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国内最大規模の「PUBG」オフライン大会「GeForce CUP: PUBG #02」が開催

正式サービス後初の国内大会。「PUBG」コミュニティ集結で大盛り上がりに

12月23日開催

会場:浅草橋ヒューリックホール

 NVIDIAは、PC向けバトルロワイヤルシューター「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」のオフライン大会「GeForce CUP: PUBG #02」を12月23日、浅草橋ヒューリックホールにおいて開催した。SOLO、SQUAD、シャッフルSQUADの3部門の決勝戦が行なわれ、100名を超える選手、大勢の観客と共に大盛り上がりのイベントとなった。

PCゲーマー待望の「PUBG」大会となったGeForce Cup
満員となった会場
NVIDIA日本代表の大崎真孝氏も「ドン勝目指して頑張って下さい」とビデオレターで応援

 「GeForce CUP」は、NVIDIAが日本のeスポーツコミュニティの育成、発展を目的にオンラインを主体に定期的に実施しているeスポーツ大会。半年に1度ペースでオフライン大会も行なっていく方針で、「GeForce CUP」のオフライン大会はこれで2度目、「PUBG」としては今回が初めてだ。プロ大会ではないため、賞金は出ないが、入賞者にはロジクールやASUS、Razerなど協賛各社からハイグレードなゲーミングデバイスが贈られる。

 ちなみに「PUBG」は、12月21日に待望の正式サービスに移行したばかりで、新マップ「Miramar」やクライミングアクションの追加、キャラクターへのダメージモデルや、武器、アイテムの拡充など、無数のアップデートが実施されている。本大会も、最新の1.0バージョンで実施され、出場する選手たちにとっては、最新版に対応しなければならずなかなか大変だったようだが、主催社側としては最高のタイミングでのオフラインイベントとなった。

 会場には左右に40台ずつと、エラーが出たときに備えて数台を加えた80数台のゲーミングPCを用意し、会場だけで80人対戦を実現。これはESLがグローバルで展開しているプロ向けの大会と同等のレギュレーションであり、NVIDIAのパワーと、eスポーツにかける意気込みを実感させられた。

 また、国内の著名なFPSプレーヤーを“招待選手”としてあらかじめ招いている点もユニークだ。DetonatioN、DeToNaTor、SunSister、Team Destroy、父ノ背中など、有力なFPS選手を抱える著名チームをチーム単位で招待し、招待枠として参戦を要請。当日参加が難しい地方のチームに対しても一部種目でオンライン参加も可とした。eスポーツ業界のビッグスポンサーの声がけに、各チームの選手達はこぞって参加し、結果として大会のレベルも上がり、大会そのものも大いに盛り上がった。

 会場でもうひとつ驚いたのは、会場は多くのお客さんで大盛況だったことだ。400人も入れば一杯という会場は絶えず満席で、客層も10代から20代の若い層、しかも3~4割は女性だった。こうした風景は、ゲームコンソールの大会では当たり前だが、PCゲームでは異例で、もう少し年齢層が高いか、男ばかりということが多い。こういう“若い”盛り上がりは、PCゲームでは、2000年代のPCオンラインゲームブームまで遡る必要があるかもしれず、しかも「PUBG」は世界大会やプロリーグ等がまだ存在しないにも関わらずこの盛り上がりというのは、PCゲームファンとしては驚かざるを得ない。もっとも、彼女たちのお目当ては試合観戦そのものというより、今回参加している有力チームのトップ選手を応援にきたという感じだが、有力選手達が活躍するたびに黄色い声が挙がり、「PUBG」が真の意味で日本でムーブメントを巻き起こしていることが実感できた。

【80台のゲーミングPCを用意】
左右にずらっと合計80台のゲーミングPCが用意された

【ロビーには協賛各社ブース】
インテルブース
ドン勝PC
ビデオカードを扱うメーカーの出展ブース
会場のWiFiは、ASUSのゲーミングルーターで提供
アンケートに答えるとPCケースやGeForce USBメモリーなどが当たった
当日参加も可能ということで、キャンセル枠受付コーナーは絶えず人で溢れていた

【GeForceもしっかりアピール】
会場では試合と試合の合間に、NVIDIAチャネルセールスマネージャーの高橋一則氏、コンスーマーマーケティングマネージャーの谷口純也氏、SOLO大会で優勝したすもも選手、そして協賛メーカー各社による、GeForceの「PUBG」での有効性をアピールするセッションが行なわれた

