【特別企画】

「Lies of P」体験版が配信! 気持ち良すぎる独自のアクションをレポート

想像以上の満足度に仕上がったピノキオソウルライクに

【Lies of P】

9月19日 発売予定

価格:
通常版:8,360円
デラックスエディション:9,680円

 NEOWIZより9月19日に発売されるプレイステーション 5/4/Xbox series S|X/Xbox One/Steam用アクションRPG「Lies of P」。本稿では、6月9日より配信された体験版のレポートをお届けする。

 「Lies of P」は、本作は童話”ピノキオ”をベースとしながらも、そのイメージとは全く真逆となる暗くホラーチックな独自の”ダークファンタジー”としての世界観を構築しているアクションRPG。加えてゲームジャンルをソウルライクと銘打っている事からも分かる通り、俗に”死にゲー”と呼ばれる程の高難易度アクションをしっかり楽しめる事が大きな特徴だ。

 あまりに美しく、イケメンすぎる主人公”ピノキオ”から繰り出される本作独自のメカメカしいアクションギミックや、常に緊張感と絶望感が漂う陰鬱な世界で繰り広げられるストーリーは、数あるソウルライク作品の中でも本作独自のゲーム体験を築いている。今回改めて、体験版のレポートをしたいと思う。

【『Lies of P(Pの嘘)』- ゲームプレイトレーラー | PS5 & PS4】

ついに明らかになった「ピノキオ」“新解釈”ストーリーと登場人物たち

 本作は、童話”ピノキオ”をベースとしながら様々な新解釈を取り入れる事で、全く新しいダークな世界観が構築されている。主人公「ピノキオ」を始めとして「ゼペット爺さん」や「ジミニー」等の童話でもお馴染みのキャラクター達が登場するのだが、その雰囲気や様相はオリジナルと別物と思ってもらって良いほど。

 物語の舞台となる都市「クラット」は元々平和で美しい街だったが、人々の生活を支える存在だった”人形”達が暴走を始め、加えて人間を死に追いやる伝染病まで蔓延し始めた事で悪夢を体現したかのような地獄の街へと変貌してしまう。そんなクラットで、プレーヤーは不意に目覚めた特別な機械人形「ピノキオ」を操作し、襲い来る暴走した人形達や狂気に陥ってしまった人々を撃退していく事となる。この世界の謎や深淵に触れながらピノキオの人間になるための過酷な旅が始まるのだ。

主人公「ピノキオ」を始めとしてキャラクターデザインは世界観に合わせて全員メッチャクールな雰囲気に仕上がりに! 一癖も二癖もありそうな世界観の中で、各キャラクターがどのような役割を持つのかが非常に気になるところ
ベル・エポック時代の華やかな街の印象をベースに、本作の残酷な世界観に合わせたダークで陰鬱な雰囲気をしっかり纏わせたクラットの街並み。各ロケーションではホラーゲームかと思うほど恐ろしい雰囲気を醸し出しており、それでも恐怖の中に美しさが垣間見えるのが非常にオシャレだ

 ゲーム全体の雰囲気はどんよりと暗くホラーチックに作られており、その中でメインストーリー・サブクエストの両方において非情な展開が待ち受けている。

 MAPに落ちている手紙などのオブジェクトには死の間際の言葉が綴られていたり、地獄のような世界で人形ではなく一部暴徒となってしまった人間に襲われたりなど、各所に世界の悲惨さを感じ取れる要素が散りばめられていた印象だ。

 ここら辺のダークな雰囲気は既存のソウルライク作品の傾向とマッチしている部分も多いので、ソウルライク系統の作品を好むゲーマーには非常に刺さりそうな世界観になっていると感じた。

人形の暴走によって日常を破壊され、次第に恐怖と狂気に染まっていく人々の様子を各所で感じ取ることができる。全体的に絶望度の高い世界観作りが徹底されている
デモ版でプレイできたサブクエスト「泣いている女性」では伝染病によって病院に隔離され余命いくばくもない女性から、隔離される際に離れ離れになってしまった自分の赤子を連れてきて欲しいと頼まれる。しかしこんな地獄みたいな世界でその赤子が生きてる訳もなく……。代わりに赤子の人形を女性に渡してみるが、違和感を覚えないどころかとても満足している。この世界の悲惨さを表しているような内容となっていた

