【特別企画】
「スターフォース」誕生40周年! 単純明快で爽快感タップリ!! 今プレイしても熱くなれるシンプルなシューティングゲーム
2024年9月22日 00:00
- 【スターフォース】
- 1984年9月 稼働開始
1984年9月にテーカン(現:コーエーテクモゲームス)から登場した「スターフォース」。ノリの良いBGMにシンプルなシステムで簡単に爽快感が味わえるシューティングゲームの名作だ。
プレーヤーは自機のファイナルスターを操作して戦うのだが、地上と空中の敵の両方をショットボタン1つで攻撃できるため、対地対空の撃ち分けというものを考えなくてもよく、“とりあえず撃つ”だけで出現した敵を片っ端から攻撃・破壊できる気持ち良さが本作の特徴だ。また、仲間機と合体することで移動速度アップとショット連射が付加されるのだが、“なにをパワーアップするか”ということを考えなくても良いわかりやすさも評価された部分だろう。
そんなタイトルと筆者との付き合いは、気がつけば2024年9月で40年となった。このアニバーサリーイヤーに、本作の魅力を振り返ってみよう。
シンプル・イズ・ベストを体現した王道シューティング「スターフォース」
1970年代後半に誕生したアーケードゲームは、アクションやシューティングといったジャンルをメインに、その歴史を積み重ねてきた。「ポン」しかり「スペースインベーダー」しかり、最初は“シンプルですぐにルールが飲み込めるもの”が大勢を占めていたが、それでは簡単に飽きてしまうということもあり、いろいろと工夫したタイトルも登場していく。なかでも有名なのが、1983年初頭にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からデビューした「ゼビウス」だろう。
「ゼビウス」は、グラフィック面や独特のBGMが凄いのは言うまでもないが、ショットを地上と空中の2種類に分けたほか、ゲーム中にいくつかの隠しギミックを仕込むことで、プレーヤーに新鮮さとミステリアスさを与えることに成功した。すると、そういったシステムを盛り込んだゲームが数多く登場し、以降の作品は1レバー2ボタンという構成も珍しいものではなくなっていく。
当時の筆者は1レバー2ボタンのゲームをあまり上手くプレイできず、「ゼビウス」やそれに類する感じのタイトルからは少々置いてきぼりを食らっていた。そのため、1レバー1ボタンのゲームを漁っていたのだが、そんなときにたまたま出会ったのがテーカンの「SENJYO」だった。
「SENJYO」のやたらと渋いストーリー、画面奥から迫ってくる敵を砲撃するだけのシンプルさが何故か肌に合い、当時住んでいた地元駅前のデパート最上階で営業していたゲームコーナーに通い詰めたものだ。ところが、よく足を運んでいたものの、自分以外に「SENJYO」を遊んでいる人を見かけない。「面白いのに、なぜ?」と思っていたのだが、今から考えるとその理由もわかるというもの。雰囲気に合わせた重めのBGMは人を選び、敵もあまり代わり映えせず、派手なパワーアップがあるわけでもなかった。画面奥から出現した敵が、近づいてくると徐々に大きくなるという3D風の表現は目新しかったものの、全体的には時代を先取りしすぎた感があったのは否めない。
「SENJYO」自体は売れたそうだが、ゲームセンターでコインを投入してくれるプレーヤーが少なかったため売上が出ず、購入したゲームセンターからは色々と言われたとのこと。そこで「『SENJYO』と同じ基板を使ってスカッとするシンプルなゲームを作れ」という社長命令の下、その10カ月後に登場したのが「スターフォース」だった。
筆者がある日「SENJYO」をプレイしにゲームコーナーを訪ねたら、「スターフォース」なるゲームになっていたのに驚かされたものだ。
「スターフォース」が最初はどんなゲームなのかわからないので他の人のプレイを見ていたところ、ハイスコアランキングネームエントリ部分で光っている枠が「SENJYO」ソックリ! それを見て何となく「同じテーカンのゲームだし、もしかしたら面白いかもしれない」と思い、軽い気持ちで50円玉を投入したのがプレイのきっかけだったのを、ぼんやりと覚えている。
なお、「スターフォース」はテーカンから「スター・フォース攻略マニュアル(定価30円)」と題する小冊子が発行されており、当時の雑誌などはそれを参考にして記事ページを作っていたとのこと。ここではそれらを参考にさせてもらい、「スターフォース」のストーリーを紹介しよう。
時空歴2010年、暗黒の宇宙を殺戮と略奪を繰り返しながら進む浮遊大陸があった。暗黒星ゴーデス。誰もがその圧倒的な力に希望を失いかけた時、勇敢な一人の戦士がスペース・パトローラーに乗り込み、戦いを挑んだ。人々はこれを「ファイナル・スター」と呼んで最後の期待をかけるのだった。今こそ2000年の長きに渡る戦いにピリオドを打ち、ゴーデスの正体を突き止めろ!