 さて、大会の方は、79人を相手に戦う個人戦「SOLO」と、4人1組で戦う「SQUAD」、出場選手をランダムでシャッフルして即席のチームで戦う「シャッフルSQUAD」の3種目の決勝が行なわれた。3種目を1日で、しかもほぼ同じ選手たちが戦うというレギュレーションはなかなかないため、取材そっちのけで大いに観戦を楽しませて貰った。

 最初から最後まで楽しいのは個人戦だ。ヘッドショットで一発即死、乗り物による轢死、最悪降下直後の殴り合いでも死ぬ可能性があるという、常に死と隣り合わせのバトルロワイヤルが見ていて非常に楽しい。降下直後から小競り合いが発生し、正面の大型モニターに有力選手のアイテム回収シーンが映し出されている間にも、どんどん死者が発生していく。

 海外のように20のモニターを用意し、戦闘が始まった戦場にその都度スイッチャーが切り替えながらガンガン実況していくというシステムではなく、実況は右上の結果を見ながら、誰が誰をキルしたという情報のみを伝えるというやや寂しい実況解説となっていたが、それでもこのテンポの速さ、バトルの多さは大いに観戦意欲をそそる。

 「SOLO」は各モードの中でも特に運の要素が強いが、それでも終盤まで勝ち残っていたのはやはり招待選手ばかりだった。極限までマップが収束していくと、周りはすべて敵という状態となり、わずかに確保した安全地帯で包帯を巻き、ドリンクを飲みながら、相手の隙をうかがっていく。最後は3人となり、勝負の決め手は乱戦の中に投げ込んだ1発のグレネード。DetonatioN所属のすもも選手のドン勝となった。

 すもも選手は、極力戦闘を避け、常に家に篭もる戦術を採用。侵入した形跡を残さないように、小窓からパルクールアクションで侵入していたということで、トップレベルでは正式サービスを機にすでにタクティクスが大幅に変化していることをうかがわせる。

【SOLO部門試合風景】
DetonatioNからはDustelbox選手をはじめ5人も参戦
DeToNaTorからはSOLOにYamatoN選手、SHAKA選手が参戦
YamatoN選手は建物内の遭遇戦でかなり早い段階でやられてしまった
SHAKA選手は最終盤でスナイパーに撃ち抜かれ5位入賞
優勝を勝ち取ったのはすもも選手(DetonatioN所属)
順位表

【SOLO部門表彰式】
1位すもも選手(DetonatioN所属)
2位AllYouNeedIsKill選手(Buhidou Gaming所属)
3位Apple選手(父ノ背中所属)
最多キル賞Airchan3選手
ドンケツ賞DestroySenpai(Team Destroy)

 続くSQUADは、60チームによるオンライン予選を勝ち抜いた5チームと、招待チームによるオフライン/オンライン共催試合となった。予選を勝ち抜くか、すでに実績のあるチームのみの大会ということでハイレベルな戦いが繰り広げられた。

 ただ、SQUAD大会は、ESL Oaklandレポートでも触れたように、立ち上がりがとにかく重く、序盤はバトルが発生しないのが難点だ。SOLOと比較して80人から20チームと戦闘単位が1/4になり、そもそもお互いに遭遇しにくくなるのに加えて、序盤は積極的に戦闘を避けるため、数回の収束が完了するまで「20チーム80人」という初期状態が続く。

 それでも招待選手で構成されたトップチームの動きは大いに参考になる。装備や車輌の確保スピード、次の収束先への展開スピード、そしていざ戦うと決めた時の散開スピード、気絶した仲間を救う際の救出スピード、強いチームはそのすべてが速い。最速で収束先に布陣して、最速で強ポジションを確保し、最速で“芋る”。静から動、動から静、この変化がSQUAD観戦の醍醐味だ。

 試合は、中盤から終盤まで絶えず主戦場を支配し、大会を盛り上げ、最多キル賞を獲得したruka_14選手を始め、全チーム、全選手がオンライン参加のチームという意外な結果となった。並み居る招待選手たちを完全に退けてオンライン予選のチームが勝つというのは、在野の有力なFPSプレーヤーが「PUBG」に参戦しているという何よりの証拠で、日本の「PUBG」コミュニティのレベルの高さを示している。この試合を見て、「PUBG」こそは、世界で活躍できる日本選手が生まれるのではないかという期待感を持った。

【SQUAD部門試合風景】
著名チームにはギャラリーが集まっていた
解説を聞きながらスクリーンを見つめる観客たち
SQUADは立ち上がりが重いが、中盤からの盛り上がりは最高におもしろい

