【特別企画】
「スターフォックス」32周年! スーパーファミコンで3Dシューティングが遊べた意欲作であり超傑作
2023年2月21日 00:00
- 【スターフォックス】
- 1993年2月21日 発売
1993年の2月21日、スーパーファミコン用3Dシューティングゲーム「スターフォックス」が発売された。「スーパーFXチップ」という聞き慣れない言葉を全面に押し出したCMが印象的で、「詳細はわからないが、これまでのスーパーファミコンのソフトとは違う“何か”があるらしい」と思ったのをおぼろげに覚えている。
大人になった今調べてみたが、「スーパーFXチップ」は、「スターフォックス」など一部のスーパーファミコン用カセットに内蔵されているコプロセッサのこと。ポリゴンによる3Dポリゴンをレンダリングするために使われている。
このチップのおかげで「スターフォックス」は、スーパーファミコンで3Dポリゴンの表現ができた、とても衝撃的なタイトルとなっている。他のゲームタイトルも、当時としては美しいグラフィックス表現や、滑らかな描画ができていたが、当時のスーパーファミコンのゲームはほとんどが2Dで表現されていた。そこにきていきなり3Dポリゴンで表現され、画面に奥行きがあって、それが滑らかに動いているときたのだ。その衝撃はあまりにも大きかった。大げさな表現だと思われるかもしれないが、「とんでもないゲームが登場したぞ」と子供ながらに思ったものだ。
本稿では、そんな本作の思い出を振り返っていきたい。
3Dポリゴンの表現や、空間の奥行きなど驚きの連続だった本作
前述した通り、本作の一番の魅力は3Dポリゴン表現だ。
「3Dポリゴンがすごい!」と言っても、さすがに目の肥えてしまった今の基準で見ると物足りなく感じるかもしれない。だが、登場する機体の灰色部分や、機械らしいゴツゴツとしたところから感じるメカメカしさ、敵の弱点部分は赤色と黄色で交互に光り、さりげなく弱点だと伝えてくれた。また、一部のアイテムはワイヤーフレームなども使われていて未来感を感じさせたりと、一言で3Dポリゴンと言っても様々な種類の表現をして、プレーヤーにメッセージを伝えてきていたのが印象的だった。
また“空間の奥行き”という概念も驚きだった。当時筆者がプレイしていたのは2Dで表現された横スクロールのアクションゲームや、縦スクロールのシューティングゲーム、見下ろし型視点のRPGといった作品群だった。とても空間の奥行きという概念など頭の中にない。それが本作では画面の横から敵機が視界の中に割って入ってくる、画面の奥からは敵の弾やミサイルで攻撃される、ステージによっては小惑星も飛んでくるわで、本当に衝撃だった。
この辺りはビジュアル的な表現がメインで、ある意味で思い出補正がかかっているだけとも言われるかもしれない。だが筆者は今改めて遊んでも本作をとても面白く感じている。
バラエティ豊かなロケーションは見た目だけでなくゲームプレイにも幅があった
本作は、悪の皇帝「アンドルフ」が自分を追放した「コーネリア星」を逆恨みして攻め込んでくるというストーリー。そこに「やとわれ遊撃隊」ことスターフォックスの「フォックス」、「ファルコ」、「ペッピー」、「スリッピー」の4人が、コーネリア防衛隊のペパー将軍の要請に応じ、「アンドルフ」が拠点にする「惑星ベノム」へと向かっていく。その「コーネリア星」から「惑星ベノム」に向かうまでには様々なロケーションがあり、このロケーションバラエティが本作のひとつの魅力だ。
本作は難易度別に3つのルートが用意されている。その最終目的地はいずれも惑星ベノムなのだが、通るルートで難易度が異なるのだ。それらのルートに共通する最初のステージはコーネリア星だ。空は青く美しく、地面は緑豊かで環境の良さを感じる地球を思わせるようなロケーション。最高難易度を選ぶとコーネリアは夕焼けになっており、その美しさは今改めて見ても美しく表現されていると思う。
ほかにも小惑星群「アステロイドベルト」というロケーションもある。ここは敵機だけではなく、画面奥から迫ってくる小惑星がフォックスたちの行く手を阻む。先ほどの惑星コーネリアとはまた違ったプレイ感になっており、緩急を付けてプレーヤーを飽きさせないような工夫を感じる。ほかにも巨大な宇宙艦隊が待ち受けている宙域もあるし、コーネリアとは真反対の赤やオレンジを基調にした惑星などもある。
どのロケーションも本当に印象的かつ、ゲームプレイの感覚やビジュアルも異なり、非常にエキサイティングだった。とはいえ当時まだ小さかった筆者にはかなり難易度が高く感じたのも事実だ。今改めてプレイしてみると当時よりはかなり楽に進めるようになったが、それでも高難易度のコースは未だに難しく、今改めてチャレンジしているところ。
また「スターフォックス」の仲間たちとのやりとりも印象的だ。キツネをモチーフにした主人公の「フォックス」に、キジをモチーフにした「ファルコ」、ウサギをモチーフにした「ペッピー」に、カエルをモチーフにした「スリッピー」とすでにバラエティ豊かなキャラクターが揃っている。ゲーム中彼らと無線のやりとりがあるのだが、彼らは性格も個性的で、「スリッピー」は弱気な部分を見せるし、「ファルコ」はプライドが高く、よくこんなにバラバラなキャラクター達が1つの隊として成り立っているなと思ったものだ。
性格の違いが顕著に出るのが、襲われているところを助けたときのリアクションで、そういった彼らの掛け合いがキャラクターへの魅力を増すものだった。またそれぞれのキャラクターには“声”のようなものも収録されており、それがまたキャラ付けに寄与している。
本当にそれでいいのか!悪夢のようなステージにスロットマシーンのボスまで登場
そして筆者が一番印象に残っているエピソードは本作の隠し要素だ。結論から先に言うと本作には隠しエリアのようなものが存在しており、そのエリアの最後まで進むと巨大なスロットマシーンのボスが登場する。このスロットマシーンのボスは777を出すと倒せるのだが、逆に言うとそれ以外に倒す必要がなく、ひたすらスロットを回す必要があるのだ。
この隠し要素には本当に驚かされた。このエリアに行くには「絶対に行き方を知らないと行くことがないだろう」というくらい特殊なルートをたどっていくのだが、インターネットもなく、情報が広がらない時代だったので見つけるのは困難だった。
筆者がこの隠しエリアを知ったのは、かなりうろ覚えな記憶だが確か少年向けの漫画雑誌に“裏技”として紹介されていたのがきっかけだったと思う。もうこれも詳細は覚えていないが、その漫画雑誌に本作の隠し要素について掲載されるという情報を得た筆者は、その雑誌の発売日の朝一番に書店に行って購入した記憶がある。そしてそれだけの苦労に見合うほどのインパクトがあった隠し要素だった。
スーパーファミコンで「スターフォックス」が発売された後、NINTENDO64で「スターフォックス64」が発売されるなど、以降も「スターフォックス」シリーズは続いていった。そんな中インパクトがあったのが「ミニ スーパーファミコン」に収録された「スターフォックス2」だ。今回取り上げた「スターフォックス」の続編に当たるのだが、諸事情により発売されなかったというタイトル。それが2017年に日の目を見て遊べるようになったのだから驚きだ。
そして今は「スターフォックス」も「スターフォックス2」もNintendo Switchの「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」でプレイできるようになった。
令和の今見ても色褪せない3Dシューティングの傑作。未体験の読者にもぜひ遊んでほしい作品だ。
©1993 Nintendo