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「FFXIV」、「パッチ4.4 狂乱の前奏曲」吉田直樹氏インタビュー

「UO」でデパート経営者だった吉田Pが語る“「FFXIV」世界に住む”ということ

【パッチ4.4 狂乱の前奏曲】

9月18日 実装

「FFXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

 スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Windows/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター(以下、FFXIV)」の最新アップデート「パッチ4.4 狂乱の前奏曲」を9月18日に実装する。

 このアップデートからメインストーリーは新章へと突入する。また、「次元の狭間オメガ」の完結編や、四聖獣奇譚の第3弾となる「朱雀征魂戦」、宝物庫の新たなダンジョン「ウズネアカナル祭殿」ハウジングの新たな使い道となる「マネキン」など、今回も多くのコンテンツが実装される。

 今回は、5周年記念の14時間生放送を終えたばかりの「FFXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から、「狂乱の前奏曲」について話を聞くことができた。吉田氏が今後力を入れていきたいと語ったハウジング関連など、将来の展望についても言及してもらったのでぜひ読んで欲しい。

【FINAL FANTASY XIV パッチ4.4トレーラー「狂乱の前奏曲」】

アルフィノの運命は? 次へ続く第0話がスタート

――まずは、「狂乱の前奏曲」というタイトルについてお伺いします。PVも文字通り狂乱というか、激動の展開でしたね。

吉田氏: 新しい展開に向けての第0話にあたる章です。次のパッチと相互関係にあるため今回の「前奏曲」という言葉はすぐに決まりました。とんでもないことになるきっかけとなる色々なピースが一気に出てくるパッチになります。PVに「今再び霊災の時」というボイスがあります。すでに第七霊災まで7回の災厄があり、今再び霊災が浮上してくるのかなというところで、かなり濃い話になっていく予定です。ただ今回だけでストーリーが完結するというよりは、「これからいったいどんな話になっていくんだ」というところを体感して頂けると嬉しいかなと思います。

――前回のメインストーリーでは、かなり気になるところで終わっていましたが、今回色々な謎は解けるんでしょうか?

吉田氏: まだです。むしろさらにどうなるんだろうと。アルフィノの身を案じてくださっているアルフィノファンの悲痛な叫びをSNSなどでも拝見はしているんですが。

ゼノスの姿をしている男の正体は?

――今回インスタンスダンジョンとして「ザ・バーン」が出てくることもあり、光の戦士やその他のメンバーもだんだんと帝国領へ入っていくことになるのですか?

吉田氏: 光の戦士は「暁の血盟」という中立の組織の中でもさらにニュートラルな立ち位置です。何に巻き込まれていくかという部分は、ぜひその目で確かめていただければと思います。

――PVでは、キャラクター総出演というくらい色々な人がでていましたね。

吉田氏: 「旧FFXIV」から続いているストーリーに、ガレマール帝国という強大な敵がいます。他はだんだん片付いてきたと思うんです。イシュガルドとかドラゴンとか、東方とか帝国支配領とか。残る総本山に対してどう収束していくのかにご注目ください。

ヒエンやユウギリ、ヤ・シュトラもザ・バーンへと赴くことになる

――新章に続く最初に第一歩ですね。

吉田氏: かなり核心に迫る話も出てきます。いよいよ東方を解放して、アラミゴも加わって、もともとのエオルゼア四国同盟にさらにヒエンたちも加わって、彼らがいよいよ一丸となって帝国にという序章でもあります。果たして全面対決になるのかどうかにも注目していただければと思います。

――今回のトレーラーではアシエンは出てなかったですが、霊災の話もあり、当然また出てくるということですよね?

吉田氏: ゼノスの中身が何なのか、皆さん予想をしてくださってますね。サンクレッドの時の例もありますし、アシエンがどこに潜んでいるかも注目ポイントかなと思います。

ーーいまネットでいろいろな憶測が流れていますが、読んでいて当っているなというものはありますか?

吉田氏: 大きな予想から小さな予想まであり、どれがどうとは言えませんが、大きな流れはまだ予測できていないと思います。

――予想もつかないようなことになっているということなんですね。ここにはぜひ注目して欲しいというポイントはありますか?