【SQUAD部門授賞式】
SQUAD部門は、すべてオンライン参加のチームが入賞したため、解説のNottinTV氏とSHAKA選手が受け取ることに

 最終戦の「シャッフルSQUAD」は、正式サービスに合わせて実装された砂漠マップ「Miramar」が採用された。「Miramar」は、テストサーバーで熱心にプレイしていた人以外は完全に新参マップで、マップ研究の真っ最中だ。開拓初期のラスベガスを彷彿とさせる砂漠マップで、従来の「Erangel」と比較して、ひらけたエリアが多い一方、巨大な街が点在する。乗り物は遅いクルマが多いため、バギーやバイクが大活躍するといった特徴がある。

 大会は当日参加枠ありの1発勝負で、招待選手1人+3人という編成で、招待選手が即席のチームメンバーをボイスチャットで導きながらドン勝を狙っていくという展開となった。

 おもしろかったのは気絶周りの駆け引きだ。チーム戦では気絶という概念があり、チームメンバーが気絶したメンバーに近寄って助けることができる。しかし、大会ではこれを逆手にとって、あえて気絶状態のまま放置して、近くにいるはずのチームメンバーをおびき寄せる餌にし、現われた仲間ごと相手チームをまとめてキルするという戦術が使われる。

 トレーニングされたチームは、気絶の処理は、現実世界の特殊部隊のように冷厳なマニュアルが存在し、救えるか救えないかをリーダーが瞬時に判断し、救えない場合は容赦なく見捨てる。個人よりもチームが生き残る方が重要だからだ。この点、即席のチームは、勝利への執念よりも、仲間としての情が優先され、その結果、ヒロイックな救出劇や、天に祈りたくなるような悲劇が展開された。

 また、「Miramar」は、面積単位での物資量が少なく、SQUAD単位での装備獲得に多くの移動を必要とする傾向があるため、比較的序盤から偶発的な戦闘が数多く発生するなど、通常のSQUAD戦と比較して展開が早い。しかも装備不足からハンドガンや火炎瓶など、あまり使われない火器も使用されていたのがおもしろかった。

 そして1エリア内に数十名がひしめく終盤戦の盛り上がりは、「PUBG」ならではのもので、狭い崖を舞台に中近距離での壮絶な撃ち合いが繰り広げられ、わずかな差でArc選手(Team Destroy所属)率いるチームが勝利した。大会MVPは、実況解説を務めたYamatoN選手(DeToNaTor所属)から「地形把握、状況判断、エイミングなどすべてのスキルが高く『PUBG』を体現するプレーヤー」とまで絶賛されたWesker選手(SunSister所属)が獲得した。

【シャッフルSQUAD試合風景】
新マップ「Miramar」は刑務所からスタートする。ひらけた丘陵地帯がほとんどだが、南東には海と島がある
気絶からの立ち回りはSQUADの見所のひとつ
見事な芋っぷり(褒め言葉)で、MVPを獲得したWesker選手
移動はバイクがメジャー
この極限状態でのサバイブ。観戦していて最高に楽しい瞬間だ
この急斜面が最終地点となった
最後まで生き残ったのは、有利とされる高台ではなく平地で身を潜めていたArc選手率いるチーム

【シャッフルSQUAD表彰式】
1位Arc選手チーム(Team Destroy所属)
2位fiachan選手チーム(SunSister所属)
3位Apple選手チーム(父ノ背中所属)
最多キル賞は7キルを達成したWesker選手
Wesker選手はMVPも獲得し、ダブル入賞となった

 それにしても、大会ルールとしての「シャッフルSQUAD」の潜在能力の高さには驚かされた。ESLでは、世界1位を決めるためにSQUADを10戦行なうが、1~2戦なら楽しく観戦できるものの、それ以上は見ている方が退屈してしまう。10戦目になると、プレイする方も、観戦する方も疲れてきて、eスポーツとしての「PUBG」はまだまだ発展途上という印象が強かった。

 しかし、今回実施された「シャッフルSQUAD」は、これをそのまま世界大会のルールに採用するのは難しいものの、eスポーツイベントとしての観戦の楽しさはピカイチで、本来の「PUBG」の魅力を剥き身のまま味わえるだけでなく、SQUADルールの新たな魅力、可能性に気づかせてくれた。ぜひ常設ルールとして採用して欲しいところだ。

 なお、GeForce Cupは、今後もオンラインを主体としながら、不定期ながらオフラインでも実施していくという。もちろん、今後も引き続き「PUBG」大会も行なっていくということなので、「PUBG」に興味のあるゲームファンは参加してみてはいかがだろうか?

【フィナーレ】
放送終了後はジャンケン大会が開催され、招待選手サイン入りTシャツや色紙などが贈られた