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これが「Forza」シリーズのベスト! 「Forza Horizon 4」プレビュー

毎週季節が変わる。4つの季節で4倍愉しめる次世代オープンワールドレースゲーム

【Forza Horizon 4】

10月2日発売予定

価格:6,950円(税別)

 偶数年は「Forza Horizon」の年ということで、Xbox Briefing 2018ではシリーズ最新作「Forza Horizon 4」が正式発表された。「Forza」シリーズはBriefing内で毎年ユニークな演出を行なうことで知られるが、今年はなんと秋の風物詩である“木の葉”が大量に客席を舞った。

 速報記事でもお伝えしたように「Forza Horizon 4」は、レースゲーム史上初めて“ダイナミックシーズン”システムを導入し、1つのゲーム内に完全に独立した4つの季節が導入される。これまで特定のコースに特定の季節が導入されたことはあったが、オープンワールドレースゲームの世界に、四季が導入されるのは初めてのことだ。

 また、Xbox Briefingではサプライズとして、開発元のPlayground GamesがMicrosoft Studios傘下となり、さらにリリースと同時に定額サブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」でプレイできることも明らかになった。今回、「Forza Horizon 4」の試遊と、デモセッションを受け、たっぷり情報を仕入れてきたのでプレビューをお届けしたい。

【Forza Horizon 4 - E3 2018 - Announce Trailer】

【Xbox Briefing 2018】
「Forza Horizon 4」のデモではオンラインマルチプレイの途中で、秋に変わるところで木の葉が舞った

【Microsoft Theater】
今年、Microsoftは、E3会場での出展を止め、Xbox Briefing 2018を行なったMicrosoft Theaterを解放して新作のデモを行なっている。そう、Microsoftは今日からE3が始まっているのである

デモを行なってくれたPlayground Gamesのおふたり

 「Forza Horizon」は、「Forza Motorsport」シリーズのスピンオフとして、オープンワールドの中を自由に走れるオープンワールドレースゲームとして偶数年にリリースされてきたシリーズだ。1作目は米国コロラド、2作目はイタリアアマルフィ、3作目はオーストラリアゴールドコーストをそれぞれモチーフにしたオープンワールド世界を舞台にしていたが、4作目となる「Forza Horizon 4」では、満を持して開発元Playground Gamesのお膝元であるイギリスの田園地帯が舞台となる。

 基本情報から紹介していくと、グラフィックス周りは「Forza Motorsport 7」と同様、4K/60fps/HDRとなる。「Forza Horizon」シリーズは情報量の多いオープンワールドかつシームレスなマルチプレイを実現するため1080p/30fpsをベースに、PC版「Forza Horizon 3」のみ60fpsを解放していたが、「Forza Horizon 4」では、Windows 10 PC、Xbox One Xの両方で4K/60fps/HDRを実現する。

 登場車種は450種。「Forza Motorsport 7」の700車種には及ばないものの、前作「Forza Horizon 3」よりも100車種ほど増えたことになる。カバーカーはMcLaren Sennaで、爆発的な加速力と、未来的なセクシーなシルエット、そしてブレーキに合わせてリアウィングが動く仕様がたまらない。今回のデモではこのMcLaren Sennaのほか、Dodge Viper ACR、Porsche Cayman GT4の3種類から選ぶことができた。

【イギリスの田園地帯が舞台】
カバーカーのMcLaren Sennaでイギリスの田園地帯を走る
イギリスの田園地帯はクラシックカーが似合う

 基本的なゲームデザインは、過去のシリーズから変わっていない。イギリスの片田舎で行なわれるHorizon Festivalに参加し、様々なレースにトライして名声を獲得し、ホライゾンスーパースターになろうというもの。

 本作の最大の特徴は冒頭でも紹介したように四季があるということだ。従来は昼夜と天候の概念があり、季節は緑の美しい春から夏頃に限定されていた。これが「Forza Horizon 4」では、従来の昼夜と天候の概念に加えて、さらに四季を用意している。これは言い換えれば、コース特性の異なる似て非なる4つの世界が盛り込まれるのと同意であり、Playground Gamesはとんでもないチャレンジを本作でやってのけている。

 気になるのは季節の移り変わりをどう表現するかだが、これはさすがにリアルタイムというわけにはいかず、正式リリース後、現実世界の1週間サイクルで春夏秋冬を入れ替えていくという。「オフラインで特定の季節だけを遊び込むことはできるか?」と質問したところ、「それはできない」との回答。全員平等に季節が回るため、吹雪が吹き荒れ、路面が凍結する冬の季節は、お気に入りのスーパーカーはガレージに収めて、オフロードカーで若干大人しく走るしかなさそうだ。

【古民家】
デモで見た古民家。この家は実在し、オフィスの近くにあるという
「Forza Horizon 3」よりも美しくなったHDR表現
冬の古民家。これは上記とは異なる家だが、雰囲気がガラッと変わるのがわかる

 デモでは、実在するイギリスの古民家の四季の移り変わりを見せてくれた。秋は紅葉が綺麗で、冬になると草木は枯れ、雪が降り、川が凍結する。春になると雷と共に雨が降り、草原をウサギが駆け回り、小鳥のさえずりが聞こえるといった具合で、4つの季節を完全に別個に用意していることに驚かされた。

