【特別企画】

6年前のゲーミングPCもまだ戦える!ビデオカードを換装し、“さらなる高みへ。RTX ON。”

RTX 3060で「FFXIV」や「オーバーウォッチ2」が4K解像度で快適プレイ可能に

【Palit GeForce RTX 3060 StormX 8GB】

実売価格:41,980円(税込、1月20日時点)

【Palit GeForce RTX 3060 Dual OC 12GB】

実売価格:48,290円(税込、1月20日時点)

【Palit GeForce RTX 3060 Ti Dual OC V1 8GB】

実売価格:61,710円(税込、1月20日時点)

 ゲーミングPCを選ぶ際に、最も重視すべきパーツがビデオカード(GPU)だ。もちろん、CPUも大事だが、ハイエンドCPU+ミドルレンジGPUよりも、ミドルレンジCPU+ハイエンドGPUという構成の方が快適にゲームをプレイできる場合が多い。そこでここでは、6年前に自作したゲーミングPCのビデオカードを換装することで、最新ゲームを快適にプレイできるようになるのか、検証していきたい。

「Core i7-7700K」と「GeForce GTX 1060 3GB」を搭載した6年前のゲーミングPCのビデオカードを換装

 今回のテーマは、スペック的に時代遅れになってきたゲーミングPCのビデオカードを新しいものに交換することで、蘇らせることである。ターゲットとして用意したゲーミングPCは、6年前に筆者の娘が自作したゲーミングPCで、その後一度CPUをアップグレードしたものだ。スペックは、CPUがCore i7-7700K、GPUがGeForce GTX 1060 3GB、メモリが16GBという仕様であり、当時としてはミドルレンジに位置する性能だった。ちなみに、マザーボードに搭載されているチップセットがIntel H170なので、CPUは第7世代Core iまでしか対応していない。そのため、マザーボードを交換しないと、CPUをこれ以上アップグレードすることはできないという代物だ。

 また、GeForce GTX 1060には、2016年7月に発売が開始されたビデオメモリ6GB版と、2016年8月に発売が開始されたビデオメモリ3GB版があるが、この自作ゲーミングPCに搭載されているのは、後者のビデオメモリ3GB版だ。GeForce GTX 1060 3GB版は、CUDAコアの数も6GB版の1,280個から1,152個へと減らされており、処理能力も6GBより少し低くなっている。ビデオカードの購入時の価格は26,000円程度だった。

 この自作ゲーミングPCでも、「VALORANT」のような比較的軽いFPSなら、フルHD/最高画質で平均150fpsを超えるフレームレートが出るので、アップグレードする必要性はあまり感じられないが、「オーバーウォッチ2」のような重めのFPSでは、フルHD/ウルトラ設定(プリセットで用意されている上から2番目の設定)で平均60fps程度のフレームレートしか出ないため、有利に立ち回るために高フレームレートでプレイしたいゲーマーなら、性能的に不満を感じる。

5、6年前のゲーミングPCのビデオカードをアップグレードするなら「GeForce RTX 3060」がオススメ

 5、6年前のゲーミングPCでも、ビデオカードを新しくするだけで、実際のゲームでのフレームレートが大きく向上し、快適にプレイできるようになる可能性は高い。ビデオカードをアップグレードするといっても、選択肢はたくさんある。前に搭載していたビデオカードやアップグレード予算によっても、オススメビデオカードは異なるが、GeForce GTX 1060やGeForce GTX 970クラスのビデオカードが搭載されているゲーミングPCのビデオカードを今アップグレードするなら、GeForce RTX 3060シリーズがオススメだ。

 GeForce RTX 3060は、2021年2月に発売が開始されたGeForce RTX 30シリーズのミドルレンジモデルであり、レイトレーシングに対応したGeForce RTXシリーズとしては第2世代となる製品だ。GeForce RTX 3060シリーズをオススメする主な理由として、「CPU性能とのバランス」、「コスト」、「サイズと消費電力」の3つが挙げられる。

