【特別企画】

「ファイナルファンタジーXII」発売17周年! 未だに斬新さのあるガンビットシステム。現代になって改めて見直されている至極の名作!

【ファイナルファンタジーXII】

2006年3月16日 発売

画像はPS4版「FFXII THE ZODIAC AGE」より

 スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXII」(以下、「FFXII」)が、本日で発売17周年を迎えた。

 本作はクリエイターの松野 泰己氏がスクウェア・エニックス製品の中で広げている”イヴァリース”が舞台の作品。各時代間で大きく文明が異なり、ゲーム本編のシナリオで共通する名前が登場する程度の繋がりしかないので、”イヴァリース”シリーズの一本といえど、実質独立した物語である。また「FFXII」は”イヴァリース”シリーズの中でもヴィエラが初めて登場した作品で、ヴィエラは現在「FFXIV」でもプレイヤーキャラクターとして選べるようになっていることでも話題だ。

 プレイステーション 2用のRPGとして2006年3月16日に発売された本作。本稿では「FFXII」について振り返りたい。

【ファイナルファンタジーXII(PS2)PV】

時代が早すぎたんだ……ガンビットシステムの美しさ

 「FFXII」で最も重要だったとも言えるのが。バトルの中枢を担う「ガンビット」システムである。ガンビットとは、プレイヤーがある程度自由にカスタマイズできるシーケンス(わかりやすく言うならばAIが近い)で、例えば「HP<40%の味方:ケアル」のように組めば、HPが40%以下になった味方にケアルをつかうようになったり、「目の前の敵:たたかう」のように組めば、自動的に目の前の敵を攻撃してくれるようになる。

 序盤のうちはガンビットは3つほどまでしか組めず、一番上のガンビットから優先度が高くなるという特徴がある。つまり1番目に「HP<40%の味方:ケアル」、2番目に「目の前の敵:たたかう」と設定した場合、まずHPが低い味方の回復を優先し、HPが40%以上まで回復したら「たたかう」を行う……といった具合だ。

 ゲームが進むごとにガンビットで選べる種類が増えていき、例えば「プロテスの敵:デスペル」、「キャラ名:デコイ」、「HP=100%の敵:攻撃破壊」など、様々な行動が選べるようになっていく。なお、最初から持っているガンビット16種(「リーダーの敵」、「目の前の敵」、「最もHPが高い敵」等々))は汎用性の高いものが選ばれており、このガンビットだけでもストーリークリア自体は可能なほどだ。最大12個までセットが可能で、モブハントの難易度が上がってくるあたりから一気に最大セット数が増えていく。

 「FFXII」のバトルの全ては、このガンビットである。主人公のヴァンですら、ガンビットで動かす。一応手動のコマンドもあるが、基本的にはほぼ使用しないものと言っていいだろう。

 フィールド上の敵に出会うとシームレスでバトルが始まり、基本的には組んだガンビットに沿ってオートで進む。そのシステムはMMOに近く、当時はオフライン版「FFXI」とも言われたものだ。つまり「FFXII」は「FFXI」というMMOを踏襲していたか否かでも作品評価が随分と割れてしまった、という過去がある。だが現在はわかりやすい解説サイトも増え、「FFXII」という作品の魅力が改めて見直されているように思う。これは筆者にとっては非常に喜ばしいことだ。

 少々話が逸れたが、このガンビットのシステムは、上手く理解すれば「仲間のAIが賢くない」というようなRPGにありがちな不満を一掃できるという、素晴らしい利点のあるシステムだった。また、いちいち仲間全員のコマンドを入力する必要もない。時折、ガンビットに組まれていない状況次第で、手動でコマンド入力をしたりする程度で済む。

 ただガンビットを組むこと自体がなかなか面倒だったり(状況に応じて全員のガンビットを組み替えていかなければならないのはかなりの手間)、そもそも理解するまで非常にわかりにくいという欠点があった。

 実際筆者も1周目プレイ時のガンビットはガッタガタもいいところで、全員が全員、HPが減ってきたらケアル、あとは目の前の敵にたたかうを仕掛ける、MPが減ったらチャージ、というこの3つを主軸にはしていたものの、発動優先順位も適当だった(あまりよくわかっていなかった)し、初心者にとっては非常に難易度の高いシステムだったのも事実だ。実際ガンビットについては当時も「難しい」という声が多く、それ故に「FFXII」という素晴らしい作品の評価を下げてしまっていたと感じられる。

画像が全然残っていなかったので突然ヤズマット戦で申し訳ないが、仲間が基本的にこちらの組んだガンビットの通りに動いてくれる画期的なシステムだった

 ガンビットシステムについては非常に独自性が高く、17年経った今でも全く色褪せることのないシステムだ。近年「同じようなシステムのゲームばかりで飽きてきた」という人にほど面白いシステムということもあり、実際発売当時よりも近年のほうが「独創的なシステム」として評価されている。

