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Blizzard、「Overwatch League 2017-2018」シーズンの詳細を発表
シーズンスケジュールが発表! 新基軸ずくめの超大型プロリーグがいよいよ開幕
2017年11月5日 15:53
Blizzard Entertainmentは、BlizzCon 2日目の11月4日、同社主催の「オーバーウォッチ」のプロリーグ「Overwatch League 2017-2018」シーズンの詳細を発表した。
「Overwatch League」は、BlizzCon 2016で正式発表され、1年がかりで準備が進められてきた「オーバーウォッチ」のプロリーグ。同社が主催するeスポーツイベントとしては初となるリーグ制を採用しており、それぞれ6チームが加入する2つのディビジョンで構成される。
メーカー主催のプロリーグはライアットゲームズの「League of Legends」やWargaming.netの「World of Tanks」など、いくつかの前例が存在するが、「Overwatch League」が独創的なのは、リーグの開催に先立ち、新たに「オーバーウォッチ」に特化した12のプロチームを編成したことだ。
eスポーツファンならご存じの通り、この唐突な措置には、世界中のプロチームが反発し、発表後、有力チームにおける「オーバーウォッチ」部門の解体が相次いだ。Blizzardが定めたチームが求めるレギュレーションも、最低年棒5万ドル(約570万円)の保証、健康保険、退職金積立制度の整備、住居および練習所の提供など、過去に例のないほど厳しいもので、一時はリーグの開催そのものを危ぶむ声も出ていたが、そこは「Starcraft」の世界大会立ち上げ以降、どのメーカーよりも長く、広範に渡って世界のeスポーツシーンを支えてきたBlizzardだけに、無事開催にこぎ着けることができたようだ。
「Overwatch League」のレギュレーションの素晴らしいところは、チーム、選手が、主催メーカーから自立しているところだ。従来のメーカー主催のプロリーグの多くが、メーカー自身がチームと選手に対して給料を払う代わりに、チームや選手に対して一定の義務を課している。無名のチームにとっては、選手に定期的に給与が払えるため、一見素晴らしいシステムに見えるが、プロチームとして実績が上がってくると、報酬に対する義務が割に合わなくなり、今年「WoT」優勝常連チームのロシアのプロチームNAVIが「WoT」部門を解体するなどのトラブルも表面化しつつある。多くの既存プロチームが「Overwatch League」に反発する一方で、メーカー主催による護送船団方式でのプロリーグの実施ももはや限界に来ていることもまた事実と言える。
「Overwatch League」では、先述した5万ドルの最低年俸をはじめとした報酬は、基本的にチームのオーナー(メインスポンサー)が持つ代わりに、同リーグに関する広告収入、チケット売上収入、放送権収入については、チーム頭数で分配する。さらに、チームは本拠地で、「オーバーウォッチ」イベントを開催するライセンスが与えられ、その収入をすべて受け取ることができるほか、リーグと連携して開発したチーム限定アイテムをゲーム内で販売して、その収入の50%を受け取ることができる。つまり、自由裁量と権限を最大限与えるから自分たちで稼ぎなさいというレギュレーションだ。
ではBlizzard自身は何を提供するのかというと、ポストシーズンの各プレイオフ、チャンピオンシップなども含めたリーグの運営一切合切と、総額350万ドル(約4億円)に上る賞金だ。「Overwatch League」のレギュレーションでは、チームは最低年棒とは別に、獲得賞金の50%以上を選手に与える必要があり、リーグやプレイオフで上位に入賞したチームの選手達は、リーグから発生する報酬だけで、余裕で年収1,000万円を超えることになる。「Overwatch League」のシーズンボーナスは以下の通り。
レギュラーシーズン順位ボーナス:
1位: $300,000(USD)
2位: $200,000(USD)
3位/4位: $150,000(USD)
5位/6位: $100,000(USD)
7位/8位: $75,000(USD)
9位/10位: $50,000(USD)
11位/12位: $25,000(USD)
合計: 130万ドル(USD)
ステージタイトルマッチのボーナス:
