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ソニー・インタラクティブエンタテインメント・織田博之氏インタビュー
「プレイステーション クラシック」店舗販売あり、「携帯ゲーム機の後継機は現時点でお話できる計画はない」
2018年9月20日 20:01
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、『SIE』)は、SIEの日本ビジネスオペレーション部門 部門長の織田博之氏へのメディア合同インタビューを実施した。
昨日の発表から、本日にはPlayStation Plus加入者限定の抽選先行予約も開始された「プレイステーション クラシック」をはじめ、プレイステーション 4やPlayStation VRなど、各種の今後の展開についての質疑応答がなされたので、その内容をお伝えしていこう。
「プレイステーション クラシック」は記念となる数量限定のファンアイテム。一般店舗での販売もあり
――「プレイステーション クラシック」は国内版と海外版とで収録タイトルが異なるということですが、だいたい何タイトルぐらいがそうなるのでしょうか?
織田氏:今は5タイトルだけを公開させて頂いていて、残りの15タイトルについてはまだ本日はご紹介できません。そのため、異なる収録タイトルについてもお答えできないです。追って公開させて頂きます。
――収録タイトルが異なるというのは、日本版と海外版という違いなのか、それとも日本、北米、欧州といったように複数のタイプがあるのでしょうか?
織田氏:そちらもまだお答えできません。
――収録される20タイトルはどういう基準で選ばれたのでしょうか?
織田氏:「人気が高く、たくさんファンの方もいらっしゃる、プレイステーションを代表するような作品」という基準で厳選して選ばせて頂いております。
――出荷数についてはどれぐらいの予定になっているのでしょう?
織田氏:今回は限定販売という形を取らせて頂いておりまして、具体的な出荷台数についてはお答えできません。
――日本では先ほどPlayStation Plus加入者限定の抽選予約受付を開始されましたが、この販売で、購入を希望される多くの人の手に行き渡るのでしょうか?
織田氏:なるべくたくさんの人に購入して頂けるように数を用意する予定ですが、なにしろ昨日の発表に対して弊社の予想を上回る反響を頂きましたので。それを踏まえて販売させて頂こうと思います。
――限定販売という製品ですと、いわゆる「転売問題」が気になります。そういう行為のターゲットになってしまうのでは?
織田氏:本日開始した抽選予約はPlayStation Plus加入者限定というもので、PlayStation Plusの会員ナンバーが必要になるという条件があります。そのため、お1人様ひとつという抽選になるかと思います。
――一般店舗での店頭販売はあるのでしょうか?
織田氏:予定しております。追ってご連絡させて頂きます。そちらでの転売については、各販売店様でいろいろと転売を防ぐ施策も考えられていると思いますので、各販売店様で対応頂きたいと思います。
――今後、初代プレイステーション以外の機種の復刻については考えられているのでしょうか?
織田氏:今日の段階では他にご案内できる情報はございません。
――PlayStation Plus加入者限定の抽選予約ということですが、これは長く会員でいる人も、この予約のために今から無料のコードで加入したという人も、横並びで扱われるのでしょうか?
織田氏:はい。
――コントローラーの端子やセーブデータの仕様などは、「プレイステーション クラシック」用のオリジナル設計のものになっているのでしょうか?
織田氏:復刻版として今回は新しい仕様で設計しています。以前に初代プレイステーションで使われていた周辺機器やセーブデータは「プレイステーション クラシック」ではご使用できません。
――コントローラーの端子も「プレイステーション クラシック」用に設計されているのでしょうか?
織田氏:はい。
――「プレイステーション クラシック」を発売することになったきっかけは?
織田氏:初代のプレイステーションは、1994年12月3日に発売されました。今年の同日で25周年を迎えます。そのタイミングに記念となる製品を発売しようということで進められました。
――発表された映像で見る限り、背面にはHDMI端子とUSB端子の他になにかフタのようなものが写っていたのですが、あの中には、なにかギミックがあるのでしょうか?