 もちろんその影には、ジョブシステムを取り入れたインターナショナル版、そこからさらに発展させた「FFXII THE ZODIAC AGE」の影響も大きいのだが、そこは今は置いておこう。つまりは「FFXII」という作品は17年前に出るにはまだ画期的な作品すぎたのだ。当時はなかなか理解されなかった面白さが、現代になって「面白い」と評価されるのは筆者としても非常に喜ばしい。

 なお、このガンビットシステムの開発には、2021年大きな話題を呼んだ「ダンジョンエンカウンターズ」をはじめ、「FFVIII」のジャンクションシステムなど、独自のバトルデザインを展開させる鬼才・伊藤裕之氏が関わっている。筆者にしてみれば、「1周目ではなかなか理解できないが、2周目で理解すれば最高のゲーム」となるひとつの要因だと思っている。

 本作の魅力は、そんなガンビットを駆使していかに強敵を倒すかにあると言っても過言ではない。敵によってガンビットを組み替え、そして倒していく快感。後のシリーズはいずれもジョブがあり、ジョブによっても難易度が変わっていくところだったが、無印の「FFXII」はいわゆる「全員すっぴん」状態であり、良くも悪くも無個性でもあった。とりあえず片っ端からHPを2倍にする「バブル」を覚えさせる。武器はとにかく最強のものから順に与えてゆく……などなど(なお「バブル」は後々アクセサリ「バブルチェーン」にその座を奪われるのだが)。

 そんなあれこれを駆使しても倒せない強敵たちもいた。その最たるところは隠し召喚獣である「戒律王ゾディアーク」、そしてXランクの最高モブ「ヤズマット」だ。高倍速モードが搭載されたインターナショナル版でも数時間はかかるというヤズマットだったが、無印時代のバトル時間はなんと10時間近くにも及んだ伝説のモブである。ただ、ヤズマットは途中まで実質放置できたり、途中でセーブを挟むことができたため、むしろまだよかったとも言えるだろう。

 実質本作の最強ボスはゾディアークかオメガmk.XIIだとも言われている。個人によってもここの主観は変わってくるが、筆者はヤズマットをフルケアで回復させてしまい、20時間以上かかったこともあって、やはりヤズマットのほうが印象が強い。それに比べてゾディアークやオメガは強いものの、バトル時間そのものは30〜60分程度と短いこともあって、楽だったという印象だ。

 読者の皆様の印象が強かった強敵はどれだろうか? ぜひ知りたいところだ。

戒律王ゾディアークを倒し……
ヤズマットも倒した。何回プレイしても楽しい

最強の矛マラソンしました?

 とにかくガンビットを駆使した戦いに終始しがちな本作だが、そもそもは強敵に挑むための前準備が非常に時間のかかるところも本作の特徴だ。

 モブから装備を盗みそこなったらリセット。交易品のためのレア素材を持っているモンスターの湧かせ。特に一部の素材はレアモンスターが持っているため、レアモンスターがポップするまで、ひたすらマップの切り替え。まさにやることが、どこぞのMMOである。

 そしてそんな本作の中でも「入手に100時間はかかる」と言われた最強の装備品が、「最強の矛」だ。無印以降は最強の両手弓ザイテングラートにその座を奪われたが、無印ではその名の通り最強の攻撃力を持つ両手槍だった。

 最強の矛は、死都ナブディスとヘネ魔石鉱のトレジャーから入手できるのだが、ナブディスは世界に転がっている、とある4つのトレジャーを取ってしまっていると入手できなくなるという仕様となっており、実質ナブディスからの入手確率は(知っていない限り)0に近い。……のだが、ヘネ魔石鉱も最強の矛が取れるトレジャーの発生確率自体が非常に低い上に、発生しても中身が最強の矛である確率は、たったの1%。どうしても最強の矛がほしければ、潔く新たにゲームをスタートしてナブディスで入手したほうがマシだったのだが、当時の筆者は恐らく暇だった。気が付いたら最強の矛を求めて、ヘネをマラソンしている。これが「最強の矛マラソン」である(無印以降もヘネマラソンはあるものの、ナブディスからの入手は不可になり、代わりにハントループで購入できるようになる)。

 なお、これと同様にインターナショナル以降で導入されたのが、「ザイテングラートマラソン」である。飛空艇定期便フロートデッキのトレジャーから入手できるのだが、なんとこのトレジャーが目に見えない(アイコンも表示されない)。トレジャーそのものの出現確率が1%。その中身のアイテム率は20%。そこからさらにザイテングラートが出る確率は5%で、つまりは1/10,000の確率というコトなのだが、筆者はこれまた暇だったのか「ザイテングラートマラソン」もしている。

 ちなみにこの武器があれば、前述の強敵たちすら一瞬で倒せるほどゲームシステムそのものが破壊されるが、武器をマラソンするほどの猛者たちは、大抵すでにザイテングラートがまばゆく輝くようなボスは倒し尽くしている。ちなみに筆者も最強の矛マラソンとザイテングラートマラソンは、2周目以降のお楽しみ要素であった。

ザイテングラートを手に入れた瞬間。もちろん床を転げまわった

今こそ愛される作品に!

