【特別企画】

【マジコン問題】マンガで振り返るゲーム業界:「マジコン裁判」でゲームメーカー側が勝訴・発表された日(2016年1月19日)

 任天堂ほかゲームメーカー49社が、ニンテンドーDS用「マジコン」を販売していたとして業者を提訴した訴訟は、2016年1月12日に最高裁判所第3小法廷が業者の上告を棄却、メーカー側の勝訴が確定した。

 「マジコン」とは、ゲームソフトを不正にコピー、およびコピーしたゲームソフトが遊べるようになるツールの総称。本訴訟は、上記の各社が不正競争防止法による、ニンテンドーDSなどで起動する「マジコン」の輸入販売差止めと損害賠償を求め、2008年7月に東京地方裁判所に提訴したことから始まった。

当時について

 当時のマスコミでも「マジコン問題」がたびたび報道されことで、その名前が広く知られることとなりました。本訴訟が終了後、政府はゲームソフトなどデジタルコンテンツの海賊版の対策を進め、2020年6月にはゲームを含めた著作物全般を対象に、違法だと知りながらダウンロードする行為が規制対象となる改正著作権法が成立しました。

 「マジコン」と言えば、2009年に某国会議員が「息子が遊んでいるゲームの、改造コードの入れ方を教えてほしい」などと投稿した旧Twitterの内容を、ゲーム・エンタメ系のメディアが相次いで報じたことをご記憶の方も少なくないでしょう(※筆者注:その後、ご子息が使用していたのは「マジコン」ではなく「プロアクションリプレイ」だったと発言されました)。

 筆者の知人であるゲームショップ店員によると、マジコン販売で最初の逮捕者が出たニュースが流れた直後、マジコン目当てで来店したり、在庫を問い合わせる電話が相次いだりしたそうです。昨今では「マジコン」の名前を聞く機会がほぼ無くなりましたが、海外の通販サイトなどを通じて入手した、海賊版ソフトが遊べるツール類を転売して逮捕される事件が散発的に起きており、コピー問題は相変わらず根深いなと痛感せずにはいられません。

「今日は何の日?」とは

 不定期に過去に起きたゲーム業界に関する出来事を、マンガでユル~く、かつ真面目にふりかえるコーナーです。

絵:橘 梓乃

 ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。

テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)