【特別企画】

鳥山明原作の「SAND LAND」がゲーム化。ベルゼブブたちを操作できるアクションRPGの一端を垣間見た!

南プロデューサーへのインタビューでは漫画とゲームとの違いについても言及

 この後、短時間ではあるが本作プロデューサーを務める南敬洙氏への一問一答インタビューを行なえたので、その内容をお届けしよう。

プロデューサーの南敬洙氏

――まずは、なぜ今「SAND LAND」なのでしょうか?

南氏:鳥山先生の作品で「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」など、言わずと知れた魅力ある作品がたくさんありますが、「SAND LAND」もさらに多くのファンに届けたいなと思い、チームで話し合ってプロジェクトとして立ち上げました。

――プロジェクト立ち上げ時に鳥山先生へ許諾をもらいに行ったと思うのですが、その時の反応はどのような感じだったんでしょうか?

南氏:鳥山先生に直接ではなく、集英社様にご相談をさせていただきました。たくさんのご協力をいただいておりますね。

――ということは、「是非世界観を膨らませてやってください」という感じだったんでしょうか?

南氏:当然ですが原作を大切することを前提に、ゲームオリジナル部分は集英社様のご監修の下、ご相談させていただきながら進めていきました。原作はゲームとしてすべてカバーしていますし、より「SAND LAND」の魅力を再現できるようなものも入れていますので、ゲームとしての体験の幅を広げています。具体的には、アクションRPGとして世に出す上でベルゼブブだけでなく、様々なメカを取り?れようと考えました。今回の試遊でもメカとして戦?を?台だけ?れていますが、その他にもさまざまなメカを使ったメカアクションなども盛り込みながら丁寧に作っています。

――そもそも、「SAND LAND」をゲーム化するにあたり、ジャンルとしてアクションRPGを選んだ理由は何でしょうか?

南氏:鳥山先生の原作の中では、ベルゼブブは派手な攻撃を繰り出していたり、ラオが戦車を操縦したり、ゲームとしてアクションの幅を広げられると思い、取り入れるべきはアクションRPGかなと考え、今回はそのジャンルにしました。

――フィールドはオープンワールドなんでしょうか?

南氏:オープンワールドの定義は難しいですが、どこまでも無限に続く世界ではなく、広大はマップ作りを採用しています。広大な砂漠では、自分がどこに向かっているのかがわかりづらくなる可能性があったので、自分の歩いた足跡や戦車のベルト跡を残して、それを1つの目印としています。また、岩や乾燥した植物など砂漠の作りこみにも力を入れていて、ゲームとして道中で迷わないように気を付けて開発をしています。

――砂漠という世界観の表現は難しかったですか?

南氏:砂漠というと“暑さ”が一番初めに思いつくと思うのですが、ゲームを通しての“暑さ”をどう表現するかというのが課題でした。例えば、熱波。映像としては、うねりですね。また、砂漠に生き物がたくさんいるというイメージは無いと思うので、砂漠で息づく魔物や生き物たちをどのようにゲームとして落とし込むかなど、いろいろと試行錯誤しながら作っていました。


屋外では、時間の経過と共に見える表情も刻一刻と変化していく要素も盛り込まれている。砂漠の“暑さ”も、しっかりと表現

――鳥山先生は、漫画でのテーマとして“じいさんと戦車”と単行本に書いていましたが、ゲームのテーマは何でしょうか?

南氏:テーマとしてはまず、ゲームの中心はベルゼブブにしたいと思っています。人間と悪魔が共存する世界で、登場人物はラオやベルゼブブ、シーフ以外にもたくさんいますが、その中でベルゼブブや他の魔物を通じて、大勢の人間たちのコミュニケーションを見て楽しんでもらおうと思っています。人間が魔物と話すときは、通常だったら原作のように驚くので、そういったコミュニケーションや、人間と悪魔の世界観や種族を越えた交流というのをシナリオに落とし込み、「SAND LAND」の魅力全体を通してゲームを作っています。

――原作漫画は、読む人によってはベルゼブブとラオのどちらを主人公と捉えて問題ないような活躍をしていますが、ゲームではベルゼブブが主人公でした。交代制ではなく、最後まで彼が主役という形なんでしょうか?

南氏:そうですね。基本的にはプレイアブルキャラクターはベルゼブブですが、彼の話だけではなくラオの話というのも入っていますので、そういったキャラクターたちの深掘りも行なわれています。ただし、操作するのはベルゼブブか彼が乗り込んだメカで、その流れで物語が進んでいきます。

――ゲームでは、最終的には幻の泉を探す展開になるのでしょうか?

南氏:もちろん、ベースは幻の泉を探す旅ですね。原作の、幻の泉をベルゼブブたちで見つける旅をゲームでも踏襲しつつ、メインストーリーは進んでいきます。


原作漫画では見られなかった、謎のシーンもあるようだ

――原作漫画では、最終的に幻の泉を見つけたところで物語はほぼ終了という流れでしたが、ゲームの方も結末はどのような感じで考えているのでしょうか?

