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2勢力4種族、全てのストーリーを体験!「BLESS」CBT2レポート
2017年10月25日 13:30
韓国のNEOWIZが開発し、ゲームオンが運営を行なうWindows用MMORPG「BLESS」のクローズドβテスト2(CBT2)が、10月12日から16日まで開催された。
「BLESS」は開発費65億円という大型タイトルだが、日本でCBT1が行なわれた時期と前後して、韓国では大規模なアップデートによるクライアントの刷新バージョンが発表されるなど、なかなかに多難な道を歩んでいる。日本における今回のCBT2においても、クライアントの重さなどまだまだ改善すべきではないかと思われる部分も散見された。
しかし、今回のCBT2は7月20日に公式生放送番組で発表された今後の方針に沿ってアップデートが行なわれた仕様が取り入れられており、CBT1での不満点はかなり是正されているのではないかと思う。また、丁寧に作りこまれた世界観や、海外旅行気分を満喫できるフォトジェニックなフィールド、好きなモンスターを調教して騎乗マウントやペットとして連れ歩けるシステムなど、本作ならではの魅力は多い。今後のさらなる改善に期待をしたいところだ。
「BLESS」では勢力や種族ごとに、それぞれ違う壮大なストーリーが用意されている。プレーヤーは最初に「ハイロン」か「ユニオン」の2つの勢力から1つを選ぶ。1つのアカウント内に作れるのはすべて同じ勢力側のキャラクターだけなので、このCBT2でもどちらか一方のストーリーしか見ていないという人が多いのではないだろうか。
そこでCBT2レポートでは、本作の基本システムとともに、キャラクター削除を駆使して両勢力のストーリーを体験してきたので、今回選ぶことができた2勢力、2種族合計4つの序盤のストーリーをまとめて紹介したい。今後、勢力や種族を選ぶ時のヒントに使っていただければ幸いだ。
不当に簒奪された皇位の奪還を目指す「ハビヒッツ」
ハイロンは北大陸を支配する人間の帝国を中心とした同盟。CBT2では、人間の種族ハビヒッツか、獣人ループスの2種類を使うことができた。ハビヒッツを選ぶと、国境に近い山間にある集落、エルトン村の住人として物語がスタートする。
スタートして早々、村はオークの襲撃を受ける。この周辺ではずっとオークの軍勢との小競り合いが続いているが、最近要塞を奪われたために、村への侵攻を食い止めることができなくなったのだ。
プレーヤーが操作する主人公は、村の守備隊長バリアン・ボルベックに協力してオークを追い払う。バリアンは高潔で誠実な騎士。彼の話によると、村にオークが侵入するようになったのは、現皇帝が原因らしい。
現在のハビヒッツ帝国皇帝ハルトマン・アードラーは、数年前に起こったユニオンとの戦争「晩秋戦争」の混乱に乗じて皇帝の座を奪い取った。そして首都の反対勢力を粛清するために辺境の兵士を引き上げさせたために、辺境は兵力不足に陥り、オークの侵入を許すことになった。
バリアンは皇帝の横暴にいきどおりながらも、自らの務めを果たして村人を守ろうとしている。彼は主人公の資質を見抜き、従騎士にならないかと提案してくる。
ハビヒッツの序盤ストーリーは、今回遊ぶことができた4つの中では、もっとも世界観の核心に迫るものだった。バリアンという偉大な騎士との出会いや、その意思の継承など、少年漫画などで描かれるヒロイックファンタジーの王道を行くストーリーが楽しめた。舞台となったエルトン村は、周囲を防衛のための丸太で囲まれ、高低差のある山の中腹にある。近くにはオークに奪われた砦があり、オークの集落もある。
内面に凶暴さを秘めた優しき獣人「ループス」
ループスは、ネイティブアメリカンを思わせる文化を持つ獣人の種族。村の周囲の森を聖なる森として崇拝しており、物語はその森で断りなく鹿を殺した侵入者を捜すところから始まる。
主人公は、森で不審な集団と出会い、倒すが、聖なる森で命を奪ったために「サヌヤ」という力が目覚めてしまう。サヌヤは体から立ち上る黒いオーラのようなもので、放置すれば浸食され、我を忘れてしまう危険なものだ。
本来は成年の儀式を行なう年齢になって初めて発芽するのだが、主人公は早く目覚めすぎてしまい、いますぐ成年の儀式をしなければ命が危うい。大族長チヌワ・カムロゥは、主人公に、一族の守護者であるウルゲン・テンザのもとへ行くよう指示する。ウルゲン・テンザは狼の姿をした精霊のような存在。テンザに勝利することで主人公はサヌヤを制御できるようになる。そんな主人公の前にマティアス・ハビヒッツが現われる。