今回使用するのはGeForce RTX 3060シリーズの製品

 前述したように、アップグレード対象となるゲーミングPCのCPUはCore i7-7700Kであり、マザーボードごと変えない限り、CPUはこれ以上アップグレードできない。最新の第13世代Core iシリーズと比べると6世代も前のCPUである。ゲーミングPCでは、CPUよりGPUを重視すべきということ自体は間違ってはいないが、CPUとGPUのバランスも大切だ。GPU性能が高くてもそれに見合ったCPU性能がないと、CPUがボトルネックとなってしまい、GPUの性能をフルに発揮できないのだ。後述する検証を経てわかったことだが、Core i7-7700Kとの組合せなら、GeForce RTX 3060程度がちょうどよいバランスとなる。

 コストも重要だ。2022年10月に、最新のGeForce RTX 40シリーズが登場したが、現時点ではハイエンドクラスのGeForce RTX 4090/4080/4070 Tiしか登場しておらず、価格も一番安いGeForce RTX 4070 Tiでも15~16万円する。もちろん性能は、GeForce RTX 3060よりもGeForce RTX 40シリーズの方が格段に高いのだが、前述したCPUとのバランスも考慮すると、過剰な性能となる。現行のGeForce RTX 40シリーズは、今回のアップグレード候補としては適してないというのが筆者の判断だ。

 最後のサイズと消費電力も重要だ。高性能なGeForce RTX 3090/3090 Ti/3080/3080 Ti、GeForce RTX 4090/4080/4070 Tiなどは、カードのサイズが大きく、使っているケースによっては入らないこともある。

RTX 3060シリーズはコンパクトに収まる。ショート基板を採用したモデルも選べる

 これらのビデオカードは消費電力も大きい。例えば、GeForce RTX 3080 Tiの消費電力は350Wで、電源ユニットは750W以上のものが必要とされている。GeForce RTX 4090に到っては消費電力が450W、電源ユニットは最低でも850Wが要求される。最近は、750Wや850Wの電源ユニットも一般的になっているが、5,6年前は500~600W程度が主流であった。さらに、ビデオカードに電源を供給するための補助電源コネクタの仕様も、GeForce GTX 1060の場合は6ピン×1だが、GeForce RTX 3080では8ピン×2となり、電源ユニットによってはコネクタが足りなくなることがある(変換アダプターなどもあるが)。

 GeForce RTX 3060シリーズなら、消費電力は200Wまたは170Wで、電源ユニットの600Wまたは550Wの電源ユニットで大丈夫だ。また、補助電源コネクタも8ピン×1しか要求されない。今回使ったゲーミングPCの電源ユニットは650Wで、8ピンと6ピンの補助電源コネクタを備えているため、ちょうどGeForce RTX 3060シリーズが要求する仕様を満たしている。

 以上が、6年前に自作したゲーミングPCのアップグレードにGeForce RTX 3060シリーズを選んだ理由だ。

3種類のGeForce RTX 3060シリーズ搭載ビデオカードを用意

 GeForce RTX 3060シリーズを搭載したビデオカードは各社から発売されているが、今回はPalitの製品を用意した。Palitは、台湾の大手ビデオカードメーカーであり、その性能や信頼性はお墨付きだ。

 一口にGeForce RTX 3060シリーズ搭載ビデオカードといっても、ビデオメモリ容量の違う製品や動作クロックが異なる製品があるほか、上位製品となるGeForce RTX 3060 Ti搭載製品も存在する。今回は、下記の3製品を使用する。


    ・「Palit NE63060019P1-190AF(GeForce RTX 3060 StormX 8GB)」(以下、RTX 3060 StormX)
    GeForce RTX 3060と8GBのビデオメモリを搭載したモデル
    ・「Palit NE63060T19K9-190AD(GeForce RTX 3060 Dual OC 12GB)」(以下、RTX 3060 Dual)
    GeForce RTX 3060と12GBのビデオメモリを搭載したモデル
    ・「Palit NE6306TS19P2-190AD(GeForce RTX 3060 Ti Dual OC V1 8GB)」(以下、RTX 3060 Ti Dual)
    GeForce RTX 3060 Tiと8GBのビデオメモリを搭載したモデル

