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オープンワールドレースの季節がやってきたぞ! 「Forza Horizon 4」ファーストインプレッション
「Forza 7」のゲームエンジンと強化されたライティングで味わうイギリスの田園風景
2018年9月12日 16:00
Microsoftは、オーストラリアシドニーにおいてアジアパシフィック地域のゲームメディアを対象にした「Forza Horizon 4」のプレビューイベントを開催した。プレビューイベントには、β版を用いた初のハンズオンが公開され、開発元Playground GamesよりアートディレクターのBenjamin Penrose氏が参加し、メディアインタビューに応じた。本稿では、「Forza Horizon 4」のファーストインプレッションをお届けしたい。
今回プレイできたのは、ほぼ最終版に近い開発用のビルド。といってもハンズオン用にいくつかの機能はマスクされており、たとえばクラブ機能やチームアドベンチャーといったオンラインマルチプレイの機能は利用できなかった。このため基本的にシングルプレイキャンペーンのみのハンズオンとなっていたが、オンラインマルチプレイを前提にしたコミュニティ要素の幾つかは体験することができたので合わせてご紹介したい。
今回プレイできた時間はは1メディア30分ほど。その後のフリープレイも含めても1時間前後というところで、まさにさわりの部分をプレイできただけだった。ただ、それだけのプレイでも、「Forza Horizon 4」が、シリーズ最高峰の出来映えで、従来の作品を遙かに上回る息の長いタイトルになりそうだという手応えを掴むことができた。
ゲームの流れは従来の作品と同じだ。イギリスでカーカルチャーの祭典「Horizon Festival」が開催され、プレーヤーはそこに参加者の1人として加わり、レースやチャンピオンシップをはじめとした各種アクティビティに参加して上位になり、名前を売っていく。名前が売れれば売れるほど、新たなエリアでのアクティビティが解放されていき、プレーヤーは最高のドライバーとなるべく更なる新たなチャンピオンシップに挑んでいく、というものだ。フェスティバルの演出はよりリッチになっており、主人公キャラクターをはじめ、様々なキャラクターが登場し、ショートストーリーを繰り広げる。演出面は充実しているが、基本的な流れは「Forza Horizon 3」までと同じと考えていていい。
ゲームの舞台は“イギリス”。これまでは米国コロラド州、南仏、ゴールドコーストと言った具合にかなり具体的な表現が使われてきたことに比べるとかなり抽象的な表現だが、実際にプレイしてみてその意味がわかった。どの都市、地域が舞台というよりは、イギリス全土のイギリスらしい風景をつまみ食いする形でオープンワールドが形成されているのだ。
たとえば、今回具体的な都市として北東エリアにエディンバラが再現されているが、ではエジンバラ周囲を再現しているかというとそうでもなく、ゲーム内のエジンバラの西側には、実際には遙か北方にあるスコットランドの山岳地帯が表現されているし、実際は遙か南にあるオックスフォードを彷彿とさせるような田園地帯や、UK中部に広がる深い森などもあり、どこまで行ってもイギリスらしい風景が堪能できる。
ご存じのように開発元Playground Gamesは、イギリス ウォリックシャーに拠点を構える英国のデベロッパーだが、本拠地が舞台になっているだけに気合いの入れ方がまた一段違っているようで、非常にフィールドのクオリティが高い。古い街並みや教会、記念塔といったイギリス固有のランドマークがひとつひとつ丁寧に再現されている。木々や道路といったシリーズ共通のオブジェクトも含めて、何一つ使い回したオブジェクトはなく、すべて新たに描き起こしたものだという。イギリス好きなら、ドライブしているだけで楽しめるはずだ。
ゲームのプロローグは、E3やGamescomで公開されていたプレイアブルデモと同じ、10分ほどで四季が体験できるデモンストレーションからスタートする。E3レポートでもお伝えしたように、本作のカバーカーにもなっているスーパーカーMcLaren Senna(マクラーレン セナ)による秋期ロードレースから始まり、続いて雪で埋もれた冬のダートコースをオフロードビークルで走る。春は雨や川の水しぶきで瑞々しい森林地帯を七色の煙をまき散らしながら走行する二輪バギーとともにバギーカーで疾走する。最後の春は再びMcLaren Sennaに戻り、上空を航空ショウさながらの編隊飛行でプレーヤーの参戦が歓迎される中ゴールする。このデモは、すべてシームレスに進行するだけでなく、本作の最大の特徴である“ダイナミックシーズン”システムのチュートリアルにもなっている。“つかみ”としては最高の内容だ。
その後は、キャラクターメイキングを経てプレイスタートとなる。今回は秋の季節でプレイしたが、実際にはそのときの季節からスタートすることになる。ローンチに合わせてプレイする人は秋からになるだろうし、1週ずれてプレイを開始した場合は冬に、そして春、夏と1週間ごとに強制的に季節が変わっていく。この仕様は、オフラインプレイ、オンラインプレイにかかわらず全ユーザー共通。1カ月で四季が回る形で、運営が行なわれていく。
