【特別企画】
恐怖の最強パワーを秘めたティアラメンツが「遊戯王マスターデュエル」に実装! 新禁止制限と合わせ今、かつてないカオス環境を向かえる!
2023年4月10日 00:00
新リミットレギュレーションも適用!迫りくる「ティアラメンツ」に対してコナミが下して改定は……!
ここからは第2の本題である新リミットレギュレーションと、それに伴う環境の変化について考察していこう。
とは言っても前述した通り環境の中心となるのは「ティアラメンツ」だと筆者は予想しているので、今回の注目点はそれを前提としてどのような改定が下されたのか、どのようなテーマが対抗する事ができるのかだと思われる。
今回2回のタイミングに分けてレギュレーションが告知されたため、それぞれを分けて取り上げていこう。
最初は新パック「ブレッシングス・オブ・ネイチャー」の内容が発表された後に公開された追加改定だ。「ティアラメンツ・キトカロス」と「壱世壊=ペルレイノ」が制限カードに、融合効果を持つ「ティアラメンツ」モンスター3体が全員準制限という形だ。パックの発売前に事前規制が入るのは一度「勇者」テーマの実装に先駆けた取り組みと同じで、今回もOCGでオーバーパワーだったテーマに対する抑止という意味での追加改定だろう。
いや~展開の基盤となる「ティアラメンツ・キトカロス」と「壱世壊=ペルレイノ」の2枚が制限になると環境入れるか話変わっちゃうなぁ~!……などと事を考えてる決闘者は恐らくこの世に1人も居ないだろう。もう全っっっっっっっ然ヤバすぎ! 確かに意味のある規制ではあるものの、この程度では「ティアラメンツ」の猛攻は止まらねぇよ! もうガバガバセキュリティレベル! 何故ここまで良いきれるかと言うと、OCGの歴史が既にそれを証明済みだからである。
かつてOCGでは「ティアラメンツ・キトカロス」の禁止を含めた厳しい制限改定を行なった事があるが、後に追加されるカードや古のカードを取り込んでコイツら何度も環境デッキに返り咲いているのだ。それもまだ「マスターデュエル」には登場してない激ヤバなテーマや直接的に「ティアラメンツ」に対してメタ行動を行なえる数多のテーマが登場した環境にも関わらずである。その知識がある状態でこの改定を見たらあまりにも可愛らしい規制の掛け方に感じてしまうのだ。
正直「イシズティアラメンツ」としてのパワーで言ったら最強全盛期よりは劣るとは言え、ほぼ全力と変わらないレベルでカードを使用する事ができるし、「マスターデュエル」にはまだこのデッキに対して直接メタを張れるカード達が登場してない事を考えると容易に暴れる姿が想像できる。
加えて「マスターデュエル」はシングル戦となっている。サイドデッキが無いため他のデッキは対策を取る事がより困難になるし、筆者が作った適当なリストよりも遥かに精度が高くシングル環境にマッチした「イシズティアラメンツ」もどんどん開発されていく事で他デッキと差が広がって行く事が予想できる。
もうここまで来たら”登場させるならドップリ使わせる”というコナミの気概とも受け取れるので、決闘者諸君は覚悟を決めて今後はこのタイプのデッキに紳士に向き合い楽しんでいこうじゃないか……!
次にDC後、新パックが発表される前に公開されたリミットレギュレーションについてだ。全体的に直近で行われたDCでの使用率や結果に基づいての禁止制限のように感じる。
結構数は多いがそれぞれ理由が被っているカード等もあるため、今回はそれぞれをまとめてピックアップして考察していこう。
最初に取り上げるのは制限カード入りを果たす「スキルドレイン」、「群雄割拠」、「御前試合」だ。発動するだけでデッキによっては相手を詰み状態にしてしまう凶悪性能を持った永続罠カード達である。
これに関しては以前から徐々に徐々に規制を強めていた節があったため、ここで一気に踏み込んだかぁという印象が正直強い。「マスターデュエル」はシングル戦なためサイドデッキが魔法・罠を投入して対策といった事ができない事もあり、デュエルが始まって1枚のカードを開かれるだけでゲームが終了しかねないコレらのカードの存在はゲーム体験としてはあまり良くは無かったと言わざるを得ない。
とは言え「エルドリッチ」や「純神碑」などのコントロール系のゆっくりしたデッキにとっては、高速化する現代遊戯王の環境の中で随一の武器となっていた部分もあるため、いきなり全てが制限入りしてしまうというのも可愛そうに感じてしまう。テーマの自力だけでは覆せないカードパワーを補填していたカードだったのも事実なため、これらを失った後どれほどのコントロールデッキや罠デッキが台頭できるか非常に気になる所だ。
