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いつでもどこでも「ドン勝」だ!モバイル版「PUBG」プレイインプレッション

「絶地求生:全軍出撃」、「絶地求生:刺激戦場」の2本が中国で配信中

2月9日 配信開始

 中国Tencentは、PUBG Corporationと協業してAndroid/iOS版「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)」を中国にて配信している。

 「PUBG」は100人が孤島に降り立ち、生き残りをかけて最後の1人、あるいは1チームになるまで戦い合うバトルロワイヤルシューター。「最終的に生き残れば勝ち」というルールのもと、時間経過ともに徐々に狭まるフィールドを舞台に様々な武器やアイテムを駆使しして生き残りを図っていくというタイトルだ。

 それゆえ、単純なTPS、FPSの腕前だけではなく、ゲームシステムの知識や生存戦略、そして運の要素が多分に絡むのが大きな特徴となっており、極端なことを言えば99人を相手に最後の1人になるまで戦い抜いてもいいし、99人が倒れるまで安全地帯でヌクヌクと待ち続けてもいい。そうした懐の広さと、ゲームシステムが生み出すスリルや達成感、そして運に左右されるいい意味でのバカバカしさが中毒的なリプレイ性を生み、2017年を代表する爆発的なヒット作となった。

 さて、そんな「PUBG」はこれまでPC及びXbox Oneで展開されていたが、この度公式にスマートフォンに登場する運びとなった。面白いのはそれぞれTencent傘下のTiMi Studioが開発する「絶地求生:全軍出撃(以下、全軍出撃)」と、LightSpeed Studioが開発する「絶地求生: 刺激戦場(以下、刺激戦場)」の2タイトルが同時に展開されているということで、いずれもPUBG corporationのお墨付きの公式「PUBG」モバイル版となっている。

 現状ではいずれも中国にて中国語版が展開されている状態で、日本での展開は未定となっているのが残念なところではあるが、いつでもどこでも「ドン勝(「PUBG」において1位の意 )」に挑めるとなれば、ここは是非プレイしてみたいところ。

 そこで、弊誌では立ちふさがる中国語の壁に四苦八苦しつつ、なんとか2本のモバイル版「PUBG」をプレイしてみることができたので、この模様をお伝えしたい。

【プレイ画面】
「全軍出撃」
「刺激戦場」

各端末でインストール手順が異なる。「ゲスト参加」はiOSのみ!

 まず、日本からモバイル版「PUBG」をプレイすることはできるのか?というところだが、結論から言えば「全軍出撃」、「刺激戦場」のいずれも日本からプレイが可能だ。ただし、やはり他国での展開だけあって、日本からゲームに参加するにはそれぞれある程度の障壁がある。

 プラットフォームは各タイトルAndroid/iOSの両対応となっており、まずAndroidでは各タイトルの公式サイトより生のApkファイル(ゲームデータ)をダウンロード&インストールした上で、Tencentのチャットアプリ「QQ」もしくは「微信(WeChat)」のアカウント登録とアプリのインストールが必要となる。端末にゲーム本体+各チャットアプリをインストールして、それぞれ紐つけを行なうことでゲームに参加できるようになる。

 また、iOSでは各タイトルを中国のApp Storeからインストールする必要があるので、中国のApple IDが必要となる。ゲームのインストールさえ完了してしまえば、iOSではゲストとしてプレイすることが可能なので、各チャットアプリのインストールなしでもゲームに参加することができる。もちろん手間はかかるがチャットアプリと連携してのプレイも可能で、おそらくゲームの進行状況などがチャットアプリのアカウントに紐つけられる形だ。

【「刺激戦場」のログイン画面】
Android版の起動画面。「微信」、「QQ」いずれかでログインする必要がある
iOS版。「遊客(ゲスト)」と「QQ」でログインできる

 ちなみに筆者はAndroid端末(SO-04G)、iOS端末(iPhone 6s Plus)の両方で試してみたのだが、Androidのほうは若干端末が古いこともあり、「刺激戦場」は若干動作がカクカクになり、「全軍出撃」は起動すらできないという結果になった。iOSは中国アカウントの取得に若干てこずったものの、いずれのタイトルも中国App Storeでダウンロードして問題なく起動、ゲスト参加が可能であったので、本稿はiOS版でのプレイをベースに執筆している。

「全軍出撃」、「刺激戦場」のいずれも「PUBG」を高水準で再現!