 「RTX 3060 Dual」と「RTX 3060 Ti Dual」は、ブーストクロックが通常の製品よりも高い、オーバークロックモデルとなる。RTX 3060 StormXのみファンが1つでカード長が170mmと短く、残りの2製品はファンが2つでカード長は「RTX 3060 Dual」が245mm、「RTX 3060 Ti Dual」が247mmとなっている。3製品ともPCIスロットを2スロット占有し、補助電源コネクタとして8ピンの電源コネクタが1つ用意されている。出力端子は3製品とも、HDMI 2.1×1とDisplayPort 1.4a×3という仕様である。

【RTX 3060 StormX】
GeForce RTX 3060と8GBのビデオメモリを搭載した「RTX 3060 StormX」
「RTX 3060 StormX」の表面。ファンは1つで、カード長は170mmと短い
「RTX 3060 StormX」の裏面
「RTX 3060 StormX」のブラケット部分。HDMI 2.1×1とDisplayPort 1.4a×3の合計4つの出力端子を備えている
「RTX 3060 StormX」の上面
8ピンの補助電源コネクタを接続する必要がある
【RTX 3060 Dual】
GeForce RTX 3060と12GBのビデオメモリを搭載した「RTX 3060 Dual」
「RTX 3060 Dual」の表面。ファンは2つで、カード長は245mmである
「RTX 3060 Dual」の裏面
「RTX 3060 Dual」のブラケット部分。HDMI 2.1×1とDisplayPort 1.4a×3の合計4つの出力端子を備えている
「RTX 3060 Dual」の上面。8ピンの補助電源コネクタを接続する必要がある
【RTX 3060 Ti Dual】
GeForce RTX 3060と12GBのビデオメモリを搭載した「RTX 3060 Ti Dual」
「RTX 3060 Ti Dual」の表面。ファンは2つで、カード長は247mmである。外見は「RTX 3060 Dual」とほぼ同じ
「RTX 3060 Ti Dual」の裏面
「RTX 3060 Ti Dual」のブラケット部分。HDMI 2.1×1とDisplayPort 1.4a×3の合計4つの出力端子を備えている
「RTX 3060 Ti Dual」の上面
8ピンの補助電源コネクタを接続する必要がある

 これらの3製品と元々搭載されていたGeForce GTX 1060搭載ビデオカードのスペックを、「GPU-Z」を使って確認してみた。搭載されているCUDAコアの数は、GeForce GTX 1060 3GB版では1,152個だったのに対し、GeForce RTX 3060を搭載した「RTX 3060 StormX」と「RTX 3060 Dual」では3,584個、GeForce RTX 3060 Tiを搭載した「RTX 3060 Ti Dual」では4,864個と3~4倍以上に増えている。

 また、GeForce RTX 3060の標準的な動作クロックは、ベースクロックが1.32GHz、ブーストクロックが1.78GHzである。「RTX 3060 StormX」は、その仕様通りのクロックで動作しているが、「RTX 3060 Dual」では、ベースクロックは1.32GHzで同じだが、ブーストクロックが1.837GHzにオーバークロックされている。同様にGeForce RTX 3060 Tiの標準的な動作クロックは、ベースクロックが1.41GHz、ブーストクロックが1.67GHzだが、「RTX 3060 Ti Dual」では、ベースクロックは1.41GHzで同じだが、ブーストクロックが1.695GHzのオーバークロックされており、標準仕様より性能が向上している。

【ビデオカードの詳細スペック】
元々搭載されていたGeForce GTX 1060 3GB版のスペック。GeForce GTX 1060 6GB版のCUDAコアは1,280個だが、3GB版では1,152個へ減らされている。本製品では、ベースクロックとブーストクロックが通常よりも少し高く設定されている
「RTX 3060 StormX」のスペック。ビデオメモリは8GBで、ベースクロックもブーストクロックも標準通りの仕様になっている
「RTX 3060 Dual」のスペック。ビデオメモリが12GBに増強されているだけでなく、ブーストクロックが1.837GHzにオーバークロックされている
「RTX 3060 Ti Dual」のスペック。こちらはビデオメモリは8GBだが、ブーストクロックが1.695GHzにオーバークロックされている

