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“つまみ持ち派”待望のミニゲーミングマウス「G304」インプレッション
レアな白もあり。充電をうっかり忘れててもまだ動く250時間連続駆動はイイぞ!
2018年6月1日 17:30
ロジクールは5月24日、ワイヤレスゲーミングマウスの新モデル「G304」を正式発表し、日本で8月下旬に発売することを明らかにした。参考価格は5,250円。現行のワイヤレスゲーミングマウスのラインナップの中でもっとも安い、エントリーモデルに位置づけられる製品だ。発売に先立ち、「G304」を触ってみる機会に恵まれたのでインプレッションをお届けしたい。
HEROセンサー採用の乾電池ゲーミング第2弾「G304」
「G304」は、ロジクールが2017年にリリースした「HEROセンサー」を採用したゲーミングマウスの第2弾だ。HEROセンサーは、ロジクールGブランドのゲーミングマウスに漏れなく採用されている「PMW3366」と同等の12,000dpi、1msのレポートレートを実現しながら、バッテリー効率を10倍にした独自開発の光学式センサー。
このHEROセンサーにより、プロフェッショナルグレードの性能を維持しながら、乾電池での長時間連続駆動を実現。ロジクールGの伝家の宝刀であるワイヤレスゲーミングに“乾電池”という温故知新的なテクノロジーを再導入した。
乾電池駆動のワイヤレスゲーミングマウス「G602」の発売から4年振りとなる、2017年9月に発売に登場した「G603」は、アルカリ乾電池2本で500時間連続駆動を実現。これは連続駆動時間の長さをウリにした「G602」の倍の駆動時間であり、なおかつ性能も、すべての項目が数倍になっている。
そして「G603」から約1年振りの乾電池モデル第2弾となる「G304」は、2017年3月にリリースされた「PRO」の筐体をベースに、HEROセンサーと、乾電池駆動を実現した、ワイヤレス専用のゲーミングマウスだ。
同じくHEROセンサーを搭載した「G603」との違いは、「G304」は価格を抑えたエントリーモデルとして、「G603」が搭載していた“普段使い”用の付加機能をことごとくカットしているところだ。具体的には、レポートレートを落として連続駆動時間を延ばすLOモードがなくなってフルスペックで駆動するHIモードのみになり、さらにBluetooth接続というオプションがなくなっている。バッテリーについては、「G603」では単三乾電池1本でも2本でも駆動するという、乾電池そのものをバランサーにするユニークな仕掛けが盛り込まれていたが、「G304」では乾電池は物理的に1本しか入れられなくなった。
基本フィールは“「PRO」のワイヤレスモデル”。その魅力は“つまみ持ち”にあり
それではそろそろインプレッションに入っていきたい。先述したように筐体そのものは「PRO」と同じだ。もちろん、「PRO」は有線専用で光学式センサーはPMW3366、「G304」は無線専用で光学式センサーはHEROセンサーという違いはあるが、金型は共通のものが使われており、手に持ったフィーリングはまったく同じだ。
重量は「PRO」が83gに対して、「G304」は単三乾電池1本込みで99g。重量的には「PRO」の方が少し軽いが、ワイヤレスが当たり前になった今では、ケーブルが地面をこすれるわずかな抵抗がどうしても気になってしまい、体感重量は「G304」のほうが軽く感じる。あくまでも個人的な意見だが、「G304」はロジクールG最軽量ゲーミングマウスと言って良いと思う。
さて、「G304」の最大の特徴は、今では少数派になってしまった感がある“つまみ持ち”用のマウスだというところだ。マウスには大別して3種類の持ち方が存在する。手のひらと5本の指でマウス全体を包み込むように持つ「かぶせ持ち(Palm Grip)」、かぶせ持ちと同じスタイルで、マウスクリックする人差し指と中指をグッと立てる「つかみ持ち(Claw Grip)」、そして手のひらはマウスにほぼ接触せず、親指と薬指でつまむように持つ「つまみ持ち(Fingertrip Grip)」だ。
