【特別企画】

ソリティア+競馬!? あの「ソリティ馬」が「ソリティ馬 Ride On!」となってApple Arcadeで復活!

「ソリティ馬 Ride On!」田谷ディレクターインタビュー。8年ぶりの復活経緯やポイントを聞いた

 ここからは本作のディレクターでシナリオ執筆も担当しているゲームフリークの田谷正夫氏へのメディア合同インタビューをお届けしよう。

「ソリティ馬 Ride On!」ディレクター田谷正夫氏

――スマートフォンで「ソリティ馬」が約8年ぶりにApple Arcadeで復活されるということで、その経緯をお聞かせください。

田谷氏:以前のスマホ版「ソリティ馬」は2014年にリリースしたんですが、基本無料のF2Pの方式に上手く適応させることができず、短期間で終了してしまったんです。その後も「ソリティ馬」を復活させてほしいという声はSNSでもちらほら見かけていて、私も何らかの形でできないかとずっと頭の片隅で考えていたところに、Apple Arcadeという新しいゲーム提供の仕組みが始まることを耳にしたんですね。Apple ArcadeならF2Pの形ではなく、コンシューマーゲームに近い形でユーザーに遊んでいただけるのではないかという可能性を感じて、8年ぶりに復活させていただくことが決まりました。

――オリジナルのニンテンドー3DS版から進化した点と、逆に大切に継承している点についてお聞かせください。

田谷氏:最も変化したのはご覧いただければわかる通り、レースシーンが3Dになっていることが一番大きいですね。ニンテンドー3DS版は2画面構成でしたから、それを1画面に落とし込むのが結構大変でして、以前のスマホ版も2画面分の情報をボタンで切り替えるというかなり強引な方法にしていたんですが、今回はレースシーンが3Dとなったことで、ウマとウマの位置関係などが情報としてわかりやすくなって、情報を1画面に統一できたことが進化している点だと思います。一方継承している点については、ソリティアにはあまり余計なルールを混ぜず、それだけに集中してもらえるよう複雑にしないということを常に念頭に置いて開発することを心がけました。

――ソリティアと競馬をかけ合わせるという、本作のそもそものアイデアはどういった経緯で生まれたのでしょうか。

田谷氏:僕が元々競馬ファンで、学生時代に競馬ゲームの「ダービースタリオン」にどハマリしていた時期があって、それから大人になってプログラマーとなった自分が「ダビスタ」みたいなプログラムを作れるのではないかと考えて、実際にそれっぽいものが作れてしまったんです。そこから野望を抱き始めて(笑)、競馬にカードゲームを付け足した本作の原点になるような企画を社内で公表したりしていたんですが、あまり反応は得られず、当時のゲームフリークはまだ新規のタイトルを作る流れもなかったので、そのときはそこで話が終わってしまったんです。

 その後スマートフォンがある程度浸透した頃に、弊社の一ノ瀬(一之瀬剛氏)という男が「田谷君の考えていた競馬のカードゲームにこれが使えないだろうか」とソリティアのアプリを教えてくれたことがあって、それが本当に面白くて、これなら温めていた競馬ゲームのできると考え、当の一ノ瀬も誘って開発チームを立ち上げたんです。ちょうどその頃に弊社で「ギアプロジェクト」という“賛同する開発者が3人いれば、業務中にプロトタイプを開発してもいい”という新規タイトルの開発制度ができていて、それを利用して作ったというのが最初のきっかけでした。

――今回初めて本作をプレイするという人に向けて気を使った点はありますか?

田谷氏:できるだけチュートリアルのテキストを短めにして、操作をしながら覚えられるという点を心がけました。オリジナルのゲーム自体がもう10年前のゲームで、チュートリアル部分はもっと力を入れてテンポよく作るべきだったという反省点がありまして、今回はできるだけクイックに、文字をたくさん読まなくても理解できてUIでなんとなくわかってもらえるようなものにしています。

――一方で、競馬を知らない人へのフォローも結構入っていますね。

田谷氏:はい、競馬に関する要素については3DSの頃から気を使っていて、僕らの野望としては、ソリティアが好きだとか、絵柄が可愛いとか、ゲームフリークが出すゲームだから遊んでみようという人が、遊んでいるうちに競馬に興味を持ってもらおうという、裏テーマみたいなものを設けていて(笑)、今回もそこは意識して開発しています。

――初めてプレイされる方に、田谷さんからプレイのコツやアドバイスをいただけますでしょうか。

田谷氏:ソリティアフェーズは、時間制限を設けてその中でやるからこそ面白いんでが、焦らずにじっくり考えてください。あとは競馬好きにとって“G1レースで勝つ”というのはもの凄い大変なことで、ゲームでも勝つのは結構難しくています。以前のスマートフォン版でも勝てなくてプレイを止めてしまう方もいたので、ゲームでは結構マイルドにしているんですが、G1で勝てるのは1万頭のウマのうちの1頭とかそういう世界なので、勝つのは難しいということを心構えとして持って遊んでいただきたいですね。

――本作は登場するウマの可愛さや愛らしさが際だっていますが、3Dにするにあたりこだわられたことはありますか?

田谷氏:基本的には3DS版に出てきたおウマさんを3Dモデルにしているんですが、2Dでは映っていなかった後頭部とかが3Dになると映るので、可愛い感じはそのまま出せるようにしました。それと2Dのときのデフォルメ感のまま3D空間でウマのモデルが走ると不自然に見えるところが結構あって、実際の競馬場をあのフォルムのウマが走っても違和感がないようにすることを心がけました。

――素朴な疑問として、主人公との会話で調教師が関西弁を使っているんですが、舞台は関西なのでしょうか。

田谷氏:いえ、設定としては関東なんです(笑)。あの掛け合いはシナリオを書いたときの僕の本能的なもので、標準語で怒られると厳しくてヘコんでしまうイメージがあって、関西弁のほうが柔らかい感じがしていいかなと思ったのが理由ですね。

――スマートフォンタイトルということで、今後アップデートで追加される要素の構想などはありますか?

田谷氏:はい、現段階で具体的なお話はできませんが、何かしらのアップデート要素は考えています。まずは今回のリリースでユーザーさんの反応を見て、遊びやすくて面白いコンテンツを追加していくことに注力したいなと思っています。

――この「ソリティ馬 Ride On!」のリリースから、さらなる新作へと繋がるような可能性があったりするのでしょうか。

田谷氏:可能性はあるかと思っています。この「ソリティ馬 Ride On!」が今のユーザーの皆さんにどこまで受け入れられるのか、楽しんでいただけるのか次第で、個人的に可能性はゼロではないと思います。

――ありがとうございました。