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【特別企画】「トゥームレイダー」シリーズは、隠された遺跡と“ツッコミどころ”で大いに楽しめ!
2018年8月31日 12:00
「トゥームレイダー」シリーズは、傷だらけ、泥だらけのララが、多数の敵兵と戦いを繰り広げたり、ド派手なアクションシーンなど、ハードなイメージをもたれがちだし、難易度の高い雰囲気がある。しかし、それだけでは多くのユーザーの人気を得られない。前回のストーリーとアクションを取り上げた前編に続き、本シリーズの魅力を語っていきたい。
「トゥームレイダー」シリーズや、映画「インディ・ジョーンズ」シリーズが人気を得たのは“宝探し”という古典的物語のフォーマットに従っているからだ。「トゥームレイダー」シリーズは映画から一歩踏み込み、自分で宝を探し出し、謎を解き、お宝へ到達する興奮を味わうことができる。その宝探しを思う存分楽しめるのが「シークレットトゥーム」だ。本編からそれる“やりこみ要素”であり、宝を得るためのチャレンジとなる。トレジャーハンターになりきれる楽しさがあり、独自の面白さがある。
そして“ツッコミどころ”もシリーズの楽しいところ。第1作目、1996年の「トゥームレイダー」はララの細い腕に大型の2丁拳銃を持たせて、恐竜と戦わせたりしているのだ。ハチャメチャで、ノリノリなところが本作に強いエンターテイメント性を与えている。それはリブートした「トゥームレイダー」、「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」にも脈々と受け継がれている。こういった要素が「トゥームレイダー」シリーズの魅力を増している。
今回は、「トゥームレイダー」、「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の大きな魅力である「シークレットトゥーム」と、「ツッコミどころ」をピックアップしていく。もちろんこれらの要素は、最新作「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」にも受け継がれている。シリーズを楽しむポイントとしてチェックして欲しい。
隠された道の先に現われる、忘れ去られた遺跡「シークレットトゥーム」
リブートした「トゥームレイダー」シリーズで楽しいのは、「シークレットトゥーム」である。本筋と直接繋がりのない“謎の遺跡”をララが見つける事で、隠された歴史、忘れ去られた何かが蘇るのだ。
「トゥームレイダー」では“卑弥呼の謎”、「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」では“神秘の源”を探すために秘境へと向かう。「シークレットトゥーム」はその冒険の間で挑戦できる“脇道”だ。クリアしなくても本編に影響のない、いわば“やりこみ要素”である。それでも得られた宝物はララの冒険に役立つ。
本編で進む道とは別な入り口、それは、あえて川に落ちてみたり、脇道にそれていくことで見つかる。それは危険に近づく印でもあり、近づくと独特の効果音が鳴るようになっている。。プレーヤーはあえてララをそこへ向かわせることで、秘められた遺跡を見つける事ができるのだ。
もちろん、「シークレットトゥーム」は卑弥呼関連、神秘の源関連のものが多いが、機能を停止した日本軍の施設とか、ソ連の廃工場などもある。人が通わぬ事で眠っている宝を偶然見つけ出し、謎を解くことで見つけ出す、トレジャーハンターの楽しさをたっぷり味わえるのだ。「トゥームレイダー」、「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の「シークレットトゥーム」をそれぞれ1つずつムービーで紹介していきたい。
「トゥームレイダー」に登場する「シークレットトゥーム」の1つ、「即位の広間」は、“風”が鍵となる仕掛けだ。大きな風にふかれて吊り下げられた足場が揺れるが、うまいタイミングで連動しなくては飛び移れる場所に届かない。風を遮る扉を開くタイミングと、足場を引き上げるタイミングを合わせる事が重要となる。
「トゥームレイダー」の「シークレットトゥーム」は謎としてはシンプルで、1つの仕掛けを解き明かせればお宝にたどり着ける場合が多い。謎が解けない場合はかなり詰まるが、考えて、試してみて、うまくいったときの爽快感はたまらないものがある。
もう1つは、「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の「シークレットトゥーム『古びた貯水槽』」を紹介する。クレーンに吊り下げられた丸太を破壊することで入り口が現われるという凝った作りで、奥には水を活用した複雑な遺跡がある。
「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の「シークレットトゥーム」は、謎、構造共に凝っていて、いくつもの仕掛けを動かす必要がある。このため謎を解くのには時間がかかるが、この謎に悩んでいる時間が非常に楽しい。「古びた貯水槽」では油の入った缶を動かし、水をせき止めている蓋を破壊していくことでお宝への道が開ける。缶をどう動かしていくか、試行錯誤が求められる遺跡である。
両シリーズにもいくつもの「シークレットトゥーム」がある。まず到達する道を探し、そして仕掛けを調べ、研究し、試して解き明かす。特に「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」のトゥームは凝っており、謎は歯ごたえがあるが、挑戦しがいがあり、楽しい。
