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「D×2 真・女神転生 リベレーション」レビュー
スマートフォンでも手触りは紛れもなく「メガテン」。シリーズの魅力を完全再現した新作RPG
2017年12月21日 17:00
「D×2 真・女神転生 リベレーション」の3大ポイント
・「メガテン」伝統のシステムがスマートフォンに
・洗練されたインターフェイス
・シングルプレイRPGとソーシャルゲームの融合
10月には「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」が発売され、さらにNintendo Switch向けのナンバリングタイトル「真・女神転生V」も発表と、にわかに熱気を帯びてきた「メガテン」シリーズ。そんな熱気をさらに高めようとしているのが、セガゲームスより配信予定の新作アプリ「D×2 真・女神転生 リベレーション」だ。
同シリーズとしては初のスマートフォン用タイトルとなる本作。これまでも多くの驚きを提供してきた作品だけに、期待を寄せている人も多いだろう。今回、本作を配信に先駆けてプレイする機会が得られたので、そのインプレッションをお届けする。詳しくは本稿を読み進めてほしいが、スマートフォンというハードでも“メガテンらしさ”を存分に発揮した、会心のタイトルに仕上がっている。
スタイリッシュなデザインに仕上がった新生“メガテン”
本作の主人公、つまりプレーヤーは、謎の男に導かれ、スマートフォンの専用アプリから悪魔を召喚する力を得て「D×2(ディーツー)」となる。そして世界を守護する秘密組織「リベレイターズ」の一員となり、D×2同士の戦いに巻き込まれていく……というのが作中で描かれる大まかなストーリーだ。
プレーヤーをりサポートしてくれるのは、リベレイターズの東京支部長「メガキン」。チュートリアルはもちろんログインボーナスにイベントの説明と、ありとあらゆる場面で顔を出してくる。ちなみにYouTuberのノリで話しかけてくるのも、本作ならではの面白さだ。
メガキンの存在に限った話ではなく、画面全体のデザインやUIも洗練されている。「メガテン」といえばどこか陰鬱でダークな世界観が魅力だったが、本作では明るく、スタイリッシュな印象も同時に受ける。このあたりは「メガテン」から派生し人気を博してきた「ペルソナ」シリーズに似ており、派生作品しかプレイしたことがない人でもすぐに馴染めそうだ。
そして舞台となるのは、現代の東京だ。序盤のストーリーは秋葉原で展開するのだが、街並みの再現力にもぜひ注目してもらいたい。現実の風景をベースにしつつ、より明るく、ポップなイメージを持つことだろう。
もうひとつ重要なロケーションとして「リベレイターズ」のアジトもある。アジトではプレーヤーに与えられたミッションの確認から悪魔の召喚、合体、あるいはショップといった、ゲームを進める上で欠かせない施設が揃っている。本作をプレイする中で、もっとも見る機会が多いであろう場所だ。
悪魔の召喚はいわゆるガチャとなっており、強力な悪魔を入手できる。悪魔はガチャだけでなく、バトルの中に交渉することで仲魔にすることもできる。また「偽神協会」では入手した悪魔同士の合体、「万魔の社」では悪魔を転生させてさらに強化することも可能。「メガテン」シリーズではおなじみのスキル継承も「万魔の社」で行なえる。総じて、「メガテン」らしさとソーシャルゲームのお約束が見事に融合したシステムといえるだろう。
「メガテン」の特徴を忠実に落とし込んだバトルシステム
本作のバトルシステムはターン制のRPGとなっている。バトルスピード(パーティの素早さの合計スコア)の数値の大きいチームが先行となり、全員の行動が終わったら次は相手のターンへと移っていく。このとき上手く弱点をつければボーナスターンが発生し追加で行動できるようになり、有利にバトルを展開できる。ただし、はじめて出会った悪魔の弱点は不明なので、まずはさまざまな属性のスキルを使って弱点を探ることが肝心だ。
ここまで書けば気づく人も多いかと思うが、戦闘は「真・女神転生III-NOCTURNE」で初登場した「プレスターンバトルシステム」とほぼ同じシステムに仕上がっている。シリーズをプレイした人であれば、チュートリアルに頼ることなくストーリーを攻略できるはず。そのチュートリアルもメインストーリーに絡めた形で挿入されるので、テンポも非常に良い。チュートリアル専用のステージを強制的にプレイすることになり、メインストーリーがなかなか始まらない……といった“ソーシャルゲームあるある”が本作には存在しないのだ。
とはいえスマートフォンアプリである以上ソーシャル性、つまり他プレーヤーとの連携もしっかりと搭載されている。例えばフレンドが助っ人として設定している悪魔を召喚でき、共に敵と戦ってくれる。またバトル中にランダムで他プレーヤーからのアシストが発生し、スキルを使用してくれることも。逆に自分が誰かのバトルをアシストする可能性もあり、緩く協力している感覚が味わえる。
「メガテン」で忘れてはいけないのが、悪魔会話によって敵を仲魔に引き入れる交渉システム。この要素は本作にももちろんあり、悪魔との独特の会話も健在。交渉に成功すると仲魔として使役が可能で、合体や強化を繰り返していけばどんどん強力な悪魔に育っていってくれる。交渉では召還とは違い、プレーヤーのレベルによって仲魔にできる悪魔のレベルに制限がかかるのもシリーズおなじみだ。
なお、バトルではオート機能や、倍速モードも搭載されており、これらを駆使すれば1回のバトルが1、2分で終えることもできる。設定を変更すれば悪魔と自動的に交渉もしてくれるようになるので、オートのままでも悪魔が交渉をしたがっているというサインである「TALK」アイコンを無駄にすることがないのは嬉しい仕様だ。
ひと通りのシステムが開放されるまでプレイして感じたのは、本作が想像していた以上に「メガテン」の本流にいること、そしてスマートフォンとの相性が非常に良いことだ。悪魔を入手する方法として交渉と召喚(ガチャ)の2種類が用意されており、コンシューマ的な楽しみ方、ソーシャルゲーム的な楽しみ方の双方が同居しているのも面白い。シリーズの特徴を反映しつつ、スマートフォンならではの遊びやすさにも踏み込んだ作品だ。
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