「オーバーウォッチ2」「CoD:MWII」「FFXIV」でパフォーマンスを検証

 それでは、実際に6年前の自作ゲーミングPCのビデオカードをGeForce RTX 3060シリーズ搭載ビデオカードに換装して、どれだけゲームでのパフォーマンスが向上するのか、検証していきたい。検証に使ったゲームソフトは、「オーバーウォッチ2」、「Call of Duty: Modern Warfare II」、「ファイナルファンタジーXIV」の3つである。

 「オーバーウォッチ2」と「ファイナルファンタジーXIV」についてはフルHD解像度と4K解像度のそれぞれで計測を行い、「CoD:MWII」についてはフルHD解像度のみで計測を行なった。

RTX 3060に換装すれば「オーバーウォッチ2」は4Kでも快適に遊べる

 まず、チーム対戦型FPS「オーバーウォッチ2」でのパフォーマンスを検証してみた。「オーバーウォッチ2」は、Blizzard Entertainmentが開発・運営しているFPSであり、2016年に発売され世界中で大人気となった「オーバーウォッチ」の続編である。PC版の推奨動作環境はCPUがCore i7またはRyzen 5以上、GPUがGeForce GTX 1060またはAMD R9 380以上とされており、今回ターゲットとした6年前に自作したゲーミングPCが、ちょうど推奨動作環境となるが、画質設定を高くしたり、4K解像度でプレイするには厳しいことが予想される。

 ここでは、画質設定を上から2番目の「ウルトラ」にして、「CapFrameX」を用いて実際のゲームプレイ中の1分間の平均フレームレート、最高フレームレート(厳密には95パーセンタイル)、最低フレームレート(1パーセンタイル)を5回計測し、その平均を採用した。解像度は、フルHD(1,920×1,080)と4K(3,840×2,160)の2パターンで計測している。

【「オーバーウォッチ2」ベンチマーク結果】
フルHD解像度

 まず、フルHDでの計測結果から見ていきたい。GeForce GTX 1060搭載時の平均フレームレートは62fps、最高フレームレートが77fps、最低フレームレートが45fpsという結果であり、実際にプレイしてみても、シーンによっては多少フレームレートが低く感じられる場合もあるが、一般的なプレーヤーならそう不満はないレベルであろう。

 ビデオカードを「RTX 3060 StormX」に換装して、同じ条件で計測したところ、平均フレームは168fps、最高フレームレートが233fps、最低フレームレートが109fpsとなった。平均フレームレートは約3倍に向上しており、240Hz対応といったゲーミングモニターの性能もフルに活かすことができる。同様に「RTX 3060 Dual」では、平均フレームレートは173fps、最高フレームレートが236fps、最低フレームレートが119fps、「RTX 3060 Ti Dual」では、平均フレームレートは180fps、最高フレームレートが253fps、最低フレームレートが120fpsとなった。

 RTX 3060シリーズなら、プロゲーマーを目指すような人でも、十分満足できるフレームレートを出せる。プレイしても非常に動きが滑らかで、快適であった。一度、RTX 3060のパフォーマンスに慣れると、GTX 1060には戻りたくないと感じる。

 次に、4Kでの計測結果を紹介する。画質設定は同じく「ウルトラ」で計測したところ、GeForce GTX 1060搭載時の平均フレームレートは51fps、最高フレームレートが62fps、最低フレームレートが41fpsという結果になった。平均フレームレートはフルHDよりも10fps程度低下しており、FPSに慣れているプレーヤーならフレームレートが足りないと感じるだろう。もちろん、画質設定を下げれば、GeForce GTX 1060でも4Kである程度快適にプレイできるようになるだろうが、「オーバーウォッチ2」はグラフィックスの美しさも魅力であり、できるだけ高画質でプレイしたい。

