【特別企画】

「CONCORD」先行体験レポート。キャラもルールも多彩。ロールに縛られない完全新作ヒーローシューター!

【CONCORD(コンコード)】

8月24日 発売予定

価格:
スタンダードエディション 4,480円(税込)
デジタルデラックスエディション 6,480円(税込)

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、プレイステーション 5/PC用ファーストパーソンシューティング「CONCORD(コンコード)」を8月24日に発売する。

 本作は、「Destiny」などに携わったスタッフが在籍するFirewalk Studiosが開発する5vs5のマルチプレイヒーローシューターだ。壮大な宇宙のSF世界を舞台に、プレーヤーは銀河のはみ出し者が集う傭兵集団「ノースター」の個性豊かなヒーローたちを駆使して、さまざまなPvPモードでの対戦が楽しめる。7月13日〜15日に予約購入者向けのベータ版アーリーアクセス、7月19日〜22日からはオープンベータテストも開催予定。なお、プレイステーション 5とPC間でのクロスプレイにも対応する。

 今回はメディア向けに実施された、「CONCORD」の先行体験会に参加してきた。本稿ではそこで得られたプレイの感触を含めて、先行試遊レポートとしてお届けしていきたい。

【『CONCORD』(コンコード) ゲームプレイトレーラー】
Firewalk Studios リードゲームプレイデザイナーのクロード・ジェローム氏と、ディレクターのキム・クライネス氏

訳アリな傭兵たちが集うヒーローシューター。既存のロールプレイモデルだけに囚われないカジュアルなゲーム性

 “ヒーローシューター”を名乗るだけあって、「CONCORD」には個性豊かなキャラクターが多数登場している。人間不信の魔術師、心優しき元リサイクルロボット、エイリアン生物学や科学に知見のあるオタクメディックなど、種族やバックボーン、戦闘スタイルも皆バラバラ。作中ではそうしたヒーローたちのストーリーを描いたシネマティックムービーを用意することで、プレーヤーがヒーローたちのキャラクター性に共感し、愛着を持てる仕組みを取り入れているという。

 各プレイアブルキャラクターは「フリーガンナー」と呼ばれ、正式ローンチ時には全16名のフリーガンナーがプレイアブル化する。正式ローンチ後も新ヒーローは随時追加で実装されていくとのことだ。

 ではどのようなフリーガンナーがいるのかを簡単に見ていきたい。今回の試遊で選択できたのは10名のキャラクターとなる。時間の制約上、その全てを試すことは叶わなかったが、中でもプレーヤー目線で印象に残ったキャラクターを3人抜粋して紹介しよう。

 まずは銀河トップクラスのガンスリンガーとされている「レノックス」だ。彼は"ガンマン"のようなキャラクターで、ハンドガンとリボルバーを巧みに使い分ける。どちらの武器も攻撃力が高めに設定されており、近距離では無類の攻撃力を持つ。どちらの武器も連射しやすいため、無造作に戦うと、弾切れ中のリロードが隙を生みやすい。レノックスは回復スキルを所有するので、生存能力も高く扱いやすいキャラクターだ。

 続いて紹介する「ジャバリ」は、スキルで攻撃型オーブ(球体型のデバイス)と回復型オーブを使い分け、仲間との戦闘をサポートしながら戦うことができるキャラクター。回復型オーブは仲間に飛ばすと一定時間追従し続け、その仲間の周囲にいるメンバーまで回復可能。銃は1丁しか所持していないが、弾丸が敵に誘導するので攻撃を当てやすい。その反面、自分の回復はマップアイテム頼りになりやすく、火力も低めな印象。

 最後は「ロカ」で、武器が誘導式のミサイルランチャーという異質なキャラクターだ。ジャンプスーツを身にまとい、戦闘中は3段ジャンプと空中回避を活かした空中戦が展開できる。スキルで、狙った箇所に突進し衝撃波を発生させるなど乱戦にも強い。空中にいることが多くミサイルの火力も高いので、狙われやすい欠点も目立った。

FPSにおけるハンドガンやリボルバーが得意なプレーヤーならまず選択肢に挙がる「レノックス」。高い瞬間火力と自己回復能力を併せ持つ
恐らく今回の試遊で筆者が一番使用していたのが「ジャバリ」である。緑色のエフェクトが仲間に飛ばした回復型オーブの効果範囲。その中でなら自身も回復できるため、仲間と共に行動することがハッキリと強みになっている
武器がミサイルランチャー「ロカ」。青いカーソルがスキルの攻撃範囲だ。狙った箇所に急速突進を繰り出して、周りの敵を吹き飛ばせる