走り出してすぐ気づいたのは、ゲームエンジンが「Forza Motorsport 7」相当にアップグレードされていることだ。フロントガラスへの細かい写り込みや、道路上のバンプを細かく拾う感覚、ややオーバーステア気味の挙動などなど。一言で言えば「Forza Horizon 3」よりもややピーキーでデリケート、繊細なドライビングが求められる。筆者は今回のイベントのために、「Forza Horizon」の感覚を取り戻すべく、「Forza Horizon 3」を数日プレイしていただけに、「3」との違いに驚かされた。スタートダッシュを掛けるつもりなら、「Forza Horizon 3」を引っ張り出してくるより、素直に「Forza 7」を走り込んだ方がいいと思う。
その一方で、「Forza Horizon 3」のオーストラリアに続いてイギリスが舞台で、日本と同じ左側通行の国ということで、日本人にとっては凄く走りやすい。舞台や挙動が違うので同じというわけにはいかないが、ロータリーが多いこともあって、前作とほぼ同じ感覚で走ることができる。
筆者は、レースはそこそこに、オープンワールドゲームとしてまだレースアクティビティの発生していない郊外の方まで足を伸ばしてみたが、そこで気づかされたのはマップの高低差の大きさだ。見上げるような山岳地帯がいくつもあり、山道からグングン上ることができる。そして高所からは雄大な風景が一望できる。北西のスコットランド山岳地帯を描いたエリアは、まさに山岳エリアとなっており、実際にてっぺんまで登ることができる。そこでは山を駆け下りるようなアグレッシブなアクティビティも用意されているようだが、この高低差というのはひとつのポイントだと思う。
グラフィックス面で感じたのは、ライティングシステムの強化だ。先述したようにゲームエンジンは偉大な兄貴分である「Forza 7」のものが使われている。ただ、トラックレースというほぼ静的な環境で展開される「Forza 7」に対して、「Forza Horizon 4」は昼夜天候の変化に加えて、オープンワールドで、かつ四季もあるということで、それらをリアルに再現するためにライティングシステムを強化している。
中でも印象に残ったのは、森の表現だ。従来の「Forza Horizon」シリーズは、パフォーマンスを維持するために簡易的なライティングシステムの実装に留まっていたため、草木はあっても森は存在しなかった。それは森を演出するためのライティングおよびシャドウイングシステムがなかったためだ。「Forza Horizon 4」ではライティングシステムを改良し、日差しが差し込めている時間帯に、スコットランド風の石の柵を越えて森林地帯に入ると、鬱蒼とした薄暗い空間が現出される。「Forza Horizon 3」では、本来ワールドマップでは森とされているところも、木々が点在するアフリカのステップ地帯のような表現だったのに比べるとまさに雲泥の違いだ。「Forza Horizon」シリーズのファンなら、「うお、森だ!」と衝撃を受けるに違いない。「Forza Horizon 4」ではこの森を舞台にしたアクティビティも多数用意されているようなので楽しみだ。
さて、先述したように、今回のハンズオンはシングルプレイのみだったため、マルチプレイについては言及することができない。Gamescomで正式発表された「チームアドベンチャー」は、従来のクラブ機能を、“同好会”から、“eスポーツクラン”に引き上げるという意欲的な新機能だが、今回は試せなかったため、これらマルチプレイについてはレビュー記事で詳しくお伝えするつもりだ。
現時点でマルチプレイについて判明したことは、「Forza 7」同様の、キャラクターカスタマイズ機能が追加されていることだ。キャラクターカスタマイズは、アバターを男女14種類から自由に選択できるだけでなく、上着、ジャケット、ズボン、靴、帽子、サングラス、着け鼻、グローブ、着ぐるみ、エモートの計11項目を自由にカスタマイズできる。「Forza 7」ではトータルコーディネートされたコスチュームだけしか変えられなかったのと比較するとかなり細かく個性が発揮できるようになっている。
アバター以外の10項目については、キャラクターのレベルアップや、各種アクティビティのクリア、ミッションシステム「FORZATHON」の報酬として与えられるホイールスピンでクルマと同等の“当たり”として手に入れることができる。
さらにこのキャラクターカスタマイズで注目したいポイントは、「Forza 7」にもなかったエモート機能だ。どこで使うかというと、対戦相手を待つ間の待機中の画面と勝利画面だ。シングルプレイキャンペーン中で衣装チェンジして1人で楽しむこともできるが、基本的にはマルチプレイ向けと考えて良いだろう。エモートだけで何十種類もあるため、ホイールスピンですべて集めようと思ったらかなりのやり込みが必要になりそうだ。
そのほか、ライセンスプレートやホーンなどのカスタマイズも可能。エモートの追加で、一気に個性をアピールできるようになった印象だが、肝心のマルチプレイモードは、どれぐらい深みがあるものなのか。その辺はレビューで明らかにしたいと思う。