【「オーバーウォッチ2」ベンチマーク結果】
4K解像度

 そこでビデオカードを「RTX 3060 StormX」に換装して、同条件で計測を行なったところ、平均フレームレートは101fps、最高フレームレートが132fps、最低フレームレートが73fpsという結果になった。平均フレームレートは約2倍に向上しており、一般的なFPSプレーヤーならそう不満のないレベルであろう。「RTX 3060 Dual」では、平均フレームレートは120fps、最高フレームレートは161fps、最低フレームレートが81fpsとなった。フルHDの場合に比べて、「RTX 3060 StormX」と「RTX 3060 Dual」の差が大きくなっているが、それだけGPUに対する負荷が高いためであろう。さらに、「RTX 3060 Ti Dual」では、平均フレームレートが152fps、最高フレームレートが214fps、最低フレームレートが90fpsまで向上した。平均152fps出ていれば、ほとんどのFPSプレーヤーが満足できるはずだ。

 「オーバーウォッチ2」を4K解像度で快適に遊びたい人や、フルHD解像度でもいいから、平均160fps超でプレイしたいという人なら、RTX 3060シリーズに換装する価値は十分あるだろう。

「オーバーウォッチ2」のグラフィック設定は、最上位から2つめの「ウルトラ」に設定した

「Call of Duty: Modern Warfare II」はRTXシリーズならではの新機能「DLSS」が威力を発揮!

 次は、「Call of Duty: Modern Warfare II」でパフォーマンスを検証した。本作は、人気FPS「Call of Duty」シリーズの20作目となる最新タイトルで、「Call of Duty: Modern Warfare」の続編となる。海外ドラマのような重厚なストーリーが展開するシングルプレイの「キャンペーン」、6vs6の「マルチプレイヤー」、最大32vs32で遊べる「グラウンドウォー」など、数多くのゲームモードが用意されており、遊びごたえたっぷりの大型タイトルだ。発売されたばかりで、比較的重いタイトルでもある。

 必要スペックは、最低スペック、推奨スペック、競技シーン、ウルトラ4Kと4種類発表されているが、基準となるのは推奨スペックであろう。推奨スペックは、CPUがIntel Core i5-6600KかCore i7-4770、AMD Ryzen 5 1400、GPUがNVIDIA GeForce GTX 1060かAMD Radeon RX 580となっており、こちらも6年前に自作したゲーミングPCがほぼ推奨スペックを満たしている。

 用意されているベンチマークモードを利用して、フルHDでのフレームレートを計測してみた。クオリティプリセットを「バランス重視」にしたが、同じプリセットを選んでもマシン構成によって詳細設定が変わるため、以下に示すGeForce GTX 1060での設定にGeForce RTX 3060シリーズでの計測時も揃えることにした。

【「CoD: Modern Warfare II」画質設定】
「CoD Modern Warfare II」のクオリティプリセットは、「バランス重視」にしたが、マシン構成によって、実際の設定が異なるため、すべての環境でこの設定に統一して計測した
【「CoD: Modern Warfare II」ベンチマーク結果】
「CoD: Modern Warfare II」ベンチマーク結果(DLSS無効時)

 GeForce GTX 1060でのフレームレートを計測したところ、平均フレームレートが64fpsで、最低フレームレートは39fpsという結果になった。パフォーマンスの概要を見ると、GPUがボトルネックの99%を占めており、やはりGPU性能が足りていないことがわかる。実際にプレイしたが、シングルプレイのキャンペーンモードなら一応遊べるが、マルチプレーヤーモードなどではやはり厳しい。

GeForce GTX 1060でのベンチマーク結果

 そこで、「RTX 3060 StormX」に換装して同様にフレームレートを計測したところ、平均フレームレートが77fps、最低フレームレートが40fpsとなった。最低フレームレートは1fpsしか向上していないが、平均フレームレートは13fps向上している。今度は逆にCPUがボトルネックの85%を占めており、CPU性能が足を引っ張っていることがわかる。

 同様に、「RTX 3060 Dual」で計測したところ、平均フレームレートが102fps、最低フレームレートが63fpsと「RTX 3060 StormX」と比べても大きくフレームレートが向上している。ビデオメモリが多く、メモリ帯域も広いことが効いているのであろう。また、CPUのボトルネック率も低下しており、CPUが49%、GPUが51%とほぼ理想的な割合となっている。「RTX 3060 Ti Dual」で計測した結果は、平均フレームレートが108fps、最低フレームレートが65fpsとなっており、またCPUがボトルネックの84%を占めている。