今回はキャラクター作成でかなりいかつい獣人を作っていたのに、若いループスと言われて少々戸惑いもあったが、白い狼の姿をしたテンザとの出会いや、「サヌヤ」というスピリチュアルな設定など、異世界ファンタジー感の強いストーリーが楽しめる。
主人公が暮らすアハヌ村は民族色あふれるトーテムや呪術的な文様で彩られており、針葉樹に囲まれた雰囲気はアメリカの森林地帯を思わせる。首都ヒエラコンは文化の雰囲気が全く違うので、ストーリーの中で移動した時、1番落差を楽しめるのではないだろうか。
ハビヒッツとループスが向かう首都ヒエラコンは、ドイツ風の瀟洒な街並みの向こうに、天を衝く荘厳な城がそびえる巨大な都だ。街は貴族が住む石造りの屋敷街と、庶民が住む木造住宅の二重構造になっており、教会や塔もある。僭称皇帝アードラーがいる城は敵の本拠地ということなのか、近づくと兵士が襲ってきて殺されてしまった。
ハイロン側では、序盤にはあまりユニオンが関連するような話は出てこず、どちらかと言うと国内の事情に振り回されることが多いように感じた。物語を進めていく中で、どのように2つの勢力が関わっていくのかが気になるところだ。
欲望と陰謀が渦巻く「アミスタッド」
ユニオン側の2つのストーリーは、どちらも背後に帝国の陰を感じるものになっている。もともとユニオンは、晩秋戦争を機会に帝国に対抗するために作られた種族連合であり、そこに参加している種族は等しく帝国を敵としている。だが、様々な部族や地域の寄せ集めであるがゆえに、地域間のいざこざや対立を抱えている。
ユニオンの人間種族アミスタッドのストーリーは、陰謀渦巻くスリリングなサスペンス仕立て。アミスタッド人ではあるが、主人公はその中でもパダナ人と呼ばれる地域の住民だ。パダナは元々帝国領であったために晩秋戦争の時に帝国側から参戦した過去を持ち、現在でも「売国奴」として他のアミスタッド人から蔑まれている。帝国側で敗戦を迎えたパダナ人は難民として辺境の村に住んでいる。
スタート地点のコラル村は、空に無数のカラスが舞い、隙間だらけのボロ家が立ち並ぶ貧相でみじめな集落だ。村には活気がなく、あちこちにぐったり座り込んだ住民がいる。さらに「夢幻草」という麻薬の密売人が活動しており、村を支配している軍司令官アルベールは、怪しいと思った村人を裁判なしで処刑している。
そんな救いようがない村に、アニータ・レジェスという女性隊長が赴任してくる。アニータは公正な人物で、主人公はアニータとともに密売団を追うことになる。クエストを進めていくと、実は軍の内部に密売団の内通者がいることがわかる。しかし、味方のいない村ではそれ以上の活動は難しく、主人公は所用で村を訪れていたドン・チコを頼る。
謎と陰謀に彩られたアミスタッドのストーリーは、ピカレスクやアウトローのストーリーが好きな人にぴったりだ。裏と表の2つの顔を持っている登場人物も多く、ストーリーを進めていく中に謎解きの楽しさがある。
根深い民族対立と呪術。謎多き「パンテラ」
ユニオンの獣人パンテラは、モロッコやエジプトのような雰囲気の、乾いた砂漠の中にあるシャカラ砦という集落に住んでいる。かれらパンテラの一族は、サジャハンという族長を長として成り立っている。主人公は、現在のサジャハン、ムラビの息子であるロナンに見いだされた孤児。ロナンは「風のたてがみ戦士団」という血族とは違う軍勢を率いており、集められた孤児は戦士団にはいるための訓練を受けている。
主人公も戦士団への推挙を受けるために試験を受ける。その試験とは、タマリンという敵対部族の捕虜を倒すこと。タマリンは見た目こそパンテラと同じだが、邪悪な古代神を信奉する一族で、かつてはパンテラたちに呪術をかけて互いに殺し合わせていた。だが、サジャハンが率いるパンテラによって国を追われ、パンテラを憎んでいる。
戦士になるための試練を受けることを許可された主人公は、大長老ブランに会い、火、水、風、土の精霊と対話した後、砂漠の守護者と戦って戦士の資格を得る。
試練を受けて成長するというストーリーラインはループスに似ているが、また少し違った雰囲気でストーリーが展開していく。ユニオン側のストーリーはどちらも少し陰があり、欲望や醜さをより直截に描いている大人の色合いがあると言える。
ユニオンの首都スペチアは、ベニスのようなゴンドラが都市内の水路を行きかう水の都だ。広場やテラスにはテーブルとベンチが置かれ、北方のヒエラコンとは対照的に南国らしい開放的な雰囲気だ。
ユニオンの都市はどこもスペインや南イタリア風で、風景も草原や砂漠など開けた感じの場所が多い。本作の風景はどこも非常に美しく、しかもかなり遠くまで見渡すことができるが、そんなゲームの特徴を十二分に堪能することができる。