吉田氏: 今回のメインストーリーは展開の緩急が激しくなっています。できれば一気に見ていただいた方がいいかな。あまり先入観にとらわれずに見ていただければ嬉しいです。

――それだけストーリーが大きく動くということですね。

吉田氏: いくつかの軸が一気に提示されるので、前半と中盤と後半でかなりテンションが違います。

――英語名の「Prelude in Violet」のVioletにはどういう意味があるのでしょうか?

吉田氏: 日本語なら「狂乱」という単語に色々な意味を含められます。しかし、英語はそうはいかない。「狂乱」という単語をイメージ化するときに、それをストレートに表せる言葉がありませんでした。そこで「Violet」というちょっと狂気を感じさせるような、あとはガレマール帝国の将軍たちの鎧が黒ではなくやや紫がかっているとか、その辺りの空気感を色に込めたというイメージです。

――英語圏の人なら、このタイトルで日本語と同じようなイメージをくみ取れるということですか?

吉田氏: 赤でもなく黒でもなく、中間の色というところをどう雰囲気として解釈してもらえるかなという。英語チームからは「これで雰囲気は伝わると思います」ということだったので、じゃあいいんじゃないという。おそらく、次の「FFXIV」のカラーは何だろうと皆さんが考える時期でもあるので、色の単語を入れるのは良いアイデアだね、という話もしました。

どのボスが登場するのかはトレーラーにヒントが

――「次元の狭間オメガ」も今回の「アルファ編」が完結編ですね。

吉田氏: 個人的にバトルも含めてよくまとまったなと思っています。

――吉田さんが「ほろっと来た」とPLLで話されていましたが、かなり盛り上がるストーリーになっていそうですね。

吉田氏: 零式も同時実装なので、ワールドファースト争いや初週に3層まで行きたいという人はノーマルを高速で駆け抜けてしまうのかもしれませんが、キャラクターの心情もよく描けていると思うので、実装日にはじっくり見ていただけると嬉しいです。

アルファの名前が付いた完結編「アルファ編」

――PVにオメガが出ていましたが、やはり戦うことになるようですね。

吉田氏: オメガ・プライムかとも言われていましたが、毎回プライムもね、というところではあるので、普通にオメガが暴れています。果たしてトーナメントの最上位でどうなるのかというところを楽しみに見ておいて欲しいです。

――14時間生放送のプロデューサーレターLIVE(PLL)で「カオス」が紹介されましたが、他にどのボスが出るのか、ネットではいろいろな予測が飛び交っていますね。

吉田氏: 今回は特定のシリーズタイトルにというわけではないので、トーナメントを越えて抜けてきた最後の決勝集団との戦いです。オメガによって作り出されて参戦させられていたチームはもうほぼ残っていないので、準決勝、決勝くらいの状態です。カオスは映像がでていますが、カオスがどこにハマるのかも今回のPVを見てなんとなく予想していただければと思います。

――ボスラッシュになるのですか?

吉田氏: トレーラーに結構たくさんヒントが入っているので、ぜひいろいろ考えてみてください。

――「FFI」は古いゲームだけに、カオスは最近のボスにくらべて知名度が低い気もしますが。

吉田氏: 「アルファ編」を遊んでからウィキペディアで「FFI」のシナリオを見てもいいと思いますし、今はスマートフォンでもプレイできます。今回の「次元の狭間オメガ」には、「FF」シリーズに興味を持つきっかけになってくれればというシリーズコンセプトもありますから。「FFXIV」はこのゲームで初めて「FF」をプレイしたという人を含めて、本当にいろいろな世代の「FF」ファンがいらっしゃいます。テーマパークとして過去の「FF」について話をしたり、知る場でもあって欲しいんです。「デルタ編」、「シグマ編」でも皆さんが話をされているのを見て、この点は上手くいっているかなと思っています。

南條愛乃さんが歌う朱雀のBGMも祖堅氏作曲

南條さんが歌う曲は祖堅氏作曲。「祖堅は何でも作れる」と吉田氏も感心

――「PLL」での実機デモでは、「大迷宮バハムート:真成編」3層のボス、フェニックスのギミックであるベンヌに似た鳥が落ちていて、案の定復活していましたがフェニックスと朱雀は似ているぶん差別化で苦労したのでは?