プレーヤーは自機ファイナル・スターを操作して、次々と現われる空中物と地上物を破壊し先へと進んでいくのが目的となる。この時期の作品は「ゼビウス」の影響もあってか、ショットが地上攻撃ボタンと空中攻撃ボタンに分かれているゲームも珍しくはなかったが、本作は8方向レバーに攻撃ボタンが1つと極めてシンプル。しかも自機のショットであるフォース・ビームが、空中物と地上物の両方を撃破してくれるのが非常に斬新だったのを良く覚えている。というか斬新すぎて、「なぜ通常ショットだけで地上物と空中物の両方を攻撃することができるの??」と思ったものだ。
基本的には敵弾を避けつつショットを撃ち、次々と出現する敵を倒しまくるという爽快感溢れるシステムとなっている。途中で出現する、捕虜護送艦のカルデロンを破壊して現れる友軍のパーサーと合体すると、上下方向の移動速度が速くなるだけでなく、ショットボタンを押しっぱなしでもある程度の速度で連射してくれるようになるのにも当時は驚かされた。
空中の敵を1ポイント、地上の敵を2ポイントと計算し、合計250ポイント破壊すると1エリアが終了となり、各エリアの守り神である完全コンピュータ制御の司令艦、エリア・ターゲットが登場。これに8発打ち込むことでエリアクリアとなり、次のエリアへと進むことになるのだ。この間もスクロールが続き、シームレスで次のエリアに入るようになっている演出も秀逸。舞台となる宇宙空間も真っ暗というわけではなく、しかも浮遊大陸などが登場し単調に思わせない工夫がされていることにも感心してしまう。
そんな本作の特徴は大量にあるが、まずは音楽を挙げたい。出撃時の「タッタタッタタッタタッタタタタン、タタン~」で始まるリズミカルなオープニングフレーズ、通常時のBGM、そしてパーサーと合体すると一気に気分が盛り上がる軽快な楽曲に変わるなど、どれもが耳に残る名曲ばかり。中ボス出現時や、敵を250ポイント分破壊した時にはBGMが切り替わり、いかにも“大物と戦うぞ”という曲が流れる中での戦いになるのも、戦闘心を大いに沸き立ててくれるというもの。
他の特徴と比べると少々地味だが、出現する敵すべてに名前と攻撃方法が設定されており、個性的な動きで自機を襲ってくるのも魅力のひとつだった。このあたりは「ゼビウス」を参考にしたものと思われるが、そのおかげで“ただの敵”ではなく、名前で敵を覚えられたため強く印象に残っているのも、想い出作りに寄与しているのかもしれない。
そんな敵の中でも手強いのが、中ボス・ラリオス出現前に現われるフェラーだろう。ある時は高速で飛来しながら、またある時は低速でゆっくりと弾をばらまきながら飛んでくるので、非常に避けづらい。昔も、そして今回もミスしまくりだったのだが、おかげで記憶の底にこびりつくくらい、しっかりと名前を覚えていた。
「ゼビウス」のようにゲーム中に仕込まれたさまざまな隠し要素を、プレイを重ねて見つけていくことも楽しみのひとつだった。例えば、何もない地上部分を撃つと「H」の文字が徐々に現われてきて、完全出現後に破壊すると2,000点が入る“ヒドン”や、「?」のパネルにショットを4発当てるとひっくり返り、笑顔(ケラ)が出ると自機がエクステンドするという“マジッカ”など、インストカードからは得られない隠し要素がそこかしこに用意されている。
この時期、筐体には連射装置など搭載されていなかったが、ゲーム中にはプレーヤー連射力を試される場面が何カ所も用意されており、いかに早くショットボタンを叩けるかがスコアや残機数にも繋がった。先ほど紹介したマジッカなども、その一例と言えるだろう。
中でも代表的なのが、中ボスとして登場する超磁力型合体浮遊要塞ラリオス。最初はコアの部分だけが画面上部現われ、ここが光った後に周囲からパーツが勢いよく飛んできて合体する。その後に8発撃ち込むと破壊できるのだが、中心部が光ってからパーツが合体するまでの僅かな間にコアに8発撃ち込めれば、50,000点もの隠しボーナスが獲得できたのだ。
