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【夏休み特別企画】君は抜群の発信力を誇るゲーセン「ファンタジスタ」を知っているか?

「艦これアーケード」を入れて本当に良かった!

取材時にも、ずっと遊んでいる人がいた
ジスたんの「艦これアーケード」稼働メッセージ

――カードタイプのものなど、すごい大金を使う人いますよね。傍から見ていると、ああいうところでうまく利益を上げられているようにも見えるんですが。

大島氏: 「艦これアーケード」は常に誰かがプレイしてる状態で、本当化け物的なゲームですね。他のカードゲーム系だと、うまくいってるお店といってない店にはっきり分かれちゃってると思います。うまくいってるお店は新作への循環が良い感じにできて、継続できてると思いますが、値下げ競争などもあるので、カードゲームを入れて赤字を抱えてしまう店も少なくないと思います。うちの規模だと1度博打に負けると、もう新しいゲームを買うお金がなくなるので次に投資ができなくなってしまうので、「艦これアーケード」がこの手のゲームでは初めての導入ですね。東京高田馬場のゲーセン・ミカドさんのように、独自路線でうまくやっているところはいいと思うんですが、うちは割とどこにでもあるゲームセンターだと思うので、1回脱落しちゃうと戻るのは難しいと思っています。「艦これアーケード」の次の選択が重要ですね。

――慎重な経営が求められるんですね。

大島氏: 「艦これアーケード」を買うときにも、仮に「艦これ」の売り上げが0円でもつぶれないという状況にしてから買いました。新作を買ったために店がつぶれるということがあってはならないので。過去にはバクチをしておけばよかったという時もありました。「三国志大戦」が初めて登場したときなんかは、買っておけばよかったと、買わなかったお店はみんな思っていたんじゃないでしょうか。

――流行りましたものね。

大島氏: 今回の「艦これ」もそういう機械だったので、初めて当たりを引いたなという気持ちがあって、これをうまくつなげたいですよね。今までゲームセンターに来てなかったお客さんが来てくれているので。そういう人がほかのゲームを見て興味をもってもらって、始めてもらえるといいなと思っています。だからブログにも書きましたけど、今回「艦これ」を入れられなかったお店は、いまかなり苦しいのではないかと思います。

――入れたいと思ってもすぐには入らないですものね。

大島氏: 今から手に入れたいと思っても、セガさんが売ってくれないので。そのあたりは受注生産で注文の締め切りが早いところの難しいところでもあるんです。逆に言うと、そこで当たりを引けたときに、ほかの店に差をつけられるので、そういう意味でうまく回っているところとそうでないところというか、勝ち組と負け組ができてしまっているので、ゲームセンターのおかれている状況の難しいところです。「三国志大戦」の時も、2匹目、3匹目のどじょうを狙ってたお店が多かったと思いますし、機械を購入する時の選択に勝ち続けなくてはいけない難しさはあります。

――これが当たるかもという判断はどこでされてるんですか?

大島氏: お客様の目線に立って、このゲームをやり続けてくれるのかどうかということを考えます。例えば今度「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~」というゲームが出ます。「ラブライブ」が大人気なのは間違いないですが、じゃあ「ラブライブ」が好きな人は音ゲーをやりたいのか、と考えたると、意外とそうでもないんじゃないかなと思えるんです。

 「ラブライブ」が好きな人は、あくまで「ラブライブ」が好きなわけであって、「ラブライブ」を使ったゲームだから、ずっと遊び続けてくれるかというと、そうとも言い切れないんじゃないかなと。

――「ラブライブ」には慎重なんですね。「艦これ」とは違いますか?

大島氏: 「艦これ」の場合はゲームのシステムが、カードを集めてカードを育てるという育成と収集というものです。これは、ものすごく強いと思ったんです。自分のペースでできるのもあるし。対戦型のゲームは対戦相手が必要なので流行りが終わってしまうと、人がいなくなって終わってしまうんですが、「艦これ」みたいなゲームは好きな人はいつまででもやってくださるので、絶対に寿命が長いと思ったんです。ゲームを選ぶ時の基準としては、そのゲームの寿命がどのくらいあるのかなということも考えますね。

――合理的な判断をされているんですね。見込み違いだったことはありますか?

大島氏: ブログにも書いたんですが「ポッ拳」ですね。あれも、ゲーム自体はとてもいいできなんですが、ワンプレイが短くて、あっという間にお金がなくなっちゃうんです。お客様はやりたくてもお金がなくてできなくなるわけです。あれは対戦ゲームだから全国に対戦相手がいないとゲームにならないので、全国的に、最初はドンといた人が、一気に減ってしまって、毎回同じ人とマッチングするとか、そういう状況になっていたみたいで。

――全国的に、一気に増えて一気に減ったんですね。

大島氏: 意外だったんですがもともと台数はそんなに出荷されてなかったみたいで、逆にそれでうちに足を運んでくれた人も多かったんですが、リピートには結びつきませんでした。それでちょっと対戦ゲームとして成り立っていないという状況になってしまったので、ポッ拳は早めに、まだ買取の値段がつく間に売却の話ができたのでうまく売れました。もしあの話ができなかったらまだ置いていたと思うんです。ゲーム自体はものすごく良かったですし、何とか盛り上がって欲しいという気持ちはありました。売ったほうがいいかどうかという基準もありますので。売っても、二束三文にしかならない機械は、売るよりおいておいたほうがいいかなと思うので。そういう機械は置き場所さえあれば置いておきます。廃棄にもお金がかかりますしね。うちだとだいたい2年ぶんくらいの売り上げで売れるんだったら、売ろうかなという感じですね。