吉田氏: そこはストーリーで回収されているので、ぜひその2つの違いは何だというところはシナリオで注目していただければと思います。朱雀がその力を持つことになったきっかけみたいなところもシナリオ上で語られてはいます。

――「PLL」では、小さい鳥が開幕して割とすぐに復活していたので、あれは雰囲気でそこから全く違う展開になるのかなという気もしたのですが。

吉田氏: あそこは鳥たちの死に場所みたいな設定になっているんです。朱雀もわりと哀しい四聖獣だったりするので、その雰囲気を出すためにもという形になっています。ベンヌほど重要なギミックではないので、ここはすんなり抜けてくださいねくらいのものです。それにノーマルと極ではまたかなり違うので。

人型の姿になった朱雀

――PVでは人型の姿も映っていましたね。。

吉田氏: 元が獣の姿なので、アラミタマによって覚醒した状態では獣姿の時とは違う攻撃をしてくるということと、人型の方が感情移入しやすいということもありそうなっています。PVには前半フェーズしか映していなくて、後半はまたガラッと変わります。

――今回トレーラーに映っているのはノーマルですか?

吉田氏: ノーマルです。

――極は見てのお楽しみということですか。

吉田氏: そうですね。解き方が変わりますので。

――「PLL」では中間の演出にも言及されていましたが、また白虎のようなものがあるということですか?

吉田氏: なぜかみんな最近ミニゲーム作ろうとするんですよね。そんな指示はしてないんですが(笑)、今回も遊びが入っています。そんなに難しくはしていないので、1回やればすぐにわかると思います。

――南條愛乃さんの歌をPVでも少しだけ聴くことができますが、かなり今までの討滅戦とは雰囲気が違いますね。

吉田氏: そうですね。人によっては少しアニソンぽいというか、アニメのオープニングで歌われていても不思議じゃないような風に捉えられるかもしれません。

――確かにかなりポップな感じですね。曲は祖堅さんなんですか?

吉田氏: そうです。祖堅が書いています。ほんとに、祖堅はなんでも書けるなと。

――今回、南條さんが歌うことになった経緯は何かあるのですか?

吉田氏: 朱雀を女性ボーカルで行きたいという話は結構早い段階からあったのですが、その時点では南條さんにということではなかったんです。ただ、南條さんご自身がすごく「FFXIV」に対して思い入れを強く持ってくださっているので、祖堅の方から「もし、やれるなら頼んでみて良いですか?」と確認がありました。権利周りも綺麗にクリアできるのなら」と条件を出したのですが、「綺麗にクリアできました」とのことだったので、「それなら是非に」、と。仮当てしていただいたら歌のキーも問題なかったとのことで、その先はサクサク進行したようです。うちのチームはちょっと変わってるんです。PRから入らないんです。そんなに好きだと言ってくださっているなら歌ってもらいましょうかというノリからなので(笑)。

戦闘開始時の鳥の姿の朱雀

――南條さんの方からもやりたいという要望はあったんですか?

吉田氏: いえ、たぶん祖堅からけしかけた気がします。「どうせなら歌っちゃいなよ」と。

――南條さんも「FFXIV」との関わりが長い方ですね。

吉田氏: 「新生」からのプレーヤーでもありますしね。

――「FFXIV」は結構そういう形が多いですね。実際に遊ばれている方が、ゲーム内でも何らかの役を演じたり。

吉田氏: そうですね。僕らはどちらかというと、コミュニティの皆さんが喜んでくれる方で、かつ遊んでいただいていて思い入れの強い方に演じてもらった方が、より作品性が上がるだろうと考えています。あとは演技力を追求するかという、その二択です。後はパッチ4.3のアサヒ役の方なんかは、ベテランでなくてもとてもいい演技をしてくださいました。そうした声優さんにとって挑戦の場でもあると、僕たちとしても作り甲斐を感じられます。アサヒは本当に素晴らしい演技をしていただきました。あれでアサヒを終わらせるのは勿体なかったですね……。あそこまでの演技をしてくださるなら、もっと長く演じていただきたかったなぁ。

まとまったバランス調整が可能に

――先日の「PLL」でお話されていた「パッセージ・オブ・アームズ」などのアクションが即時発動するようになるという変更について、もう少し詳しくどういう感じになるのか教えてもらえますか?