織田氏:これはデザインの見た目だけを再現しているもので、中身は何もありません。
――「プレイステーション クラシック」をきっかけに高い年齢層の人の関心も向いているかと思います。シニア層と言ってしまうと乱暴かもしれませんが、そういった層の人についてはどのようにお考えでしょうか。
織田氏:24年前からプレイステーションプラットフォームでゲームを楽しんで頂いているという人には、引き続き楽しんで頂きたいと思います。今、シニア層という言葉がありましたが、私の私見ではシニア層の方々は非常に元気ですよね。非常に積極的で、消費行動もそうです。そういった皆さんに「プレイステーション クラシック」を楽しんで頂くだけでなく、最新のタイトルも楽しんでもらえたらと思います。
――「プレイステーション クラシック」のターゲットは、ゲーム離れしたかつてのゲームファンなのかと思えるのですが、一方で今日の予約はPlayStation Plus加入者限定というゲームに対して現役の人が対象です。コンセプトはどちらなのでしょう?
織田氏:復刻版ということもございまして、コンセプトはファンアイテムということになります。それを欲しいと思って頂ける全ての人が対象ということになります。
――ファンの期待に応えるという意味では、状況によっては数量限定であることを再検討したりといったこともあるのでしょうか?
織田氏:今回の「プレイステーション クラシック」に関しては数量限定という形のままで発売させて頂きます。数量を増やしたり、多くの人に手に取ってもらえるようにするというのは、今日すぐにはお答えできないのですが、貴重なご意見として考えたいと思います。
――転売目的の人が現われて高騰してしまったという場合でも、数量限定を基本としたいという考えでしょうか?
織田氏:やはりファンアイテムとして、記念の製品として、数量限定を守っていきたいと思います。
――残りのラインナップなどは順次発表していくのか、それとも別の機会に発表の場を設けるのでしょうか?
織田氏:残り15タイトルについては発表の方法も含めて現在検討中ですので、順次ご案内させて頂きます。
――「プレイステーション クラシック」に限らず、昔のタイトルが注目される流れがありますが、ゲームアーカイブスやPlayStation NOWなどのサービスについて今後の方針をお聞かせください。
織田氏:具体的にどのゲームがということを今はお伝えできないのですが、PlayStation NOWなどのプラットフォームを使いまして、過去に遊んで頂いた多くのファンがいるゲームを提供していく方針です。
「プレイステーション VR」は、これからも継続的にタイトルをリリースして普及を目指す
――PlayStation VRについてですが、来月で発売から2年を迎えます。後継機や新型機の予定はないのでしょうか?これからの展開についてお聞かせください。
織田氏:PSVR発売から2年が経ち対応タイトルは300を越えました。ユーザーの方に着実に新しい体験をしてもらえていると思います。今回は「みんなのGOLF VR」も初めて試遊ができる形で出展しておりますし、「ASTRO BOT:RESCUE MISSION」もあります。どんどんゲームが増えています。
また、後継機や新型機の予定について現在ご案内できるお話はありません。
――VRは市場の期待を下回っているのではないかと思えます。これからのテコ入れ策などはあるのでしょうか? BtoBの方に広げていくなどの考えはあるのでしょうか?
織田氏:VRについてはこれからも取り組んでいきたいと思います。ゲーム以外でも、先日発表された宇多田ヒカルさんのコンサートをVRで楽しめるものや「キングダムハーツ」のVR体験など、コンテンツの充実によって普及を目指していきたいと思います。ご指摘にあったBtoBにおいては、いろいろな可能性を持って取り組んでいきたいと思います。
「eSports」は“ゲームの楽しみ方を増やす存在”としてSIEも取り組んでいく
――eスポーツがもたらすビジネスチャンスに対して、今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか?
織田氏:ゲームの楽しみ方が増えるというもので、プロゲーマーの資格を取得したプロのプレイを視聴する、そこに応援するというものもありますよね。自分がファンである選手の活躍を盛り立てるという新しい楽しみ方もできます。ある意味で参加型な幅広いお客様にゲームを楽しんでもらえるようになるのではないかと考えます。
弊社では今回の東京ゲームショウ2018にて「コール オブ デューティ ワールドウォーII」のプロリーグの決勝戦が行なわれます。このように当社でも大会の主催を行なうなどして、皆様に楽しんで頂けるように取り組んでいきます。
――そうしたeスポーツへの取り組みは、ビジネスとしてはどういうメリットになっていくのでしょうか?
