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【特別企画】「サドンストライク 4」で“戦術脳”を鍛えよう!(前編)
緻密でシビアな戦術ゲームが“面倒くさい”から“面白い!”に変わるまで
2017年11月9日 12:00
こんにちは。ミリタリーゲーム大好き編集者の中村です。「サドンストライク 4」楽しんでますか? 約1年前に、Gamescomレポートで、皆さんにその魅力をお伝えしてから、この11月、ついに日本語版でプレイすることが可能になりました。
WWIIの分野で言うと「Close Combat」(1996年、Atmics Games)を皮切りに、1990年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したRTT(リアルタイムタクティクス)(※日本でのジャンル表記は「ミリタリーRTS」)ゲームの最新作です。ジャンルとしては、「Civilization」や「大戦略」シリーズでお馴染みのターンベースストラテジーの一派生形で、「Age of Empires」や「Starcraft」などのRTS(リアルタイムストラテジー)とは兄弟分。限定された状況、与えられた戦力内で、各ユニットの適性を最大限に活かしながら敵を覆滅していくゲームです。
RTSが、リソース収集から軍団編成、敵部隊との決戦までを短時間で遊ばせるために、面倒な部分は簡略化しているのに対し、RTTは砲弾や燃料の補充、擱座した車両の修理をはじめ、面倒な作業まで全部手動で行なうのがポイントで、ポーズを掛けながら何時間も掛けてじっくり遊んでいきます。当然の帰結としてRTSはマルチプレイ重視、RTTはシングルプレイ重視で、本作にはRTTには珍しくマルチプレイモードがあるが「マルチプレイはもうちょっと……」というゲームファンにもお勧めできます。
「サドンストライク 4」は、そうしたRTTの要素を良い意味でも悪い意味でもしっかり受け継いでいます。1戦闘ごとの補給、修理のための小休止は必須で、主砲弾を1発ずつ補充するため部隊の補給に何十分も掛かり、歩兵による偵察を怠ると、まさかの大反撃を受けて機甲部隊が壊滅、部隊を維持するために必要不可欠な修理・補給車両、衛生兵を失ってもほぼ終わりと、何度も全滅しながら体で覚えていくゲームです。幾度もの全滅をくぐり抜けた先には、歩兵の意外な強さや、火力を集中させることの重要性、地形や拠点の有効活用法などがわかってきて、指数関数的におもしろくなってくるのもこのゲームの小憎らしいところです。
その上で、素晴らしい戦車のモデリング、リアルな戦場のグラフィックス、躍動感のある行軍アニメーション、やや盛りすぎながらも大迫力のバトルと、前作比でしっかり10年分の進化を遂げており、冒頭で紹介した「Close Combat」をはじめ、RTTの分野では誰もが認める佳作である「Men of War」、「Total War」、「Company of Heroes」といった各シリーズのファンにも、テイストはかなり異なるものの、WWII RTTの楽しさが堪能できるという点でオススメできる作品に仕上がっています。何より、このRTTがコンソールゲームにも拓かれたというのが画期的なポイントで、「RTTなんて知らないなあ」はぜひこの機会に手に取ってみて欲しいゲームです。
さて、このRTTの唯一にして最大の難点が、“難しいこと”! ゲームを購入した全員がクリアできるようなゲームバランスにはなっておらず、クリアするために必要な知識もチュートリアルでは得られず、ブリーフィングも攻略の面ではまったく役に立たない。この突き放し具合がRTTであり、「SS」シリーズだなと思うわけですが、今の時代、これでは厳しいでしょうということで、全2回の攻略連載を企画してみました。書き手は、私を上回るストラテジーゲームマニアの佐藤カフジ。RTTビギナーにとっては「ほー、そうなのか」と、目から鱗が落ちる情報が盛りだくさんになっておりますので、ぜひぜひ参考にしてみて下さい。
あなたの奥深くに眠る戦術脳を呼び覚ます!「サドンストライク 4」ってこんなゲーム
万人が激しい競争に晒される現代社会! ラッシュアワーの電車の席取りから出世競争、企業の商戦にいたるまでで、日常生活においてもありとあらゆるレイヤーで試されるのが問題の把握と解決の能力である。軍事用語ではそれを“戦術”という!
