【特別企画】

「アクエリオン」河森流アニメ制作の極意とは? 河森正治監督の作業環境を学ぶブースがタメになる!【#AJ2024】

【Anime Japan 2024】

開催期間:3月23日・24日 9時~17時

会場:東京ビッグサイト 東展示棟1-8ホール

 3月23・24日に開催されている日本アニメの一大イベント 「Anime Japan 2024」。まさにテレビアニメや劇場用アニメの祭典といった感じで、動画配信サービスやアニメ制作会社などが、趣向を凝らした出展ブースでファンを魅了してくれる。

 これらのブースでは、作品をテーマにした展示物を見たり体験したりできるほか、限定アイテムなどの物販も充実している。そんな中、個人的に一番気になったのが「Production Works Gallery」だ。ここは、アニメ「アクエリオン」シリーズをベースにした、アニメ制作を学べる展示だ。

 内容的には、「アクエリオン」シリーズのキーパーソンである河森正治氏をフィーチャー。来場者は「アニメクリエイター候補生」として、河森流とも言うべきアニメ制作の極意を学んでいく。すべてではないが、どれくらい凄い展示なのかを知ってもらうべく、注目ポイントを紹介しよう。

河森監督作品の企画はどう生まれてくるのか?

 河森監督といえば「超時空要塞マクロス」シリーズや「アクエリオン」シリーズなどが有名だが、「Production Works Gallery」ではこうしたの企画がどこから生まれてくるかの源流を知ることができる。

 展示パネルによれば、オリジナル作品を生み出すためには、旅に出て“本物”に出会うことが大切と、河森監督が語っている。アウトプットだけでなく、インプットが重要ということで、このブースでは取材風景の動画や、撮影した画像を見ることができる。なお、ここから各工程は「創聖のアクエリオン」に登場した不動GEN指令が語るパネルとなっている。

 そして、次のステップはインプットした情報が精査され、「企画」として形作られるまでがわかる。ここは、ホワイトボードの前に机と椅子、そして「誰も見たことがない企画を生み出そう」と発言する河森監督のシルエットパネルが置かれていて、河森監督と企画会議をしているような記念写真が撮れるのが嬉しい。

 だが、注目すべきはホワイトボードで、ここには実際に会議で書かれたであろうネタなどがキチンと書かれている。細かいところだが、普段はあまり見ることができない資料だ。

 ボードには「アクエリオン3」と書かれているので、「アクエリオンロゴス」のことを指しているのだろう。視聴した方なら、より楽しめるのではないだろうか。余談だが、シルエットとなっている河森監督の手は、飛行機の形を意味している。実は以前、別の取材で河森監督に写真をお願いしたのだが、その時もキメポーズはこれだった。

 続いては、デザインパート。ここでは、変形ロボを登場させる河森監督ならではの作業部屋を再現している。どこまで完全かはわからないが、机の上にはレゴブロックなどが置かれている。変形機構や変形したときの「動き」の映像化を考えるために、レゴブロックを用いて検証している話は有名だ。

 また、傍らにプラモデルも置かれているが、これは実機のデザインを取り入れるためだろう。これは、バルキリー(VF-1)がトムキャット(F-14)に似ているところからもわかる。ちなみに、「アクエリオン」シリーズが変形だけでなく、3機合体なのは「ゲッターロボ」を意識していると聞いたことがある。

 また、ここではメカだけでなく、「アクエリオンロゴス」のキャラクターデザインがどのように固まっていったのかもわかるよう、デザインラフから完成デザインへの変遷も見られる。

 ほかにも、アニメーターが使うテーブルや絵コンテの見本、デザイン画からCG、そして完成モデルへの変遷なども見られるので、よりディープなアニメ制作の現場が疑似体験している気分になる。

 そして最終的な仕上げについては、「色」がいかに大切なのかを教えてくれる。最後に作品制作の仕上げとして、「アクエリオン」シリーズのアフレコ台本があり、自分自身が作品制作をしてついに完成に至ったかのような気持ちにさせてくれた。

最後までアニメーター候補生として体験できる仕掛けが嬉しい

 展示が一通り終わると、変形トイやBlu-ray、パチスロのポスターなどが飾られており、一見オマケの展示に見える。だが、これはアニメで大切なのは作品づくりだけでなく、その後のメディアミックス展開であることを教えている。

 最後までアニメーター候補生として学習できるのは、なかなか体験できるものではない。そういう意味では、このブースの担当者は本当にアニメが好きで、アニメを志す人やファンに向けてのメッセージとして企画したのだろう。

 なお、ブースの外壁にはクリエイター適職チャートがあり、YESとNOを答えるだけで、どのタイプに向いているかがわかる。ちなみに、筆者もやってみたところ、「監督・演出」に向いているとなった。何はともあれ、こちらもぜひトライしてみてほしい。

 最後になるが、外壁には「アクエリオンロゴス」のイラストが大きく描かれているが、その横に「想星のアクエリオン Myth of Emotions」という4作目が制作進行中であることを示すポスターがあった。これは超期待大なのではないだろうか。

 最新作を楽しむためにも、ブースに立ち寄り河森監督のアニメ制作スタイルを知っておくのがオススメだ!