 「全軍出撃」と「刺激戦場」。どのような経緯があったのかは定かではないが、中国では現在2本のモバイル版「PUBG」が同時に配信されている。"モバイル版"と聞くとマップが狭くなっていたり、ゲームルールをよりカジュアルにアレンジしていたりと、本家のゲームを簡略化したもののようなイメージもあるが、「全軍出撃」と「刺激戦場」はそうしたこともなく、いずれも本家「PUBG」の完全再現にこだわったタイトルであるように感じられた。

 正直2タイトルともに本家「PUBG」を忠実に再現しているタイトルのため、それぞれの違いを聞かれると答えに困ってしまう部分もあるのだが、操作体系やゲームモードなど、細かなところでは違いが見られた。また、本家「PUBG」には存在しないログインボーナスやレベルアップの概念もあるようで、ある意味ではモバイル版らしいシステムとも言えるだろう。もちろん、レベルアップでキャラクター性能が上がったりはしないので、そのあたりはひと安心だ。

【メニュー画面】
「全軍出撃(画像左)」と「刺激戦場(画像右)」のメニュー画面。刺激戦場はコンパクトにまとまったUIなのに対し、「全軍出撃」は各ゲームモードのタイルが画面右に配置されている

 ゲーム内容に関しては今後のアップデートで独自性が出てくることも十分に考えられるので、ここでは2タイトルで共通した部分を紹介しつつ、明確に異なる部分はタイトル毎に言及していくことにしようと思う。全編中国語ゆえに判別できなかった部分も多々あるが、その点はどうかご容赦いただきたい。

 マップは基本的に「Erangel」をそのまま再現しており、登場する武器や車両、それぞれの出現位置や確率も、確認できた限りでは本家「PUBG」に準拠しているようだ。ゲームルールもそのまま踏襲しており、参加者がひしめくロビーから始まり、飛行機によるフィールドへの降下、そして狭まりゆくフィールドを舞台に、「ドン勝」目指して生き残りを図るという流れになっている。

【マップの比較】
「全軍出撃(画像上)」と「刺激戦場(画像下)」のマップ。本家「PUBG」の「Erangel」をそのまま再現しているのがわかる
【刺激戦場】
ゲームの流れは本家と全く同じで、ロビーを経て航空機からフィールドにダイブ!ロビーではしゃぐのはモバイルでも共通の文化

 ゲームモードは1人用、2人用、4人用が用意されており、このあたりも本家と同じように楽しむことができる。また、「全軍出撃」でははじめからマップが狭まった特殊モードを遊ぶこともでき、詳細は不明だが、何やらポイントを累積するシステムのゲームモードも用意されているようだ。

【「全軍出撃」のゲームモード】
「全軍出撃」のゲームモードの1つ。4月15日まで開催されるようだが、ゲーム内容自体は通常のものと変わらず、詳細は不明
「全軍出撃」では初めからフィールドがかなり狭い、いわばクイックモードのようなものも遊べる

 操作体系はモバイルに最適化されており、初期設定では横持ちの画面の左側にキャラクターの移動、画面右側には視点の移動が割り振られている。また、画面上には射撃やアイテムの表示といったボタンが設置されているほか、回復アイテムのショートカットなどが表示されているのが大きな特徴だ。ジャンプボタンには比較的最近本家に追加されたパルクールの動作も割り振られているようで、障害物の目前などでボタンを押すと颯爽と乗り越えるアクションを見せてくれる。また、オートランなども実装されているので、長い移動であっても楽にこなすことができる。

 基本的な操作は2タイトルともに共通で、いずれも基本操作やボタンの位置やサイズといった部分のカスタマイズが可能となっているが、「全軍出撃」にだけ「リーン(覗きこみ)」のボタンも用意されている。

【UI比較】
「全軍出撃(画像左)」と「刺激戦場(画像右)」のUI。配置が微妙に異なるが、基本的にボタン数はほぼ同じ。「全軍出撃」には移動ボタンの左右に「リーン」が配置されている
いずれのタイトルも基本的な操作や、車の操作方法を変更できる。その他にも色々と設定項目があるのだが、中国語のため詳細は不明

 グラフィックスも何段階か調整ができ、基本的にはかなり忠実に「PUBG」世界を再現している。流石にハイスペックPCを用いて「ウルトラ」の設定で動作させた時のような美しさとまではいかないが、少し設定を落とした時のグラフィックスとほぼ同等なものになっているので、モバイルにしてはかなり綺麗なグラフィックスで楽しめる。個人的な好みでいうと若干「刺激戦場」よりも「全軍出撃」のほうが綺麗に見えるかな、という程度で、このあたりも2タイトルで大きな差はないようだ。

 ちなみに、キャラクター作成は「刺激戦場」のほうがパターンが多く、男女数パターンの顔、髪型、髪色を組み合わせて自らのキャラクターを作ることができる。一方「全軍出撃」では男女の性別を選ぶのみとなっている。

【キャラクター作成】
「全軍出撃」のキャラクター作成。男女ともに1パターンで、どちらかを選択する
「刺激戦場」のキャラクタ―作成。顔と髪型、髪色をカスタマイズできる