次に取り上げるのは準制限となった「神碑の泉」&「神碑の穂先」、加えてついに制限カードにまでなってしまった「ふわんだりぃずと謎の地図」だ。「神碑」デッキと「ふわんだりぃず」デッキにまたまた直接的なメスが入った事になる。どちらも通常のテーマとは異なる挙動を持つテーマで、手札誘発やメタカードの影響を受けづらく、逆に多くのデッキに対して有効となる妨害や独自のリソース確保を得意とする。そのため対面するデッキ次第では圧倒的有利を作りやすいタイプのテーマだ。
そのため言葉を濁さずに言うとプレーヤーのヘイトを集めやすいテーマ性な事もあり、一部のユーザーからは対面した際に好まれない傾向があった。対策カードをサイドデッキから投入できないシングル戦だとこの2つのテーマに対して有効なカードが通常の展開系デッキにはあまり有効ではないパターンが多いためメインデッキに入れる事が難しく、その隙を突いて”漁夫の利”的な勝ち方が可能な点も含めて、シングル戦という舞台において非常に強力なテーマデッキだったのだ。
そのことを踏まえると以前から規制を受け続け貫通力を唯一上げていた「ふわんだりぃずと謎の地図」の規制を受けた「ふわんだりぃず」はいよいよ持ってピンチになったと言える。元々特殊召喚に対するメタが効かない事と最終的な妨害が環境にマッチしていた事、一度動きが通れば除外を行き来して無限リソースになる点などが強いテーマだったが、そもそも相手の妨害を乗り越える力が下がると動きが通らないため強みを発揮しづらくなる。一応妨害の回避と安定性を上げられる「ふわんだりぃずと旅じたく」がフルで使えるため戦えない訳では無いが、数少ない展開手段の絶対枚数を減らされた影響は大きいだろう。
また「神碑」に関しても一番手軽にリソースを増やしつつ安定性を上げていた「神碑の穂先」と、そのサーチ先筆頭であるテーマのメインカード「神碑の泉」の枚数が減った事で安定感はかなり落ちるだろう。「神碑の翼フギン」のサーチ効果を止められて動きが停止してしまったり、「神碑の泉」にターン1制限が無い事を利用した大量ドローも今でもやれなくはないが、狙いに行くのが難しくなりそうな印象だ。以前の制限改定で2種類の「神碑」魔法が準制限になってる事も重なって、発動できる神碑魔法が徐々に減ってきている点も厳しさに拍車を掛けている。
ただ「神碑」に関して言えば安定感が落ちた事よりも上記で取り上げた永続罠達が規制を受けた事の方がダメージが大きいかもしれない。少なくとも「神碑」の動きを安定させるためのターン稼ぎや、神碑魔法の除去と合わせて永続罠の制限効果で盤面を捌いたり、「神碑」モンスターの破壊耐性で永続罠を守ったりなど、かなり双方でサポートし合ってた存在だったのだ。相手のデッキを枯らす「純神碑」は今後は他の方法で相手をロックできる方法を模索する必要があるため、この改定後は「神碑」をサポートカードとして運用する「スプライト神碑」のような混ぜ物構築が主流になる可能性が高くなりそうだ。
そしてカード単体で規制を受けた物として真っ先に目につくのが「朱光の宣告者」だろう。これはもう本当にナイス!
今までもイシズ系のデッキに投入されて、相手のモンスター効果を無効にしながら「ケルドウ&ムドラ」の墓地バウンスや「ケルべク&アギト」の墓地肥やしを行って悪さをしてきた実績がある。加えて今回登場する「ティアラメンツ」がフルパワーで使えるようになり「朱光の宣告者」も3投入できるようになっていたら冗談抜きで世界が終わっていた可能性がある。
一例として噂には聞いたこともあるプレーヤーも多いと思うが、先行1ターン目に「朱光の宣告者」を「ケルべク&アギト」をコストにして発動する事で墓地肥やしが始まり、「ティアラメンツ」を初めとした様々な効果が連鎖した結果、自分のターンなのに相手の盤面に妨害モンスターが大量に並ぶ……といった惨劇が割と高確率で発生していた時期もあるのだ。元々汎用性が高く効果も強い「朱光の宣告者」にとんでもないオマケが付随していたので「マスターデュエル」で同じ事を起こさないためにも「ティアラメンツ」実装前に規制を掛けるのは英断だと筆者は思う。
……それはそれとして他の色の宣告者を入れれば0ターン目ムーヴはまだできるし、何なら相手ターン中に墓地肥やしながら出てくる「ティアラメンツ・ハゥフニス」は一生付きまとってくるから油断はしない方が良いだろう。
規制を受けたカードの中で最後に取り上げたいのは「ネクロフェイス」だ。これに関してもナイス判断と言える。知らない人向けに説明するとイシズ系のカードをとネクロフェイス、その他サンダードラゴンやカオス系のカードを駆使する事で先行1ターン目から相手のデッキを0にするデッキが巷では流行していたのである。