 今回の発表は目玉の四季の要素のみで、このほかにもブループリント(カスタムレース)や、ガレージ(車庫)、シングルプレイベースのアドベンチャーモード、チームベースのオンラインモードなども用意しているということで、これらの情報は8月のGamescomまでに順次語られるようだ。

【昼夜天候四季のあるオープンワールド】
信じられないかもしれないが、すべて同じゲームのスクリーンショット。未だかつて無い多様性が、充実したドライビング体験をもたらしてくれる

今回のデモは、1回で四季が楽しめる仕様に
まず3種類から1つの車を選ぶ
冬で乗るPOLARIS RZR。オープンワールド全体が冬というのはゲームになるのか一抹の不安があるが、逆に無茶苦茶おもしろい可能性もある
今回のメニュー画面。デザイン性を重視したポップな造りになっている
ソーシャル画面。まだ全体像は不明だが、オンライン機能はより強化されそうだ

 さて、デモの後は、たっぷり試遊してみた。「Forza」シリーズは、E3向けに用意されたデモ専用ビルドの出来が極めて優れているが、今回は群を抜いて良かった。ワンプレイで4つの季節をすべて堪能できるようになっていて、「Forza Horizon 4」の魅力が堪能できるようになっている。

 秋は、先述したMcLaren Senna、Dodge Viper ACR、Porsche Cayman GT4の3種類から1台を選んで、紅葉が色づいた美しい直線主体の公道コースで加速し、160マイルを目指す。遙か遠くまで見渡せる美しい紅葉地帯を葉っぱを巻き上げながら疾走し、途中羊の群れを抜け、美しい紅葉を堪能すると、季節が冬に切り替わる。

 プレーヤーの視点はポラリスのオフロードビークルPOLARIS RZRに切り替わり、夜間、凍結した荒野を、ヘッドライトとチェックポイントで炊かれるスモークとライトを頼りに疾走していく。オフロードビークルながら、路面はまったくグリップしてくれずツルッツルで滑りまくる。美しい風景を堪能しながらMcLaren Sennaで160マイルでぶっ飛ばしていた秋のレースと、この冬のレースが同じゲームとはとても思えないほどだ。

 グラフィックスの演出も素晴らしく、フロントガラスに叩きつけられた雪や路面が、コースの目印として使われているカラフルなライトを取り込み怪しい光を放ったり、空気が澄んでいるためかコース隣の遊園地のライトがキラキラ輝いて見える。この雪原コースを完走すると季節は春に変わる。

 春はラリーカーによるダートレースで、空は晴れているが、雨は続いており、道もぬかるんでいる。さらに「Forza Horizon」らしい演出で、なぜか複数のモトクロスバイクが色とりどりのスモークを吹かせながら、アクロバティックな走りで伴走してくれる。カーブに合わせてドリフトを決めると、ガッツリボーナスポイントが加算され、ところどころ大ジャンプができる場所も設置され、ひたすら走るのが楽しいコースだ。

 そして最後は夏となり、秋で選択したスーパーカーで再び高速公道レースが展開される。ライバル達は、次から次に左右からコースに飛び込んできて、それらライバルカーを避けながら1位を目指す。上空では、編隊を組んだジェット機がカラフルな煙と轟音をまき散らしながら数回にわたって飛来してくる。そのやかましさはラジオのボイスが聞こえなくなるほどだ。絶え間ない音と映像の演出に、ダンサブルなBGMと相まって、走ることに最高の喜びを感じてしまった。「Forza Horizon 4」は歴代の「Forza」シリーズの中で群を抜いて手触りがいい。

 筆者は個人的に「Forza」シリーズは、「Forza Motorsports」シリーズよりも「Forza Horizon」シリーズの方が好きだ。レースゲームの遊び方は、右トリガーを押し込み、アナログスティックで操作するだけと極めてシンプルだ。言い換えれば、レースゲームはひたすらそのことを繰り返すゲームだ。このシンプルなゲーム性に、如何にエンターテインメント性を詰め込むか、「Forza Horizon」シリーズはひたすらそのことにチャレンジし続け、際だった結果を残し続けている。

 さらに個人的な意見を言えば、「Forza Horizon」シリーズは「Forza Horizon 4」をもって、「Forza Motorsport」シリーズを完全に超えたと思う。平等な条件、あるいはピーキーなセッティングのフォーミュラカーで何十周も走ることに楽しみを見いだせるのはごく一部のレースゲームファンだけだと思うが、夢のスーパーカーでイギリスの美しい田園地帯を疾走するのは誰が走っても楽しい経験だ。

 しかも、昼夜天候のみならず、四季まであるとなれば、ドライブゲームとしても前代未聞の楽しさをゲームファンに与えてくれるだろう。まだ、細かいゲームモードやオンライン機能、コミュニティ要素、細かい収録車種を伏せている「Forza Horizon 4」だが、シリーズ最高の出来映えになりそうな手応えがある。Xbox OneユーザーはXbox One Xで、そうでないユーザーはゲーミングPCで。10月2日の発売までに、新世代のオープンワールドゲームを遊ぶ準備をしっかり整えたいところだ。