【特別企画】
西遊記アクション「黒神話:悟空」ハンズオンレポート
如意棒の使い方、スキルツリー、ゲームサイクル、ボス戦などをじっくり体験!
2024年7月1日 17:00
- 【黒神話:悟空】
- 8月20日 発売予定
- 価格:
- 7,590円(通常版)
- 8,580円(デジタルデラックス)
中国のGame Scienceより、8月20日にリリースされるPC/PS5用アクションRPG「黒神話:悟空(Black Myth Wukong)」。本作は、中国の四大奇書のひとつに数えられる「西遊記」をベースに、Unreal 5 Engineで作られた美麗なグラフィックで世界を冒険することができる作品だ。
リリースに先駆けて、今回は冒頭から1時間半ほどゲームを体験することができた。また、それ以外の部分についてもGame Scienceのチームスタッフに詳しい話を聞くことができた。こちらの記事では、そこからわかった本作の魅力や特徴についてご紹介していく。
なお、今回試遊したデモ版はあくまでも開発中のバージョンであるため、製品版では異なる点が出てくる可能性もある。その点については、あらかじめご了承願いたい。
アクションRPGと西遊記というテーマの相性もバッチリ
この「黒神話:悟空」を生み出したGame Scienceは、2014年に設立された会社で、創設時のメンバーは全員テンセントの出身だ。実は2008年に西遊記をテーマにした2.5Dのアクションゲームを制作しているのだが、その当時は様々な制約もあり、なかなか思うようにゲームを作りあげることができなかったという苦い経験がある。
Game Scienceを設立後、他に2つのタイトルを開発し、様々なノウハウが積み重なってきた。そうした経験や知見を活かして、ふたたび西遊記というテーマに挑んだのが本作である。
開発がスタートしたのは、2018年頃。新たなタイトルを作ろうと考えたときに、開発メンバーがSteamでよく遊んでるゲームのTOP5を調べたことがあった。そのときに、ほとんど全員がアクションRPGをプレイしていたことから、本作もそのジャンルが選ばれたそう。
また、アクションPRGと西遊記というテーマの相性も良かった。当時人気があった多くのアクションRPGからもインスピレーションを受けつつ、ユーザーとして親しんでいるからこそ、細かいところに手が届くような作品づくりを目指している。
西遊記の世界観を再現したフィールドを自由自在に探索
今回プレイできたのは、ゲームの冒頭部分であるチャプター1だ。オープニングは、道ばたに落ちていた桃を魔物が拾おうとするシーンからスタートする。実はそれが本作の主役である「天命人」(悟空ではない)が化けていたものだった。のっけから多くの人がイメージするような、「西遊記」に出てくる孫悟空のシーンが見られ、これからどんな冒険が始まるのかワクワクさせられるような演出になっている。
ゲームとしては三人称視点のアクションRPGで、プレーヤーはマップ内を自由に探索することができる。特にナビゲーションが表示されるわけではないので、どこに何があるのか、実際に進んで確かめるスタイルだ。
このチャプター1に登場するステージは、まさに西遊記のイメージ通りの山の中といった場所である。高低差がある地形に加えて、川が流れていたり古びた寺がスポットとして登場するなど、なかなか風光明媚だ。また、道自体も途中で枝分かれしているところがあり、異なる場所に続いているため、探索のし甲斐もある。しかし、いろいろと歩き回っていると、気が付けば元の場所に戻ってきたなんてこともあるのだが、それも含めて動き回っていて楽しく感じる作りになっている。
マップを探索していると、天命人が瞑想ができるようなスポットが出てくるほか、「献香」と呼ばれる休憩スポットも用意されている。この「献香」では、休息して体力を回復したり、戦いに必要なアイテムを購入したりといったことができる。また、プレイ中に得られたポイントを使ってスキルツリーを開放していくことも可能だ。
