【特別企画】
配信者界隈で『ヒロアカUR』がブレイクした理由は? 独自のゲーム性で盛り上がる本格バトルロワイアル
2023年10月23日 11:34
- 【僕のヒーローアカデミア ULTRA RUMBLE】
- 9月28日 配信(Steam版のみ9月29日配信)
- 利用料金:基本プレイ無料、一部アイテム課金
9月28日にバンダイナムコエンターテインメントからリリースされた対戦アクションゲーム「僕のヒーローアカデミア ULTRA RUMBLE」(以下、ヒロアカUR)。「週刊少年ジャンプ」連載の人気マンガを題材としているものの、原作の内容を知らなくても楽しめるゲームとして、大きな人気を集めている。
その熱気は原作ファンの輪にとどまらず、ゲーム配信者界隈でもちょっとしたムーブメントを巻き起こしていたほどだ。なぜ多くの配信者たちが同作に夢中になっているのか、その人気の理由を分析していきたい。
有名配信者たちがこぞってプレイ
「ヒロアカUR」はマンガ「僕のヒーローアカデミア」に登場するキャラクターたちを操り、3人1組のチームを組んで生き残りを目指すバトルロワイアルゲーム。各キャラクターは、それぞれ原作を再現した「個性技」というスキルを扱うことが可能で、コスチュームやボイスなどの要素も充実している。
VTuberグループ「にじさんじ」では、そんな同作をリリース直後から多数のライバーが実況プレイ。とくに葛葉さんはリリース初日に約12時間、その翌日には約8時間ものあいだ遊び続けるほどで、配信内ではその面白さに太鼓判を押しつつ、「とっつきやすいオーバーウォッチ」とも例えていた。
もちろんVTuberだけでなく、人気ストリーマーのsasatikk(ささ)さんやたいじさん、すももさんなども同作の配信を行なっている。その顔触れを見ると、普段FPS系のタイトルをプレイしている界隈の盛り上がりが目立つ。おそらくそれは偶然ではなく、「ヒロアカUR」のゲーム性がFPS/TPSシューティングに近い部分があることと関係しているのではないだろうか。
初心者から上級者までハマれるシューティング要素
「ヒロアカUR」はアクションを基本としたゲームではあるが、シューティングの要素も強い。中~遠距離の攻撃手段をもっているキャラクターが多く、フィールド上では射撃による撃ち合いが盛んに繰り広げられるからだ。
たとえば原作のメインキャラクターである緑谷出久、爆豪勝己、轟焦凍の3人には、それぞれ飛び道具的な攻撃手段が用意されている。緑谷は強烈なデコピンで衝撃波を生み出す「デラウェア スマッシュ エアフォース」、爆豪は爆発を一点に集中させて射出する「A・P徹甲弾」(エー・ピー・ショット)、轟は火球を放つ「猛火燎原」(もうかりょうげん)といった具合だ。ほかにも多くのキャラクターの個性技αに射撃が割り振られており、しっかりエイムして相手と戦うことが重要となる。
しかしそれと同時に、移動スキルをもったキャラクターも多く、スピード感のある試合展開を求められるので、一方的に射撃で相手を倒しきることは難しいだろう。エイム力を試されるため、FPS/TPS上級者もやりごたえを感じられるはずだ。
ただ、だからといって初心者が取っつきにくいわけではない。実銃が登場するシューティングゲームとは違って、それぞれの射撃は基本的に射程距離が限定されており、狙撃だけに頼ったゲーム運びは成立しにくい。フィールド上を移動する際にも、他のプレイヤーからの射線をそこまで気にせずとも生存できるだろう。
バトロワゲームとしての完成度の高さ
また「ヒロアカUR」は、バトロワゲームでありながら、他のタイトルとは一線を画したオリジナリティを感じられる。それがキャラクターごとの“個性”の強さだ。
すべてのキャラクターはα・β・γからなる3つの個性技と、特殊アクションを所持しており、原作における特性が忠実に再現されている。自分や相手を宙に浮かせられる麗日お茶子や天を衝くほどの巨人になれるMt.レディ、コンクリを粘土のように操れるセメントスなど、その再現度はきわめて高い。
いずれも尖った性能をしているため、それぞれに強み・弱みがハッキリ存在しているのも面白いところ。キャラクター同士の相乗効果も強いため、組み合わせ次第でチームの動き方が大きく変わってくる。
キャラクターごとにスキルなどの特殊性能が設定されたバトロワゲームという点では、「Apex Legends」に近いところがあるが、「ヒロアカUR」はさらにその方向性が突き抜けていると言えるだろう。
さらにキャラクターメインのゲームでありながら、運営がゲームバランスの調整に積極的な姿勢を示していることも同作の大きな魅力だ。正式リリースから2週間後の時点で早々に全般的なキャラクターの性能調整が行なわれたことで、信頼感を強めたプレイヤーは多かったのではないだろうか。
バトロワを取り入れて進化するキャラゲー
2017年の「PUBG: BATTLEGROUNDS」が火付け役となって始まった、バトロワゲームの流行。現在もその人気は衰えてはいないが、最近では“ジャンルの拡散”と呼びたくなるような動きも起こっている。
たとえばレースゲームをバトロワ化した「F-ZERO 99」、パズルゲームをバトロワ化した「テトリス99」、パーティーゲームをバトロワ化した「Fall Guys: Ultimate Knockout」など、バトロワという発想を別の枠組みと組み合わせた作品が次々と生み出されている。
そしていわゆる「キャラゲー」の流れにおいても、バトロワブームの影響は大きい。2019年12月から稼働しているアーケードゲーム「ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー」はその代表的なタイトルだろう。同作は「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくるスタンドの能力を使い、最大20人での戦闘を行ない、生き残りを目指していくゲームだ。
「ヒロアカUR」も、そんなキャラゲー×バトロワの系譜に位置付けられるタイトルだが、シューティング要素によってオリジナリティを獲得している。また、バトロワゲームのファンが興味をそそられる競技性の高さも兼ね備えているため、「バトロワは遊びつくした」「原作を知らないからキャラゲーができない」と思っている人にこそ、新たな選択肢として刺さるのではないだろうか。
今後、「ヒロアカUR」ではさらなるキャラクターの追加が予告されているため、ますますゲームとしての幅が広がっていきそうだ。新たなジャンルを切り拓くタイトルとして、目を離すわけにはいかない。
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会 (C)Bandai Namco Entertainment Inc.