吉田氏: 「パッセージ・オブ・アームズ」を例に出すと、あのアクションは後ろに剣を刺して、足を踏ん張って、盾を構えて翼が出た瞬間から効果が出ているんです。ですので、アクションを使うナイトからすると、ダメージに合わせて早めに発動させないと間に合わない。効果範囲内に入る方もこれまでは、ナイトが使い始めたから後ろに回ったのに、効果が発動する前にダメージが来たぞ、みたいなことがあったと思うんです。

――確かによくある光景ですね。

吉田氏: 「FFXIV」は絵のクオリティにもこだわるので、「パッセージ・オブ・アームズ」でも細かい動きをして発動するんです。それを翼が出る瞬間に発動というシーケンスのフラグが立っているのを、サーバー上に「パッセージ・オブ・アームズ」のリクエストがきて、リキャストタイムなどのチェックが終わった瞬間から、絵がどうなっていようが、効果が発動するように切り替えたということです。

――翼がまだ見えない時からバフがつくということですか?

吉田氏:アクションを実行し始めたらもうその時点から効果が発動していると思ってもらえればいいです。後は例えば「野戦治療の陣」もそうです。現状ではグラウンドターゲットで置いて、エフェクトが広がって円が完成してから効果が発動しているんですが、設置された瞬間にエフェクトの円が広がりきってなくても想定される範囲に効果を出してしまおうと。「アサイラム」もそうです。ああいった同一系の処理はほぼすべてそうなっています。

――「運命の輪」もですか? あのアクションはバフと同時にHoTも付きますがどちらも即時になるのですか?

吉田氏: そうですね。

――「ソルトアース」のような設置系のDoTもでしょうか?

吉田氏: そうです。絵よりも体感を優先してという話で、全面的に見直しが入っています。

――ずいぶん使いやすくなりますね。特にバフ系の技ではぎりぎりで出して不発ということが少なくなりそうですね。それはどれかのジョブから要望が強くあったのですか?

吉田氏: バトルチームも人がようやく少しずつ増えてきて、いろんなところに専任のスタッフを入れることができるようになってきたので、細かく見ていってここは一気に直したほうがよくないですかという話があって、じゃあ手が空いているので今のうちにやってしまおうかと。

――ロールアクションが10個になりますが、これで全部はめても大丈夫になるんですね。

吉田氏: もちろん全部はめてもいいですが、普段使わないものは無理に入れる必要はないです。窮屈になってしまうので。例えばですが、「アメノミハシラ」ですごく有効なロールアクションがあったりもするのですが、それは「アメノミハシラ」にいくのでなければ普段は外しておけばいいと思います。キャスターをやっている時、「次元の狭間オメガ零式:シグマ編」の4層では前半と後半で「アポカタスタシス」と「堅実魔」を入れ替えるんですが、よく入れ替えを忘れるんですよね……。で、MTに「アポカタスタシス」を投げようとしたとき「げっ! アポカタ入ってない!」と(笑)。少なくともそういうホットバーに入っているのに使えないということは無くなります。繰り返しですが、10個使ってくださいではなく、10個に枠が増えるので必要と思うものを好きな数セットしてください、が主要の調整となっています。

――コントローラーの人は、使えるスキルの数が多くなるとセットする枠がきつくなると思いますが、今後またスキルの整理はあるのですか?

吉田氏: 「4.0」でかなり整理をして、減らしました。この先また大きなアップデートがあって、レベルキャップが開放されたら、当然新アクションを追加しようという話にはなると思います。ですが、その時にも単純に増やすのではなく、またいくつか統廃合されることになると思います。これ以上増やすと操作難易度が上がりすぎてしまいますしね。

――操作の難易度も考えつつ、数も調整しつつというところなんですね。

吉田氏: それについては、今後も常にそうしていくと思います。

「ウズネアカナル祭殿」ゾウのマークは戦闘なしでお宝ゲット

――「ウズネアカナル祭殿」についてお伺いします。PLLではゾウのマスが見られなかったですが、何が起きるんですか?

吉田氏: あれは完全にボーナスです。本来は敵が召喚されてきて、倒せばお宝ゲットなんですが、敵ではないものが召喚されるということになっていて、ラッキーでしたね。お宝だけあげるから次へどうぞという。これ以上話してしまうと楽しみがなくなってしまうので、後はその目でお確かめください(笑)。

ルーレットを回して財宝獲得を狙う「ウズネアカナル祭殿」

――ビックリマークの方は敵がでるのですか?