本作では、このスキルツリーを開放することで、攻撃や防御などに関する様々な能力を強化していくことができる。武器の如意棒のリーチが少し伸びたり、連続攻撃に幅が生まれたり、ポイントが溜まっているときは、積極的に開放していくことで、より有利にゲームを進めていくことができるだろう。
ちなみに、戦いで敗れて死んでしまったときも、この「献香」で復活することになる。後述するが、本作には強いボスがいるものの、ソウルライクのように、倒されるとそれまで獲得したポイントがゼロになる、みたいなことはなかった。その分、アクションの爽快さが優先されているように感じられた。
シーンや敵に合わせて選べる多様性にこだわったアクション
ゲーム内に出てくる敵は、このフィールド上を歩き回っているわけではなく、基本的に特定のスポットに出現する。これら、フィールド上にいる標準サイズの妖怪たちはそれほど強くない。そのため、ゲームを始めたばかりの頃は操作に慣れるまでの練習相手としても最適な相手だ。
面白いのは天命人が敵と対峙するときのアクションである。とくに後ろに下がるときのステップは、ブルース・リーをイメージさせるような華麗なフットワークが見られる。それに加えて、「ワッチャッ!」といった怪鳥音を出しながら敵に攻撃を仕掛けていくことができるのだ。
このゲーム序盤では、天命人は2種類の基本攻撃で戦っていくことができるようになっていた。ひとつは軽めの通常攻撃だ。ひとつひとつのダメージはそれほど多くないのだが、素早く繰り出すことができる。この通常攻撃は6回連続で行うことでコンボとなり、最後の一撃は強力な攻撃を加えることができる。
もうひとつが溜め攻撃である。今回はPC版をコントローラーを使用してプレイしていたのだが、Yボタンを長押しすることで溜めることができ、Yボタンを離すと如意棒に力を込め、そこから一気に縦に振り下ろして大きなダメージを与えることができる。ただし、その分隙が生まれてしまうなどデメリットもある。
こうした通常攻撃をしていると、画面の右下に表示されるゲージが溜まっていく。これが満タンの状態になると、通常攻撃からつなぐコンボなどで、ゲージ消費をしてより強力にフィニッシュできるようになる。
また、戦闘時のアクションとしてジャスト回避がある。敵の攻撃をタイミング良く避けることができると、天命人の残像が残ったような演出が出る。ジャスト回避のメリットは、素早く反応して次のアクションに繋げられること、そして先ほどのゲージを増やせることだ。
天命人の主要武器である如意棒には、構えのスタイルが3つ用意されている。今回の試遊では、通常のスタイルと、コンボの途中で如意棒の上に座り、さらに攻撃が派生する、というスタイルが確認できた。今回は直接見られなかったが、3つめのスタイルでは、如意棒を伸ばし、敵に突き刺すというアクションが可能になるという。
如意棒の構え方にも表れているように、本作には天命人に様々なアクションが用意されている。これは、西遊記らしい戦い方をゲームの中でも再現したいという思いがあったからだそう。如意棒の上に座る、如意棒を伸ばして戦うといったあたりは、まさに西遊記らしいイメージだ。
加えて、様々なアクションが用意されていることで、プレーヤーは様々な戦闘スタイルを自分で選ぶことができる。「妖怪と戦う」という西遊記らしいシーンを、プレーヤー自身が思い描いたとおりに実現できる、というわけだ。
ちなみに、この如意棒は攻撃だけではなく防御でも使うことが可能だ。防御ボタンを押すと、如意棒をクルクルと振り回すようなアクションになる。これ自体で攻撃はできないのだが、遠隔より飛んでくる矢を振り払うことができる。こちらを活用することで、ダメージを食らわず敵との間合いを詰めていくことができるのである。
またもう一つ、特殊スキルのような技もある。そのひとつが、ゲーム最序盤で入手できる「定」だ。「定」は、使用することで敵の動きを一定時間止められるというもの。クールタイムはあるものの、通常のザコキャラに限らずボス戦でも使える優れた能力だ。こうした特別な能力は、いつでも使えるように最大4つまでショートカットに登録しておくことができる。
ボスを倒すことで天命人の新たな能力を開放!