さて、私達が日々楽しんでいるありとあらゆるゲームというのは、構造的には“問題”と“解決”の繰り返しで出来ている。問題が次第に難しくなっていき、進むほどに問題解決能力の向上を強いるというのが大半のゲームの基本プロセスだ。
そういったプロセスを、様々な題材で日々繰り返し体験しているゲーマーの皆さんは、問題解決の能力=戦術能力を日々鍛錬しているといっても過言ではない。難題をぶち破るほどに、能力は磨かれ、成長の実感と大きな達成感も得られるというものだ。
11月9日にPS4版が日本で発売となった「サドンストライク 4」は、まさにそういったゲーマーの皆さんに挑戦状を叩きつける、“難題の塊”のようなゲームだ。本作はきょうび珍しいほどの超シビアな戦術シミュレーションゲームであり、判断の誤りを小手先のテクニックでなんとかごまかす、というのがいっさい許されない厳しさを持つ。ただひとつプレーヤーに求められるのは、与えられた状況に対して、分析を行ない、解決すべき問題を見出して、解決策を編み出し、実行する能力だ。つまるところ、まさに戦術能力を問うゲームなのである。
舞台は第二次世界大戦のヨーロッパ戦線。空前絶後の物量と人命が戦闘に投じられた、人類史上の特異点である。戦術というものがここまで歴史を動かした時代も他にあるまい。ドイツによるフランス侵攻から連合国によるベルリンの占領まで、各地で発生した屈指の戦いを戦術レベルで追体験し、ゲーマーの本能に潜む“戦術脳”を鍛え上げよう。
今回は前編として、本作における基本要素と、あらゆる状況で前提となる基礎的な戦術の方向性についてご紹介する。あれやこれやと細かく制御できるゲームだけに、プレーヤーの一存で戦闘を華々しくも、台無しにもできてしまうゲーム性。最初は面倒だと思っていた様々な要素も、プレイを進めれば進めるほどに、理想の戦闘を組み立てるために緻密に調整できるのがこんなに楽しいなんて! と新たな世界に開眼することうけあいだ。
本シリーズが産声を上げたのは、RTS(リアルタイムストラテジーゲーム)全盛期の2000年。当初から題材は一貫して第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を題材としており、歩兵・戦車・航空機等の兵器が連動したリアリスティックな戦術シミュレーションとしてコアなファンを獲得。しかしRTSというジャンル全体が下火になった2000年台後半に本シリーズも鳴りを潜めてしまった……。前作「3」が発売されたのはなんと10年前の2007年だ。
それが今あらためて、圧倒的に表現力の高まった3Dグラフィックスをひっさげて復活。しかしゲームの本質はやはり、超リアル志向の戦術シミュレーションだ。そのDNAに深く刻まれているのは“戦場のシビアさ”である。ヌルゲーマーなら即投げしてしまうような難しさはそのままに、現実にも起こりうる現象のさらなる再現、戦術的な選択肢の広がりを説得力溢れるグラフィックスとともに再現したのが本作「サドンストライク 4」なのだ。
シリーズで初めてプレイステーション 4でもプレイできるようになったのが決定的な進化のひとつだ。これほどマニアックで面倒くさくてプレーヤーに試練を強いるゲームはPCでのみ生存可能と思われているところに、なにひとつスペックダウンすることなく、シリーズの持ち味をそのままコンシューマーの世界に持ち込んだのである。