吉田氏: モードが切り替わって、より全体が派手な状態になって、敵を倒した際の報酬が大幅に追加されます。以降はマスがすべてボーナスかアトモスかの二択となり、報酬が増加する代わりにチャレンジ要素が強くなります。

――あれを1回引いてしまえばその状態になるということですか。

吉田氏: そうですね。アトモスに吸い込まれない限りは、ずっとその状態です。

――ルーレットの宝箱からも深層の地図は出るんですか?

吉田氏: 出ます。深層の手前が2つに分かれていると思っていただければいいです。7割くらいは新しい方に行くよう指示してありますので、最初は新しい方に入っていただけるかなと思います。いずれは5対5になると思います。カジュアルな、ノーマルレイドは1週に1回4層まで好きなトークンを取れたらいいやという人は、地図の方に行っていただければと思います。基本的には雑魚戦というよりはボス戦なので、みんなでワイワイやってもらえるといいなと思います。

みんなでわいわいと遊べるボス戦が楽しめる

今後はショップのバリエーションを増やしたい

――ハウジングに新要素として「マネキン」が入りますが、何体まで置けるのですか?

吉田氏: Sで6体です。ハウスのサイズによって違います。

――Lはかなりたくさん置けそうですね。

吉田氏: 蝋人形の館にすることもできると思いますよ。

――自分の部屋にも置けますか?

吉田氏: 個室とアパルトメントには4体まで置けます。

――どうやって手に入れるんですか?

吉田氏: ハウジングエリアにいるよろず屋NPCや、配置できるNPCが販売しています。

――種族は選べるんですか?

吉田氏: まずはミコッテの男女のみの実装です。他のキャラクターデータ作業との兼ね合いで、他種族は後追い実装となっています。

ハウジングに設置できるマネキン

――最終的には全種族のマネキンが実装されるのですか?

吉田氏: もちろんです。最初はヒューランだけならすぐに実装できますということだったのですが、「いや、ミコッテにしてくれ」と。

――自分の種族でどう見えるか気になりますね。

吉田氏: オシャレコーディネートは種族によっても違うと思いますので、できるだけ順次他種族を足したいと思います。

――ララフェルとルガディンでは似合う服も違うでしょうしね。

吉田氏: マネキンはもう半年くらい作っていたのですが、キャラクター側の作業負荷が大きくて……。

――飾るだけだなら、今後はリテイナーとも分離していくという話もPLLでありましたね。

吉田氏: 売るだけではなくて、自分が過去に取ってきたレイド装備を着せて飾っておきたいという希望があると思っています。バハムート装備やアレキ装備を並べたり、過去のジョブ専用装備を並べて飾っておきたいという人もいると思いますので、それにも対応できるようにしています。売る目的ではなくて、部屋に自分の鎧置き場として飾りたいというのも当然だと思います。本当はそこから一括装備ができれば良いと思うのですが、販売するためには物理アイテム管理が必要になります。ですので、その着替え用スタンド機能はあきらめて、お店のロールプレイができることを優先しました。飾るだけの場合には、リテイナーの出品枠を消費しない、という処理は作業リストに入っていますので、近い将来実現したいと思います。

――ドイツでのインタビューではハウジングに今後も手を入れていきますというお話でした。そして今回「マネキン」と「ハウスアピール機能」が入るわけですが、今後吉田さんが考えているハウジングの方向性を教えてもらえますか?

吉田氏: 「ハウジング」にだけ重きを置いているわけではなく、「FFXIVの世界に住むこと、暮らすこと」に重点を置こうと考えています。今はハウジングだけで「FFXIV」を遊んでいるという人たちもいるくらい、他のゲームと比較してもやれることが多くなってきたと思っています。しかし今はまだ自分たちのコミュニティで閉じている、もしくはよほど強いロールプレイをしなければ他からお客さんを呼んでこれない、という状況です。個人単位で遊んでいる人たちが自分たちがやっていることを他の人にアピールができるようにというのが、今回のパッチ4.4の最初の大きなとっかかりです。ハウスアピールという機能が始まるので、ふと時間が空いた時に、ふらっとハウジングを見て回ろうという時に、すべての家をノックして回るのは不可能です。また、特に日本の方だと、それは敷居が高すぎますよね。