織田氏:今のところeスポーツそのものをどういうように事業化するのかなどは、弊社からご案内できるお話がないのですが、まずはやはりたくさんの人にゲームを楽しんでもらえることが大きなメリットではないかと考えます。
今後は魅力的なプロモーションを用意し、ラインナップをより直接ユーザーにアピールしていく
――グローバルな展開として海外からのAAAタイトルが上がりますが、日本産のゲームを待ち望んでいる人も多くいるかと思います。
織田氏:そちらもがんばっていろいろとタイトルを制作しています。「みんなのGOLF オンライン」や「みんなのGOLF VR」などですね。引き続き、具体的なタイトルを今日はお知らせできませんが、日本のスタジオからも注力していきたいと思います。
――PS4はコンソールサイクルの終盤に入っているように見えるのですが、次世代のコンソールが登場するまでの期間はどのような展開をされていくのでしょうか?
織田氏:PS4は発売から5年が経過しようとしていますが、弊社ではオンラインに特化した機能が強化されていることで、以前のプラットフォームよりも遊び方が増えていると考えており、コンソールサイクルが終盤に入っているという意識はありません。ますますいろいろなゲームが出てきますので、これからも引き続きPS4で楽しんで頂ければと思います。
――スマートフォンでのゲームアプリとコンソールゲーム機でのゲームのスタイルの違いや、そのトレンドについてはどのように考えられているのでしょうか?
織田氏:スマートフォンアプリについては弊社でもフォワードワークスという会社でパブリッシングしているわけですが、ゲームの遊び方というのはスマートフォンもコンソールも含めて、ユーザーさんが選べることが1番のポイントと思います。いろんな提案していくことをこれからも続けていきたい。それによって1人でも多くの人に楽しんでもらいたい。
――PC、コンソール、スマートフォンなど、ゲームを楽しむ方法が多くありますが、その中でPS4をオススメするポイントはなんでしょうか?
織田氏:いろいろなプラットフォームでゲームは楽しめますが、PS4では最近だと「スパイダーマン」が日本を含めて世界中で好評で、プレイステーションならではの高画質なゲームです。プレイステーションでのみ遊べるラインナップが1番の差別化ではないかと思います。
――ユーザーへのプロモーション展開は今後どのようにされていくのでしょうか?
織田氏:先日は「PlayStation Line Up Tour」というものを初めて開催いたしました。TGSに際して発表を行なう場ですが、今回はエンドユーザーの皆さんを会場にご招待しました。非常にたくさんのユーザーさんにポジティブなフィードバックを頂きまして、やはりゲームにとって一番大事なのはゲームファンのユーザーさん。ユーザーさんとのエンゲージメントを高めて、ユーザーさんに直接新しいゲームを紹介するということに力を入れていきたいと思います。
――海外ではブラックフライデーなどでお得なセールを行なっていて、日本でのセールはそれに比べると見劣りするところがあると思えます。そうしたところはどのようにお考えでしょうか?
織田氏:6月に「Days of play」という専用デザインの本体などを販売させて頂き、通常よりもお得な価格で提供させて頂きました。ブラックフライデーは日本にはないですが、その代わりに年末年始やボーナス時期に魅力的なセールやプロモーションを用意したいと思います。
PlayStation Vitaは国内でも2019年内で出荷完了。携帯ゲーム機の後継機は“現時点で”お話できる計画はない
――携帯ゲーム機のPlayStation Vitaについてお伺いいたします。今後の取り扱いはどうなるでしょうか? 後継機種の計画はあるのでしょうか?
織田氏:携帯ゲーム機においては今の段階ではPS Vitaの後継については計画がありません。PS Vita自体の取り扱いも国内では2019年内で出荷を完了いたします。
――もう1度確認させて頂きたいのですが、「携帯ゲーム機の後継機は現状は計画がない」ということですか?
織田氏:はい。携帯ゲーム機の後継機について現時点でお話しできる計画はございません。