 そして本作のストーリーで特に重要となるのがピノキオらしく”嘘”がキーワードになるという点だ。嘘を吐く度に鼻が伸びるといったかわいらしい設定があるのではなく、自由意志を持たない機械人形の中で唯一「ピノキオ」は自分の意思で嘘を吐くことが可能となっているのである。

 この設定から、プレーヤーはストーリー中に発生する選択肢を選ぶ場面において状況に応じた嘘を吐くことができ、その選択によって物語やゲームに変化が現れるシステムとなっている。自分の為に嘘を吐くこともあれば他人の為に優しい嘘を吐く事ができる場面があったりなど、”嘘”というキーワードによってただの選択肢に深みを持たせている。

 ゲーム攻略上、嘘を吐いた方が良さそうなポイントを判断する事は勿論、プレーヤーの人間性が問われるような場面で難しい選択肢が出てくるのも本作の面白いポイントだ。

「人形は嘘を付けない」という前提から外れた存在であるピノキオは、人形対策のセキュリティを突破するために嘘を吐くことが可能。他にも上記で取り上げたサブクエストでも最後に嘘を吐くかどうかの選択肢が現れる。赤子の人形を自分の娘だと思い込む女性に、真実を伝えるか嘘をつくか。絶対的な正解が存在しない問題だ

 今回のデモ版では序盤の「ゼペット」と再会するまでのストーリーを体験でき、拠点となる「クラットホテル」の住人達の役割やピノキオと行動を共にする「ジミニー」の明るく砕けたキャラクター性などを知ることができる。

 さらにラストでは人形の創始者である「ゼペット」が現状の責任を取るために行動しており、ピノキオにも協力して欲しい事が判明するのだが、会話の中でピノキオ自身について何か隠してそうな言動が見えたり、「錬金術師」や「ストーカーズ」等の人間の敵対者の存在が判明したりなど、まだまだ物語はここからと言った所でプレイは終了となる。クラットの街はこの後どうなるのか、なぜピノキオは他の人形と違い嘘をつけるのか等気になるところだらけだが、今回のデモ版で「ピノキオ」をベースとした異質な世界観の一端をしっかり味わう事ができた。

ピノキオに力を与え導く不思議な女性「ソフィア」や、クラットホテルのオーナーでありゼペットの友人の老婆「アントニア」、ピノキオの武具を強化・改造してくれる「ユージニー」など物語の拠点となるクラットホテルに集まったキャラクターたちの詳細が判明。全員不思議な雰囲気を纏っていて、絶望的な世界なのにどこか余裕と気品を感じるキャラクターが多い
ピノキオが喋らないタイプの主人公なため、所々で状況説明や会話を行ってくれる「ジミニー」の存在は非常に重要。世界観が恐ろしい事もあってたまに軽口を叩いてくれるのもありがたい……!

基本はソウルライクなのに独自のシステムが光る!カスタム性能抜群のバトルアクションの数々!

 次に一番気になるところであるゲームシステムについて触れて行こう。今作は自らソウルライクを謳っている事もあり、基本的なシステムはソウルライク系の前例にならっている。

 広大なクラットの街を探索しながら、自身が死んだ際にリセットポイントにもなる「スターゲイザー」やフィールド上のショートカットを開放しつつ、拠点となる「クラットホテル」でピノキオや武器等を自由にビルド。少しずつステータス強化や操作アクションを洗練しながら、強大なボス達と戦ってストーリーを進めていく。

 当然ソウルライクらしく高難易度かつちょっと理不尽な”死にポイント”や、謎に強すぎる中ボスや雑魚敵も各所に用意されているため、何度も死を繰り返しながら遊ぶ「死にゲー」っぷりもしっかり味わえる。死を繰り返して敵の配置や攻略方法を開拓していき、ピノキオの強化と解放したショートカットや「スターゲイザー」を駆使して徐々に徐々に力を蓄えながら一歩ずつ進んでいくプレイが基本となるため、正に”ソウルライク”らしいゲームプレイを楽しむことができるのだ。