――入ったら持ち主と鉢合わせして気まずい雰囲気になったりしました。

吉田氏: そんな時にハウスアピールしている家がどれなのかわかれば入りやすいし、ここのハウスにちょっと行ってみようかなという気持ちになるかもしれない。その時に、ハウスの運営をしている側が、例えば単純に内装を見てもらいたいというだけなのか、もう一段進んだ、例えばバーという経営をしているのか、ハウジングでアスレチックを作っているのでやってみてくださいとか、謎解きゲームをやっていますとか、いろんな主張を見ることができるようになれば、頑張っている人たちがより頑張れる環境になると思うんです。それがまずは一点。

 それと、僕は「ウルティマオンライン(UO)」のヘビープレーヤーでもあります。当時は自分たちで店を経営するというところにすごくこだわって遊んでいました。「UO」も土地問題がすごく厳しいゲームだったので、大きな土地に家を建てて、なかなか家が持てないという人たちを集めてデパートを経営していたんです。カウンターを僕が全部作って並べて、「ここは○○さんの店」ということでリテイナーのようなものを立てておいてもらって、「あなたにこの場所を貸してあげるから、頑張って商売してください」と。そこでインゴットを売ったり、隣では鎧を売ったり、その隣には秘薬屋があってという。そして、自己申告でいいので売上げの何パーセントをくださいという経営をしていました。僕はその中で自らインゴットショップをやっていました。自分でマイニングをして、錬成して売っていましたが、店には必ずゲストブックを置いて、お客さんからの注文を受け付けるんです。「幾つのインゴットを何日の何時までにほしい」と書いてあれば、「ではその時刻に並べておくので買ってくださいね」とか、「それはかなりの重労働なので、この金額で良ければ対応します」とか。ロールプレイですね。自分の店を発展させる努力も各自にお任せです。でも、商品補充をさぼったり、全然やる気がない場合には、撤去していただくという……。

――厳しいですね(笑)。

吉田氏: ロールプレイとして、「あのデパートに行けばなんでも揃う」というのをお店の「ウリ」にしたかったんです。デパートがオープンする時には、そのハウスに飛べるルーンをみんなでたくさん作って、各タウンに行ってルーンをばらまきます。「デパートがオープンするので皆さん来てくださいね!」と。盛大にアピールして、行ったら当然何でも売ってる。お客様が「とりあえずあそこに行けば何とかなる」と感じるようになれば、相場が市場より高くても、ついでにこれも買ってしまおうと考える……。そういうようなことをやっていたんです。

――凄腕の商売人ですね。

吉田氏: 「新生」から5年経って、僕らがシステムをわざわざ提供しなくても、自分たちで遊びを作ってくださる方が非常に多くなってきたし、定着してきた。それを一歩進めてあげたいのです。僕がイメージしているのは、かつて自分が「UO」でやっていたようなことを、このさきエオルゼアでもできればいいなと。システムは違うし、あそこまでサンドボックス型ではないので、おのずとやれる限界はある。それでも近づけられる努力はしたいのです。「4.3」で入った交流帳とハウスアピールと、今回のマネキンを使えば、お店屋さんの初歩はロールプレイ可能になります。次はもっと素材とか薬品とか食事とか、そういうものを売れるようにしていきたいです。そのためには見た目も伴った方が絶対に面白い。例えば一目でそうわかる外装を実装して「パン屋をやってます」とか、そちらに膨らませていきたい。ハウジングと人の交流とアイテムを買うというマーケットが全部つながると、それはそれでまた経済が面白い方向に回るかなと思っています。

――武器屋だったら、いかにも鍛冶屋っぽい作りの家にするとか、そういうことですか?

吉田氏: そうですね。ただそのためには、当然武器の価値を上げていかなくてはいけない。例えば過去の蛮神のエフェクト付き武器をクラフターのみに入れたりして。流行りすたりはあるにしても、実際にそこに飾ってあればとりあえず欲しくなるという心理は働くから、武器スタンドを作ってそれを並べることで武器屋をやれると思っています。そういうことをやっていきたいですね。

――ハウジングがどんどん人が集まる場所になっていくということですか。

吉田氏: 集まるというより、ハウジングエリアを中心にして、人の行きかう場所を作っていきたいのです。本当は、例えばハウジングエリアのどこかにイベントスペースを作っておいて、自分たちで飾り付けをして、何区のお祭りを地域の人達でやっていますというようなことまでできたら良い。今は夢物語だとしても、一歩一歩やっていかないとその状態には到達しないと思っています。2年くらい経って気が付いてみると「FFXIV」のハウジングってすごいことになってるよ、という感じになるといいなあと思っています。