マウス・キーボードでも手こずるほどのコアな戦術ゲームを、果たしてゲームパッドで操作できるのか?と疑問に思えるかもしれないが、これがなかなか、意外と普通にやれる。基本的な操作はそう難しくないし、慌てず急がず、ポーズしてじっくり各ユニットを動かすこともできる。その上で重要になってくるのが、プレーヤーの戦術センスなのである。恐る恐るでもいいから触ってみよう。あなたの知らないゲームの世界が見えるはずだ。
歩兵と戦車と野戦砲の違いを学ぶ
本作では第二次世界大戦のヨーロッパ戦線における主要な戦いを題材に、ドイツ軍・米英連合軍・ソ連軍それぞれに独特のテーマを持つ戦術体験ができるよう構成されている。フランス侵攻、生け垣(ヴィレル・ボカージュ)の戦い、バルバロッサ作戦、スターリングラード攻防戦、クルスク戦車戦、オーバーロード作戦、ベルリンの戦い……などなどいろいろあるが、実際にプレイするのはそれぞれの戦いにおける、連隊~旅団規模の小規模な戦線である。
戦場のスケールを小さくとっているぶん、その再現度は細かい。歩兵は一人単位で細かく操れるし、戦車は装甲に浅く入った砲弾が斜めに弾かれる現象まで再現している。戦車部隊を動かしていると、まるで神の視点で「World of Tanks」をやっているかのようだ。
再現が緻密である以上に、ゲームの展開も緻密だ。難易度「イージー」ですら、プレーヤーには最小限の戦力しか与えられず、多少とも大雑把な操作でゲームを進めれば、敵の猛烈な反撃を食らって簡単に追い詰められる。ユニットひとつひとつの状況をきちんと把握し、的確に敵の弱点を突いていく以外に攻略法はないというゲームなのだ。
また、本作の戦闘ユニットはすべて史実に存在したものがほぼそのまま再現されているため、それが各陣営のプレイに興味深い個性をもたらしている。
ドイツはやはり戦車が強い。序盤は圧倒的多数の戦車で電撃戦を追体験できるし、大戦終盤のミッションで登場するタイガーII戦車などは、敵に側面や背後を取られない限り(それと燃料と弾薬があれば)ほとんど無敵だ。米英連合軍は航空支援の潤沢さが特徴で、また空挺のエリート歩兵を活用するミッションが多く、後方撹乱など特殊作戦の醍醐味を味わえる。ソ連は航空支援は少なめだが、ゲームが進む毎に物量の猛威を振るうようになる。マザー・ロシア、「ウラー!」である。
どの陣営をプレイするにしても、共通するのは歩兵・戦車・野戦砲の3系統のユニットが戦術の背骨となるということだ。山岳や森などあらゆる場所に入り込める歩兵、高火力を素早く展開できる戦車、ロングレンジで大口径弾を投射できる野戦砲。どれが欠けても作戦の遂行には困難をきたす。
完璧な勝利を得るためには、最初はものすごく面倒くさく感じられるかもしれないけれども、歩兵1人単位、戦車1両単位、細かく位置や角度の調整をし、最適な陣形で接敵できるようにすることが重要だ。本作はリアルタイムに進行するが、ありがたいことに、ポーズした状態でも各ユニットへの指示は可能である。プレイに慣れてくるほど、細かくポーズしながら各ユニットに微調整を加える形でゲームを進めるようになる。
ときには、ポーズしたままあーでもないこーでもないと、歩兵、戦車、野戦砲それぞれの位置取りを延々と試行錯誤するのも本作ならではの風景だ。その苦労は、必ず、よりよい戦闘の結果として報われる。それが面白いところだ。
燃料も弾も有限!輜重(ロジスティクス)の重要性
本作が他のストラテジーゲームと決定的に違う部分をひとつ挙げるとすれば、ロジスティクスの概念が存在するところだろう。本作には戦車、装甲車、歩兵輸送車などの戦闘兵器が存在するが、どれも燃料なしには動けない。特に燃費の悪い戦車はマップをまっすぐ横断するだけで満載燃料を燃やし尽くすほどで、戦闘中に激しく機動しているとあっという間にガス欠で身動きがとれなくなってしまう。そんな状況で敵が側面や背後から迫ってきたら……お手上げだ。
