーとは、協力してもよく、対決しても良いし、無視しても良い。あるオンラインワールドと違って他のプレイヤーがゴーストモードとなっているので無視したい場合は邪魔とならないんだ。オンラインのコンテンツがアンロックされても僕は今まで通り「Forza Horizon 4」のイギリスの1人探索をそのまま続けた。
別にオンラインのコンテンツをディスるつもり全くないが、オープンワールドレースゲームの楽しさは格別で、こんなにレースの楽しさは久しく味わっていなかったからだ。
オンラインになったら、もう一つの違いは四季の移り変わり方だ。
そのチュートリアルの一年目は、ひとまず全ての季節を早いペースで体験できる。 オンラインになったら、1週間ごとに四季が変わり全世界のプレイヤーが同じ時間軸でプレイするわけだ。画期的なシステムで、このゲームを長く遊べるようにするための施策という気もするが、このプレイレビューのような集中的なプレイだと、少し裏目にも出てしまった。プレイしているこの1週間はずっと夏だった。このレビューを書いている現在では、秋となるまであと8時間で、正直楽しみしている。別に夏に飽きているわけでもないが、もう少し季節の違いをチェックしたいものだ。4つも体験できる最初の1年間の感覚だけで、プレイに影響に与える季節は冬だけだったという感触だったので、もうちょっと他の季節も体験してみたかったのだ。
冬は路面が凍結していて滑りやすく、他の季節で体験したコースが違うものにとなり難易度がかなり上がった。春、夏、秋は、ルックスが違うが、ゲームプレイが一緒と近い感覚だったが、もっとプレイしないとわからない。システムとして面白いかもしれないが、季節ごとに美しく再現されて、多くのゲーマーに全てを体験してもらうために、その変化をもっと早くしてもいいかもと思った。僕はたまたまに夏となって良かったと思う。もしこの1週間が冬だった場合、プレイ体験は相当違ったものになっていただろうと思われるからだ。
現実より美しいイギリスの田園風景。彼らは思い出のイギリスを再現したんだね
ということで、少しイギリスの再現について語りたい。もう美しい。もしかして現実より美しいかも……と書きたいんだが、“かも”ではなく、確実に、現実のイギリスより綺麗だね。これは、思い出のイギリスだね。
ロマンティクコメディに出てきそうなイギリスだ。「離脱問題」という概念が存在しないイギリス。昔ながらの教会や清水の滝まだもあるイギリスで、現代の「GTA」的なオープンワールドよりもファンタジーの風景と近く、「Skyrim」のようにそのままドラゴンが現われてもおかしくないくらい。このゲームプレイしてイギリスへ旅行したくなるに違いない。
この美しさにはイギリス人の僕でも行きたくなった! 「Forza Horizon 4」をプレイしている時、気持ちは半分楽しさ、半分懐かしさだった。天気もダイナミックに移り変わり、もちろんイギリス風に雨の日もあるが、それでも綺麗だった。秋の紅葉を背景に(そうだ、イギリスにも紅葉があるよ!)。そして雨が止み、太陽が差し込めてきた瞬間に、「やっぱり帰国しよう」とついに決断した。こんなにホームシックにさせられるゲームが他にあるのか? 海外に留学している日本人が「龍が如く」をプレイしたら同じ気持ちとなるだろうか?
マップとしては、イギリスの全土ではなく、絵葉書の田舎の風景らしいイングランドの中部からスコットランドの高地まで広がる融合したスタイルだ。日本人が好きそうなコッツウォルズと湖水地方もある。山、森林、可愛い村や都会まである。中には、目玉がスコットランドの首都であるエディンバラだ。最初にロンドンがなくておかしいなぁ、と思ったけど、その代わりその他のイギリスの良いところに焦点を当ててくれてありがたい。坂や水道橋などでいくつかのレベルに切り細く作り上げられている街である、エディンバラの再現も素晴らしく、レースゲームに相応しい町だ。
景色やコースに豊富でメリハリがあって、上にも述べたように、長く探検しても飽きない世界だ。僕はイギリス人だから、このゲームを少しプレイするだけでも機嫌がよくなるが、みんなもそうだったら嬉しい。本当にイギリス観光局よりもPlayground Gamesが素晴らしいイギリスの広告を作ってくれている。そういえば、「Skyrim」のドラゴン対「Forza Horizon」の無敵羊のバトルを見てみたいな。
オープンワールドにおけるコンテンツのボリュームのバランスは難しい問題だ。レースコンテンツに関しては、「Forza Horizon 4」はとても豊富であり、多すぎるぐらいだ。レギュラーシーズンが始まっても、導入部分よりもさらに多くのゲームモードが解放されてきて、ストーリーも深みを増してくる。中には、アクション映画のスタントをこなす「Stunt Driver」からレースゲームのヒストリーを女性ストリーマーと共に振り返るモードまであり、いい意味であちこちにモードに振り回される。
ただ、遊びながら少し思ったのは、世界ののんびりした景色と違って、ゲームデザインは非常に慌ただしいものになっているということだ。経験値システム(影響)、お金システム(CR)、スキルポイント、景品をもらうホイールスピンもあり……いつも何かを起こっている感じだ。逆に言えば起こりすぎている。
レースを繰り返していると毎回毎回何らかの景品としてクルマをもらうので、お金を貯めてクルマを買うという重要性が薄まってくる。このゲームには車の数が本当に多く、車好きな人が文句ないはずだが、ホイールスピンやアンロックなどで僕のガレージがクルマで混み合ってきてどれに手を出せばいいかわかりなくなった。特に車ごとにスキルポイントを使ってパワーアップできるようになっているので、様々な車を乗り回るよりも、好きな数車に絞りがちとなった。
なんかオプションが増えれば増えるほど、僕が好きな、イギリスの田舎の探索に戻りたくなった。でもそれこそオープンワールドゲームの強みだろう:プレイヤーに好きな遊び方を選ぶ自由度を与えることだ。オンライン、オフライン、どうぞ好きにして。高校時代のファミリーカーだったFord Focusで田舎のドライブを楽しむか、Lamborghiniなどのスーパーカーをマックスにチューニングの遊び方でもいい。
今回僕はあくまでもレースゲームのやや初心者としてこのゲームをプレイした。間違いなく「Forza Horizon 4」のおかげで「Forza」シリーズへの興味を取り戻したし、レースゲームというジャンルの楽しさも思い出すことができた。1本のゲームがそこまでの力を持っていることにただただ驚かされた。
それから最初はナーバスだったが、レーシングゲームのトレンドを知ることができて、次のレーシングゲームに自信を持ってアプローチできるようになった。「Forza Horizon 4」の真面目レースと遊び心がちょうどバランスが取れている。ストイックなレースゲームは私には無理で自信がないと思う人にもオススメできるゲームだ。
プレイレポートを書き終わった現在でも、もっとプレイしていきたい気持ちで一杯だ。それは1週間ごとに入れ替わる季節をもう1回味わったい気持ちだ、半分、まだだやり込めるモードもまだまだ残ってそれも十分プレイしてみたい。
イギリスにも四季があることを僕自身にリマインドしてくれてありがとう!