南氏:言えない情報がまだまだたくさんあるのですが、原作のお話はカバーしています。また、「SAND LAND」の魅力に触れていただきたいという思いから、ゲームでお届けできる驚きいうところもしっかりとユーザーさんには提供したいなと思ってますので、ぜひ期待を持ってお待ちいただければと思っています。続報を楽しみにしてください。

――面白いなと思ったのは、ゲーム中やイベントシーンでの会話が、原作漫画の台詞そのままだったというところですが、これは原作重視で進めているからということなんでしょうか?

南氏:そうですね。根底にあるのが、原作の素晴らしさを崩さないということです。砂漠を冒険していく中で、ゲームとしての会話劇、3人の関係性が少し垣間見えるような演出というのをボイスとして入れています。なお声優さんは、映画版と同じになっています。

――そんな原作漫画では、格闘シーンで戦車も一緒に戦う場面がありましたが、ゲームでもそういったことはできるのでしょうか?

南氏:そうですね、中には演出として入っています。

――となると、やはり漫画を読んでおいた方が楽しめそうですね。

南氏:もちろん原作をお読みいただいてゲームを楽しんでいただきたいですが、ゲームからでもベルゼブブを好きになっていただけるように開発しております。映画も夏に公開されますが、そちらも見てもらえればより一層ゲームを楽しめるし、予備知識ゼロでも問題ありません。

――メカに関しては原作漫画では数種類の登場でしたが、ゲームではもっと広げていこうと先ほどおっしゃっていましたよね。

南氏:そこは、オリジナル要素として広げていきたいと思っています。何機種あるかまではまだお伝えできませんが、PVで見られる以上のメカが登場する予定です。

――戦車をカスタマイズできると聞いたのですが、他の乗り物もすべてカスタマイズできるのでしょうか?

南氏:はい、戦車以外もカスタマイズできます。


戦車はもちろん、他のメカも多数登場するとのことで、期待値が上がった人も多いのではないだろうか

――敵を倒すとカスタマイズ用の部品を落としていましたが、あのような感じで集めていくのでしょうか?

南氏:そうです。敵からのドロップアイテムとして集めるほか、マップ上にある宝箱を開けることでパーツが入手できたりもします。ほかにも、点在している街の商店にてパーツを入手し、それで一素材分が集まったらカスタマイズして強化していく、という形でも進められます。

――カスタマイズは、やり込み要素の1つでしょうか?

南氏:カスタマイズは、物語を進めていく中では必ず通る道と言えます。敵もどんどん強くなってきますので、ぜひカスタマイズをしてメカを強化していただければと思います。

――戦車の操作は、ちょっと慣れが必要かなと感じましたがいかがでしょうか?

南氏:確かに、なかにはそう思われる人もいるかもしれませんが、戦車だけでなくジャンプするメカやバイクといった他のメカもたくさん登場します。途中で戦車を入手できたからといって、それに乗って進まなければ物語がクリアできない、というふうには作っていません。自分好みのメカで、自分なりのカスタマイズをして、物語を楽しんでいただければ嬉しいなと思います。

 メカやキャラクターの操作も、ちょっとプレイする中で慣れてくると思いますし、例えば格闘であれば□ボタンを連続で押して通常攻撃でコンボを繋げたりもできます。ベルゼブブでの1対1で戦うシーンも入っていますが、戦車を使った方がより広範囲に、強力な攻撃を与えられます。ベルゼブブでの操作が難しいと感じた人はメカを使ってもいいですし、メカの操縦がちょっとおぼつかないという人がいれば、戦車から降りてベルゼブブで敵と戦うこともできる。ユーザーさん次第で遊びの幅が変わる仕組みで、どちらかじゃなければダメ、ということにはなっていません。

――制作に際して苦労したところはなんでしょうか?

南氏:最初にも述べましたが、原作をベースとして制作し、そこからどれだけゲームとして幅を持たせられるかというところが苦労した点ではあるんですけれども、同時に一番やりがいを感じたところであります。

 ですので、ベルゼブブを中心に遊ぶのはもちろん、「SAND LAND」の世界をより楽しんでいただくために一生懸命作ったオリジナルメカがたくさん登場しますので、ぜひユーザーの皆様には隅々まで本作を楽しんでいただけたら嬉しいです。開発陣もチーム一丸となって「SAND LAND」プロジェクトを成功させたいという思いで制作してもらっており、互いに意見を出し合いながらいいゲームを作ろうと注力して開発しています。

――最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

南氏:発売時期はまだ詳しくは言えませんが、今回の試遊版を通じて読んでくださっている方々にも「SAND LAND」の魅力が伝わると思っています。今後、SNSなどでも新しい情報を随時出してきます。映像もさることながら、ゲームを触っていただけるとよりまた、興味も広がってくると思いますので、そこはぜひ期待して待って頂ければと思っています。今回の試遊版も、どこかの機会でユーザーさんに遊んでいただければと思っていますので、続報をお待ちください。

――ありがとうございました。