時には謎がわからないこともある。そのときには「インスティンクト(直感)」の能力を使い、可動する仕掛けを確認し、そしてロープアローや、移動できる地形も探し、これまでの経験を最大限に活かして謎に挑んでいくのだ。シークレットトゥームは、パズル要素が強い。パズルに物理エンジンを活用しており、「ひょっとしてこうすれば良いかな?」という、ひらめきとアイディアでうまくいった時の爽快感はたまらないものがある。
充実した死に様や不幸すぎるアクシデント、歴史的な矛盾などツッコミも楽しい
「トゥームレイダー」シリーズの魅力として、“ツッコミどころ”も挙げておきたいところだ。世界をまたにかける冒険、シリアスなストーリーと、冒険家として強く成長していくララを描く「トゥームレイダー」シリーズだが、実は設定的に荒唐無稽なところや、「え、そうなっちゃうんだ(笑)」とツッコミを入れたくなってしまうところも多い。そういうちょっとした“ユルさ”も、本作の面白いところだろう。
特に「トゥームレイダー」は、プレイした最初は「ララ、死にすぎ」と思うだろう。高いところから落ちたり、崖から落ちたり、岩につぶされたり、プレーヤーのちょっとしたミスでララが死んでしまう場面があるのだが、それに専用の「死にアニメーション」が用意されているのだ。しかも喉に槍が突き刺さったり、矢に射貫かれて死んだり妙にエグい。「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」でもクマに食い殺されるシーンが用意されていたり、変に凝ったララの死にパターンは本シリーズのポイントである。
「デカイ災害に遭いすぎ」というのもツッコミポイントだ。「トゥームレイダー」の冒頭、いきなり船が裂けるという衝撃の映像を出したためか、その後もその後も飛行機は墜落するわ、氷河を渡れば雪崩に遭うわ、ピンポイントでララは大災害に遭いすぎである。
前回紹介した飛行機の落下も、わざわざ巨大なエンジンがララを追いかけて落下してきたり、ゲームとしては盛り上がるが、ララの不幸っぷりを考えると同情を禁じ得ない。最新作である「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」では、飛行機が裂けてララはコクピットブロックだけで墜落する。それでも生き残ってしまうのがすごいところだ。「手を掛けた足場崩れすぎ」というのも、定番ではあるがツッコミポイントだろう。
そして、日本を舞台にしているからこそツッコミを入れざるを得ないのは、前々作「トゥームレイダー」での日本世界である。いろんな所にやたら豪華な仏像が放置されているし、卑弥呼を描いた絵は浮世絵だし、卑弥呼を守る戦士“嵐の防人”は、鎧をまとった武者人形のような姿だ。紀元250年程に没した卑弥呼から考えると、引用している時代とかなり乖離があるといえる。
しかし、それでいいと思うのだ。「ぼんやりとした日本の昔のイメージ」といえば、やはりヨーロッパに強い衝撃を与えた浮世絵は外せないし、東大寺をはじめとした仏像文化もポピュラーだ、そして武者の姿も外せないだろう。燃える城郭などは、黒澤映画などの影響も見られる。
史実やリアル感より、ユーザーが思い描く異文化を描く中、ポピュラーな要素を入れることでよりわかりやすい世界を提示するのはエンターテイメントとしてとても正しいと思う。また、こういった要素をただ単に「時代が合わない」と否定するよりも、卑弥呼の住む島は太古から漂着者が流れ込み彼らの文化が取り入れられていたかもしれないし、日本軍は基地にしていたなど、「嵐で隔絶している」という割には、実は日本の一部の人達は出入りする方法を知っており、日本本土と限られた交流が行なわれていたかもしれない……というように想像をさらに広げてみるのも面白いと思う。
それは「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の世界も同様だ。シリアからシベリアの奥地まで、“不死の預言者”に導かれた民達は、実は様々な時代でこの地に迷い込んだ人々や、預言者を追う人達と混じり合い、独自の、“ごった煮”の文化を作った、という想像もすると、より面白くなると思うのだ。
「トゥームレイダー」シリーズの開発者は様々な資料を盛り込み、深い知識を得ている。その知識は決していい加減なものではないが、開発スタッフはあえて時代性や地域性をシャッフルし、独特の幻想世界を作っている。だからこそプレーヤーは、「ここがおかしい!」と目くじらを立てるよりも、まずはそのパッチワークのような世界を楽しむのが良いと思うのだ。
他にも、「お腹を怪我したのにララが元気に動きすぎ」、「あんなに高いところから飛び下りてピッケルでぶら下がれるってどうなの?」、「遺跡の道が厳しすぎ。普段の往来どうしてたの?」などなど、無粋なツッコミをすればいくらでもできるし、それもまた本シリーズの楽しみ方ではある。しかし、そういったツッコミは開発者も充分承知の上なのだと思う。その上で、開発スタッフは「こっちの方が面白いだろう?」と問いかけている。筆者は全力で「その通りだ、面白い!」と答えたい。
「トゥームレイダー」シリーズのツッコミは、作品や開発スタッフの評価を下げるのではなく、「確かにこっちの方が面白いし、わかりやすいよ!」というものだと思うのだ。愛のあるツッコミをしながら、本シリーズを楽しんで欲しい。
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