大量の雑魚的に囲まれる、操作ミスや攻撃を受けて高い所から落ちる、初めて出会うボスクラスの敵にフルボッコにされる等々……ソウルライクらしい死にポイントがしっかりと各所に用意されている。死んだ場所にはそれまで溜めた敵を倒す事で入手できる経験値に当たる「エルゴ」を落としてしまうため、リスタートした際には急いで回収しに行く必要がある。……なんともソウルライクな光景だ!
今作のリスタートポイントとなる「スターゲイザー」は触れることでピノキオの体力や一部アイテムを全回復してくれるのだが、その代わりにフィールド上の敵も全員蘇る。そのため先に進んだらショートカットを開拓して一端「スターゲイザー」に戻り、次からはショートカットを活用して一部の敵をスルーして先に進むと言ったゲームプレイが基本となる
拠点となる「クラットホテル」には「スターゲイザー」のワープ機能を使う事でいつでも帰還する事ができ、ピノキオのステータス強化やアイテム調達等を行える。基本的なビルドシステムも敵を倒した際に入手する「エルゴ」というポイントを消費して対応する各種ステータスのレベルを上げるといった直感的なシステムとなっているため、非常にプレイしやすかった

さらに幅を広げる特徴的な3つのシステム

 では今作ならではの要素とは何なのか。今回は3つの要素にまとめてそれぞれの面白さについて紹介したい。

「刃」と「柄」に分かれた「武器の組み合わせ」システム

 まず1つ目はピノキオの直接的な攻撃方法に関わる「武器の組み合わせ」システムについてだ。今作ではピノキオに2個まで武器を装備し、戦闘中にそれらを使い分けて様々なバトルアクションを行う事ができるのだが、その自由度と選択肢の多さに期待が持てる作品となっていた。

 ピノキオの武器は攻撃のリーチや威力に大きく関わる「刃(ブレード)」と、攻撃方法にそれぞれ変化をもたらす「柄(ハンドル)」の2種類のパーツを自由に組み合わせて1つの武器とするシステムとなっている。プレーヤーは戦う相手や自分のスタイルに合わせてこれらを自由に組み替えながら様々な武器を生み出し、強敵と戦う事になるのだ。

 組み合わせによっては扱いやすく癖も隙もない平均的な武器を生み出す事もできれば、威力が低い代わりに素早いアクションが可能な武器や、逆にモーションや動きがメチャクチャ遅い代わりに一撃で高威力を望める武器も生み出せるだろう。「刃」と「柄」にもそれぞれ固有のステータスがあるため、合体させた後の武器の重さや威力・攻撃属性等も考慮してプレーヤーはビルドを楽しめるのだ。

 さらに加えて各「刃」と「柄」には固有の攻撃を行ったりピノキオにバフを掛けたりなど異なる効力を秘めた固有スキル「フェーブルアーツ」も備わっているため、2種類のパーツの組み合わせに幅広い選択肢と戦略の余地が与えられているシステムとなっている。

デモ版で触れた武器は合計で5種類ずつだけだったが、それでも現状だけで5×5=25パターンの武器を生み出せるのだからかなりの拡張性の高さである。1つの武器に拘り続けるのも良し、色々な武器を開拓して敵やステージ毎に合わせて運用するも良しと、非常に自由な遊びが可能なシステムとなっている
フェーブルアーツは攻撃を与えたる事で貯まる左上の「フェーブルスロット」を消費する事で発動できる武器の固有スキルのようなもの。消費するフェーブルスロットは各フェーブルアーツ毎に異なるため少し運用が難しいが、戦闘中に4種類のフェーブルアーツを状況に合わせて巧に使い分ける事ができれば、かなりスタイリッシュな戦闘が可能になるだろう
筆者が特に気に入ってたのは電撃属性を付与できる刃「電撃コイル棒の頭像」と、最初に入手した癖の無い取り回しが可能な柄「操り人形のサーベルブレード」を組み合わせた一品。人形に有効な電撃属性で攻撃できながら攻撃範囲も広く出が速い事で、囲まれた時でも雑魚的を一掃できて以上に気持ち良い! 逆にボス戦や強い敵との1体1の場合はリーチや威力が心許なかったが、フェーブルアーツが刃も柄もバフ能力だったため、サポートとしても運用できたのがグッドだった