「G304」の前身である「PRO」はその名の通り、プロゲーマーの意見を参考にして設計されたゲーミングマウスだ。ロジクール(Logitech)は、米国を代表するプロゲーミングチームCloud9のメインスポンサーであり、かつてCloud9の「Counter-Strike: Global Offensive」のスタメン選手として、現在は「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」を中心としたストリーマーとして活動するshroud選手が、熱狂的なつまみ持ち派としてよく知られている。
shroud選手は、ロジクールの広告塔として、過去に「PRO」や「PRO」以前のつまみ持ちマウスとして一斉を風靡した「G303」などを使い、その持ち方を配信内でたびたびレクチャーしていた。彼は4月にCloud9から正式に離脱してしまったため、ロジクールデバイスを今後も使い続けるかどうかは不明だが、ともあれ「G304」はそれらの延長線上にあるつまみ持ちマウスだ。
格闘ゲームのアーケードスティックの持ち方にも、「かぶせ持ち」、「ワイン持ち」、「ウメハラ持ち」と様々な持ち方があるように、マウスにも複数の持ち方があり、それぞれに適したマウスが用意されていると理解すればいい。中でも「G304」はつまみ持ち派に適したマウスというわけだ。「俺はつまみ持ちなんだよな」というゲームファンは、ぜひ店頭で触り比べてその感触を確かめてみるといいだろう。
では、「正直言うと、自分の持ち方がよくわかっていない」という人はどうしたらいいだろうか。ゲーミングマウスの世界が複雑怪奇で難しいのは、マウスの持ち方は、基本的にマウスの形状によって決まってしまうため、「最高の性能!」、「最新モデル!」、「カッコイイ!」、「shroudが使っている!」といった基準で購入してしまったマウスを使っている場合、今の持ち方が自分にとって最適とは限らないことだ。
最適なゲーミングマウスとは、“自分の持ち方に合ったゲーミングマウス”であり、キーボードのように触り比べてフィーリングに合うものを買えばいいというわけではない。まずは自分がどういう持ち方をしているか、より正確に表現すると“どういう動かし方をしているか”を知ることが先決だ。
筆者の場合は、職業柄マウスを触り比べる仕事をしているため、どういうタイプの持ち方でも持てるし、それなりに操作できる。ただ、実際にどういう動かし方をしているかというと、手首を支点に操作し、つかみからつまみの中間ぐらいの持ち方をしている。
マウスの操作方法は、大別して肩支点、腕支点、手首支点、指支点の4段階ぐらい存在するが、これはそのまま、かぶせ、つかみ、つまみに対応している。肩支点というのは、よほどのローセンシ(DPIを意図的に下げてマウスを大きく動かす設定)ユーザーが、補助的に使う程度でプロシーンでもほとんど見られないのでここでは除外する。腕支点は、腕全体を使ってマウスを操作する方法で、かぶせ持ちがもっとも安定する。手首/指支点ならつかみ/つまみがやりやすい。つかみ/つまみの場合、腕操作より手首操作のほうが瞬間的な可動域を広く取れるからだ。
このようにマウスの動かし方から逆算して、最適なマウスを選ぶのが幸せだと思う。「あ、俺、手首支点だわ」ということであれば、「G304」は有力な選択肢のひとつになるだろう。筆者も「G304」は自分の動かし方に合ったマウスなので、非常に扱いやすく、早くもお気に入りだ。ちなみに、ロジクールGで言えば、かぶせ持ちなら「G903」、「G502」、つかみ持ちなら「G603」、「G703」あたりがオススメだ。
最後にもうひとつ。うっかり書き忘れるところだったが、「G304」の魅力は、HEROセンサー搭載による、連続駆動時間の長さだ。「G903」や「G403」のバッテリ駆動時間は、LEDライト付きで20時間、なしで30時間というところだが、これは通常時の場合で、ゲームに使うとさらに短くなる。感覚的には2~3日に1回は充電しなければバッテリーが切れてしまう。そしてうっかりバッテリーを切らしてしまうと、有線接続という“罰”が待ち構えている。
これに対して「G304」は、LEDライトがもともとなく、普段使いで250時間を保証。ゲーム利用で多少短くなると考えても、余裕で数週間はたっぷり使うことができる。バッテリーモデルのように小まめに電源をオンオフすれば駆動時間はもっと伸びるだろうし、もしバッテリーが切れてしまっても単三乾電池さえあればさらに使い続けることができる。このバッテリー駆動時間の長さが“乾電池ゲーミング”の最大の魅力だと言って良い。つかみ/つまみ持ち派はぜひ注目したい1台だ。