 「FFXII」といえば、「タクティクスオウガ」や「FFT」シリーズなどの作曲もしている崎元仁氏の楽曲も忘れてはならない。冒頭のレックスのシーンで流れる「潜入」からの「ボス戦」の流れなどは未だに神がかっていると思うし、バトルがシームレスであるからこそ、本作はフィールド楽曲が流れ続けるという特徴があるのだが、「東ダルマスカ砂漠」に初めて出た時の、壮大なBGMと共に目の前に広がるフィールドへの感動はいまも忘れられない。フィールド曲はいずれも粒ぞろいで、「ギーザ草原」、「オズモーネ平原」、「フォーン海岸」、「モスフォーラ山地」などは未だに人気も高い。

ギーザ草原は乾季と雨季とで地形が変わるマップだった

 ちなみにこれはトリビアなのだが、オズモーネ平原のBGMがゲーム中とサントラでは調が違っていることを御存じだろうか? これの理由を筆者は一度崎元氏と河盛(河盛 慶次)氏に非公式にではあるが尋ねたことがあるのだが、ふたりともはっきりとした理由こそ覚えていなかったものの、「サントラの収録曲の流れで、調を変えたほうが前後の曲とのバランスが取れたからではないだろうか」と答えていたのを今でも覚えている。そんな細かいこだわりの詰まった、オリジナルサントラのほうもぜひ聞いてみてほしいものだ。

オズモーネ平原

 なお筆者の「FFXII」最大の推し曲は「帝国のテーマ」と「ビッグブリッジの死闘 〜FFXIIバージョン〜」だ(※「FFXII」のビッグブリッヂは、ビッグブリッジ表記である)。「帝国のテーマ」は重厚さと帝国の抱えるどこか悲哀さ漂うメロディのマッチ具合が非常に壮大でいい。「ビッグブリッジの死闘 〜FFXIIバージョン〜」は崎元氏らしいオーケストラが活きるバージョンとなっており、オーケストラ好きならば必聴の1曲だ。

「FFXII」のギルガメッシュからも源氏シリーズが盗める!

 さらに激しい余談なのだが、筆者はゲーム音楽が好きだ。その中でも最も愛する作曲家が崎元氏である。とにかく崎元氏の音楽ならば全肯定するくらい好きである。崎元節が炸裂しているだけで震えるほど、好きだ。しかし、「FFXII」発売当時はまだ「FF」シリーズの楽曲といえば植松伸夫氏というイメージが抜けていない時代で、「何故植松氏じゃないんだ」とその面での批判も結構多く、非常に悲しい思いをしたものだ。

 だが、今では植松氏は「FF」音楽産みの親という事実こそあれど、「FFXI」のメインコンポーザーを務める水田直志氏他一同、「FFXII」のメインコンポーザー崎元仁氏、「FFXIII」のメインコンポーザー浜渦正志氏、「FFXIV」のメインコンポーザー祖堅正慶氏、「FFXV」のメインコンポーザー下村陽子氏と、最早「FF」音楽は植松氏でなければらない、というイメージも払拭された。だからこそ、17年経った今、「FFXII」の評価も変わってきているのだと筆者は感じている。

「FFXIV」プレーヤーならなじみ深いであろう、リドルアナ大灯台。音楽もほぼそのままである

 ストーリーについての話をほぼせず終わってしまったが、ストーリーも非常に良く、起承転結のバランスがいい作品である。なお「オイヨイヨ」で不名誉に有名になってしまったヴァンだが、個人的にはヴァンちゃんも大好きだ。パンネロ可愛い、バルフレアかっこいい、フランの色気にやられるし、アーシェ殿下はあの御年にして既に未亡人という設定もたまらないし、バッシュの真っ直ぐさも大好きだ。

アーシェ
この物語の主人公(違)、バルフレア様である

 前述の通り、やりこむ要素は山のようにあり、まさにオフライン版MMOに近い出来ではあるが、がっつりとしたRPGが遊びたいという人にはオススメである。インターナショナル版以降、高倍速モードが搭載されたおかげで随分と楽に進めるようにもなった(ただし移動は割とよく引っかかる。随時切り替えよう)。

 ちなみに筆者は相当な時間を「FFXII」に費やしてきたのだが、これだけ遊んでもまだ未だに遊びたいと思わせるゲーム性は本当に素晴らしいので、まだプレイしていない人はぜひ遊んでみてほしい。