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レノボ、スタンドアロン形のVRヘッドセットと3D映像を撮影できるカメラを発表
ヘッドセットは5万円台、カメラは3万円台半ばで提供
2018年4月24日 23:24
レノボ・ジャパンは、「簡単」、「リアル」、「コンテンツの拡充」の3点をコンセプトとしたスタンドアロン形のVRヘッドセット「Lenovo Mirage Solo with Daydream」(以下、Mirage Solo)を発表した。4月24日より予約を受け付け、5月11日発売。Web直販予定価格は51,200円(税別)。
このほかGoogleが提唱する規格「VR180」に対応する4K 2眼カメラ「Lenovo Mirage Camer with Daydream」(以下、Mirage Camera)も合わせて発表された。こちらも4月24日より予約を受け付け、5月11日発売。Web直販予定価格は35,800円(税別)。
スタンドアロンで動作可能な「Mirage Solo」
今日発表されたこの2製品についての発表会が、東京・渋谷にあるTECH PLAY SHIBUYAにて開催された。まず同社のモバイル製品事業本部 本部長の田中大輔氏があいさつに立ち、同社はARやVRといった領域にも投資して真剣に取り組んでいくという方針を説明。「すべての人にVRをお届けしたいと考えているが、そのためには何をすべきなのかが大事」と語る。
VRの裾野を広げるためのキーワードとして田中氏が挙げたのが、Mirage Soloのコンセプトでもある「簡単さ」、「リアルさ」、「コンテンツ」。これまでのVR機器はパソコンにつなげる必要がある上、ワイヤーでの接続だった。そしてセンサーを立てて調整しなければならない。Mirage Soloでは、これらの面倒な手順は必要なく、かぶってすぐに使えるのが特徴だ。また6軸のモーションセンサー(6DoF)が採用されているほか、ケーブルがないので、動きに対してフレキシブルに対応できる。またコンテンツについても充実を図っていくとのこと。「Googleとも話をしているし、日本のパートナーともコンテンツを広げ、充実させたい」(田中氏)。
YouTubeやGoogleフォトに簡単に3D画像をアップできる「Mirage Camera」
一方「Mirage Camera」だが、こちらはVR180に対応しているので、さまざまなシーンで180度のVR画像を撮影し、体験することができる。手軽に使うことを目的としたため、全方位(360度)ではなくVR180を採用したとのこと。「旅行を家族と楽しむとか、田舎にいるおじいちゃん、おばあちゃんに運動会を見せたいといった需要がある。これに答えていく」と語る田中氏。
カメラは1,300万画素で6軸手ぶれ補正を採用。Wi-Fiモジュールを搭載しているので、YouTubeやGoogleフォトに簡単にアップロード可能だ。タブレットやスマートフォンに接続して使うようになっており、撮った映像をすぐに楽しめるのも特徴だ。
別所哲也さんも応援に駆けつけ
ここで、Mirage Soloの発売に際して、今年20周年を迎える国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2018とコラボレーションをすることが発表された。会場には同団体の代表である俳優の別所哲也さんが登場。Mirage Soloについての思いを語ってくれた。
別所さんは「25分以下のショートフィルムには映像の未来地図、新しいアイディアが結集している。VR部門についてはクリエイターサイドのアイディアが映し出される。Mirage Soloの中にもコンテンツが提供される」と語る。「起承転結の時代は終わった。奇想天外な面白いショートフィルムが、新しいコンテンツとして、エンターテイメントの1つとなるものがコラボレーションにより生まれていくと思っている」(別所さん)。
なおコラボレーションの具体的内容だが、第1弾としてはVR部門の「VR SHORTS」の視聴デバイスとしてMirage Soloを約20台提供するほか、同フェスティバル推奨の12コンテンツについて、Mirage Soloの購入者に特別価格でレンタルする期間限定キャンペーンが実施される。
実際の活用事例も紹介
このほか、Mirage SoloとMirage Cameraの活用法について、同社のARVRビジネス開発 湯浅幸一郎氏より紹介された。