機械仕掛けの特殊攻撃「リージョンアーム」

 2つ目の特徴的なアクションはピノキオが左腕に装着している特殊義手を駆使したアクション「リージョンアーム」だ。筆者はもう本当にこのシステムと見た目が好き過ぎて、そのために発売前から本作にドップリ浸かっていると言っても過言ではない。

 「リージョンアーム」は装備した特殊義手によって様々な攻撃アクションを可能とするシステムであり、機能性がそれぞれで全く異なる事からピノキオの戦闘スタイルに大きな変化を与える要素となっている。

 今回のデモ版では単純に高威力のパンチ攻撃を可能とする「鋼鉄の左腕」、ワイヤーを駆使して敵を引き寄せたり自分が高速で近づくアクションが可能な「人形の糸」、強力な電流を流して広範囲に攻撃が可能な「フルミニス」の合計3種類の「リージョンアーム」を試す事ができた。

 入手するたびに付け替えて遊んでみたが、単純に火力の出る「鋼鉄の左腕」は扱いが簡単なため多くの場面で使用できるし、「人形の糸」は敵との間合いを簡単に調整できる事で武器を用いた戦闘が超楽になり、「フルミニス」は多くの敵に囲まれた際にぶっ放せば広範囲に大ダメージが与えられたりなど、それぞれが甲乙つけがたい独自の使い心地と面白さを持っていた。

 武器の多様性に加えてこの「フェーブルアーツ」でも戦闘スタイルがまた異なってくるため、どのような組み合わせでビルドするのかプレーヤーの腕の見せ所となっている。

ギミックの詰め込まれた機械の腕は男のロマン!ゲージを消費してそれぞれの強力な固有アクションを発動する事ができ、装備している「リージョンアーム」で戦い方が変わると言っても過言ではないほどその重要性は高いシステムとなっている。状況に合わせてメカを使い分けるって何でこんなカッコいいんだろうね……
筆者が使ってて特に気に入ったのは電撃を放てる「フルミニス」! ただの攻撃じゃ仰け反らなかったりガードを駆使してくる相手に対して有効だったり、チャージすれば広範囲に攻撃できることで囲まれた際の緊急手段としても扱いやすい。上記で取り上げた合体武器と合わせて人形に有効な電撃攻撃を高頻度で行えたのが非常にグッドだった!

 あと筆者が個人的にメチャクチャ好きなのが「グラインダー」を使用した武器耐久度の修復だ。本作では武器に耐久度が存在し、一定回数攻撃を行うと耐久度ゲージが消費されてATKが減少していき、その状態で使い続けてしまうと最後には破壊されて修復もできない状態になってしまうため、探索中でも適度に「グラインダー」を使用して武器を研ぐ必要がある。

 何がいいかというと、その時のアクションだ。機械でできた特殊義手を刀を血払いするように研磨するのだが、これがとにかくカッコいい。全身機械の人形ならではの見せ方でもあるため、見ていて納得感も強い。このシステム単体で見たらプレーヤーが攻撃一辺倒にならないように制限を設けるための仕様に見えなくも無いが、魅せ方が上手い事で耐久度を回復させる行為が逆に絵になる楽しいシステムへと昇華しているのだ。

安全な場所で適度に回復したり、相手の攻撃の隙をついて回復したり等ゲーム的な側面で見ても戦略性が深まる仕様だと言える。そこに絵としてのカッコ良さが付いてくるのだから楽しくない訳が無い。特殊義手の設定を存分に活かしたモーションに感動だ……!