1台の筐体でたくさんのゲームが遊べる2in1筐体がかなりのスペースを占めていた

――そういうところをシステマチックにやっているのがいいのかもしれないですね。

大島氏: そうですね。ですが、それも最近になってラインナップが整ってきたからこその悩みというか、必要に迫られるようになったというところです。「アイドルマスター」や「ビートマニアIII FINAL」のように希少価値のあるタイトルは、特別枠として、売り上げ度外視で置いてるんですが、それもいつまで続けられるかわからなくなってきました。「ポッ拳」の場合は一見さんが多く、常連さんの顔が見えないゲームでした。

――誰かが悲しむだろうなというのがなかったんですね。

大島氏: そうですね、やっていたお客様も、もう「ポッ拳」はいいかなという感じになっていたので。「ポッ拳」目当てできていた人も、だんだんと来なくなってしまったので、売り上げが良かったのは最初だけだったんです。うちにずっと来てくれている人で「ポッ拳」で遊んでくれていた人に「これ売っちゃっていいですか?」と聞いたら「もういいと思いますよ」と言ってくれたり。あとは、家庭用で出るかどうかもありますね。「ポッ拳」はもう家庭用で出ることが決まっていたので。

――ゲーセンからなくなっても、家庭用で遊べるってことですね。

大島氏: 今は時代なのかも知れませんが、家庭用のほうはヒットしてるみたいですね。家庭用がいつ出るのかを、ゲームセンターがものすごく気にしているので、そこはメーカーさんも結構考えられていますね。

――レンタルビデオみたいなものですね。

大島氏: 本当にそうですね。「鉄拳」の最新作なんかも、家庭用がゲームセンターの後追いになるようにしているし、今流行ってる「機動戦士ガンダム EXTREME VS. MAXI BOOST ON」も、今のところ家庭用の予定はなく、ゲームセンターを優先してくれています。メーカーさんがそういう風にゲームセンターを大事にしようという流れが来ていると思うので、今はまだ我慢していればこれからよくなっていくんじゃないかなと思っています。ちょうど風俗営業法も、保護者がいれば16才未満でも夜までいられるとか変わってきているので、法律のほうもゲームセンターの規制をもっと緩くしてもらえたらいいかなと思うんですが。

――ゲームセンターに対する社会の認識が変わってきたんですね。

大島氏: そうですね。昔は不良のたまり場の代表的な場所でしたが今はそんな感じではないですね。不良というよりも、オタクのたまり場みたいになっていて。オタクは攻撃的って言うイメージを持ってる人もいるかもですが、実はオタクって優しい人が多くて、ゲームセンターにいる人はみんなゲーム好きで仲間みたいな、仲間意識があるように思います。とくにうちくらいのお店だと「村」みたいなものなので(笑)。

――開発をしているメーカーに、現場から言いたいことは何かありますか?

大島氏: 1番に思うのはもっと新作を安くしてほしい。導入するのは安くしてもらって、そのあとゲームの売り上げの一部をもっていってもいいので。とにかく新作が置けないのが1番よくないので。

――全体では同じでもいいので、導入費用を安くしてほしいということですね。

大島氏: そうしてもらわないと、うちみたいに資金力のないところはついていけないです。昔だったらメーカーがどんなクソゲーでも売ってしまえばそれで終わりだったんです。今はレベニューシェアで、メーカーとゲーセンが売り上げを共有してますし、メーカーさんもオンラインでアップデートができます。だから全国のゲームセンターにどんどん新しいゲームを置いていけば、ゲーセンの復活もあるんじゃないかなと思うんです。

 ただ、矛盾もあるんです。ほかのお店と違う何かを出そうとすると、ラインナップでも差を付けなければならないんですが、でもゲームセンターの立場で考えると、メーカーさんにはすべてのゲームセンターに新作ゲームを設置できるような状況を作って欲しい。しかしそれでは差別化ができないので、立地や店の大きさで決まってしまうので、うちはたぶん負けちゃうんですよ。

 今の状況だからうちはうまくいっているという部分もあるけれど、今後を考えるとメーカーさんにはもっとゲームセンターに新作ゲームを入れやすくして欲しいという矛盾を抱えてるかなと。そして、もう1つメーカーさんにお願いするとしたら、過去の名作を埋もれさせないようにして欲しいかな。でもこれも結局お店としての特徴を出す手段を奪うことになりかねないので、難しいですね。

――難しいところですね。

大島氏: 「艦これアーケード」も本当にそうで、入荷できてるから、いまお客様が来てくれているだけなので、これが逆の立場だったら本当に毎日寒気がしていると思います。自分が「艦これアーケード」を買おうと決めたということに対して、自分の見る目があったというよりは、よかったとホッとしているだけです。ああ、買えてよかったなと。