 ヒーローシューターの多くが、キャラクター性能による役割分担を意識したロールプレイの特性を持つことは、FPSファンやeスポーツファンの中でも周知の事実だ。一応誤解を招かないように先に紹介しておくと、「CONCORD」がそうしたヒーローシューターのデザインから逸脱しているわけではない。

 タンクのように敵のヘイトを稼げるスキル構成だったり、味方を回復できるヒーラー的な役割を持ったキャラクターだったりと、厳密に区分してチーム内でのロールプレイを意識すれば、有利な試合展開を引き寄せることはできるだろう。しかし本作では「あのロールに対してこのロールが強い」といった、いわば明確なタイプ相性の存在がどこかボカされている。また、キャラクターのひとりひとりが尖った性能に味付けされ、ほとんどがワンマンアーミー的に独立して立ち回ることが可能だ。

 開発元・Firewalk Studiosのリードゲームプレイデザイナーのクロード・ジェローム氏は、本作のゲーム性について「例えるなら格闘ゲームの要素をヒーローシューターに取り入れたようなもの」と話す。ロール対ロールのように役割同士がぶつかりあう構造ではなく、個性の異なったキャラクター対キャラクターの駆け引きが試合の中で多発していく。無論、ゲームモードが変われば自ずとロールプレイが強まる場合もある。

 今回の先行体験会では、倒した敵からトロフィーを拾い集めてチームスコアを稼ぐルール「トロフィー・ハント」が、中でもこうしたロールプレイに制約されづらい特性を帯びていた。倒されても短いスパンで戦場復帰できる上に、リスポーン前にはキャラクターも選択し直せる。

 そして、本作では仲間の設置したアイテムがマップに残り続ける状況が多く、そうした残存リソースの再利用ができる部分も、プレーヤーの単独行動を自然と促す理由になっているのではないかと感じられた。

 試合中どこかのタイミングに置かれてそのまま放置された、仲間か敵のアイテムが時間差で作用するケースが多いのだ。開発チームはこうしたリソースを「継続的な設置アイテム」と呼び、ヒーローシューターの中でも本作ならではの特徴として、意図したゲームコンセプトにしているのだとか。

 ほかにもリポップする回復アイテムが比較的見つけやすく、マップ内には十分な数の回復アイテムポイントが設けられている。そろそろ倒されてしまいそうな体力の著しく減ったタイミングにおいては、回復アイテムの発見、あるいは仲間からの援護が差し込まれやすく、意外にリカバリーできてしまう。これは当然、サポートしてくれるその場の仲間との巡り合わせもあるだろうが……。

 逆にリスポーンができないルールも作中にはあるので、そうした試合では敵の位置をマーカーで教え合うなど、積極的な連携プレイこそが勝利に貢献してくる。とはいえ、そこでも「タンク役が必須」というゲームのバランス感ではない。そのため、体感的にかなりカジュアル寄りなヒーローシューターなのだと、プレイを通して率直に感じ取れた。

ルールごとに全く異なる体験が楽しめるFPS。新たなヒーローシューターの「定番」として期待が高まる

 以降は試遊会で体験できた3つのゲームモードについて触れていく。まずは先に軽く触れた「トロフィー・ハント」から見ていきたい。このルールでは、倒した敵がトロフィーをドロップし、そのトロフィーを先に30個集めたチームが勝利となる。今回プレイしたルールの中ではもっとも単純明快かつ遊びやすいルールだが、とても奥深い。

 試合のポイントになるのは“相手を倒してもトロフィーを拾いに行かなければスコアとして加算されない”点だろう。単なるチームデスマッチではなく、プレーヤーに積極的な移動を促しリスクをさらけ出させる仕組みがスパイスになっている。

 たとえば、マップの構造的に上層・下層と分かれていて、自分が下層から上層の敵を倒したら、そこに出現したトロフィーを自分か誰かが拾いに行く必要がある。それは仲間が倒されても、トロフィーを取りにやってくる敵さえどうにかできれば、ポイントを守れるチャンスがあるということ。敵チームと実力が拮抗しているほど手に汗握る展開が楽しめるはずだ。

敵を倒してもトロフィーを拾えなければスコアは加算されない。トロフィーを取りに行こうとしたら、階段側から別の敵がちょっかいを出しに来た
マップ「惑星観測所」は円形の構造が特徴的だ。中央部は上層・下層に分かれており、見通しが良いので乱戦にもなりやすい
トロフィーまでのルート上に仲間の火炎トラップが起動中。そのまま通り抜ければ後方から追ってきた敵を安全に巻けそう