ソウルライクに欠かせない「ジャスガ」と「致命攻撃」

 3つめの要素はソウルライクといえばと外せない要素である「ジャストガード」と「致命攻撃」だ。俗に言う”パリィ”アクション回りのシステムが本作独自の形となってアレンジされているのである。

 本作では敵に攻撃を与え続けたり敵の攻撃をタイミング良くガードする事で発生する「ジャストガード」を繰り返す事で相手に特殊な攻撃「グロッキー有効」を当てられるようになる。そして「グロッキー有効」を当てると、隙だらけな状態である「グロッキー状態」に敵を追い込める事ができる。この「グロッキー状態」の時にさらに攻撃を行う事で相手に大ダメージを与えられる「致命攻撃」が可能となっているのだ。

 既存のソウルライク系作品と比べると「致命攻撃」に至るまでの工程が少し多いように感じるかもしれないが、相手の攻撃を連続で「ジャストガード」して防ぎながら攻撃を加える攻防が本作では特に面白く、熱い攻防の末に敵を「グロッキー状態」に持って行く事ができた時の爽快感は堪らない。ボス戦の場合は一撃でも攻撃を受けたら致命傷になり兼ねないため、とんでもない緊張感の中で何度も死にながら攻撃を見極めていく感覚は正に”ソウルライク”だった。

ジャストガードに成功した時に鳴り響く鉄と鉄がぶつかり合ったような音が心地いい……! 相手の攻撃を捌きながら攻撃を繰り出す攻防はアクションとしても見栄えがよく、戦い自体がとんでもなく楽しい。ここにプレーヤー毎のビルドによって戦略性が無限に存在する事を考えるとゲーム性の高さに興奮してしまう

 総じてソウルライク作品として戦闘要素・ビルド要素ともに独自路線を進化させながら面白さを開拓しており、アクションゲーム好きに刺さる難しさと爽快さをしっかり両立できている作品だったと言える。

 デモ版だと序盤の方しかプレイできてない状態だったのにも関わらず、ここまで満足度の高い内容だった事を考えると製品版ではどのようになってしまうのか……非常に楽しみだ。

ソウルライクと言えばやっぱりボス戦!デモ版で戦える印象に残った戦いを紹介!

 最後に筆者が今回プレイした中で相対したボス達との戦いや、その中で見つけた本作の面白さについて取り上げたい。

 1体目はある程度操作感を掴んだところで登場する最初の大ボス「パレードマスター」だ。プレーヤーに襲い掛かる最初の難関といっても過言では無いこのボスは、それまで何となく力押しで行けてた中ボスたちと違い、隙を着いて攻撃を行わないと簡単にピノキオがいとも簡単にスクラップになってしまう事をプレーヤーに教えてくれるだろう。

 ここではヒット&ウェイによる攻防が基本である事と、武器による攻撃だけでなくアイテムを使用する事で戦いが有利になるなどのソウルライクの基礎中の基礎を体に叩きこんでくれる。というのも、アイテムによるエンチャント付与や投擲物を駆使する事でビックリするほどバトルが楽になるからだ。

 よく観察すれば攻撃も比較的大振りなためアクションがド下手な筆者でもしっかり”戦ってる感”を味わう事ができたため、このボスを倒せるようになる頃には初心者も本作の面白さの本質に気付き、ソウルライク沼にドップリ浸かれる準備が整ってしまうだろうなと感じている。

それまでの敵と違い、2度ほど被弾したら一気に体力を持ってかれるためゴリ押しができず、緊張感が桁違いに! 手持ちのアイテムや武器の組み合わせをしっかり確認した最初のタイミングでもあったため、この戦いを突破してやっと本作がスタートすると言っても良い。チュートリアルの集大成のようなボス戦となっていた

 2体目は「ゼペット」を襲おうとしていた中ボス「狂気のロバ」(ロバといっても人間)だ。これまで人形としか戦ってなかったのに唐突に人間との戦闘が始まった驚きと、人形達と違いローリングやバックステップなどの人間らしい回避行動を攻撃の中に挟んでくるため、戦い方を変えないとダメージレースに勝てない難しさを味わえるボス戦となっている。

 この戦いではただのヒット&ウェイでは攻撃を避けられてあまりダメージが通らなかったため、「ジャストガード」を成功させまくって「致命攻撃」を狙おうという意識が明確に芽生えた事がプレイ上での大きな変化となった。

 攻撃を見極めて「ジャストガード」に連続で成功した時のアクションの気持ち良さを理解し、最後には気持ち良く「致命攻撃」をぶち込んで勝利する……こんな経験をしてしまったら、もうガン逃げヒット&ウェイ先方には戻れないと思ってしまうほど楽しいボス戦だった。本作においてあらゆる場面にて有効な「致命攻撃」周りのシステムを理解するのに非常に適している存在だった。