フィールド上にいるザコキャラとは別に、明らかに体が大きいボスキャラが本作にはいくつも登場する。それぞれのボスキャラがいるスポットも、それほど離れているわけではなく比較的近い場所に点在している印象だ。こうしたボスキャラの中には必ずしも相手にする必要がない敵もいるが、中には能力アップのために倒しておいた方がいい敵も存在する。その好例が、ゲーム序盤のボス「Guangzhi」だ。
このGuangzhiは、炎を纏う両剣のような武器を振り下ろし、天命人に激しい攻撃を加えてくる序盤の強敵だ。だが、倒すことでその武器を手に入れることができ、新たにGuangzhiにそっくりな見た目に変身できる能力も身に付けることができる。こちらは先ほどの「定」の能力と同様に、ショートカットに登録できる。
Guangzhiに変身すると、炎の攻撃属性をもった剣戟の嵐を敵に叩き込むスタイルとガラッと変わる。体力値も独自のものとなり、変身中に体力が0になってももとの天命人に戻るだけで済む。変身は一定時間が過ぎたり、ある程度攻撃していくと解けてしまうが、使用するデメリットがないので、特にボス戦ではどんどん使っていきたい。
つまり、この先ゲームを有利に進めていくためにも必要な能力となるのだが、開始からわずか20分ほどの間にこうした敵と戦うことができる。ゲームを進めるごとに、次々と天命人を成長させられるようなつくりとなっている。
Guangzhiは、縦で回転しながら攻撃を加えてきたり、あるいはときおりものすごい勢いで突進を仕掛けてきたりする。いずれも食らうと大きなダメージを受けてしまうのだが、とくに気を付けたいのは武器に付いている炎が天命人の体に移ってしまうことだ。炎が燃え移った状態になると、天命人は徐々にダメージを食らってしまう。炎自体は3回連続で転がることでも消せるので、素早く対処したい。
筆者はかなり苦戦してしまったが、ジャスト回避などダメージを食らわないように戦っていくなど、プレーヤーを鍛えてくれるような役目を果たしてくれそうだ。ちなみに、この先はさらなる強敵が続々と登場するそうなので、死にゲー系のアクションが得意な人は楽しみにしてほしい。
天命人=孫悟空ではない!?
ところで、そもそも西遊記といえば孫悟空だし、タイトル名にもなっているのに、なぜ主人公は天命人という名前なのだろうか、と疑問に思っている人も多いかもしれない。ここで改めておくと、本作の主人公は孫悟空ではない。
本作で描かれるストーリーは、西遊記の裏側の話を究明していくようなものになっている。ポイントは、天命人自身は、孫悟空と全くの無関係、というわけではないということ。ネタバレになるということで明言は避けられたが、天命人は旅に出て、孫悟空の過去や背景を究明していくことで、自分自身の生い立ちなどについても知っていくことになるそうだ。
また、西遊記といえば孫悟空以外にも三蔵法師や猪八戒、沙悟浄などおなじみのキャラクターたちが登場する。本作のストーリーは西遊記をなぞっているわけではないが、そうしたキャラクターたちともゲーム内で出会うことができるそうだ。具体的にどんなストーリーで、こうしたキャラクターたちがどのような形で絡んでくるのか? といったあたりも、本作の楽しみ方のひとつである。
死にゲー的な要素もあることからアクションに注目が集まるのも頷けるが、開発陣によるとゲームはストーリーにもかなり力を入れているという。ゲーム序盤は冒険の範囲は狭いが、チャプターが進んでいくにつれてストーリー性が高まっていき、探索できるエリアも広がっていく。そのため、どんどんその先が知りたくなるような作りになっているという。
アクション好きからコアなユーザーまで楽しめることを目的に開発
この「黒神話:悟空」は、アクションゲームが好きな人はより上達できるように、コアなユーザーに対してはよりディープに楽しめるようにするという目的でゲームが開発されている。たしかに、今回はわずかな時間であったが、その間多数ボスに倒され続けてしまった。それでも、もっと時間を掛けて遊びたいという欲も湧いてきた。
スキルツリー開放による強化に加えて、分身など新たな力を手に入れていくことができるという成長スタイルも、ゲームを遊び続けるモチベーションになりそうだ。また、突然虫に変身させられて、フィールドを移動(視察)するシーンが出てくるなど、いかにも中国系ファンタジー作品らしい体験が盛り込まれているところも非常に面白い。西遊記が好きな人はもちろんのこと、アクションゲームが好きという人は、ぜひとも挑戦してもらいたい1本だ。