連射力が試されるもうひとつのボーナスは、「←→」の絵が描かれた地上物(ジムダ)が縦に2列並ぶ場所に用意されていた。ここはジムダ・ステギと呼ばれ、片側のジムダだけを連続して16個壊すことができれば80,000点がゲットできる。しかも、ミスせずに破壊し続ければ複数回ボーナス得点が入るので、ハイスコアを狙うには欠かせないポイントなのだ。
現代では筐体に連射装置が設置されていたり、アーケードアーカイブスにも連射設定があるため、昔ほど苦労せずにボーナスを獲得できるのだが、当時はプレーヤー自身のテクニックで連射する時代。ジムダ・ステギに到着するまでにもショットボタンを連打しまくって疲れているわけで、ここで80,000点を獲得できるかどうかは指力(または腕力)にかかっていた。
しかも、指や腕を酷使してボーナス得点をゲットできたとしても、この先ゲームはまだまだ続く。疲れ切ってしまったら、ここから先の旅路が苦しくなるわけで、ある意味では究極の選択とも言えた。この時代によく見た連打方法は、指を痙攣させての痙攣撃ちや、人差し指と中指で交互にボタンを叩くピアノ撃ち、ボタンを爪の背中で擦るコスリ撃ちなど。人それぞれに工夫して連射していたが、ガチャガチャのカプセルでボタンを擦っていた人も見かけたことも……あれは果たして早かったのだろうか?
そして最大の話題が、当時の雑誌にて「テーカン内部でもトップ・シークレットになっており、制作者1人しか知らない」と紹介された、ゴーデスの真の正体がなんであるかを記した象形文字だろう。しかも「その象形文字は、ある種の特殊ターゲットを出現させる方法にもなっていて、これを撃つと100万点獲得できる」とも書かれていた。
今では、その特殊ターゲットがシーラカンスの見つめる先に16発撃ち込むことで現われるクレオパトラで、さらに16発ショットを当てれば100万点ボーナスを獲得できるのは広く知れ渡っている。だが当初は、少なくともエリア10以上までショットボタンを叩き続けなければその場所にはたどり着けず、無事に到着したとしても疲れた腕でさらに16発+16発を撃ち込むというのは、とんでもなく難儀なものだった。これは、リアルタイムでプレイしていた人であれば、きっと頷いてくれるだろう。
筆者も当時は、100万点ボーナスを自力でゲットすべく頑張ったものの到達できず、いつも手前のジムダ・ステギで右腕が力尽きていた。今考えると、あの時代に100万点を獲得していた人の連射能力・連打持続力は、並大抵のものではなかったのではないか? としか思えない。リアルタイムで、なおかつ手連射で100万点ボーナスを取ったという人の話を、ぜひとも聞いてみたい。
弾を避けて敵を撃つという、王道にして飽きの来ない「スターフォース」は、今プレイしても本当に面白い
記事を執筆するにあたり久しぶりに「スターフォース」をやり込んだのだが、今時の複雑なルールが設定されているシューティングゲームではなく、とにかくシンプルで簡単に爽快感を味わえるのが非常に気持ちがいい。名作というのは昔も今も変わらぬ楽しさをプレーヤーに与えてくれるのだなと、しみじみ感じてしまった。
これが40年前に世に送り出されていたというのも驚くことだが、後に本作を参考にした作品も登場しているというのが、これまた「スターフォース」の名作っぷりを端的に表しているのではないだろうか。
現代ではアーケードアーカイブス版で気軽に楽しむことができるので、ぜひこの面白さを40年越しに体験して欲しい。
・PS4版「アーケードアーカイブス スターフォース」のストアページ」
・Switch版「アーケードアーカイブス スターフォース」のストアページ」
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