1回対戦する位であれば「面白い物を見た~」で気持ちも収まるが、再現性が高く普通にネクロフェイスを使った動きをしなくても展開力が高い事で勝利できる事が評価され、かなりの頻度で遭遇するデッキとなってしまったのだ。デッキタイプとしては非常に前寄りでやれる事も多く面白かったのだが、ネクロフェイスが除外されて連鎖した瞬間ゲームが高頻度で終わるのはゲーム体験としては些か悲しい状態になっていたので、諸悪の根源である「ネクロフェイス」に規制を設ける判断は非常に素晴らしいと筆者は感じる。バクラファンや単純に面白いカードとして「ネクロフェイス」を使っていたプレーヤーは可哀そうだが、1枚残っているだけ全然マシだと考えるようにしよう。
最後に制限解除された中で今後活躍が期待できるテーマとして「SPYRAL-ジーニアス」が解除された「SPYRAL」と、「雷鳥龍-サンダー・ドラゴン」が解除された「サンダードラゴン」が上げられる。どちらも元々展開力に優れつつ、展開した先でとんでもない妨害数を用意できるテーマなのでシングル戦環境であればかなり可能性はあるだろう。
「SPYRAL-ジーニアス」によるループ展開も3枚になればかなり現実的なラインになると思われ、そもそもサーチャーなので複数枚投入できるのは嬉しい限りだ。「サンダードラゴン」に関しても「ネクロフェイス」が制限になったため先行ワンキルのサポーターといった運用ではなく、「超雷龍-サンダー・ドラゴン」が未だに化け物染みたスペックのカードな事もあって「サンダードラゴン」デッキとして展開を強めたデッキが活躍してくれることを期待したい。
「ティアラメンツ」到来で恐ろしくも面白い環境に
最後に今後始まる環境の総括をしたいと思う。何度も言うがとりあえずこれだけは覚えて欲しい事として「ティアラメンツ」は環境トップデッキになる可能性がメッチャ高いが、それでも変わらず遊戯王は面白いって事だ。
まず「ティアラメンツ」を使う側になったとしても、チェーン処理や細かいプレイングが非常に重要なテーマであり、やり込み度が非常に高いテーマになっている。墓地に落ちれば宇宙展開が始まると言ったが、宇宙展開を作るには落ちたカードから状況を判断して最適なルートを随時見つけるアドリブ性が必要になってくる。そのため最初はプレミや時間切れを頻発してしまうかもしれないが、少しずつ自分のプレイングが上手くなる感覚を味わえる非常に良いテーマになっているので、環境デッキだからとあまり毛嫌いせずに1回触って見て欲しいと筆者は切に思っている。
反対に「俺はティアラメンツに抗うぞ!」と考えている場合も面白い環境になると筆者は思っている。なにせ今までの「マスターデュエル」環境の常識がほぼ全く通用しない。場合によってはほぼ常連のように入っていた「灰流うらら」や「増殖するG」ですら不採用候補に上がるほど、相手をするとなれば腰を据えなければならないデッキなのだ。他の環境デッキの比率なども鑑みてデッキにどのようなメタカードを仕込むか、どこを止めればマストカウンターになりやすいかなど研究できる事は非常に多い環境になるだろう。OCGとは違いシングル戦な事もあって独自のメタカードやデッキが新しく生まれる事も期待できる。
対面するのは非常に恐ろしい相手だが、デュエルしててやりがいはあると思うので是非挑戦してみて欲しい。OCGの記憶を引っ張るなら「ディメンション・アトラクター」や「浮幽さくら」などであれば流石にダイレクトに刺さるため、採用する誘発を再構成するのも悪くない。
現在流行している「スプライト」も同時期に生まれた事もあって形を変えれば全然戦えるだろうし、墓地に対して制約を掛ける「エクソシスター」も環境的には戦いやすくなる事が予想できる。持久戦をしないショットタイプのデッキならターンを「ティアラメンツ」にターンを跨がせない事で押し切れたり、規制を受けた永続罠のスロットを埋める形で「暗闇を吸い込むマジックミラー」を採用するなどすれば展開が遅めのデッキもまだまだ環境に抗えるだろう。これらを受けて「ティアラメンツ」側も随時レシピが更新されていけばメタゲームとしては順当に回っていくことが予想できるので、決して退屈しない対戦環境になりそうだ。
ついに始まる「イシズティアラメンツ」環境! 暫くはこの魔境にドップリ体を鎮める事になるだろうが、逆にこのカオスな環境はそうそう味わえないと考えて楽しもう!それではグッッッッッ爆アド!!!
©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI
©Konami Digital Entertainment
©2023 Konami Digital Entertainment