弾薬も有限だ。しつこい砲撃で徹底的に相手陣地を叩いてから進撃するようなスタイルを取ると、戦車や野戦砲の弾薬は1~2回の戦闘で簡単に枯渇してしまう。残弾が少ない状態で大きな戦闘に突入してしまえば、戦闘途中で砲弾切れという最悪の結果も覚悟しなければならないほどだ。
そうなるまえに、戦闘の合間にしっかり補給する必要がある。そこで活躍するのが物資を満載した補給車両だ。補給車両はたいていのミッションで1~2台が部隊に配属されていて、1台あれば10両以上の戦車を数回は満腹にできるほどの輸送能力がある。だが、車輌自体は極めて貧弱だ。敵の戦車や野砲に撃たれれば一発で爆散。歩兵に狙われても数秒で爆散する。
そんな“泣き所”を抱えながら進軍せねばならないのが「サドンストライク」というシリーズの真骨頂だ。1戦闘に勝利してさあ前進、といったときに、木陰に隠れた敵歩兵を見逃していたせいで、気がついたら最後尾の補給車両が残骸になっていた、なんてのも本作に慣れないうちはよくある話。戦場の最終局面に入る前に戦車部隊はガス欠、燃料のいらない野戦砲も弾薬が切れ、仕方なく兵器を放棄してクルーを歩兵に加えてゲリラ戦を展開……なんて、戦術的には愚の骨頂だ!
無能指揮官の烙印を避けるため、目下の敵を撃退して安全が確保できたら、必ず各車両の燃料・弾薬を確認し、できるだけ全ユニットが満載状態にあるよう維持するのが本作における(現実においてもだろうけど)指揮官業の基本である。決して疎かにする無かれ。
とはいえ、面倒くさいのが、かなりの頻度で手作業による補給指示が必要なことだ。燃料・弾薬が枯渇寸前になるとユニット上に警告アイコンが表示され、その状態のユニットの近くに輸送車両を移動させると自動的に補給を行なってくれるものの、半減とか3割減ってるくらいの状態では自動的に補給してくれない。だが、敵の大部隊と長丁場の戦闘がある場合、燃料も弾薬も半分の状態では心もとないのが本作の現実だ。そのため、しばしば部隊を小休止させ、補給車両の燃料・弾薬の補給コマンドを手動で操作し、一両一両、丁寧に満腹にさせていくという作業が最終的な勝利の鍵となることも多いのである。
なお、各ミッションを最高評価(星3つ)でクリアしたあとにプレイできる「チャレンジ」モードのあるミッションでは、弾薬不足でクリアせよというものもある。そういうミッションでは、普通は気にしなくても大丈夫なライフル兵とかマシンガン兵の弾薬も枯渇寸前になっており、しばしば歩兵に対しても手動で補給操作をする必要があったりする。なんて面倒くさいゲームなのだ(笑)。
“面倒くさい”が”面白い”に変わっていく!戦術実現の醍醐味
というわけで、ここまで本作がどんなゲームかをご紹介してきた。プレイ内容的に大きな特徴と言えるのは、やはり、操作の粒度が細かく、戦術を緻密に構築するほど操作量も増えるため、最初のうちは「信じられないほど面倒くさい」と感じられる点だろう。その点は否定しない。このゲームは恐ろしく面倒くさい!
とはいえ、いろいろと細かく制御できるその操作のひとつひとつに、本作には大きな意味があるのである。例えば、歩兵を匍匐させることで、敵から発見されうる距離をかなり短くすることができる。そして、敵に発見されることなく敵に近づくことができれば、圧倒的に優位な状況から戦闘を開始することができるのだ。場合によっては、戦闘にすらならず、一方的に撃滅することすら可能である。
視界を確保せよ!