1位: $100,000(USD)
2位: $25,000(USD)
合計: 4ステージで$500,000(USD)
チャンピオンシップ・プレイオフの順位ボーナス:
ワールドチャンピオン: 100万ドル(USD)
準優勝: $400,000(USD)
3位/4位: $100,000(USD)
5位/6位: $50,000(USD)
合計: 170万ドル(USD)
12チームは、10月30日をもってプレーヤー契約期間を終え、12月6日のプレシーズン開幕まで、すべての準備が整ったことになる。12チームは、6チームずつ、パシフィックディビジョンとアトランティックディビジョンに分かれ、レギュラーシーズンは、ディビジョン内外で争われ、成績上位の6チームがポストシーズンに挑む。
パシフィック・ディビジョン: Dallas Fuel、Los Angeles Gladiators、Los Angeles Valiant、San Francisco Shock、Seoul Dynasty、Shanghai Dragons
アトランティック・ディビジョン: Boston Uprising、Florida Mayhem、Houston Outlaws、London Spitfire、New York Excelsior、Philadelphia Fusion
レギュラーシーズンのスケジュールは、1月10日から6月16日まで、1シーズンを4つのステージに分け、1ステージ5週間で、10日間のインターバルを挟む。試合は毎週水木金土の4日間行なわれ、毎日3つの対戦、各チーム週に2試合ずつ行なう。各ステージごとに10試合、1シーズンで計40試合が行なわれる。対戦相手は、ディビジョン内から20試合、ディビジョン外から20試合で、最初からディビジョンの枠を超えた戦いも行なわれるところが特徴となっている。
ステージ4が終了すると、シーズン1位をかけたポストシーズンがスタートする。各ディビジョンの上位2チーム、全シーズンでの成績上位2チームの計6チームがプレイオフに進出し、7月11日から22日まで掛けて決勝に進む2チームを決定する。グランドファイナルは7月26日から28日まで。そしてシーズンの締めくくりとしてオールスターウィークエンドを8月に実施して、1シーズン終了となるようだ。
【「Overwatch League 2017-2018」スケジュール】
プレシーズン:12月6日~9日
レギュラーシーズン
ステージ1:1月10日~2月10日
ステージ2:2月21日~3月24日
ステージ3:4月4日~5月5日
ステージ4:5月16日~6月16日
ポストシーズン
プレイオフ:7月11日~22日
グランドファイナル:7月26日~28日
オールスターウィークエンド:8月
ちなみに、「Overwatch League」は、メジャーリーグのようなスタイルで、各チームが世界中を転戦し、ホームとアウェイでの戦いを繰り返す形が想定されていたが、会場の確保が間に合わず、最初の2017-2018シーズンは、すべてロサンゼルスのBlizzard Arenaで行なうことが発表された。将来的には各チームが本拠地に会場を確保し、メジャーリーグのようなホーム&アウェイ形式で試合が行なわれる予定だという。なお、ゲーム内でのホーム&アウェイは最初から導入され、ホームかアウェイかによって、異なるコスチュームカラーのキャラクターを使うことになる。
使用マップについては、「4つのマップセットを使う」とのみ発表され、マップの種類については後日発表予定としている。
気になるのは、各チームの選手だ。今回はまだ発表されなかったが、レギュレーションでは、出生地、国籍を問わず、どの国からも選んでもいい。今回12チーム中9チームが米国のチームで、英国、中国、韓国からそれぞれ1チームという構成になっているが、メジャーリーグのように外国人選手が助っ人として参戦するのはほぼ間違いなさそうだ。
「オーバーウォッチ」は日本でも人気のタイトルだが、スクウェア・エニックスが展開するPS4版が人気で、PC版を用いる「Overwatch League」はやや縁遠い印象があるが、個人的には、助っ人という形で日本人の「オーバーウォッチ」プレーヤーが「Overwatch League」に参戦してくれるようになると、メジャーリーグの松井秀喜選手や、イチロー選手のように、国内だけでなく、海外の試合にも関心が向くようになるのではないかと思う。果たして「Overwatch League 2017-2018」がどうなるのか、eスポーツの未来を占う上でも注目したいところだ。