 2つ目のルールは「クラッシュ・ポイント」。エリア中央を占領したチームがラウンドを制する、いわゆる「陣取り合戦」である。このルールは先に4ラウンドを制したチームが勝利だ。トロフィー・ハントと異なり、非リスポーン型のモードなので緊張感も高い。中央エリアの奪い合いこそ本ルールのミソだが、敵チームを全滅させてもラウンドの勝利を飾ることができる。

 リスポーンできないため試合展開がかなり早く、突破口を見出せずに攻めあぐねていると、エリア中央部を敵にアッサリ占領されて負けてしまうケースも多々。しかし、個々が復活できないことを肝に銘じて立ち回らねばならないので、エリア中央部を確保している最中のチームは、どこから自分が奇襲されるか周囲の警戒も怠れない。また、敵に中央エリアをキープされてしまっても、制圧完了までの間に敵を全滅させられれば逆転できる可能性はある。

 チームの攻撃力と防御力がラウンドごとに入れ代り立ち代りで求められてくることから、チームメンバーの陣形やポジショニングの匙加減を、リアルタイムで調整しながら戦うのがコツとなりそうだった。

「トロフィー・ハント」とは違って、単独行動は非常にリスクが高い。仲間との距離感・位置関係を特に把握しておきたい
エリアをキープしているチームは、敵を見つけ次第マーカーで味方に敵のいる方向を教えたりして防衛に集中
敵の行動範囲を抑制するトラップや、攻撃を防ぐシールドが展開できるアイテム設置系のヒーローは非常に貢献しやすい

 最後は貨物輸送システムを奪い合い、自分の陣地までキャリーした後に死守する「カーゴ・ラン」だ。こちらのルールもクラッシュ・ポイントと同様にリスポーンができない上、4ラウンド先取制となっている。試合開始から一定時間が経過すると、エリア中央に「ブルーバディ」と呼ばれるロボット型の貨物輸送システムが出現。

 両チームが正面から慎重にぶつかり合いつつも、まずはブルーバディの確保を目指す。確保したら、AのゾーンかBのゾーンまでブルーバディを運んでいき、敵チームに奪い取られないよう防衛戦を繰り広げていくのが基本的な流れとなっている。前半にブルーバディの確保、後半にブルーバディの防衛か奪取と、1ラウンドの中に2フェーズの展開が待ち受けているので、「クラッシュ・ポイント」以上にチームの連帯感が重要だ。

 ブルーバディのキャリー役を担うのは機動力に優れたキャラクターだったり、そんなキャリー役を守るキャラクターが編成の中にいたりと、先に挙げた2つのルール以上にロールプレイ要素が強く求められ、チーム内編成をどうするかがカギになる。本ルールにおいては、チームの総合力が問われているようだった。

チーム内に仲間をヒールできるキャラクターがいると、タンク系のキャラクターは特に活躍する
「カーゴ・ラン」でプレイしたマップ「ウォーター・ハザード」はそこまで広くない。しかもエリア中央は「ブルーバディ」が出現する関係で、チーム同士が正面からぶつかる激戦区だ
敵にゾーンまでブルーバディを運ばれてしまっても、そのゾーンごとこちらが占領したり、敵チームを全滅させてしまえばラウンドは取れる

 本先行体験会では、これら3つのモードを中心にメディア合同での対戦プレイを楽しんできた。ヒーローごとに武器・スキル・移動能力の違いなど、明確な個性付けがあるのはやはりヒーローシューターというべきところだろう。ただし、ヒーローが持つその個性の強さが、ロールプレイの概念を曖昧模糊としている様相はなんだか新しく思えてならない。人気の高いヒーローシューターはいずれもロールを前提とした、競技性の高さが戦略的な面白さに繋がっていそうだが、本作ではモードによってその辺りのバランスが大きく変化する。

 そして、対戦がメインコンテンツとなるこうしたゲームには珍しく、エピソード形式のシネマティックムービーを作中に取り入れることで、世界観もしっかり深掘りしてくれる。キャラクター同士の関係性だったり、世界観にまつわる描写だったりを取り入れて、新たな“定番ヒーローシューター”としての確固たる土台をかためていきたいのだろう。

 「CONCORD」では、正式サービス後に本稿で紹介していない新たなゲームモードが登場する予定だ。さらに本作では各種キャラクターを多彩なアクセサリーによって、デコレーションする要素もある。ディレクターのキム・クライネス氏は「プレーヤーたちがどのようなカスタマイズを見せてくれるのか楽しみです」と話してくれた。アーリーアクセスとオープンβテストでは、そうした要素についてもぜひ楽しみにしておいてほしい。