本作の戦闘における最重要の概念が「視界」だ。本作では視界の中にある敵しか見えないし、見えない敵には攻撃できない。そして視界は全部隊で共有されるというのもポイントである。つまり、味方のだれかの視界に入っていれば、それは全部隊の視界に入っているのと同じである。例えば、前線にひとり匍匐させた歩兵が見ている範囲に敵がいたら、はるか後方から長距離砲で精密攻撃を仕掛けることができるのだ。
これを敵にやられると最悪である。敵歩兵の姿がチラと見えたと思ったら、どこからともなく迫撃砲やらのロケット弾がドカドカ飛んできて、こちらの部隊が密集しているところにバカスカ着弾するようなシチュエーションだ。そのまま後手に回っているうちに部隊崩壊というのが、「サドンストライク 4」の代表的なあるあるネタである。敵の歩兵ひとりを見逃すだけで全滅がありうるゲームなのだ。
この例のように、視界を確保するために、とりわけ重要なのが歩兵の活用だ。機動力・防御力に優れた戦車や装甲車は、残念ながら視界が狭い。距離的には歩兵の半分くらいしか視界がない。いちばん遠くまで見えるのが歩兵だ。さらに草木の掩蔽効果をも見破りやすいのが歩兵小隊の中にひとりいる「将校」(双眼鏡アイコン)である。
敵がいそうな場所にはまず歩兵を派遣し、視界を確保。できれば将校ユニットを重要地点に先行させたい。突然の奇襲を受ける危険を排除するためには、さらに側面・背後といった場所にも、それぞれ1人でいいので歩兵を配置しておこう。それだけで上述のように、わけもわからず砲撃が飛んでくるような状況は避けられるようになる。
そこまで完璧な布陣をするのが難しい場合でも、戦車部隊に歩兵を随伴させ、まとめて行動させるだけでもかなりの効果がある。戦車砲の射程は、戦車の視界範囲よりも広く、たいていは歩兵の視界範囲全体をカバーできる。歩兵を伴ってさえいれば、その射程を最大限に活用できるので、敵が肉薄してくるまえに大打撃を与えることができるだろう。
やられる前にやれ!完全勝利の2つの方法
歩兵が視界を確保し、戦車や野戦砲が火力をぶつける。という連携の基本ができるようになれば、本作の基本はマスターしたも同然だ。より広い視界を確保し、先に敵を発見することができれば、敵が反応してこちらに向かってくるまでの間、一方的に攻撃できることもわかる。こうなってくると戦闘前のユニット配置など操作に時間がかかる部分も、面倒というよりは勝利の果実を味わうための楽しい投資に思えてくるから面白い。
これをさらに推し進めると本作における完全勝利の法則が見えてくる。理想は、敵に反撃の機会を与えず、完全に撃滅してしまうことだ。斥候役の歩兵をじわじわ前進させ、視界範囲ギリギリに捉えた敵ユニットに先制攻撃を繰り返し、一方的に破壊。これを繰り返すだけで相手は全滅。被害はゼロ。
ただしこの方法は、敵の戦力が分散しており、積極的に向かってこない場合の話だ。敵の戦力が密集しており、刺激すると一斉に向かってくるようなシチュエーションではうまくいかないこともある。特にきついのが、正面からの撃破が難しい重戦車などが、有効なダメージを与える前に肉薄してきて混戦となったような場合。手こずる間に敵の全戦力が殺到してきて乱打戦・消耗戦に陥ることがある。
このような状況に陥りそうな場合に、伝統と実績ある対応策は“電撃戦”である。機動力の高い歩兵・戦車をまとめて選択し、敵陣をほぼ突き抜ける地点まで一気に移動。敵布陣を全て視界に入れつつ、奥で構える野戦砲など長距離ユニットを優先的に破壊。次に敵戦車をターゲットして側面・背後から破壊。最後に歩兵を片付けて終わりだ。これを、戦車をとめることなく一気にやると猛烈に強い。