本作で人間が襲ってくる初のシチュエーションであり、単純なアクションの多い人形たちと違って武器を使った攻撃や回避行動などをしてくるのが大きな特徴となっている。「ジャストガード」を繰り返して武器を破壊する、背後に回る事でバックアタックが狙える等といった、実践できていなかった細かいテクニックを活用しないとダメージを与えづらいボスとなっている。人間タイプの敵はデモ版だと彼だけだったが、製品版でさらに凶暴な人間と戦う事になるのかも気になるところだ……

 最後はデモ版のラストに戦う事になる「スクラップ警備員」だ。このボスは前回取材時の試遊プレイで結局最後まで勝つことができなかったボスだったので、実は個人的に因縁深い相手だった。

 隙が比較的多かった最初の大ボス「パレードマスター」とは違い、巨体ながら素早いアクションと回避し辛い電撃攻撃を組み合わせて行ってくるため、攻撃のタイミングが非常にシビアな相手となっている。特に体力が半分を切って第二形態になると全ての攻撃に電撃を纏うようになる。

 そのため電気ショック状態にも注意する必要がありつつ、動きもさらにスピードアップする事で敵との間合い管理がとんでもなく難しくなるのだ。死んだ回数で言えば今回のプレイの中で断トツで多く、ソウルライク味を一番強く感じ取れたボス戦だった。

全体的に動きがスピーディーなため回避やジャストガードするにしてもタイミングを掴むのがかなり難しい…→! 全ての攻撃に電撃が発生する第二形態からは第一形態の時だと隙だった攻撃にも落雷が発生し攻撃が通りづらくなっていたり、確定で8割以上体力を持っていかれる危険な投げ技を繰り出してきたり等、序盤とは思えないほどの難易度で襲ってくる……!

 そんなビビる位強力な「スクラップ警備員」だが、この大ボス戦から解放される「亡霊」システムによって勝機を見出す事ができた。これは「星の破片」というアイテム消費する事でボスエリアに限り共に戦う「亡霊」を生み出せるシステム。要はNPCとの2人プレイが可能になるお助け要素となっている。最初は自分一人の力で攻略すると息巻いていたのだが、このままだと攻略に1,000時間かかってしまう可能性もあったため、今回は致し方なくこの「亡霊」の力を借りる事にした。

 使ってみて分かったが「亡霊」が居る事によるメリットはかなり大きく、ダメージソースが増えるだけでなくボスのヘイトが「亡霊」と分散されるため、「亡霊」を攻撃している間は比較的安全にボスを攻撃する事ができるのだ。とは言え「亡霊」はちょっとずつ時間経過で回復するしか体力回復手段がなく、一度倒されればもう復活しないため、任せっきりでは絶対に勝てないパワーバランスとなっている。「亡霊」を如何に上手く生存させながら、攻撃を誘導させるかがポイントになるだろう。

2人で挑む恩恵は相当大きく、「亡霊」にヘイトが向かっている間は攻撃を行いやすいため第一形態は簡単に突破できるように! ダメージソースとしては心もとないため、メインで戦うのは自分だという意識はしっかり持つ必要はある

 最終的には効率よく第二形態に行けるようになった事で「ジャストガード」のタイミングをある程度理解する事ができ、「亡霊」が隙を作ってくれている間に「致命攻撃」に成功した事で何とか勝利を収めることができた。デモ版最後のボスという事で本作の手厳しさを体験するのに相応しいボスだったと心から思う。製品版で相対した際には自分一人の力で圧倒できるようになりたい所である。

 今年発売という事でかなり完成図が判明してきた本作。今回序盤をガッツリプレイしてソウルライク作品としての難しさと奥深さをしっかり味わう事ができ、ストーリー面においても世界観の一端が垣間見えて非常に先が気になる仕上がりだったと筆者は感じている。何よりイケメンすぎるピノキオをこんなにカスタマイズ性の高いアクションシステムで操作できると実感できただけでも期待値が正直爆アガリだ。気になるプレーヤーは、是非本作の情報を追ってみてはいかがだろうか。