Mirage Cameraでは、撮影すれば簡単に180度のシーンを撮ることができる。老人の方にVRの映像を見てもらって、昔の思い出を記憶によみがえらせる活動をしている団体にも貸し出してテストをしているとのこと。またポッカサッポロと日本食育コミュニケーション協会、360Channelとのコラボにより、VR180を国産レモンの魅力や、レモンに関わるストーリーの情報発信に活用する予定とのこと。また建築現場でもMirage Cameraを活用。VR180の映像を使って現場の安全管理や施工記録に応用する実証実験が開始されているそうだ。
なおMirage Soloで利用できるWorldSenseに対応するアプリケーションは320本以上あり、6軸のセンサーに対応する6DoF対応のコンテンツも50本以上、うち日本語対応のものも40本以上あるという。
ただしコンテンツ的には海外のものが中心と受け取られがちだが、日本ではAbemaTVやdTVVRで提供されているコンテンツも利用できるとのこと。360度のVRコンテンツについても、360Channelで提供されている無料・有料のコンテンツが利用可能。Mirage Solo発売日から1か月間、有料7作品について半額キャンペーンも実施される。中には「進撃の巨人」のような有名コンテンツも含まれる。
6DoF対応のゲームについては、グリーが提供している「釣りスタ!」のほか、「BLADE RUNNER REVELATIONS」がプレイできる。また「この素晴らしい世界に祝福を!」に登場する人気キャラ「めぐみん」を使った快眠アプリも提供される。これについては、アバターが3Dで、近づいたりいろいろな角度から楽しむことができるようになるそうだ。
「釣りスタ!」とスクウェア・エニックスの作品も紹介
コンテンツの具体例として、グリーの「釣りスタ!」と、スクウェア・エニックスが開発中のアプリについての紹介も行なわれた。
グリーのWright Flyer Studios事業本部 VR Studio部 マネージャーの渡邊匡志氏が、Mirage Soloに対応する「釣りスタ!」について紹介した。
本作については、マルチプレイでは6人まで一緒に遊ぶことができる。他の人の魚にちょっかいをかけることもできるのだとか。シングルプレイについても作り込まれており、5時間以上遊ぶことができるそうだ。しかもこれだけ遊べて無料で提供される。「多くのお客様に遊んでいただきたいという思いがある。Mirage Soloを手にしたらぜひプレイしてほしい」(渡邊氏)。
なお発表会終了後の体験コーナーで「釣りスタ!」をプレイしてみたが、コントローラーを振って仕掛けを投げ、上に引っぱって釣り上げるという操作はとても簡単だが、VRであるためか、本当に釣りをしている醍醐味を味わえた。マルチプレイだったのだが、他の人に負けないように魚のいるポイントを狙って投げ、釣り上げるのはなかなか難しく、結局筆者は6人中五位で終わってしまった。
レノボ・ジャパンとスクウェア・エニックスでは、マンガのVRコンテンツ化を推進しているのだという。スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部プロジェクト・リードの曹家栄氏は、「PROJECT HIKARI」について紹介した。
このプロジェクトでは、マンガの新しい表現方法を研究しているとのこと。「これから登場するVR技術はコンテンツ自体の変化も起きる。平面の絵だけでなく、立体のコマになると考えている」(曹氏)。
なお立体コマの形は動的に変化可能。ユーザーが6DoFの機能を使って、頭を動かしてのぞき込んだりすることもできる。「コマの中に入り込んで、キャラクターが自分のそばにいるように見ることも可能」と曹氏。Mirage Soloとの連携は、今後レノボ・ジャパンと進めていくとのことだ。
これまでの紹介をまとめて湯浅氏は、「これまで20万円もしたものが6軸の機能が5万円のヘッドセットでできるようになった。これによって楽しみ方の敷居を下げたと考えている。マンガについても可能性を感じている」と語る。しかし5万円もするので高い、と言う需要については、DMMいろいろレンタルでレンタルすることも可能になるとのこと。Mirage SoloとMirage Camera両方借りることができるそうだ。
またさまざまなメーカーとの協業も進んでいるとのこと。田中氏は「なぜ今日このような場を作ったかというと、パソコンのメーカーとしてスタートしたが、パソコン+VRではなく、VR単体に対しても前向きに正面からぶつかっていく。コンテンツが充実しているメーカーがたくさんあるので、そこに対して最高のデバイスを提供したい」と最後に語った。