戦闘開始から終了まで数十秒。こちらの機動戦力が充分に大きい場合は、この方法が一番安定する。互いを射程に捉えた状態で戦力を小出しにしていくよりも100倍良い戦い方だ。特に各ミッションの終わりのほうでは、味方の増援部隊が溜まりに溜まってかなりの大部隊になっていることが少なくないので、最後はこの方法で一気に締めるのが本作における定番と言えるかも。それまで地味にコツコツとやってきた苦労が、まさに報われる瞬間だ。
地味な準備がド派手に爆発する防御戦闘の醍醐味
本作ではしばしば、敵の大部隊を迎え撃つ状況が発生する。ドイツ軍でいえば英軍の機甲部隊が反撃してくる「フランス侵攻」、ソ連の大戦車部隊を迎え撃つ「クルスクの戦い」、ソ連なら「第四次ハリコフ攻防戦」、「バラトン防衛作戦」、など多数のミッションがそうだ。
そういうミッションで要となるのが、敵を迎え撃つための防御陣の構築だ。敵が攻めてくるまでの間に、どれだけ理想の陣形を構築することができるか。戦車や野戦砲、歩兵を緻密に配置して、視界・射程と射角、攻撃を受けた場合のダメージコントロールも踏まえながらちまちまと1ユニットずつ細かく動かしていくのが、結果に明確に連動するだけにたまらなく面白い。
基本的には、まっさきに攻撃を受ける第1列には少数の歩兵をバラけて配置させるのが良い。敵の機甲部隊が殺到してくるときに、たいていは戦車が先陣をきってくる。そして最初に視界に入ったものに対して主砲をぶち込んでくるわけだが、その対象が歩兵ひとりとなれば当たりにくいし、至近弾程度では倒せない。大事な火力が無駄打ちになってしまうわけだ。しかも歩兵は、やられて戦闘不能になっても、すぐに衛生兵を派遣すれば復活できる。一気に殲滅されなければ戦車よりもなによりもしぶといのである。
ほんの数メートル離れた第2列には、重装甲の戦車を並べる。前方の歩兵が倒されても、戦車なら最低でも数発は敵の攻撃に耐えられるので、それ以上被害が広がるのを食い止めることができる。そして第3列に野戦砲をバランスよく並べ、火線を集中できるようにしておけば、敵が有効な攻撃を成立させるまえにほとんど全部撃退できるだろう。
第4列には、予備の歩兵と、補給車両・修理車両、といった輜重隊を配置して、弾薬不足や被弾による故障をすぐサポートできるよう準備。以上が防御陣構築の基本だ。
ミッションによって敵の攻めてくる幅や質量が違ってくるし、こちらの戦力もいろいろだ。その様々なシチュエーションに対して、どのように最適な布陣を実現するか。同じ状況でも何度かやって、少しずつ仕掛けを変えていくうちにいろいろと新しい発見もあったり。もちろん最善は被害ゼロ。工夫の成果ををわかりやすく得られるのが防衛戦というものの醍醐味だろう。
この防衛戦術に慣れてくると、こちらから攻めていくミッションでも有効に活用できる状況は多い。敵の大部隊をつついてから撤退し、予め準備しておいた万全の防御陣に誘い込むようなやりかただ。この方法は極めて効果的だが、準備にえらく時間がかかるので、何度も小競り合いが発生するようなミッションでやると、1ミッションをクリアするのに2時間とか3時間もかかるのが難点だ(笑)。それでも上手い仕掛けができるのと本当に楽しく、延々やってしまうだけの深みと広がりがあるのが本作のすごいところだ。戦術は面白い!
後編ではさらに具体的に攻略
さて、本稿ではここまで「サドンストライク 4」における基本的な戦術要素をご紹介してきた。皆さんの“戦術脳”は目覚めてきだだろうか?
とはいえ、上述の範囲ではまだまだその表面をなぞっただけともいえる。本作では、数々の作戦において多様なシチュエーションに遭遇する。とくに特殊な状況では通り一遍のやりかたでは通用しないことも多く、その場その場のニーズに応じて具体的な攻略を加えていく必要があることも間違いない。
次回「後編」では本作において難度の高いミッションを取り上げつつ、本作における最高評価となる難易度「ノーマル」の星3つクリアを実現する具体的手段をご紹介していきたい。“戦術脳”を研ぎ澄ませよう!