「RTX 3060 StormX」でのベンチマーク結果
「RTX 3060 Dual」でのベンチマーク結果。CPUとGPUのボトルネック比率が1:1に近い理想的なバランスに
「RTX 3060 Ti Dual」でのベンチマーク結果

 「CoD: Modern Warfare II」は、CPUへの負荷も高いため、RTX 3060シリーズでもフレームレートの伸びが「オーバーウォッチ2」に比べると小さい。しかし、「CoD: Modern Warfare II」は、RTX 20シリーズ以降で新たに利用できるようなった「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)に対応していることが特徴だ。

 DLSSは、RTXシリーズに搭載されたAI処理に特化したTensorコアを利用して、ディープラーニングを活用したスーパーサンプリングを行なう機能。ざっくり説明すると、出力解像度(この場合だと1920×1080ドット)より低い解像度でレンダリングしたものを、AIによって画質を保ったまま高解像化するというものだ。DLSSを利用することで、見た目をほとんど劣化させることなしに、フレームレートを上げることができるのだ。

 そこで今度は、RTX 3060シリーズでDLSSを有効にしてベンチマークを行なってみた。GeForce GTX 1060ではDLSSを選ぶことはできないが、GeForce RTX 3060シリーズに換装すると、DLSSの項目が選べるようになる。

RTX 3060シリーズでは、アップスケーリング/シャープニングの項目で「NVIDIA DLSS」が選べるようになる
【「CoD: Modern Warfare II」ベンチマーク結果】
「CoD: Modern Warfare II」ベンチマーク結果(DLSS有効時)

 DLSS有効時の「RTX 3060 StormX」でのベンチマーク結果は、平均フレームレートが107fps、最低フレームレートが61fpsとなり、DLSS無効時に比べて平均フレームレートは30fps、最低フレームレートは21fpsも向上している。システム情報のレンダリング解像度は1120×624ドットとなっており、縦横ともにドット数が約58%に削減されている。

 また、DLSS有効時の「RTX 3060 Dual」でのベンチマーク結果は、平均フレームレートが112fps、最低フレームレートが67fpsであり、DLSS無効時と比べて、平均フレームレートは10fps、最低フレームレートは4fps向上している。DLSS有効時の「RTX 3060 Ti Dual」でのベンチマーク結果は、平均フレームレートが111fps、最低フレームレートが66fpsであり、「RTX 3060 Dual」と同程度という結果になった。この状態では、CPUがボトルネックの97%を占めており、CPUが足を引っ張ってしまっている。

DLSS有効時の「RTX 3060 StormX」でのベンチマーク結果
DLSS有効時の「RTX 3060 Dual」でのベンチマーク結果
DLSS有効時の「RTX 3060 Ti Dual」でのベンチマーク結果

 期待のDLSSだが、特に「RTX 3060 StormX」での効果が大きかった。実際にプレイしても、画質の変化はほとんどわからず、フレームレートが向上したため、より快適なプレイフィールが得られた。

「ファイナルファンタジーXIV」が4Kでも遊べるように

 最後に、国産MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークテスト「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行してみた。GeForce GTX 1060搭載時のフルHD/最高品質でのスコアは11,485で「とても快適」という評価に、フルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコアは12,580で同じく「とても快適」という評価になった。この結果を見ると、「ファイナルファンタジーXIV」をフルHD解像度で遊ぶのなら、GeForce GTX 1060のままでも不満はないといえる。しかし、最近増えてきている4K対応ゲーミングモニターでプレイする場合はどうだろうか。

GeForce GTX 1060搭載時のフルHD/最高品質でのスコア
GeForce GTX 1060搭載時のフルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコア。いずれも十分な結果に

 そこで、4K/最高品質でベンチマークを行なったところ、スコアは2,938まで落ち、評価も「設定変更を推奨」となった。4K/高品質(デスクトップPC)のスコアは3,403で、やはり「設定変更を推奨」となり、このままでは4Kで満足にプレイできないことがわかった。

