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「ドラゴンクエスト夏祭り 2018」で「ドラゴンクエストX」の開発秘話が公開される
毎年恒例! あかほりさとる氏の「ポーリーランド」は今年も驚きの連続
2018年7月29日 22:25
スクウェア・エニックスは、東京ビッグサイトで開催された「ドラゴンクエスト夏祭り 2018」において、プレイステーション 4/Nintendo Switch/Windows//Wii U用MMORPG「ドラゴンクエストX」の開発秘話などをステージイベントで公開した。
「開発者座談会」シナリオチーム篇
イベントでは「開発者座談会」と題して、シナリオチームとデザインチームの開発秘話などが公開された。
シナリオチーム篇には、内川 毅「ドラゴンクエストXI」ディレクターと成田篤史「ドラゴンクエストX」シナリオチーフが登壇。内川氏は「ドラゴンクエストX」でもシナリオを手掛けており、逆に成田氏は「ドラゴンクエストXI」の開発会議に出席し「ドラゴンクエストX」とエピソード的な被りがないように調整を行なっていたという。
ところが、開発中に大きな問題が発生してしまったという。「ドラゴンクエストXI」に登場する「ケトス」というキャラクターと、「ドラゴンクエストX」に登場する「カシャル」というキャラクターが、両方とも鯨をモチーフにしたものとして開発が進行しており、バッティングしてしまった。この時はケトスが大きなキャラクターで背中に乗って移動するというシステム上の意味合いもあったため、「ドラゴンクエストX」の方で「カシャル」をイルカに似せる形で対応することになったのだという。
実はシナリオチームは、毎週のように堀井雄二氏を交えてシナリオの読み合わせの会議を行なっており、深夜にまで及ぶことも珍しくないという。ここで、「ドラゴンクエストX」の「Version 2」におけるシナリオでボツになったシナリオが公開された。
「Version 2」は2つの世界を行き来する設定だが、当初は片方の世界は“勇者”が作った理想の世界という設定だったという。このシナリオを堀井氏との会議で説明したところ、堀井氏から「勇者の力としてはわかりづらい」と指摘されたのだという。そこで、スタッフで話し合いを行なった結果、ボス敵が作り上げた世界に変更し、これをプレーヤーキャラクターが倒しに行くという設定に修正していったのだという。同時に「Version 2」ではこれまでにない魔王像を創ろうとして、少しコミカルな側面も持つ「面白い感じのおじさんになった」のだとか。
堀井氏はシナリオ作成に限らずゲームを作る上で「お客さまがどうしたら“驚いて”もらえるのか?」というのを重要視するのだという。その精神は徹底しており、食事時などには急に手品を始めるときもあるのだとか。堀井氏自身「ビックリしてもらうのがすごく好き」と語っていた。
内川氏は「ドラゴンクエストX」を手掛けた後「ドラゴンクエストXI」のディレクターを務めたが、「システムやキャラクターの作り方など『ドラゴンクエストX』から学んだことは多い」とコメント。堀井氏とキャラクターの掘り下げなどを行ない、ストーリーを作り上げていったと語った。
「開発者座談会」デザインチーム篇
デザインチーム篇の開発者座談会では、開発の手順などの解説も行なわれた。エフェクトチームは、たとえばバトルシーンなどの効果などを手掛けるが、それだけではなくたとえばエンドコンテンツに移動するときのワープしたときの効果などもエフェクトチームが手掛けている。ただキラキラしているだけでなく、グラフィックスを細かく分割させてアニメーションさせるなど、そのクリエイティブな作業には他のスタッフも感心するレベル。
この他にも小物を作成なども行なうようで、現在ボツとなっている一部のネタを披露。スライム型の水風船や、「ドラゴンクエストX」風のボードをキャラクターの周りに出すアイテム、魂が口から出ているように見えるアイテムなど没ネタを披露して会場の笑いを誘っていた。
グラフィックスチームで貴重だったのは、「『大魔王ゾーマ』ができるまで」と題して公開されたゾーマのグラフィックスデータ。線画だけで構成されたモデリングに始まり、アニメーションさせるために必要なボーンを埋め込んだスケルトン、そして徐々に完成形に近づいていくテクスチャを張り込んだバージョンや、モーションを設定したリギングなど、普段見ることができないデータが惜しげも無く披露された。
この他にも、3Dグラフィックスでの背景グラフィックスの制作などについても触れられた。背景の作成過程の中にはシナリオの読み合わせなども含まれており、作品世界を大切にする「ドラゴンクエストX」らしい側面を垣間見た思いだった。
あかほりさとる氏渾身の「ポーリーランド5」を公開!
ものすごいアイディアの根気で驚きのインテリアを作り上げていく、ハウジングの鬼とも言えるあかほりさとる氏のコーナー「ポーリーランド」を公開するコーナーが今回も用意されたいた。今回も凄まじく、構想やお金の調達のために10カ月、制作に2カ月、ラストの7月にいたっては「仕事をしていない」という凄まじい労力が注ぎ込まれた今回の「ポーリーランド5」。前回や前々回は「サ○ラ大戦」風だったりストーリーが凝った物語風だったが、今回は純粋にテクニックを追求したという。
たとえばブロックを敷き詰め、階段の上から見るとドラキーが浮かび上がったり、宝箱を並べてミミックを作り上げたり、ドット絵を描き起こした上でオブジェクトを並べる手間の掛かった作業が行なわれている。家具などオブジェクトが多いため、オブジェクトの使用数の限界に迫る様々な工夫もされている。
しかし中でも多くの人の驚きを誘ったのが、影絵を実現した家。「たゆたう水面投影機」と「銀河のカーテン」を使用し、その間に入り込むと影絵のような効果が得られるというのを利用した家で、来場者もしきりに感心していた。
これらのアイディアは掲示板などを参考にして作成したということで、あかほりさとる氏は感謝の意を表していた。
あかほり氏は「これがもう最後」としていたが、イベントラストに発表された「Version 4.5」で導入予定の新コンテンツ「マイタウン」の存在を聞き、安西ディレクターに「『ポーリーランド5』で終わりにしようと思っていましたが……『マイタウン』ってなんですか?」と新たなるコンテンツに、ハウジング好きとしての血が騒いでいるようだった。