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「機甲神エルガイヤー」、「神聖騎士ウイング」企画開発インタビュー
2017年2月17日 12:00
より豪華に! こだわった要素を盛り込んだ、「SDX 神聖騎士ウイング」
今回もう1つ取り上げたいのが、「SDX 神聖騎士ウイング」だ。「SDX」は完成品アクションフィギュアで、細かい塗り分け、重量感を感じさせる金属パーツ、充実したオプションパーツでの多彩なキャラクター表現を実現した“豪華な”ブランドである。
神聖騎士ウイングは、カードダスを中心として展開した「新SDガンダム外伝 鎧闘神
戦記」の主人公キャラクター。リリーナ姫を守護する天使であり、「神聖炎の剣」、「神聖力の盾」、「神聖霞の鎧」の三種の神器を装備した騎士ウイングの最終形態である。「SDX 神聖騎士ウイング」は、この姿を再現している。
大きな特徴は右肩の白い翼と、左肩の真っ赤なマントによる左右非対称の姿だ。どちらも基部が可動し豊かな表情付けができる。手足の可動、目線は交換用のパーツで左、右、中央とどの向きにも対応、ヘルメットを外したヒイロの頭部パーツも用意されており、様々なシーンを表現可能だ。
足と胸部分には金属パーツが使われており、重量感と、手に持ったときの独特の質感が楽しい。鎧の塗り分け、モールドは非常に細かく、豪華な商品を手に持つ満足感をもたらしてくれる。M氏のこだわりとしては左右のシールドを合体させ、「バーサルソード」を収納させるところだという。
もう1つが頭部を外したガンダムのヘルメット。パーツの交換で目のところを影にすることで、「脱いだ状態のヘルメット」を演出できる。ヒントとなったのはカードダスのイラストの1枚で、M氏はどうしてもこの状態を再現したかったとのことだ。
この「神聖騎士ウイング」は、コレクターズ事業部を含めた“バンダイグループ”での「SDガンダム外伝まつり」のキーキャラクターとなっている。「SDX 神聖騎士ウイング」だけでなく、メガハウスからフィギュア「新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記 騎士ヒイロ&天使リリーナ姫」が発売される。
さらにカードダス「新約SDガンダム外伝 新世聖誕伝説 神聖騎士の再臨」での展開、バンダイナムコエンターテイメントの複数のタイトルで「SDガンダム外伝まつり」との連動が行なわれている。Android/iOS向けRPG「スーパーガンダムロワイヤル」でのバトルシーンで、「神聖騎士ウイング」が活躍する動画も公開されている。
「SDXは“やれることを全部やる”ということを目指している商品です。次ぎももう準備しており、こちらはリッチなSDガンダムフィギュアシリーズとして、これからも期待して欲しいですね」とM氏は語った。
僕たちが欲しいもの、僕たちが望んだものを作り続けたい!
「すべてはこの『元祖SDガンダムワールド 機甲神エルガイヤー』にかかっています」とM氏は繰り返す。「今後6体セットが出るのではないか」と予想しているユーザーもいてるかもしれないが、このエルガイヤーが受け入れてもらえなければ、前に進まない。大河氏も前のめりになって応援してくれるシリーズだからこそ、できれば実現したいとM氏は語った。
ガンジェネシスには、実は“闇の顔”もある。原作では、コアであるエルガイヤーではなく、「影機甲神カオスガイヤー」を中心に機甲神が合体し、エルガイヤーを追い詰めた「闇機甲神ガンジェノサイダー」になってしまうという展開も見せた。玩具映えするギミックでもあり、こちらもできれば実現したいという。
これらはM氏の“夢”である。しかし夢だからといって、すべてをゆだねているわけではない。エルガイヤーにはいくつかの仕掛けがある。この仕掛けが日の目を見るかは、まさにこれからにかかっているのである。
M氏はガンダムにガンダムが乗り込むという“機甲神”というシリーズに思い入れがあり、これからも続けたいと考えている。「SDX」というキャラクター性をリッチに実現するフォーマットは次回作も決定し、今後も続いていくが、「SDX」のフォーマットではガンダムが乗り込むという大型ギミックを実現するのは、コストの上で難しい。「SDX」の手法でガンジェネシスを実現しようとすれば、価格はものすごいことになってしまう。実現可能な価格帯で提供するためにも、“組み立て式商品”である、「元祖SDガンダム ワールド」を続けたいのだとM氏は語った。
さらにM氏は、「こういったコアな商品は、世代の違う人たちを取り込むという“広げる”方向性よりも、僕たち『SDガンダム世代』だからこそわかる、僕たちだからこそ心から望んだ、そういう想いの“結晶化”こそが求められていると思うんですよ。子供の時に『元祖SDガンダムワールド』で遊んだ、僕たちだからこそわかる魅力を実現させたいと思っています。無理に知らない人に伝えたり、広げたりするより、『SDガンダム』のブームを支えた人たち、あの頃子供だった僕たちの世代の人たちは、まだまだいると思っています。その人達が子供の頃に、ひょっとしたら今でも夢に思い描いている商品を実現し、手にとってもらって、子供の頃の興奮を思い出してもらう、そういうどこまでも濃く、深い、“良い商品”をしっかり作っていきたいです」と言葉を続けた。
正直、終盤の熱いM氏の叫びには圧倒された。フィギュアは、玩具は、「趣味」である。趣味は本来、それを好きな人にその魅力がわかればいい“わがままなもの”であろう。もちろん玩具には文化という一面があり、そのコンテンツの魅力を次の世代に繋げ、発展させていくというベクトルも求められるが、それは企業としての複合体の理想の話であって、クリエイターとして「俺たちしかわからない、俺たちだからこそ分かるものを結晶化したい」という、熱い想いを持った商品開発というのは、アリだと思うし、そうでなければ、人間の嗜好が細分化していく現代において、ユーザーの心を捉えられないだろう。今の時代のホビーやゲームは、自分の思いを結晶化した商品こそが求められていると思う。
一方、筆者は「SDガンダム世代」ではないが、今回の商品に強い魅力も感じた。エルガイヤーのコクピット開閉ギミックは玩具としてドキドキしたし、造形や自由度の高い関節は素晴らしかった。ウイングの造形もスゴイし、そのカッコ良さは伝わってくる。元のキャラクターを知らなくても、充分魅力的な商品だと思う。原作を知らないユーザーも取り込む、強い魅力を持っていると感じた。そして今回インタビューをして、M氏、大河氏の熱い想いが、ユーザーにどう響くか、興味を惹かれた。注目したい。
(C) 創通・サンライズ
※写真は試作品のため、実際の商品とは異なります