――プレーヤーが主催したお祭りなんかを、ハウジングエリアで開催できるようにするということですね。

吉田氏: まあ理想ですけどね(苦笑)。果たしてシステムでどこまでサポートできるか。「UO」では、GMがその場にしか存在しないオブジェクトまで作って、ロールプレイに協力してくれた例までありました。さすがにうちの規模では無理ですが、庭具のシステムを使ってパブリックなお花見会場みたいなものを作れないのかな……などですね。今の「FFXIV」の庭具のシステムは、そのハウスのオーナーが管理者としてデータが管理されています。パブリックとなると管理者がいない土地になり、システム設計から考える必要が出てきます。大変ではありますが、やはり一歩ずつが未来につながると考えています。

――実現したら楽しそうですね。

吉田氏: それをすることで何か報酬があるかとか、メリットがあるかというものではないんですよね。「FFXIV」の世界でしかできないことがあって、ロールプレイしている人たちを見て、「あの人たちもそうだけど、それが実現できるこのゲームすごいな」と感じてもらいたい。マーケットボードという便利なものはあるけれど、どうしても数字とアイテム名だけのやり取りになる。若干不便かもしれないけれど、もう一段凝りたい人は、凝って遊べるという状態に持っていきたいなと思います。よく吉田はギャザクラに興味がないと言われるんですが、そうではないんです。僕がロールプレイに一番うるさい(苦笑)。でもやはり「FF」である以上バトルがあって、戦って楽しめるのは最低限のことだと思っています。だからまずはそこをきちんと成立させることに注力してきて、今ようやくそれ以外のところに本格的に手が入れられ始めているのかなと。

ハウジングにタグを付けられる「ハウスアピール機能」

――確かに一時は戦闘コンテンツばかりと感じる時期もありましたが、5年の間に色々なコンテンツが増えていきましたね。

吉田氏: 少しずつでいいんです。みなさんが遊びを作ってくださったり、そういう遊びに慣れる時間も絶対に必要です。そのためあまり短期的にはみていなくて、ゲストブックを置いたからといってすぐにそうなるわけでもないと。だから、あまり使ってないじゃんと言われても、たぶんまだそれを使う機会が少ないだけで、そこは特に問題にしていません。1つずつ準備をすることが大事だと思っています。

――今後、直近で予定していることはあるのですか?

吉田氏: ひとまず防具のショップやオシャレショップは作れるようになるので、たぶんここから先は武器屋とか、ショップのバリエーションを出していくことですね。後は食品とか薬品とかの売れやすいもの。レイドをやる人は、消費アイテムを定期的に供給してくれる人を欲しがっていると思います。後は新式ショップをやりますという人も。2パッチに1回になりますが、大量に売っているので来てくださいとか。一旦そちらの方向を広げつつですかね。要は店のバリエーションを増やしたい。そして外見もそれに合わせたいと思っているので、武器屋だったら武器屋っぽい建物が欲しいと思うのです。そちらの方向へ少し指示はしていて、よりファンタジー色の濃いものを作って欲しいという話はしています。

――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

吉田氏: 僕らは14時間生放送で5周年感はすっかり抜けて終わったので、これから6年目として気を引き締めて進んで行こうと思います。累計アカウント数1,400万人(※日本・北米・欧州・中国・韓国の5リージョンの累計アカウント数。フリートライアル版のアカウントを含む)突破のコメントでも触れましたが、まだまだお伝えしたいと思っている物語やゲーム体験があります。特に今日お話した、世界に住む、世界で暮らすことという部分は、ゲーム本体がしっかりしていないとなかなか手が回らないし、できる事ではないと思っています。それをこの先6年目からいよいよもっと本格的にやっていきます。そうすることで、ずっと言い続けているテーマパークというものがより完成に近づくと思っています。

 他のタイトルと比較された時にも、「『FFXIV』に追いつくのは相当しんどい」というところを次は目指していきたいと思っています。ぜひ直近のパッチやストーリーももちろんですが、長期的に見た「FFXIV」がどこまで拡大していくのかを見守っていただけると嬉しいです。いよいよその一歩を大きく踏み出すパッチになりますので、パッチ4.4ではその辺りにも注目していただけると嬉しく思います。これからも皆さんと一緒に、一歩一歩進んでいきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします!

――ありがとうございました!