GeForce GTX 1060搭載時の4K/最高品質でのスコア
GeForce GTX 1060搭載時の4K/高品質(デスクトップPC)でのスコア。「設定変更を推奨」ということで現状のスペックでは4K解像度でのプレイは難しい

 ビデオカードを「RTX 3060 StormX」に変更して同条件でベンチマークを計測したところ、フルHD/最高品質でのスコアは15,016で「非常に快適」、フルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコアは15,476で「非常に快適」、4K/最高品質でのスコアは6,195で「やや快適」、4K/高品質(デスクトップPC)でのスコアは7,039で「やや快適」となった。「ファイナルファンタジーXVI」は、比較的CPUへの負荷が軽いゲームであり、GPUをアップグレードすることで、4Kでのスコアは2倍以上に向上している。

【「ファイナルファンタジーXIV」ベンチマーク結果】
【「RTX 3060 StormX」でのベンチマーク結果】
「RTX 3060 StormX」搭載時のフルHD/最高品質でのスコア
「RTX 3060 StormX」搭載時のフルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコア
「RTX 3060 StormX」搭載時の4K/最高品質でのスコア
「RTX 3060 StormX」搭載時の4K/高品質(デスクトップPC)でのスコア

 「RTX 3060 Dual」の場合、フルHD/最高品質でのスコアは16,149で「非常に快適」、フルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコアは16,547で「非常に快適」、4K/最高品質でのスコアは7,273で「やや快適」、4K/高品質(デスクトップPC)でのスコアは8,425で「快適」となり、「RTX 3060 StormX」と比べた場合、特に4Kでのスコアの伸びが大きい。さらに、「RTX 3060 Ti Dual」では、フルHD/最高品質でのスコアが17,360で「非常に快適」、フルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコアが17,214で「非常に快適」、4K/最高品質でのスコアが9,616で「快適」、4K/高品質(デスクトップPC)でのスコアが10,989で「快適」となった。

 「ファイナルファンタジーXIV」については、フルHD解像度でプレイするなら、GeForce GTX 1060のままでも十分だが、4K解像度でプレイするなら、「RTX 3060 Dual」や「RTX 3060 Ti Dual」への換装がオススメだ。

【「RTX 3060 Dual」でのベンチマーク結果】
「RTX 3060 Dual」搭載時のフルHD/最高品質でのスコア
「RTX 3060 Dual」搭載時のフルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコア
「RTX 3060 Dual」搭載時の4K/最高品質でのスコア
「RTX 3060 Dual」搭載時の4K/高品質(デスクトップPC)でのスコア
【「RTX 3060 Ti Dual」でのベンチマーク結果】
「RTX 3060 Ti Dual」搭載時のフルHD/最高品質でのスコア
「RTX 3060 Ti Dual」搭載時のフルHD/高品質(デスクトップPC)でのスコア
「RTX 3060 Ti Dual」搭載時の4K/最高品質でのスコア
「RTX 3060 Ti Dual」搭載時の4K/高品質(デスクトップPC)でのスコア

古くなってきたPCもまだ戦える。アップグレードにオススメのRTX 3060

 6年前に自作したゲーミングPCのビデオカードを交換することで、どこまでゲームのパフォーマンスが向上するのかというのが今回のテーマだが、GTX 1060を2世代新しいRTX 3060シリーズに交換することで、GTX 1060搭載時は動作が重かった最新ゲームも快適にプレイできるようになることがわかった。

 最初に説明したように、5、6年前のゲーミングPCのビデオカードを交換するなら、最新のGeForce RTX 40シリーズよりも、消費電力が小さく、コスト面でも安価なGeForce RTX 3060シリーズがオススメだ。GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 3060よりも性能は高いが、その分価格も高いので、用途と予算に応じて選べばよい。最新のゲームを遊ぶには性能的に不満が出てきた5、6年前のゲーミングPCでも、ビデオカードをGeForce RTX 3060シリーズに換装すれば、もう2,3年は現役として利用できるだろう。