 アイテムの取得に関してはモバイル版独自の仕様となっており、今装備しているヘルメットやベストの上位ランクのものはハイライトで表示され、自動で着替えてくれるようになっている。同様に、武器の弾薬なども今装備している武器で使えるものがハイライトされ、自動で拾ってくれるようになっているので、アイテムの取捨選択が楽に行なえるようになっている。

 アイテムの取得そのものは手動で連打したほうが早かったりはするのだが、着替えや選別の時間を考えると自動取得に任せてしまったほうがトータルでは早かったりもする。また、AKMは7.62mm弾でM16A4は5.56mm弾……などというのはある程度ゲームに慣れてくると当たり前のように判断できるようになるものだが、覚えるまではどの武器がどの弾薬に対応しているかわからなかったりするので、このあたりは初心者にも優しい仕様であるといえるだろう。

【アイテムリスト比較】
「全軍出撃(画像左)」と「刺激戦場(画像右)」のアイテムリスト。「刺激戦場」では手持ちの装備に使えないアタッチメントにはマークがつくので、アイテムの整理がしやすいかもしれない

 一方、賛否両論ありそうなのはコンピューターの操作するBOTの存在で、これは「全軍出撃」と「刺激戦場」のいずれにも登場する。おそらくはマッチングの際に100人に満たない人数を補完する意味で導入されているものと思われるが、BOTは全く遮蔽物に身を隠さなかったり、サイドステップを繰り返したり、挙句に目の前でリロードをしたりと、明らかに低レベルな動作を繰り返す。プレーヤーの少ないゲームだと連続でBOTと遭遇して、虚しいキル数だけが伸びて行って少々興ざめな部分もある。

【刺激戦場】
「刺激戦場」で遭遇したBOT。行動は稚拙で、目の前をウロウロするのみ

 もちろん、BOTを混ぜることによってマッチング時間の短縮が見込めるので悪いことばかりではないし、実際どのゲームモードでもマッチングはほぼ待ち時間なしで完了する。ただ、「PUBG」というタイトルの面白さは対人ありきなので、個人的にはマッチング時間を少し伸ばしてでも極力BOTの加入は少なくして欲しいところだ。

 ちなみに、BOTもいっちょ前にアイテムは装備しているので、倒すと実は結構いいアイテムを持っていたりするのだが、「PUBG」は常に対人での緊張感に晒されながらのアイテムの争奪戦も含めて面白いタイトルなので、こうした入手経路でいい装備を手に入れても「うーん……?」となんだか腑に落ちない部分があるのである。

 ただ、やはりゲームが進んでくると、BOTは淘汰されて残るはプレーヤーのみになる。そうなってくると俄然ゲームが面白くなってきて、フィールドが狭くなってきた時の緊張感と高揚感は本家「PUBG」に勝るとも劣らない。「ドン勝」しようとそうでなかろうと、「よし、もう1戦!」とついつい時間を忘れてのめり込んでしまう中毒性も健在であって、このあたりにプラットフォームを問わない「PUBG」の凄みを感じさせる。

【「全軍出撃」で「ドン勝」!】
「全軍出撃」で「ドン勝」達成!!!!残り2人になったところで先に相手を発見できたのがラッキーだった

日本展開が待ち遠しい!モバイルで遊べる「PUBG」

 実際に「全軍出撃」、「刺激戦場」のモバイル「PUBG」2タイトルをプレイしてみて、正直モバイルでここまで"純度の高い"「PUBG」が遊べるとは驚きであった。もちろん操作がモバイル用に変更されているので、ここはある程度の慣れが必要だが、それでも「PUBG」をいつでもどこでも遊べるというのは極めて面白い。いずれのタイトルにもそれぞれ良いところがあるので、プレイ人口的な意味でもこれら2つのいいところを組み合わせて1本のタイトルにしてもらいたいところだが、そう簡単にはいかないのかもしれない。

 モバイル版「PUBG」は、現状中国のみの展開となっており、グローバルや日本での展開は未定となっている。しかし、「PUBG」の人気を鑑みればこの後の展開がないとは考えにくい。ゲーム内では言語の問題でわからなかった部分もあるし、日本で展開された際には「PUBG」がどのような広がりを見せるのか、本当に楽しみだ。

 もちろん、「それまで待てない!」というせっかちな方はぜひ中国語版を遊んでみるのもいいだろう。モバイルとはいえ紛れもなく「PUBG」なので、「ドン勝」を目指す楽しさは折り紙つきだ。ただ、設定や言語の問題もあるし、セキュリティ上のリスクもないとは言い切れない。トライする際は十分に注意して楽しんでいただきたいと思う。

【全軍出撃】
【刺激戦場】